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【35】そして、愛に溺れる

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先生の虜になった私は、母がいない日は毎晩先生の家へと通っていた。
直くんへのLINEを返すこともなくなり、浮足立ちながら玄関のドアを開けた瞬間、直くんが立っていた。

「芽衣。どこ行くんだよ。毎晩どこへ行ってるんだよ……」

直くんは酷く憔悴していて、体も痩せていた。
その瞬間、大きな裏切りを働いていたことにようやく気付いた。
しかし――。
もう、裏切るわけにはいかないの。

「ごめんなさい……私、好きな人ができたの」

毅然とした態度で言い放ったものの、直くんは表情を歪めて頭を掻いた。

「ここに住んでるやつか? あの公園にいたオッサンだろ。いつもそいつのところ行ってるのか?」
「……ち、違う」
「嘘だろ。全部知ってるんだぞ。お前の母さんに言ってもいいんだからな……」

脅し言葉を並べていた直くんは、気づけば涙声になっていた。

「な、直くん……」
「芽衣……頼む。俺、芽衣がいないと無理だよ……」

そう言いながら涙を流す直くんを見て、私はどれだけ酷いことをしてしまったのかとショックを受けた。




そうして――二ヶ月後。

「また来たのか……直まで……」

先生は呆れた様子でコーヒーを淹れたマグカップを二つテーブルに置いた。
直くんは先生の家の本を読みながら、ソファに座っている。

「少しぐらいいいだろ。なんでオッサンだけ芽衣を独り占めするんだよ。もともとは俺のもんなんだからな」
「わかったわかった。その作家好きなら貸すよ。家で読んだらいい」
「え、いいの?じゃあこれも借りたい。あと、これも」
「いいよ。持って行きなさい」

昔から読書も勉強も好きな直くんは、先生といがみ合いながらもある面では相性がいいようだ。
私は口を挟まず二人のやり取りを眺めながら、ダイニングチェアに腰掛けて先生が淹れてくれたコーヒーに口をつける。
もう一つのコーヒーは先生のではなく直くんの分。
いろいろ言い合いながらも可愛がっているようにも思える。

直くんの涙を目にした二ヶ月前、どうしても直くんとのつながりを絶てなかった私に、先生がうちに連れておいでと言ったのだ。
最初こそ修羅場にはなったけれど、最近は違う。

コーヒーを飲み終えた私がソファに座ると示し合わせたように先生も隣に座る。
直くんが私の左、先生が私の右。

先生が優しく肩を抱き寄せて熱い口づけが始まり、直くんが私のシャツを捲り上げてブラジャーのホックを外す。
そして、二人の手が私の乳房を弄り始めようとした時、直くんが口を開いた。

「オッサン、そろそろキス譲れよ。長いんだよ」

先生は私と絡ませていた舌を外してこう答える。

「だめだよ。もう少し……ほら、芽衣の顔を見てごらん。とろけちゃって、キスだけで感じてるだろ」
「確かに、エロいな……」
「もっとエロい顔見たいと思わない? 直も芽衣を気持ちよくしてあげて。優しくね」
「ああ……」

直くんの指が素直に秘部に伸ばされた。最近では先生がするようなタッチで愛撫するから、どっちにされているのかわからない時すらある。

「んっ……」

私の喘ぎ声に、先生と直くんが顔を見合わせて微笑み合う。
こうして私は今夜も二人に余すところなく愛され、溺れるほどの愛を注がれるのだ。
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