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【10】先生と補習の後で

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採点中は席に座って無言で待つ。

先生が持って来た教材の隣にコーラのペットボトルが置いてある。
お茶ならわかるけどコーラなんだな。炭酸好きなのかな。だったら私と一緒だな。
先生って、メガネかけてるからわからなかったけど、結構かわいい顔立ちをしているように思う。

数分経ち採点が終わった。

「100点ですね。これなら補習は今日で終わりでいいでしょう」

嬉しいけど、先生がタメ口じゃなくなってしまったのが寂しい。
先生とこうしてもう話せるのも今日で終わりかと、残念に思う自分がいるのが不思議だった。

「もう帰る支度していいですよ」

やっぱり先生は敬語だ。昨日はもっと打ち解けた気がしたのにな。
ペンケースとテスト用紙を鞄にしまっていると、先生がすっとコーラを差し出してきた。

「鈴木さん、炭酸飲めますか?」
「はい。好きですけど……」
「じゃ、あげる。さっき間違って買っちゃったんだけど、急いでたからそのまま持って来たんだ」

え? 私にくれるの?
受け取ろうとしたら、つるりと滑ってしまった。ゴロンゴロンと床に転がり、また先生が拾ってくれて手渡してくれた。


「先生、ここで飲んでいってもいいですか?」
「いいけど、今開けたら泡が――」

先生の忠告も聞き終える前に、喉を潤したかった私は躊躇なくフタをパキバキと捻って開けた。

「あ」

プシャーーーー。
コーラは無情にも暴発し、セーラ―服の前面が一瞬でコーラ色に染まった。

「…………。」

先生も私もフリーズするばかりで時が止まったようだった。
スカートの裾から、ぽたぽたとコーラが滴っている。

「だ、大丈夫? 何か拭くもの……タオル持ってこようか。いっそのこと着替えたほうがいいかな……ごめん、僕が落とさなければ」
「先生のせいじゃないです。私が開けなければ……」

ベージュの制服だから、濡れたら色が濃くなって目立つ。
自分のハンカチで拭いていると、先生もポケットからハンカチを取り出した。
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