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【5】先生へのお願い。古い校舎の一室(1)
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珠莉は部屋の中へ入り、ハンガーに掛かっているスカートを数枚見つけた。最近クリーニングしたのかどれもきれいな状態でサイズも合う。
これに着替えれば終わりなのだが、珠莉は部屋の外で待っている村瀬を見つめながら考える。
(『着替える間そばにいてほしい』って言ったら、先生、困るかな……)
いやらしいお願いかもしれない。神聖な教育の場でお願いすることじゃないかもしれない。しかしここには今珠莉と村瀬の二人しかいない。
心臓が破裂しそうなほど高鳴りながら珠莉は村瀬の元へ近づいた。珠莉に気付いた村瀬は何も気づいていない様子でにこりと微笑む。
「着替えた?」
「いえ……まだです。あの、先生も……部屋に入ってくれませんか?」
「えっ?」
明らかに困惑している村瀬に珠莉がまた一歩近づいた。頬を桜色に染めて懸命な顔で村瀬を見つめている。
「部屋に一人だと心細いので、そばに先生がいてくれたら……」
それは、半分本音であるが半分は違っていた。その半分は、後ろめたい下心だ。
(先生、なんでもお願い聞いてくれるって言ったよね……?)
淡い期待を抱きながら珠莉は震える手を握り締めて村瀬の返事を待つ。やはり非常識な頼みだったのか村瀬は即答しない。
珠莉は桜色の頬をますます紅く染め、取り消そうとしたその瞬間、村瀬が頷いた。
「……いいよ」
村瀬の表情は強張っていたのが見て取れた。廊下を見回し誰もいないことを確認すると村瀬は部屋の中へ入りドアを閉める。珠莉は村瀬の優しさにつけこみすぎてしまったかもしれないと不安になりながら、村瀬の前に立つ。
(先生に変なお願いしちゃって……私……これじゃただの痴女だよね……)
不安げな珠莉の瞳からはまたぽろぽろと涙が溢れて、今度は村瀬が慌て出した。
「きゅ、急にどうしたんだ? 怖いこと思い出した?」
「ちが、違うんですっ……。私、先生を怒らせちゃったと思って……。私が変態なお願いしちゃったから」
「変態? 何が??」
かみ合わない会話に村瀬が困惑し珠莉が動揺する。しかし村瀬は別に怒ってはいないらしい。泣きながらも珠莉は心のどこかで安堵した。
「怒ってなんかないよ。してほしいことがあれば聞くって約束しただろ。……でも、俺が女の子の着替えに居合わせるなんて申し訳ないなと思っただけだよ。谷、恥ずかしそうにしてるしさ……でもそれが俺への頼みなら聞くよ」
なんて優しい人なんだろうと珠莉は思う。こんな優しい気持ちで接してくれているのに下心を持っている自分が汚くて恥ずかしい。だけど――心の奥底から突き上げられるようなこの衝動には抗えなかった。
珠莉は村瀬の手を取り、自分のスカートのホックへと導いた。
「……先生が脱がせて」
珠莉の少ししっとりとして湿度のある手のひらが村瀬の腕に触れている。珠莉が恥ずかしそうに睫毛を伏せて懇願する様を目の当たりにした村瀬は、ごくりと喉を鳴らした。
これに着替えれば終わりなのだが、珠莉は部屋の外で待っている村瀬を見つめながら考える。
(『着替える間そばにいてほしい』って言ったら、先生、困るかな……)
いやらしいお願いかもしれない。神聖な教育の場でお願いすることじゃないかもしれない。しかしここには今珠莉と村瀬の二人しかいない。
心臓が破裂しそうなほど高鳴りながら珠莉は村瀬の元へ近づいた。珠莉に気付いた村瀬は何も気づいていない様子でにこりと微笑む。
「着替えた?」
「いえ……まだです。あの、先生も……部屋に入ってくれませんか?」
「えっ?」
明らかに困惑している村瀬に珠莉がまた一歩近づいた。頬を桜色に染めて懸命な顔で村瀬を見つめている。
「部屋に一人だと心細いので、そばに先生がいてくれたら……」
それは、半分本音であるが半分は違っていた。その半分は、後ろめたい下心だ。
(先生、なんでもお願い聞いてくれるって言ったよね……?)
淡い期待を抱きながら珠莉は震える手を握り締めて村瀬の返事を待つ。やはり非常識な頼みだったのか村瀬は即答しない。
珠莉は桜色の頬をますます紅く染め、取り消そうとしたその瞬間、村瀬が頷いた。
「……いいよ」
村瀬の表情は強張っていたのが見て取れた。廊下を見回し誰もいないことを確認すると村瀬は部屋の中へ入りドアを閉める。珠莉は村瀬の優しさにつけこみすぎてしまったかもしれないと不安になりながら、村瀬の前に立つ。
(先生に変なお願いしちゃって……私……これじゃただの痴女だよね……)
不安げな珠莉の瞳からはまたぽろぽろと涙が溢れて、今度は村瀬が慌て出した。
「きゅ、急にどうしたんだ? 怖いこと思い出した?」
「ちが、違うんですっ……。私、先生を怒らせちゃったと思って……。私が変態なお願いしちゃったから」
「変態? 何が??」
かみ合わない会話に村瀬が困惑し珠莉が動揺する。しかし村瀬は別に怒ってはいないらしい。泣きながらも珠莉は心のどこかで安堵した。
「怒ってなんかないよ。してほしいことがあれば聞くって約束しただろ。……でも、俺が女の子の着替えに居合わせるなんて申し訳ないなと思っただけだよ。谷、恥ずかしそうにしてるしさ……でもそれが俺への頼みなら聞くよ」
なんて優しい人なんだろうと珠莉は思う。こんな優しい気持ちで接してくれているのに下心を持っている自分が汚くて恥ずかしい。だけど――心の奥底から突き上げられるようなこの衝動には抗えなかった。
珠莉は村瀬の手を取り、自分のスカートのホックへと導いた。
「……先生が脱がせて」
珠莉の少ししっとりとして湿度のある手のひらが村瀬の腕に触れている。珠莉が恥ずかしそうに睫毛を伏せて懇願する様を目の当たりにした村瀬は、ごくりと喉を鳴らした。
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