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第7話 前夜の悪夢 ✳︎

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※若干、無理矢理表現あり。苦手な方はご注意ください。


「イオ、君の首の後ろには小さなボタンがある。緊急スイッチだ。これを押すと、俺のウォッチに通知が来るようになっている。いいかい?ハレーに手荒なこと、乱暴なことをされたらすぐにこれを押すんだ。すぐに俺が助けに行くから」

水端流が帰った後、研究室に戻った雄飛は真剣な顔でイオにこう言った。

「大丈夫。何かあれば雄飛が守ってくれる……」

その日の夜、部屋のベッドの上でイオは必死に自分に言い聞かせていた。首の後ろにあるスイッチを何度もなぞって、場所を確認する。不安で仕方がなかった。思わず雄飛に「一緒に寝て欲しい」と言おうかと思うぐらいだった。

(アタシは20歳。子供じゃないんだから)

そう思ってやめたのだ。それに実験は明日からだ。いくらハレーでも水端教授の言いつけを破ることはないだろう。今日はまだ、安心して眠れる。イオはそう思った。そして、布団に潜り込み、目を閉じた。しかし、いつまで経っても睡魔はやって来ない。

「……ダメ、眠れない」

イオはベッドから出て、カーテンを開けた。メトロポリス星は地球とほぼ同じスピードで自転と公転をする。だから一日、一年、という時間の流れは変わらない。しかし、太陽との距離があるため一年中が秋か冬のような寒さだった。夜になると気温が更に下がり、冷たい風が吹いた。地球から種を持ってきて植えた秋冬の草花達が冷たい夜風に揺れていた。

イオは地球にいた頃、よく月を見上げた。大気汚染の影響で紅色に染まった不気味な月だったが、それでもイオは月が好きだった。でも、ここメトロポリスには月のような衛星はない。地球の近くといっても、金星に近いこの星からは月は地球に隠れており見えない。だからイオは自分にしかない能力を活用して度々惑星を眺めた。木星のある方角に目を向け、ピアスにそっと触れると、目の前に鮮やかなしま模様の天体が現れる。

「わぁ……凄い。やっぱり、アタシは木星が好きだな」

そして、近くにある自分の名と同じ衛星を探す。

「あった……!」

蛍光色の黄色のような天体が現れた。表面には丸くて黒い斑点はんてんがところどころにある。イオはしばらくの間、その蛍光色の星に見惚みとれていた。その時だった。突然、背後から羽交はがい絞めにされ、口を塞がれた。

「っ?!」

「よう、イオ。まだ眠れないのか?」

聞き覚えのある低くて荒々しい声。自分を羽交い絞めにしているのが誰なのかを悟り、イオは体を強張こわばらせた。

「オレも眠れなくてよ。ちょっと早いけど、会いに来てやったんだぜ」

ハレーは耳元でそう囁くと、後ろからイオの首筋に顔を埋め、大きく息を吸った。

「ああ……ようやく、お前の体に触ることができたぜ。オレはな、初めて会った時からお前に目つけてんだよ。絶対にオレの女にしてやるってな。だから、この時を待ち焦がれたぜ。はぁ、たまんねえな」

そして、イオの口から手を離し、彼女の首を横に向けると自身の唇を重ねた。すぐに舌を入れ、乱暴に彼女の唇をむさぼった。

「んんっ……!」

イオは抵抗する暇もなく、くぐもった声を出すのが精一杯だった。ハレーはイオの体に手を伸ばしたが、身長差があり過ぎて思うように触れない。ハレーは唇を離すと苛々いらいらしながら言った。

「クソッ。イオ、お前小さ過ぎんだよ。せっかく色々触ってやろうと思ったのに集中できねえ」

そして、イオの体をいとも簡単に持ち上げた。驚いて息を飲むイオ。ハレーは背後にあるベッドの上に彼女を放った。イオは慌てて左耳のピアスを外した。視界がクリアになり、不敵な笑みを浮かべて自分を見下ろすハレーと目が合った。

「な、なんで……?ドアに鍵はかかってたはずなのに……。どうやって……?」

イオは急いで布団を首の下まで持ち上げると、必死に首を横に振りながら声を絞り出した。アンドロイド達の部屋は自分のデータとあらかじめ同期してあり、触れるだけで開く仕様になっている。ただし、防犯の関係で、本人以外は絶対に開かないようになっているのだ。ハレーはにやりと笑うと言った。

「おい、オレを誰だと思ってやがんだ?こんな鍵、簡単に開けられんだよ」

「なんで?だって、本人以外は開かないようになってるはずじゃ……」

「ふん、いいこと教えてやろうか?お前が雄飛の研究室に行ってる間にな、システムに潜入したのさ。で、ちょいちょいとプログラムをいじってオレも開けられるようにした。オレにはな、触るだけでコンピューターのシステムが分析できる機能がついてんだ。なんでか分かるか?戦闘やスパイ活動に有利だからだ。彗のやつ普段はぼさっとしてるが、アンドロイドに関しては頭がきれる。最高な奴だぜ」

「うそ……」

イオは絶望的な気持ちになった。正直なところ、ハレーがそんな機能を持っているとは思わなかったのだ。身体能力の高さは理解していたが、それだけだと思い込んでいたのだ。

(そんな……じゃあ、ハレーにはどんな手も通用しないってこと?)

イオが動揺し、抵抗する気力を失ったのを見て、ハレーはその隙に彼女の上に覆い被さった。驚いたイオが抵抗しようと必死にもがく。

「いや!やめて!」

「イオ、知ってるか?男ってのはな、女に抵抗されたらされる程、興奮するんだよ!」

ハレーは彼女の胸元に顔を埋め、全力で抵抗する彼女の体を自身の大きな体で抑え込み、寝巻代わりの彼女の白いワンピースを両手でまくりあげた。

「おいおい、パンツだけかよ。どうぞ犯してくださいって言ってるようなもんじゃねえか」

ハレーは驚きながらそう言うと、嬉しそうに、にやりと笑って続けた。

「……って、まぁ寝巻きなんだから当たり前か。いいじゃねえか。そそられるぜ、イオ」

そして、あっという間に彼女を裸にすると、首筋に唇や舌先を這わせながらそのふくよかな膨らみを両手で揉みしだいた。

「あぁんっ……!だめ、そこは……いやあっ」

力一杯抵抗するも、雄飛の手によって性的な快感を覚えてしまったイオの体はハレーの乱暴な愛撫にさえ敏感な反応を示した。

(嫌なのに……体が熱くなってくる……どうしよう)

イオは首の後ろにあるスイッチに手を伸ばそうとした。しかし、ハレーは自分の手でイオの両手を彼女の頭の上で固定した。彼女は完全に身動きが取れなくなってしまった。

(これじゃあスイッチ押せない……)

イオは雄飛に助けを求めるのを諦めた。ハレーは膨らみの先にある突起を口に含むと舌先で転がし、空いた手でもう片方の突起をつまみ、弄った。

「やあん……だめ……ハレー、お願い、やめて……いやぁっ」

「おいおい、嫌って言いながら喘いでんじゃねえか。気持ち良いんだろ?」

イオは徐々に込み上げてくる快感に耐えた。首を横に振って必死に声を押し殺した。

「はあっ……んん……っ」

「我慢すんなよ、イオ。気持ち良いんだろ?」

イオは大きく首を横に振る。ハレーはチッと舌打ちをすると片方の手をイオの下腹部に滑らせ、秘部に指先を突っ込んだ。

「ひゃあん!」

突然の刺激に思わず声を上げてしまったイオの顔を、ハレーはにやりと笑いながら覗き込んだ。

「もう溢れ返ってんじゃねえか。苦しいだろ?早くいかせろって顔、してんぞ」

「そ、そんなことない……ああんっ!」

ハレーは熱く濡れそぼった秘部を指でまさぐった。自身の秘部から発せられる妖艶な水音に、イオは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして目をつむった。そして、込み上げてくる甘い刺激に耐えた。しかし……。ハレーはわざとイオの耳元に唇を寄せると、吐息交じりの声で囁いた。

「イオ、堪えてるつもりなんだろうが、腰動いてんぞ。やっぱ気持ち良いんじゃねえか……」

イオは首を横に振りながらも、徐々に自分の理性が壊れていくのを感じていた。雄飛の手によって目覚めた女の本能が再び目を覚ましたのだ。

(そんな……アタシ、あんなにハレーのこと嫌だったのに……っ)

そして、ふと自分が作られたワケを思い起こした。

(アタシは初めからこれが目的で作られたようなものだもん。相手が雄飛じゃなくてハレーだったってだけのこと。だったら……)

イオが心の中でそんな葛藤を繰り広げているとも知らず、ハレーは徐々に壊れていくイオを嬉しそうに、また愛おしそうに見下ろした。そして、秘部に突っ込んだ指の動きを早めた。

「イオ……イカせてやるからオレにゆだねろ」

イオはうっすらと目を開けた。こちらを覗き込むハレーと目が合った。鋭い目つきが更に鋭くなり、ギラついていた。

「ハレー……。ああっ、いや、だめ……あんんん~~っ!!」

雄飛とは全く違うその目に戸惑いを感じながらもイオは果てた。

「はぁ、もう我慢できねえ」

そう言うとハレーはグレーのスウェットと下着を全て脱ぎ捨てた。筋肉質な全身が露になり、イオは驚いた。

(雄飛も鍛えてるけど全然違う……こんな人に全力で抵抗しようなんて……)

イオは絶望的な気持ちになった。ハレーは硬くなった自身をイオの口元に近づけると言った。

「おい、舐めろ」

「えっ……?」

「舐めろってんだよ。早くしろ」

イオは戸惑った。これを舐める?一体どういうこと?、と。すると、何かを察したのかハレーが苛立った様子で言った。

「お前、やったことないのか?ただくわえて舐めるだけだ。いいか?歯は立てるなよ?」

イオはおそるおそるハレー自身を口に含んだ。そして、舌先で先端を優しく舐めた。ハレーはイオの頭を掴みながら恍惚こうこつの表情を浮かべて声を上げた。

「ああ……いいぞ、その調子だ」

舌先で愛撫する度、それはピクピクと動いた。

(何これ……生き物みたい……。ハレーもアタシと同じアンドロイドなのに、こんなにリアルな性器が付いてるなんて……)

何とも言えない気持ちになり、イオは一旦唇を離し、それをじっと見つめた。

「おいおい。そんなにじっくり見んなよ。ま、驚くのも無理はねぇ。これ、スゲーだろ?まるで本物みたいだよな。彗のやつがリアルに作ったのさ。誰のモノを見本にしたのかは知らねぇけど。まっ自分のじゃないことは間違いねぇだろうな」

そして、にやりと笑った。イオはハレーに尋ねた。

「舐められると、気持ち良いの?」

「ああ、いいぜ。でも、イオはまだまだだな。これから徐々に教えてやる。男を喜ばせる方法をな」

「……っ」

(アタシにセックスを教えてくれたのは雄飛だった。じゃあ、ハレーは……?どうやって知ったんだろう……それで、一体どこまで知ってるんだろう……?)

恐ろしさのあまりイオは思わず体を震わせた。

すると、ハレーは再びイオの体をベッドの上に押し倒すと、硬くなったままのハレー自身を彼女の熱く湿った秘部に押し当てた。

「ひゃあっ!」

「待たせたな、イオ。これが欲しかったんだろ?」

そして、一気に挿入した。突然の鋭い刺激と痛みにイオは驚いて悲鳴を上げた。

「いやああ!ハレー、いやっ、痛い……っ!」

「うるせえな、黙ってオレに委ねてろ。その内スゲー快感に変わるからな」

ハレーはイオの小さな体を抱きしめながら、何度も腰を打ち付けた。奥底に届くように何度も。そして、快楽に身を委ねた。

「はああっ……スゲー気持ち良い、イオ……っ」

一方、イオも何度も中を犯され、痛みが甘く濃厚な刺激に変わっていくのを感じた。

「ああんっ……はああっ……いい……っ」

(そっか、雄飛が言ってた「その先」ってきっとこれなのね……)

そして、自分の処女を雄飛ではなくハレーに捧げてしまったことを残念に思った。

「イオ……っ気持ち良くなってきただろ?だって……お前、今スゲー良い顔してるぜ……っ」

イオを見下ろすハレーの瞳が先程よりも鋭く光った。まるで、狙った獲物にトドメを刺す獣のようだった。

「なあ、イオ……っあいつが見たら……どんな顔するだろうな?怒ってオレに……殴りかかってくるかもな?」

「やめて……っゆうひのなまえ……今は出しちゃいやあ……っ」

ハレーは腰の動きを更に早めた。一気にラストスパートを掛けるつもりなのだ。

「いいぜ、イオ……思い切りイカせてやる。そうしたら、お前はもうオレの女だ……っ!」

「ああっ!ハレー……っ!だめっイっちゃう……っ!」

ハレーはイオの中に思い切り自身の欲望を放出した。イオの体を強く抱き締めて最後の一滴まで注ぎ込んだ。イオは頭が真っ白になると同時に、下腹部に生温なまぬるい何かが注がれるのを感じた。

(あぁ……これが水端教授の言ってた実験……)

放心し、力なく開けられているイオの唇にハレーは自身の唇を重ねた。

「イオ……愛してる。お前はもうオレの女だ」
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