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会いたかった
しおりを挟むずっと一人でした。
育ててくれた人は、いつも「いつか親御さんにあわせてあげるからね」と言っていて、
僕の親では無いと言う事を殊更に強調する人でした。
だから、僕は要らない子なんだと思っていました。
養護施設には行かなかったけど、寮に入ってからの生活でそれを痛感しました。
みんな休暇には家に帰ります。
でも、僕は帰る場所がなくて、ずっと寮にいました。
誰もいないクリスマス休暇は、とても辛かった。
寒くて、寂しくて、悲しくて…。
お母さん、あなたも一人だったんでしょう?
どうして僕たちは一緒にいられなかったんですか?
日本の大学に通う事を決めたのは、晴翔…兄さんと偶然出会ったからです。
アメリカにあるVDSと提携を組んだ研究所に見学に行った僕は、途中で具合が悪くなって倒れました。
その僕を助けてくれたのが、視察に来ていた晴翔兄さんでした。
母さんと父さんの子になって日本に行くと決めて、
一緒に暮らせると思った時に、母さんが殺されたと聞きました。
僕は今、母さんを殺した犯人の奥さんだった人の息子です。
そして、母さんが気を失うまで殴った人が僕のお母さんだとさっき知りました。
僕は殺人未遂犯の子なんですね。
僕は一体、どうすればいいですか?
どうして迎えに来てくれなかったんですか?
なぜ、僕は生まれたんですか?
一度でいいから、会ってみたかったです。
だから、せめて。
僕の幸せを願ってください。
僕が幸せになると言ってください。
お母さん。
僕が逝くまで、待っててください。
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