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指定大都市アクア6

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「か、家族って...?」
「おいおい、随分とグイグイ来るなぁ。」
「スズ、な、何を言っているんだ?」

流石のダニエル様も若干引き気味に問い質していた。天涯孤独だとか、触れるのをはばかれる内容である為に恐る恐るといった感じである。

「私の夢は家族を作ることなんです。」
「...それは素敵な夢だな。」
「はい!だから、奏多さんには是非とも私のお兄ちゃんになって欲しいと思っています!」
「......ん?」
「お兄ちゃんかいな。」

ダニエル様に向けて両手を胸元で祈る様に組んで、その夢を力一杯に語っていた。
が、どうやら彼女は俺に兄になって欲しいらしい。それを聞いてかダニエル様のお顔が変な風になっている。彼や周りの野郎共的にはきっと旦那になって欲しいとか、そちらの方を想像していたらしい。俺も一瞬そう思っていた。
けれど、涼ちゃんは別に結婚を求めている訳ではなく、幸せファミリーを求めているのだ。母親や父親になって欲しいじゃないだけ良かった...。

「お兄ちゃんなら、俺は構わないよ。俺も妹はいなかったから、どう接していいか分からないけど。」
「ほんとですか!やったぁ!!私にも家族ができた!!」
「でも、俺で良かったの?」
「はい!奏多さんと話してると、初対面なのに凄く安心してしまって。同じ世界の人というのもあると思うんですけど、雰囲気?が私を安心させるんですよね。」
「そ、そそそういう事ならばスズの兄であることは許してやろう。」
「なぁんでダニエル様が威張ってんの...。」
「アルフレッド...そりゃぁ旦那枠じゃないとわかったからに決まってんだろ。」

ヨハンとアルフレッドが何かボソボソ話し合っていた。だが俺は、真ん前でキャッキャウフフしている彼女を見ていると胸の奥がぽかぽかしていた。
俺としても、心の拠り所が欲しいなと思っていたところだ。少し前まで当たり前にあった家族という存在。それがどれだけ重要なものであったかと、母の葬式の時に身に染みて感じた。ぽっかりと心に穴が空いてしまった。という表現がしっくりきたのを覚えている。

それと同等なもの、とまではいかないし、違う人なのだから比べる事自体烏滸がましいが...。俺にもまた家族が出来るのならば嬉しいことは無いなと思ったんだ。

「よろしくね、涼ちゃん。」
「はい!...あ、家族だから敬語入らない...ですか?」
「いや、要らないなぁ。」
「!!それじゃぁ、よろしくね奏多お兄ちゃん。」
「おぅ。」

照れくさい。
ムズムズする。
感謝と...またいなくなって欲しくないという祈り。
そんな様々な感情が渦巻く心情。
目の前の【聖女様】でもある妹。まだ互いに一年も経っていない自分達。
元の世界では高校生位なのだろう。護られるべき存在であった。
それがこちらの世界では前線に立って戦わなければいけない。
きっとこの世界が平和になるために幾度となく傷つき、挫折をする可能性があるのだろう。その時に支えるべき人が必要だと思う。俺がそれになれればいいけども、もっと大切な人が現れるまでは代役程度には頑張ろうと思えた。

少なくとも、今だけはこの愛らしい笑顔を護れる人になりたいと思うのだ。
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