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新天地2
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ジリジリと夏の暑さが肌を焼いている。顎に汗が流れ、徐々に体力を奪われている。段々と足元の感覚が消えていってる気がする。
「あっつー...ランドルフの奴何やってんだ?」
「中々門が開かないな...。この暑さだ、馬が可哀想だからとさっさと帰したのは正解だったな。」
「だからって、私達が倒れちゃったら意味無いでしょ?」
「...あ、レンフレッド...アーサーがヤバい。」
「マジか!!!おい!さっさと開けろ!!中に入れろ!!アーサーが死ぬぞ!!」
「ほんっっとうにすまない!!どういう訳なのか門番達へ話が通っていなかったみたいで、説明をしていたら遅くなってしまった...。」
「直ぐに救護室に行けたらから良かったものの...数刻遅れていたら本当に...。」
「あぶねぇ...また目の前で逝く所だった。」
「笑えない冗談ですよレンフレッド...。」
「でもこうしてちゃんと対応してくれたんだ、俺は平気だ。」
一時間近く日陰のない王宮の門の前でレンフレッド達と待機していたら、気が付けばベッドの上にいた。軽い熱中症で倒れてしまったらしい。他のメンバーも若干熱中症になってしまっていたが、俺程ではなく氷魔法の冷却で回復済みだった。
ディアナやクラーラさえ倒れていないというのにこの有様、不甲斐ないな。
ランドルフが言うには俺達が王宮へ参上する事自体話が通っていなかったらしい。ランドルフだけではなく、王宮内研究所のバルリング先生の方からの申請も同様だとか。
「こんなにも重なるものなのか?」
「......どうでしょうね。」
不穏な空気が救護室内を埋め尽くす。サバイバルキャンプにしろ、何故こうも俺達が関わる先にトラブルが起こるというのか。
「あ、いたいた。大丈夫だったかな?」
「...バルリング先生。」
「重体そうなのはアーサーくんだけって感じなのかい。」
「お恥ずかしながら...。」
「その時のコンディションとかあるだろうし、仕方ないさ。それにしても、ランドルフ様、今回の一件は...?」
「分かりません...。バルリング先生からの僕たちの申請書も確認できましたし、一週間前に門番方へ伝達も僕自身が行いましたし。問題は無かったのですが...。」
「その伝えた役人は今日はいたのかい?」
「えぇ。ただ、本日に限って国境担当だったんです。だとしても彼自身他の門番へと伝達しているはずなのですが、どこからが伝達しきれていなかったらしく...たまたま今日の王宮担当の者達は全員知らない者達の構成となっていたようです。」
「......それって、誰かが僕達を入れたくないのか?」
「それは断定出来ないわ。本当にたまたまの可能性もあるもの。」
「で、でも流石に無理があるんじゃ...。」
「......下手したらランドルフ様への冒涜となるだろうね。」
「いや、それが目的なのでしょう。僕は既に時期王になる気はないと父上に伝えてあるのですがね。存在自体が嫌な者がいるんでしょうね。」
「こればっかりは一研究員である僕がどうすることは出来ないから、王宮任せにするけども。アーサーくんや他のみんなは気を引き締めて臨んでくれ。」
「ランドルフ...。」
「気にしてくれるのですか?...平気ですよ。よくある事です。」
「......そうか。」
ランドルフの瞳が、寂しそうにしていた。過去の事を思い出しているのだろうか...。でも、俺自身なにかしてあげることは今は無いみたいだ。
せめて、と。
綺麗で長い指先を握り締めたのだった。
「あっつー...ランドルフの奴何やってんだ?」
「中々門が開かないな...。この暑さだ、馬が可哀想だからとさっさと帰したのは正解だったな。」
「だからって、私達が倒れちゃったら意味無いでしょ?」
「...あ、レンフレッド...アーサーがヤバい。」
「マジか!!!おい!さっさと開けろ!!中に入れろ!!アーサーが死ぬぞ!!」
「ほんっっとうにすまない!!どういう訳なのか門番達へ話が通っていなかったみたいで、説明をしていたら遅くなってしまった...。」
「直ぐに救護室に行けたらから良かったものの...数刻遅れていたら本当に...。」
「あぶねぇ...また目の前で逝く所だった。」
「笑えない冗談ですよレンフレッド...。」
「でもこうしてちゃんと対応してくれたんだ、俺は平気だ。」
一時間近く日陰のない王宮の門の前でレンフレッド達と待機していたら、気が付けばベッドの上にいた。軽い熱中症で倒れてしまったらしい。他のメンバーも若干熱中症になってしまっていたが、俺程ではなく氷魔法の冷却で回復済みだった。
ディアナやクラーラさえ倒れていないというのにこの有様、不甲斐ないな。
ランドルフが言うには俺達が王宮へ参上する事自体話が通っていなかったらしい。ランドルフだけではなく、王宮内研究所のバルリング先生の方からの申請も同様だとか。
「こんなにも重なるものなのか?」
「......どうでしょうね。」
不穏な空気が救護室内を埋め尽くす。サバイバルキャンプにしろ、何故こうも俺達が関わる先にトラブルが起こるというのか。
「あ、いたいた。大丈夫だったかな?」
「...バルリング先生。」
「重体そうなのはアーサーくんだけって感じなのかい。」
「お恥ずかしながら...。」
「その時のコンディションとかあるだろうし、仕方ないさ。それにしても、ランドルフ様、今回の一件は...?」
「分かりません...。バルリング先生からの僕たちの申請書も確認できましたし、一週間前に門番方へ伝達も僕自身が行いましたし。問題は無かったのですが...。」
「その伝えた役人は今日はいたのかい?」
「えぇ。ただ、本日に限って国境担当だったんです。だとしても彼自身他の門番へと伝達しているはずなのですが、どこからが伝達しきれていなかったらしく...たまたま今日の王宮担当の者達は全員知らない者達の構成となっていたようです。」
「......それって、誰かが僕達を入れたくないのか?」
「それは断定出来ないわ。本当にたまたまの可能性もあるもの。」
「で、でも流石に無理があるんじゃ...。」
「......下手したらランドルフ様への冒涜となるだろうね。」
「いや、それが目的なのでしょう。僕は既に時期王になる気はないと父上に伝えてあるのですがね。存在自体が嫌な者がいるんでしょうね。」
「こればっかりは一研究員である僕がどうすることは出来ないから、王宮任せにするけども。アーサーくんや他のみんなは気を引き締めて臨んでくれ。」
「ランドルフ...。」
「気にしてくれるのですか?...平気ですよ。よくある事です。」
「......そうか。」
ランドルフの瞳が、寂しそうにしていた。過去の事を思い出しているのだろうか...。でも、俺自身なにかしてあげることは今は無いみたいだ。
せめて、と。
綺麗で長い指先を握り締めたのだった。
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