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12章:王都への旅路、新たな出会い
135.王都への旅立ち
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「はあ、吐く息がもう白くないね」
「そりゃそうだ。もう春だよ」
ゆっくりと、王都への馬車の旅が始まった。
アレックスさんの紋章が付いたワゴンに借り物の馬を繋ぎ、三人と一匹での長旅だ。
相変わらず、アレックスさんは自分の馬は持たないようで、借り物の馬だけど。
馬車ギルドに馬を借りれば、途中で疲れた馬を交換しながら行けるので、飼うとなると色々生き物は大変だしで、多少高くなったとしてもこれはこれで便利だとの事だ。
自分で飼えば愛着持てそうなのに……なんていうか、人それぞれだね?
私達は今、割と立派なワゴンの中にいて、ガラスの填まった窓の外を眺めている。
まあ、ガラス板と言っても、精度の低いゆがみのあるものだけど、板が填まってるだけのそれよりは大分いい感じのものだ。
多少のゆがみもアンティークっぽいと言えば、それっぽいし。
ぽちはといえば、とっても楽しそうに馬車と併走してるよ。
窓越しに疲れないの? と聞くと、一杯走れてたのしーと返ってくるので、まあ楽しんでるのならいいかなーって、走らせてるんだけど。
アレックスさんとの追いかけっこだと思ってる節もあるけど、まあそこはご愛敬かな。
道行く人達が、すくすく大きく育ったぽちにぎょっとするのがね、難点だよね……。
私には可愛いばかりのぽちだけど、一般的にはAAランクの恐ろしい魔物な訳でして。銀色でふかふかで可愛くって格好よくって、私的にはもう最高なんだけどなぁ。ああ、もふもふしたい。
今は草原の道をゆっくりと北上していて、そろそろ草木が疎らになってきたところ。
ここからは、あのスケベ親父……もとい子爵の領地でなく、別の領地になるんですって。
しかし、もう出発して一週間かぁ……。
ここまでは子爵の目もあるのか、ダンジョンから溢れたモンスター、いわゆる『はぐれ』 にも余り会うことなくのんびりとやって来れた。
あ、子爵の街には一日だけ寄って、以前から考えてた女神の森のロッジ用にソファだけは頼んできたよ。
アレックスさんも興が乗ったようで、二人でふっかふかのをお願いしてきたんだ。
後は買い忘れの物を買ったぐらいで、そそくさと出てきちゃった。
いやだって、まだ子爵の私を妾にする計画は発動中らしいから、下手に顔とか合わせたくないし。
また手とか撫でられたら嫌だよ-、今度こそ悲鳴上げちゃう。
……ということで。私は今街道を馬車で走っている訳だけど。
老齢のオババ様がいるから流石に飛ばす訳にいかないと、無理のないペースで街道を進む。
もう一週間経つっていうのに、これでもまだ全体の四分の一とか、とんでもないよねぇ。
旅慣れた人だと途中の森とか、数十から数百メートル級の丘や山なんかをそのまま突っ切る、ショートカットだと三週間程では行けるらしいんだ。
ただし、僻地に居着いたはぐれや盗賊団とやりあえる戦闘力と足腰に自信のある者。という但し書きが付くルートなんだよね。うん、私はお断りするかな……。
しかしそろそろ、同じ姿勢でいるせいかあちこち痛むなぁ……。むう。オババ様も休憩の度に腰をとんとんしてるし。やっぱり馬車旅とか過酷だよね。
この馬車は乗り合い馬車と違い、きちんと綿が詰まった柔らかい座席ではあるんだけど、それでもまだちょっと腰とかが痛くなってね。
いつものクッションを腰に当てたらオババ様に所望されたよ。
これから一ヶ月……と言っても、出来るだけ野宿はなしで、宿場町などを経由してのものだけど……馬車に揺られていくんだ。
「そりゃそうだ。もう春だよ」
ゆっくりと、王都への馬車の旅が始まった。
アレックスさんの紋章が付いたワゴンに借り物の馬を繋ぎ、三人と一匹での長旅だ。
相変わらず、アレックスさんは自分の馬は持たないようで、借り物の馬だけど。
馬車ギルドに馬を借りれば、途中で疲れた馬を交換しながら行けるので、飼うとなると色々生き物は大変だしで、多少高くなったとしてもこれはこれで便利だとの事だ。
自分で飼えば愛着持てそうなのに……なんていうか、人それぞれだね?
私達は今、割と立派なワゴンの中にいて、ガラスの填まった窓の外を眺めている。
まあ、ガラス板と言っても、精度の低いゆがみのあるものだけど、板が填まってるだけのそれよりは大分いい感じのものだ。
多少のゆがみもアンティークっぽいと言えば、それっぽいし。
ぽちはといえば、とっても楽しそうに馬車と併走してるよ。
窓越しに疲れないの? と聞くと、一杯走れてたのしーと返ってくるので、まあ楽しんでるのならいいかなーって、走らせてるんだけど。
アレックスさんとの追いかけっこだと思ってる節もあるけど、まあそこはご愛敬かな。
道行く人達が、すくすく大きく育ったぽちにぎょっとするのがね、難点だよね……。
私には可愛いばかりのぽちだけど、一般的にはAAランクの恐ろしい魔物な訳でして。銀色でふかふかで可愛くって格好よくって、私的にはもう最高なんだけどなぁ。ああ、もふもふしたい。
今は草原の道をゆっくりと北上していて、そろそろ草木が疎らになってきたところ。
ここからは、あのスケベ親父……もとい子爵の領地でなく、別の領地になるんですって。
しかし、もう出発して一週間かぁ……。
ここまでは子爵の目もあるのか、ダンジョンから溢れたモンスター、いわゆる『はぐれ』 にも余り会うことなくのんびりとやって来れた。
あ、子爵の街には一日だけ寄って、以前から考えてた女神の森のロッジ用にソファだけは頼んできたよ。
アレックスさんも興が乗ったようで、二人でふっかふかのをお願いしてきたんだ。
後は買い忘れの物を買ったぐらいで、そそくさと出てきちゃった。
いやだって、まだ子爵の私を妾にする計画は発動中らしいから、下手に顔とか合わせたくないし。
また手とか撫でられたら嫌だよ-、今度こそ悲鳴上げちゃう。
……ということで。私は今街道を馬車で走っている訳だけど。
老齢のオババ様がいるから流石に飛ばす訳にいかないと、無理のないペースで街道を進む。
もう一週間経つっていうのに、これでもまだ全体の四分の一とか、とんでもないよねぇ。
旅慣れた人だと途中の森とか、数十から数百メートル級の丘や山なんかをそのまま突っ切る、ショートカットだと三週間程では行けるらしいんだ。
ただし、僻地に居着いたはぐれや盗賊団とやりあえる戦闘力と足腰に自信のある者。という但し書きが付くルートなんだよね。うん、私はお断りするかな……。
しかしそろそろ、同じ姿勢でいるせいかあちこち痛むなぁ……。むう。オババ様も休憩の度に腰をとんとんしてるし。やっぱり馬車旅とか過酷だよね。
この馬車は乗り合い馬車と違い、きちんと綿が詰まった柔らかい座席ではあるんだけど、それでもまだちょっと腰とかが痛くなってね。
いつものクッションを腰に当てたらオババ様に所望されたよ。
これから一ヶ月……と言っても、出来るだけ野宿はなしで、宿場町などを経由してのものだけど……馬車に揺られていくんだ。
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