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記念ショートストーリー
SS1−2 ぽちの優雅(?)な一日(漫画一巻発売記念)
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本日は意外や伸びたのでワンパートのみ。
ちなみに今回は、ぽち視点ではありますが、ギルドの一日を書いてみたくてこんな仕立てになってます。
獣らしいというか、マイペースなぽちから見た人々の様子をお楽しみ下さい。
多分、仕事おわりの夕方か夜まで書いたら終わると思います(予定は未定)
+++++++++++
◆昼の時間はのんびりと
昼食はヴィボとベル、食事処担当の二人が持ち回りでギルド職員のまかないを作っているが、今日はベルの日だ。
格安で食べられ、しかもベルの担当日は変わった料理が食べられるので、殆どの者は昼をギルド内で済ませる。
食事処の隅のテーブルに集まるのは、冒険者ギルドマスターのヒルベルトと冒険者のアレックス。
ぽちはと言えば、アレックスの足下で彼に分けて貰った獣肉にありついている。
「お待たせしました。今日はパイ生地が余り気味なんで、野菜たっぷりミートパイです。くず肉と野菜のスープと一緒にどうぞ」
大きな鉄皿でこんがりと焼けたミートパイに、大きな鍋にどんと作ったスープという豪快な料理を取り分け、ベルはテーブルにサーブする。
「お、美味そうだな。早速頂くとするか」
アレックスはぽちの世話をした後、早速とまかないに手をつける。
「うん、美味い」
皿に盛られたミートパイはかなりのボリュームだが、一口、二口と彼が食べ進める間にあっという間になくなっていく。
「お口に合ったようなら何よりです。足りないようでしたらおかわりもありますから、気軽に言って下さいね」
ちなみにおかわりは別料金。
にっこり笑う商売上手なベルに、こくりと頷いたアレックスの目線の先には籠盛りの黒パンが。こちらはサービスである。
「うーん、お代わりするかそれともパンで腹を満たすか悩むな」
現役冒険者の彼は、一見して細身に見えるがとても健啖家なのだ。
「なんだ、俺は肉多めの方がいいのに、けちくさい」
「そんな事言って。マスターもそろそろ気をつけないといけないお年なんですから、バランス良くですよ。お肉ばっかりなんて健康に悪いです」
「はー、冒険者と言えば肉だろ、肉。分かってねぇなあ」
肩を竦めて文句を言うマスターに、ベルはじとっとした目を向ける。
「冒険にも行かない書類仕事中心の方が言うと、なんか嘘くさいですね」
「勝手に言え。俺は肉派なんだ」
「太っても知りませんよー」
なんて軽口を叩き合いながらも、同じテーブルに自分の分のまかないを持ってきて食べるベルである。
ちなみにベルのお皿のパイは、男性陣の三分の一ぐらいのサイズだ。
早朝のにぎわい……ギルド入り口の近くにある、掲示板前の依頼争奪戦……が過ぎた今、ギルド内はまったりとした空気だ。
大凡の冒険者は稼ぎに出、依頼帰りにはまだ早い。そんな時間。
基本的に暇な時間となる為、ギルド職員達が順番に食事処で昼食を摂ったり、休憩をしたりしている。
腹が満ち足りたぽちは、前足に顎を乗せてのんびり床で休みながら、耳だけをテーブルで会話する人々に向けていた。
ぽちにとってのアレックスは、信頼する友だ。ベルの命の危機を救ってくれた恩人でもあり、餌を分けてくれる気前のよさも持っている。
幼い頃からベルとアレックスに育てられたようなぽちであるから、彼に関してはかなり特別な……そう、例えるならば兄のような存在と言っていいだろう。
マスターについては、良く分からない。
ベルの後見役である事は重要なのだが、ぽちにとってそんな人間の決まり事が理解出来るわけもなし、なんかいつもギルドで暇している人、というふわっとした認識だ。
だが、この建物に所属する群れの長のようなものだろうということは、周りの反応で何となく理解している。
「マスター、食べないなら下げますけど?」
「食べるよ、食べるって」
……そしてベルとよくおしゃべりしているので、ベルとは仲良しなのかなぁとも。
ちなみに今回は、ぽち視点ではありますが、ギルドの一日を書いてみたくてこんな仕立てになってます。
獣らしいというか、マイペースなぽちから見た人々の様子をお楽しみ下さい。
多分、仕事おわりの夕方か夜まで書いたら終わると思います(予定は未定)
+++++++++++
◆昼の時間はのんびりと
昼食はヴィボとベル、食事処担当の二人が持ち回りでギルド職員のまかないを作っているが、今日はベルの日だ。
格安で食べられ、しかもベルの担当日は変わった料理が食べられるので、殆どの者は昼をギルド内で済ませる。
食事処の隅のテーブルに集まるのは、冒険者ギルドマスターのヒルベルトと冒険者のアレックス。
ぽちはと言えば、アレックスの足下で彼に分けて貰った獣肉にありついている。
「お待たせしました。今日はパイ生地が余り気味なんで、野菜たっぷりミートパイです。くず肉と野菜のスープと一緒にどうぞ」
大きな鉄皿でこんがりと焼けたミートパイに、大きな鍋にどんと作ったスープという豪快な料理を取り分け、ベルはテーブルにサーブする。
「お、美味そうだな。早速頂くとするか」
アレックスはぽちの世話をした後、早速とまかないに手をつける。
「うん、美味い」
皿に盛られたミートパイはかなりのボリュームだが、一口、二口と彼が食べ進める間にあっという間になくなっていく。
「お口に合ったようなら何よりです。足りないようでしたらおかわりもありますから、気軽に言って下さいね」
ちなみにおかわりは別料金。
にっこり笑う商売上手なベルに、こくりと頷いたアレックスの目線の先には籠盛りの黒パンが。こちらはサービスである。
「うーん、お代わりするかそれともパンで腹を満たすか悩むな」
現役冒険者の彼は、一見して細身に見えるがとても健啖家なのだ。
「なんだ、俺は肉多めの方がいいのに、けちくさい」
「そんな事言って。マスターもそろそろ気をつけないといけないお年なんですから、バランス良くですよ。お肉ばっかりなんて健康に悪いです」
「はー、冒険者と言えば肉だろ、肉。分かってねぇなあ」
肩を竦めて文句を言うマスターに、ベルはじとっとした目を向ける。
「冒険にも行かない書類仕事中心の方が言うと、なんか嘘くさいですね」
「勝手に言え。俺は肉派なんだ」
「太っても知りませんよー」
なんて軽口を叩き合いながらも、同じテーブルに自分の分のまかないを持ってきて食べるベルである。
ちなみにベルのお皿のパイは、男性陣の三分の一ぐらいのサイズだ。
早朝のにぎわい……ギルド入り口の近くにある、掲示板前の依頼争奪戦……が過ぎた今、ギルド内はまったりとした空気だ。
大凡の冒険者は稼ぎに出、依頼帰りにはまだ早い。そんな時間。
基本的に暇な時間となる為、ギルド職員達が順番に食事処で昼食を摂ったり、休憩をしたりしている。
腹が満ち足りたぽちは、前足に顎を乗せてのんびり床で休みながら、耳だけをテーブルで会話する人々に向けていた。
ぽちにとってのアレックスは、信頼する友だ。ベルの命の危機を救ってくれた恩人でもあり、餌を分けてくれる気前のよさも持っている。
幼い頃からベルとアレックスに育てられたようなぽちであるから、彼に関してはかなり特別な……そう、例えるならば兄のような存在と言っていいだろう。
マスターについては、良く分からない。
ベルの後見役である事は重要なのだが、ぽちにとってそんな人間の決まり事が理解出来るわけもなし、なんかいつもギルドで暇している人、というふわっとした認識だ。
だが、この建物に所属する群れの長のようなものだろうということは、周りの反応で何となく理解している。
「マスター、食べないなら下げますけど?」
「食べるよ、食べるって」
……そしてベルとよくおしゃべりしているので、ベルとは仲良しなのかなぁとも。
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