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第24話 唯一の取柄
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(これさえ手に入れば!!)
腕を伸ばしてレイトは角を掴み取る事に成功し、予想通りに並のオークの牙とは比べ物にならない硬さだった。この牙を利用してボアの肉体を突き刺していたのは間違いなく、これを利用すればオーク亜種にも攻撃が通じるかもしれない。
「ダイン!!あいつの動きを封じて!!」
「ええっ!?な、何言ってんだよ!!いくら僕の影魔法でもあんな化物相手じゃ……」
「いいから早く!!ここで死にたいの!?」
「く、くそっ!!やってやらぁっ!!」
「プギィイイッ!!」
レイトの言葉にダインは覚悟を決めて杖を構えると、迫りくるオーク亜種の足元に目掛けて影魔法を放つ。
「シャドウスネークバインド!!」
「プギャッ!?」
ダインの影の形が無数の蛇のように変形し、オーク亜種の肉体に絡みついた。オーク亜種は振りほどこうとするがびくともせず、唯一の武器の石斧も先の攻撃で手放してしまった。
「す、凄い!!でも、ちょっと気持ち悪いかも……」
「うぉいっ!!こっちは必死なんだぞ!?」
「その調子だよ!!あとはこいつで……止めを刺す!!」
折れた角を手にしたレイトはオーク亜種の元に迫り、肥え太った腹部に目掛けて全力で突き刺す。ボアの肉体を貫くだけの切れ味があるのならばオーク亜種にも通じるのではないかと考え、一か八かの賭けに出た。
「うおらぁっ!!」
「プギャアッ!?」
「や、やったか!?」
「駄目!!そんなのじゃ倒せないよ!!」
オーク亜種の腹部に牙は食い込んだが、レイトの腕力では先端部を突き刺すのが限界であり、分厚い毛皮に阻まれて血を流す事もできなかった。だが、レイトは最初から自分の腕力だけで通じない相手なのは理解していた。
牙を腹部に突き立てるのがレイトの目的であり、少しでも先端に食い込めば十分であり、残された魔力を右手にかき集めて魔法を発動させた。
「魔盾!!」
「プギィイイッ!!」
「ま、まずい!?これ以上は持たないぞ!!」
「レイト!!早く離れて、僕が止めを刺すから!!」
ダインの残された魔力ではオーク亜種をこれ以上に拘束できず、動けない今のうちにリーナが止めを刺そうと近づく。冷静に考えればリーナに任せるのが一番無難だろうが、レイトとしても引けない理由があった。
(俺のたった一つの取柄……これだけは誰にも負けない!!)
腕力はリーナに及ばず、支援能力に関してはダインの足元にも及ばない。しかし、そんな自分でも二人に負けない唯一の取柄、それが防御魔法だった。
「反魔盾!!」
「プギャアアアアアッ!?」
残りの魔力を使いつくす憩いでレイトは反魔盾を構成し、牙の根本に目掛けて叩き込む。反魔盾は魔力の消費量に応じて反発力は変化し、強烈な衝撃が加わった牙はオーク亜種の肉体を貫通した。
まさか自分の自慢の牙に肉体が貫かれるなど夢にも思わず、オーク亜種は口元と胴体から大量の血が噴き出す。その一方で魔力を使い果たしたレイトは膝をつき、もう一歩も動く事はできなかった。
(これで倒しきれなかったら終わりだ……頼む、倒れてくれ)
レイトは最後の力を振り絞って顔を上げると、そこにはオーク亜種が立ち尽くす光景が映し出された。止めを刺すに至らなかったのかとレイトは諦めかけた時、後ろからダインとリーナがレイトの腕を掴んで引っ張り上げる。
「レイト!!大丈夫なの!?」
「やったな!!お前、本当に凄いよ!!」
「えっ……?」
二人の反応にレイトは戸惑い、どうしてオーク亜種は立ち尽くしたまま動かないのかと不思議に思うと、オーク亜種の顔面を見て悟った。既にオーク亜種はこと切れており、立ったまま死んでいた。
(倒したのか……こんな怪物を俺が?)
リーナの一撃で負傷し、ダインの援護で動きを封じていたとはいえ、自分の攻撃でオーク亜種が死んだ事にレイトは信じられなかった。
「もう、二人とも無茶し過ぎだよ!!動きさえ封じてくれたら僕が倒したのに!!でいうかダイン君もあんな魔法が使えるなら最初にやってよ!!」
「そ、そうは言うけどな。あんな化物、本当に拘束できるのか僕にも分からなかったんだよ。さっきはレイトが殺されると思って必死にやったから上手くいったけど、また同じ真似をしろなんて言われても絶対無理だからな!?」
「ははっ……でも、これで人数分の素材は手に入った……から」
「レイト?おい、どうしたんだ!?」
「ま、まずいよ!?顔色が真っ青だよ!!」
先ほどの無茶な攻撃でレイトは体力も魔力を底をつき、意識を失ってしまう――
――レイトは意識を取り戻すと、自分がいつも寝泊りしている宿舎のベッドの上だと気が付く。慌てて起きたレイトは周囲を見渡し、自分の部屋であることを確認すると戸惑う。
「あ、あれ!?どうして部屋の中に……まさか、今までのは夢だったの?」
「おっ、丁度いい時に起きたね」
これまでの出来事が全て夢なのかとレイトはショックを受けていると、ノックも無しにバルルが部屋の中に入ってきた。彼女は食事を乗せた盆を持っており、それを机の上に置くとレイトに事情を説明する。
「気分はどうだい?一日中寝てたんだからすっきりしただろう?」
「一日中寝てたって……」
「どうやら記憶が曖昧のようだね。ならこいつを見れば安心するんじゃないかい」
「あ、それって!?」
バルルは懐から鋼鉄製のバッジを取り出し、それをレイトに投げ渡した。バッジの裏側にはレイトの名前が彫られており、それを見てレイトは全てを察した。
「試験は無事に合格だよ。それにしてもまさか他の冒険者に担がれて帰ってくるなんて驚いたね。試験中に気絶しておきながら合格するなんて運の良い奴だね」
「合格……俺が?」
「一緒に行動していた二人に感謝するんだよ。素材をくすねずにあんたの分をちゃんと持って帰ってきたんだからね。友達思いの奴等だね」
「ダインとリーナが……」
レイトは試験中に気絶してしまい、二人が彼の代わりにオーク亜種の素材を持ち帰り、試験官に事情を報告した。本来であれば素材の持ち込みは本人が行うべき事だが、今回は特例で許してもらえた。
森の中に赤毛熊だけでなくオーク亜種まで生息していた事はギルド側も想定外の事態であり、しかも二体とも銅級冒険者であるリーナとレイトが討伐を果たした事に驚愕した。オーク亜種の素材に関しては止めが刺したレイトの所有権があると判断し、その代わりにレイトが元々所持していたオークの素材はダインが回収した事になっていた。
「あのダインという坊主はあんたに感謝してたよ。やたらとあんたのお陰で自分は素材を手に入れたと報告してたのは気になるけどね」
「俺のお陰?ああ、なるほど……」
ダインは元々はオークの素材を所持しておらず、本来は彼が倒す予定のオークが見つかる前にレイトは気絶してしまった。そこでダインはオーク亜種はレイトが倒した事にして、自分はレイトの素材を手に入れた事にした。事情を察したレイトはダインには助けられた恩もあるので真実は離さず、敢えて話題を反らす。
「そういえばダインは他の冒険者に利用されたみたいなんですけど……」
「その事は報告を受けてるよ。他の冒険者があの坊主の魔法を利用してオークを仕留める姿を目撃している。しかも悪質なことに死骸を始末せずに引き返してきたそうだね。協調性もなければ冒険者の基本を疎かにするような奴らを昇格させるわけにはいかないという事で、あの坊主以外の漆黒の冒険者は不合格となったよ」
「ああ、良かった」
ダインを見捨てた冒険者が不合格になったと聞いてレイトは胸が晴れたが、もっと驚く話を聞かされる。
「そうそう、あのリーナという嬢ちゃん……今回の試験の功績で白銀級冒険者に昇格を果たしたよ」
「えっ!?」
「あのお嬢ちゃんの実力は鋼鉄級の枠には収まらない事を試験官全員が認めたんだよ。勿論、私も含めてね」
今回の試験で集められた冒険者の内、リーナは最も試験官達から期待されていた。そして彼女は実際に期待以上の功績を残した。
まずは彼女と同行していた冒険者達の話を伺ったところ、リーナはオーク程度の魔物では苦戦すらせず、むしろ自分達がいるせいで本来の実力を発揮できていなかったように感じられた。しかもレイトとダインが遭遇した赤毛熊はリーナが一撃で仕留めており、オーク亜種の討伐に関してもリーナの活躍が大きいと判断された。
「オーク亜種はあんたが止めを刺したそうだけど、話を聞く限りでは別にあんたがむりしなくてもお嬢ちゃん一人でどうにかできたんじゃないのかい?」
「それは……そうかもしれません」
「やけに素直に認めるんだね」
「だって、リーナは強いのは事実ですから」
バルルの言う通り、リーナの強さは明らかに他の冒険者と比べても規格外だった。オーク亜種に関しても最初からリーナ一人で戦っていれば仕留められただろう。レイトが変に負けん気を起こさなければ危険な目に遭う事もなかった。
リーナが鋼鉄級を超える実力を持つのは事実であり、そのことに関しては一緒に行動していたレイトは認めざるを得ない。しかし、レイトはリーナと差がついたことに悔しく思う。
(少しは近づいたと思ったけど……遠いな)
訓練校に居た頃からリーナとの差は感じていたが、厳しい修行を乗り越える事で自分も強くなったと思った。しかし、再会した彼女は前とは比べ物にならないほど強くなっており、今のレイトでは足元にも及ばない。そんな彼の心情を察したのかバルルは頭に手を置く。
「悔しがる必要はないよ。あんたはお嬢ちゃんのようにはなれないし、逆に言えばお嬢ちゃんはあんたになることはできない」
「どういう意味ですかそれ?」
「……悪いね、もうちょっと良い事言おうかと思ったけど、何にも思いつかなかったよ」
「何ですかそれ……でも、気が楽になりました」
バルルの言葉にレイトは苦笑いを返し、彼女の言う通りにもう自分とリーナを比べる考えは捨て、自分なりに前に進むしかないのだと考えを改めた――
腕を伸ばしてレイトは角を掴み取る事に成功し、予想通りに並のオークの牙とは比べ物にならない硬さだった。この牙を利用してボアの肉体を突き刺していたのは間違いなく、これを利用すればオーク亜種にも攻撃が通じるかもしれない。
「ダイン!!あいつの動きを封じて!!」
「ええっ!?な、何言ってんだよ!!いくら僕の影魔法でもあんな化物相手じゃ……」
「いいから早く!!ここで死にたいの!?」
「く、くそっ!!やってやらぁっ!!」
「プギィイイッ!!」
レイトの言葉にダインは覚悟を決めて杖を構えると、迫りくるオーク亜種の足元に目掛けて影魔法を放つ。
「シャドウスネークバインド!!」
「プギャッ!?」
ダインの影の形が無数の蛇のように変形し、オーク亜種の肉体に絡みついた。オーク亜種は振りほどこうとするがびくともせず、唯一の武器の石斧も先の攻撃で手放してしまった。
「す、凄い!!でも、ちょっと気持ち悪いかも……」
「うぉいっ!!こっちは必死なんだぞ!?」
「その調子だよ!!あとはこいつで……止めを刺す!!」
折れた角を手にしたレイトはオーク亜種の元に迫り、肥え太った腹部に目掛けて全力で突き刺す。ボアの肉体を貫くだけの切れ味があるのならばオーク亜種にも通じるのではないかと考え、一か八かの賭けに出た。
「うおらぁっ!!」
「プギャアッ!?」
「や、やったか!?」
「駄目!!そんなのじゃ倒せないよ!!」
オーク亜種の腹部に牙は食い込んだが、レイトの腕力では先端部を突き刺すのが限界であり、分厚い毛皮に阻まれて血を流す事もできなかった。だが、レイトは最初から自分の腕力だけで通じない相手なのは理解していた。
牙を腹部に突き立てるのがレイトの目的であり、少しでも先端に食い込めば十分であり、残された魔力を右手にかき集めて魔法を発動させた。
「魔盾!!」
「プギィイイッ!!」
「ま、まずい!?これ以上は持たないぞ!!」
「レイト!!早く離れて、僕が止めを刺すから!!」
ダインの残された魔力ではオーク亜種をこれ以上に拘束できず、動けない今のうちにリーナが止めを刺そうと近づく。冷静に考えればリーナに任せるのが一番無難だろうが、レイトとしても引けない理由があった。
(俺のたった一つの取柄……これだけは誰にも負けない!!)
腕力はリーナに及ばず、支援能力に関してはダインの足元にも及ばない。しかし、そんな自分でも二人に負けない唯一の取柄、それが防御魔法だった。
「反魔盾!!」
「プギャアアアアアッ!?」
残りの魔力を使いつくす憩いでレイトは反魔盾を構成し、牙の根本に目掛けて叩き込む。反魔盾は魔力の消費量に応じて反発力は変化し、強烈な衝撃が加わった牙はオーク亜種の肉体を貫通した。
まさか自分の自慢の牙に肉体が貫かれるなど夢にも思わず、オーク亜種は口元と胴体から大量の血が噴き出す。その一方で魔力を使い果たしたレイトは膝をつき、もう一歩も動く事はできなかった。
(これで倒しきれなかったら終わりだ……頼む、倒れてくれ)
レイトは最後の力を振り絞って顔を上げると、そこにはオーク亜種が立ち尽くす光景が映し出された。止めを刺すに至らなかったのかとレイトは諦めかけた時、後ろからダインとリーナがレイトの腕を掴んで引っ張り上げる。
「レイト!!大丈夫なの!?」
「やったな!!お前、本当に凄いよ!!」
「えっ……?」
二人の反応にレイトは戸惑い、どうしてオーク亜種は立ち尽くしたまま動かないのかと不思議に思うと、オーク亜種の顔面を見て悟った。既にオーク亜種はこと切れており、立ったまま死んでいた。
(倒したのか……こんな怪物を俺が?)
リーナの一撃で負傷し、ダインの援護で動きを封じていたとはいえ、自分の攻撃でオーク亜種が死んだ事にレイトは信じられなかった。
「もう、二人とも無茶し過ぎだよ!!動きさえ封じてくれたら僕が倒したのに!!でいうかダイン君もあんな魔法が使えるなら最初にやってよ!!」
「そ、そうは言うけどな。あんな化物、本当に拘束できるのか僕にも分からなかったんだよ。さっきはレイトが殺されると思って必死にやったから上手くいったけど、また同じ真似をしろなんて言われても絶対無理だからな!?」
「ははっ……でも、これで人数分の素材は手に入った……から」
「レイト?おい、どうしたんだ!?」
「ま、まずいよ!?顔色が真っ青だよ!!」
先ほどの無茶な攻撃でレイトは体力も魔力を底をつき、意識を失ってしまう――
――レイトは意識を取り戻すと、自分がいつも寝泊りしている宿舎のベッドの上だと気が付く。慌てて起きたレイトは周囲を見渡し、自分の部屋であることを確認すると戸惑う。
「あ、あれ!?どうして部屋の中に……まさか、今までのは夢だったの?」
「おっ、丁度いい時に起きたね」
これまでの出来事が全て夢なのかとレイトはショックを受けていると、ノックも無しにバルルが部屋の中に入ってきた。彼女は食事を乗せた盆を持っており、それを机の上に置くとレイトに事情を説明する。
「気分はどうだい?一日中寝てたんだからすっきりしただろう?」
「一日中寝てたって……」
「どうやら記憶が曖昧のようだね。ならこいつを見れば安心するんじゃないかい」
「あ、それって!?」
バルルは懐から鋼鉄製のバッジを取り出し、それをレイトに投げ渡した。バッジの裏側にはレイトの名前が彫られており、それを見てレイトは全てを察した。
「試験は無事に合格だよ。それにしてもまさか他の冒険者に担がれて帰ってくるなんて驚いたね。試験中に気絶しておきながら合格するなんて運の良い奴だね」
「合格……俺が?」
「一緒に行動していた二人に感謝するんだよ。素材をくすねずにあんたの分をちゃんと持って帰ってきたんだからね。友達思いの奴等だね」
「ダインとリーナが……」
レイトは試験中に気絶してしまい、二人が彼の代わりにオーク亜種の素材を持ち帰り、試験官に事情を報告した。本来であれば素材の持ち込みは本人が行うべき事だが、今回は特例で許してもらえた。
森の中に赤毛熊だけでなくオーク亜種まで生息していた事はギルド側も想定外の事態であり、しかも二体とも銅級冒険者であるリーナとレイトが討伐を果たした事に驚愕した。オーク亜種の素材に関しては止めが刺したレイトの所有権があると判断し、その代わりにレイトが元々所持していたオークの素材はダインが回収した事になっていた。
「あのダインという坊主はあんたに感謝してたよ。やたらとあんたのお陰で自分は素材を手に入れたと報告してたのは気になるけどね」
「俺のお陰?ああ、なるほど……」
ダインは元々はオークの素材を所持しておらず、本来は彼が倒す予定のオークが見つかる前にレイトは気絶してしまった。そこでダインはオーク亜種はレイトが倒した事にして、自分はレイトの素材を手に入れた事にした。事情を察したレイトはダインには助けられた恩もあるので真実は離さず、敢えて話題を反らす。
「そういえばダインは他の冒険者に利用されたみたいなんですけど……」
「その事は報告を受けてるよ。他の冒険者があの坊主の魔法を利用してオークを仕留める姿を目撃している。しかも悪質なことに死骸を始末せずに引き返してきたそうだね。協調性もなければ冒険者の基本を疎かにするような奴らを昇格させるわけにはいかないという事で、あの坊主以外の漆黒の冒険者は不合格となったよ」
「ああ、良かった」
ダインを見捨てた冒険者が不合格になったと聞いてレイトは胸が晴れたが、もっと驚く話を聞かされる。
「そうそう、あのリーナという嬢ちゃん……今回の試験の功績で白銀級冒険者に昇格を果たしたよ」
「えっ!?」
「あのお嬢ちゃんの実力は鋼鉄級の枠には収まらない事を試験官全員が認めたんだよ。勿論、私も含めてね」
今回の試験で集められた冒険者の内、リーナは最も試験官達から期待されていた。そして彼女は実際に期待以上の功績を残した。
まずは彼女と同行していた冒険者達の話を伺ったところ、リーナはオーク程度の魔物では苦戦すらせず、むしろ自分達がいるせいで本来の実力を発揮できていなかったように感じられた。しかもレイトとダインが遭遇した赤毛熊はリーナが一撃で仕留めており、オーク亜種の討伐に関してもリーナの活躍が大きいと判断された。
「オーク亜種はあんたが止めを刺したそうだけど、話を聞く限りでは別にあんたがむりしなくてもお嬢ちゃん一人でどうにかできたんじゃないのかい?」
「それは……そうかもしれません」
「やけに素直に認めるんだね」
「だって、リーナは強いのは事実ですから」
バルルの言う通り、リーナの強さは明らかに他の冒険者と比べても規格外だった。オーク亜種に関しても最初からリーナ一人で戦っていれば仕留められただろう。レイトが変に負けん気を起こさなければ危険な目に遭う事もなかった。
リーナが鋼鉄級を超える実力を持つのは事実であり、そのことに関しては一緒に行動していたレイトは認めざるを得ない。しかし、レイトはリーナと差がついたことに悔しく思う。
(少しは近づいたと思ったけど……遠いな)
訓練校に居た頃からリーナとの差は感じていたが、厳しい修行を乗り越える事で自分も強くなったと思った。しかし、再会した彼女は前とは比べ物にならないほど強くなっており、今のレイトでは足元にも及ばない。そんな彼の心情を察したのかバルルは頭に手を置く。
「悔しがる必要はないよ。あんたはお嬢ちゃんのようにはなれないし、逆に言えばお嬢ちゃんはあんたになることはできない」
「どういう意味ですかそれ?」
「……悪いね、もうちょっと良い事言おうかと思ったけど、何にも思いつかなかったよ」
「何ですかそれ……でも、気が楽になりました」
バルルの言葉にレイトは苦笑いを返し、彼女の言う通りにもう自分とリーナを比べる考えは捨て、自分なりに前に進むしかないのだと考えを改めた――
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