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外の世界へ
第47話 魔法の弱点
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「死霊使いの操る死体は闇属性の魔力を宿している。下手に死体に攻撃すれば闇属性の魔力が拡散されて大変なことになる」
「ど、どうなるんだ?」
「普通の人間が闇の魔力を吸い込めば意識が混濁して気絶する。もしも吸い続ければ生命力が削り取られて最悪の場合は……死ぬ」
「ひいっ!?そんなやばい奴らなのかこいつら!?」
「魔術師や魔物ならあるていどの魔法の耐性があるけど、さすがにこの数のゴブリンを始末したら無事じゃいられない」
「そういう事だ。つまり、お主らはもう儂の命令に従うしかないという事だ」
「ぷるぷるっ!!」
老人の言葉にスラミンは起こったように鳴き声を上げるが、状況的にはナオ達の方が不利だった。逃げ出そうにも既に小屋は囲まれており、頼りとなるウルも相手が死霊となるとあてにはできない。
戦闘力はウルが上回っても下手に倒せば闇の魔力を放出する相手となると下手に手出しできず、普通に考えれば老人のいう事を聞くしかないだろう。だが、ナオはこの状況を打破する方法を既に思いついていた。
「お爺さん、その魔導書を俺が解読できなかったらどうするつもり?」
「知れた事よ、役に立たんのならば全員殺すまでだ。まあ、魔導書を読み解けるのであれば儂の配下として生かしてやらんこともないがな」
「ふざけんなっ!!誰がてめえみたいな根暗爺の手下になるか!!」
「ねく……こ、小娘がっ!!まだ自分の立場を分かっておらんのか!?儂がその気になればお主らなどいつでも始末できるのだぞ!!」
「それはどうかな?お爺さん、噂を聞いているのなら俺がどんな魔法を使えるのかも知ってるでしょ?」
ナオはあえて余裕の態度を貫いて老人に話しかけ、できる限りの時間を稼ぐ。老人はナオの言葉に鼻で笑う。
「噂は聞いておるぞ。見えない壁のような物を作り出して相手に叩きつけることができるとな。だが、見ての通りに儂の周囲にはゴブリン共が守っておる。もしもお主が下手に手を出せばこいつらの宿した魔力を発散させてここら一帯を死の霧に包み込むこともできるのだぞ」
「ど、どうすんだよ兄ちゃん!?何か方法あるのか?」
「あるといえばあるけど……」
「大丈夫、私に任せて。万が一の時は私が守る」
ミズネはナオがこれから行おうとしている事に気が付き、彼女を信じてナオは右手を構えた。その彼の行動に老人は驚いて杖を構えた。
「まさか本気でやる気か!?この儂と!!」
「やる気じゃなくて……もうやってんだけど」
「なんだと!?」
ナオが右手を引き寄せる動作を行うと、無詠唱で展開させたステータス画面が老人の後方へ回り込み、ゴブリンを巻き込まないように縮小化させた画面を老人の後頭部に叩き込む。
「ていっ」
「ぐおおおおっ!?」
「うわっ!?な、なんだ!?」
「……痛そう。でも、いい気味」
強烈な衝撃を頭に受けた老人は地面に倒れこみ、その直後に老人を守るように立ち尽くしていたゴブリンたちが一斉に倒れこむ。その様子を見てナオはミズネに振り返るが、彼女は頷いて危険がないことを伝える。
「大丈夫。術者が死んだことで魔法が解除されたから、闇の魔力が発散されることはない」
「ほっ……良かった」
「な、何がどうなったんだ?あたしにもちゃんと説明してくれよ!!」
「ウォンウォンッ」
「ぷるぷるっ」
ナオ達の元にネココだけでなくウルとスラミンも駆け寄り、現在の状況の説明を求める。ナオは困った風にミズネに振り返り、彼女が代わりに説明してくれた。
「魔法使いの魔法は永続じゃない。魔法を維持するには術者の魔力が必要となる」
「ど、どういう意味だ?」
「わかりやすく言えば術者が意識を失うと、魔法の力も維持できなくなるんだ。例えば俺やミズネの魔法も意識を失うと勝手に消えちゃうんだよ」
「え、でも兄ちゃんの魔法は見たことないけど……」
「そこは察してよ……」
魔術師が発現させた魔法は術者の魔力が途切れた場合、あるいは魔力が消失すれば自動的に消えてしまう。ミズネの場合は「アクアボール」の魔法で水の塊を生み出したとしても、彼女が意識を失えば魔法の効果が切れて水の塊は勝手に消えてしまう。
死霊使いの魔法も同様で術者が意識を失えれば操られていた死体の魔力が消え去り、死体は元の状態に戻る。だから老人に気付かれないようにナオは不意打ちを仕掛けて気絶させるしかなかった。
「それにしてもとんでもない爺さんだな……この魔導書は本物かな?」
「読んでみれば?」
「なあなあ、その本を読めばあたしも魔術師になれんのか!?兄ちゃんみたいに古代魔法が使えたりするかな!?」
「残念だけど、魔導書は文字を理解できないと覚えられないよ。それにこれは……」
ナオは老人が所持していた魔導書を拾い上げて確認すると、本に記されている文字はナオが母親から習った「日本語」と酷似した文字で記されていたが、明らかに偽物だった。
「ど、どうなるんだ?」
「普通の人間が闇の魔力を吸い込めば意識が混濁して気絶する。もしも吸い続ければ生命力が削り取られて最悪の場合は……死ぬ」
「ひいっ!?そんなやばい奴らなのかこいつら!?」
「魔術師や魔物ならあるていどの魔法の耐性があるけど、さすがにこの数のゴブリンを始末したら無事じゃいられない」
「そういう事だ。つまり、お主らはもう儂の命令に従うしかないという事だ」
「ぷるぷるっ!!」
老人の言葉にスラミンは起こったように鳴き声を上げるが、状況的にはナオ達の方が不利だった。逃げ出そうにも既に小屋は囲まれており、頼りとなるウルも相手が死霊となるとあてにはできない。
戦闘力はウルが上回っても下手に倒せば闇の魔力を放出する相手となると下手に手出しできず、普通に考えれば老人のいう事を聞くしかないだろう。だが、ナオはこの状況を打破する方法を既に思いついていた。
「お爺さん、その魔導書を俺が解読できなかったらどうするつもり?」
「知れた事よ、役に立たんのならば全員殺すまでだ。まあ、魔導書を読み解けるのであれば儂の配下として生かしてやらんこともないがな」
「ふざけんなっ!!誰がてめえみたいな根暗爺の手下になるか!!」
「ねく……こ、小娘がっ!!まだ自分の立場を分かっておらんのか!?儂がその気になればお主らなどいつでも始末できるのだぞ!!」
「それはどうかな?お爺さん、噂を聞いているのなら俺がどんな魔法を使えるのかも知ってるでしょ?」
ナオはあえて余裕の態度を貫いて老人に話しかけ、できる限りの時間を稼ぐ。老人はナオの言葉に鼻で笑う。
「噂は聞いておるぞ。見えない壁のような物を作り出して相手に叩きつけることができるとな。だが、見ての通りに儂の周囲にはゴブリン共が守っておる。もしもお主が下手に手を出せばこいつらの宿した魔力を発散させてここら一帯を死の霧に包み込むこともできるのだぞ」
「ど、どうすんだよ兄ちゃん!?何か方法あるのか?」
「あるといえばあるけど……」
「大丈夫、私に任せて。万が一の時は私が守る」
ミズネはナオがこれから行おうとしている事に気が付き、彼女を信じてナオは右手を構えた。その彼の行動に老人は驚いて杖を構えた。
「まさか本気でやる気か!?この儂と!!」
「やる気じゃなくて……もうやってんだけど」
「なんだと!?」
ナオが右手を引き寄せる動作を行うと、無詠唱で展開させたステータス画面が老人の後方へ回り込み、ゴブリンを巻き込まないように縮小化させた画面を老人の後頭部に叩き込む。
「ていっ」
「ぐおおおおっ!?」
「うわっ!?な、なんだ!?」
「……痛そう。でも、いい気味」
強烈な衝撃を頭に受けた老人は地面に倒れこみ、その直後に老人を守るように立ち尽くしていたゴブリンたちが一斉に倒れこむ。その様子を見てナオはミズネに振り返るが、彼女は頷いて危険がないことを伝える。
「大丈夫。術者が死んだことで魔法が解除されたから、闇の魔力が発散されることはない」
「ほっ……良かった」
「な、何がどうなったんだ?あたしにもちゃんと説明してくれよ!!」
「ウォンウォンッ」
「ぷるぷるっ」
ナオ達の元にネココだけでなくウルとスラミンも駆け寄り、現在の状況の説明を求める。ナオは困った風にミズネに振り返り、彼女が代わりに説明してくれた。
「魔法使いの魔法は永続じゃない。魔法を維持するには術者の魔力が必要となる」
「ど、どういう意味だ?」
「わかりやすく言えば術者が意識を失うと、魔法の力も維持できなくなるんだ。例えば俺やミズネの魔法も意識を失うと勝手に消えちゃうんだよ」
「え、でも兄ちゃんの魔法は見たことないけど……」
「そこは察してよ……」
魔術師が発現させた魔法は術者の魔力が途切れた場合、あるいは魔力が消失すれば自動的に消えてしまう。ミズネの場合は「アクアボール」の魔法で水の塊を生み出したとしても、彼女が意識を失えば魔法の効果が切れて水の塊は勝手に消えてしまう。
死霊使いの魔法も同様で術者が意識を失えれば操られていた死体の魔力が消え去り、死体は元の状態に戻る。だから老人に気付かれないようにナオは不意打ちを仕掛けて気絶させるしかなかった。
「それにしてもとんでもない爺さんだな……この魔導書は本物かな?」
「読んでみれば?」
「なあなあ、その本を読めばあたしも魔術師になれんのか!?兄ちゃんみたいに古代魔法が使えたりするかな!?」
「残念だけど、魔導書は文字を理解できないと覚えられないよ。それにこれは……」
ナオは老人が所持していた魔導書を拾い上げて確認すると、本に記されている文字はナオが母親から習った「日本語」と酷似した文字で記されていたが、明らかに偽物だった。
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