43 / 69
外の世界へ
第43話 口封じ
しおりを挟む
「オロロロッ!!」
「うわっ!?」
「なんかやばそうだぞ!!ウル、避けろっ!!」
「ウォンッ!?」
迫りくる液体を見てナオ達は嫌な予感を抱き、疾風のごとき速さでウルは後方へ避難すると、液体がふりまかれた地面が解け始めた。それを見てナオはサンドワームが「消化液」を吐き出したのだと知り、もしも当たっていれば今頃全員が骨まで残さず溶かされていただろう。
液体をふりまかれた場合、仮にナオのステータス画面でも完全に防ぎきれる保証はない。画面を飛び越えて液体が身体に降り注げば死は免れず、これ以上にサンドワームを刺激するのはまずかった。
(どうすればいいんだこんな奴!?)
倒すこと自体は不可能ではないと思われるが、仮に画面で身体を切り裂けばサンドワームの体内の消化液が大量に飛び散ってしまう危険性もある。攻撃することも倒すこともままならない相手にナオは悩む中、サンドワームは消化液で溶けた地面の中に潜り込む。
「ギュロロロッ!!」
「うわっ!?あいつまた潜ったぞ!!」
「なるほど、地面を溶かして柔らかくすることで地中に潜れるのか……いや、冷静に分析している場合じゃないよね」
「グルルルッ……!!」
サンドワームが見えなくなったことでナオ達は警戒を怠れず、魔力感知で位置を把握しようにも、サンドワームは地中を高速に移動しているのかナオ達の周囲を動き回っていた。
地面に潜んでいる相手を画面で攻撃するのは至難であり、ナオの画面は実体が存在するので地面を透過することはできない。攻撃するとしたらサンドワームが飛び出した瞬間を狙うしかないが、あの口から消化液を大量に吐き出されたら今度は避けきれない。
(どうする!?何か策は……そうだ!!)
サンドワームの攻撃を完璧に防いで動きを封じる策を思いつき、ナオは画面を手元に戻して縮小化させると、ウルを操るネココに指示を出す。
「ネココ、俺が合図したらウル君に思いっきり跳ぶように指示して!!」
「えっ!?でも、さっきみたいに食われそうになったらどうするんだよ!?」
「大丈夫、俺を信じて!!」
「ウォンッ!!」
不安を抱く飼い主に対してウルはナオの言葉を信じたらしく、地面に身体を伏せて足元に力を込める。やがて地中からサンドワームが接近し、下からナオ達を飲み込もうとしているのか地面が盛り上がる。
ウルは地面からサンドワームが出現する前に上空へ跳躍すると、大量の土砂と土煙をまき散らしながらサンドワームが姿を現した。ナオの予想通り、大口を開いて三人を飲み込もうとしてきた。
「ギュロロロッ!!」
「ウォンッ!?」
「ぎゃああっ!?飲み込まれるぅっ!?」
「大丈夫、これで終わりだ!!」
サンドワームに飲み込まれる前にナオは縮小化させていた画面を放つと、サンドワームの口内に入った瞬間、画面を拡大化させた。その結果、サンドワームは口の中で大きくなった画面に口を封じられ、ナオ達を飲み込むこともも消化液を吐き出すこともできなくなる。
「ッ――――!?」
「よし、今のうちに離れて!!」
「ウォンッ!!」
「わわっ!?どうなってるんだ!?」
サンドワームが混乱している間にウルは地上に降り立つと、ナオは右手を構えた。サンドワームの口元を封じた画面は彼の意志で自由に動かせるため、右手を無茶苦茶に振り回す。
「おらおらおらっ!!」
「ッ――――!!」
「す、すげぇっ!!これも魔法の力か!?」
「クゥ~ンッ」
画面に振り回される形となったサンドワームは苦し気なうめき声を漏らし、何度も地面に叩きつけられた。襲われたとはいえ、少しかわいそうに思ったのかウルは鳴き声を漏らす。
(さすがに頑丈だな。これだけ痛めつけてるのに傷一つない)
何度地面に叩きつけられようとサンドワームはくたばらず、画面をもっと拡大化させるか、あるいは回転を加えれば倒せると思うが、そうなるとサンドワームが死んだときに体液が飛び散る可能性もある。そこでナオは身体を回転させながら右手を振り回す。
「うおおおおっ!!」
「ちょ、兄ちゃん!?」
「ウォンッ!?」
「ッ――――!?」
ナオが回転すると画面に口元を封じられたサンドワームも同じように動き出し、巨体が空中に浮かび上がる。まるでハンマー投げの要領でナオはサンドワームを遥か彼方に投げ飛ばす。
「吹っ飛べぇえええっ!!」
「ギュロロロッ!?」
「ええええっ!?」
「ウォンッ!?」
ミノタウロスの何倍もの体長を誇る巨大生物が遥か上空に吹き飛ばされ、やがて姿が見えなくなった。ナオの魔力感知の圏外まで吹き飛んだらしく、これで追ってくることはないと判断したナオは額の汗をぬぐう。
「ふうっ、どうにかなった」
「に、兄ちゃん……実は凄い魔術師だったのか?」
「クゥンッ(←お腹を見せて服従のポーズを取る)」
「ちょ、怖がらないでよ!?」
サンドワームを吹き飛ばしたナオにネココとウルは若干引いており、そんな二人にナオは何をしたのか説明しようとしたとき、山の方からミズネが大量の果物と姿が変わり果てたスラミンが現れた。
「うわっ!?」
「なんかやばそうだぞ!!ウル、避けろっ!!」
「ウォンッ!?」
迫りくる液体を見てナオ達は嫌な予感を抱き、疾風のごとき速さでウルは後方へ避難すると、液体がふりまかれた地面が解け始めた。それを見てナオはサンドワームが「消化液」を吐き出したのだと知り、もしも当たっていれば今頃全員が骨まで残さず溶かされていただろう。
液体をふりまかれた場合、仮にナオのステータス画面でも完全に防ぎきれる保証はない。画面を飛び越えて液体が身体に降り注げば死は免れず、これ以上にサンドワームを刺激するのはまずかった。
(どうすればいいんだこんな奴!?)
倒すこと自体は不可能ではないと思われるが、仮に画面で身体を切り裂けばサンドワームの体内の消化液が大量に飛び散ってしまう危険性もある。攻撃することも倒すこともままならない相手にナオは悩む中、サンドワームは消化液で溶けた地面の中に潜り込む。
「ギュロロロッ!!」
「うわっ!?あいつまた潜ったぞ!!」
「なるほど、地面を溶かして柔らかくすることで地中に潜れるのか……いや、冷静に分析している場合じゃないよね」
「グルルルッ……!!」
サンドワームが見えなくなったことでナオ達は警戒を怠れず、魔力感知で位置を把握しようにも、サンドワームは地中を高速に移動しているのかナオ達の周囲を動き回っていた。
地面に潜んでいる相手を画面で攻撃するのは至難であり、ナオの画面は実体が存在するので地面を透過することはできない。攻撃するとしたらサンドワームが飛び出した瞬間を狙うしかないが、あの口から消化液を大量に吐き出されたら今度は避けきれない。
(どうする!?何か策は……そうだ!!)
サンドワームの攻撃を完璧に防いで動きを封じる策を思いつき、ナオは画面を手元に戻して縮小化させると、ウルを操るネココに指示を出す。
「ネココ、俺が合図したらウル君に思いっきり跳ぶように指示して!!」
「えっ!?でも、さっきみたいに食われそうになったらどうするんだよ!?」
「大丈夫、俺を信じて!!」
「ウォンッ!!」
不安を抱く飼い主に対してウルはナオの言葉を信じたらしく、地面に身体を伏せて足元に力を込める。やがて地中からサンドワームが接近し、下からナオ達を飲み込もうとしているのか地面が盛り上がる。
ウルは地面からサンドワームが出現する前に上空へ跳躍すると、大量の土砂と土煙をまき散らしながらサンドワームが姿を現した。ナオの予想通り、大口を開いて三人を飲み込もうとしてきた。
「ギュロロロッ!!」
「ウォンッ!?」
「ぎゃああっ!?飲み込まれるぅっ!?」
「大丈夫、これで終わりだ!!」
サンドワームに飲み込まれる前にナオは縮小化させていた画面を放つと、サンドワームの口内に入った瞬間、画面を拡大化させた。その結果、サンドワームは口の中で大きくなった画面に口を封じられ、ナオ達を飲み込むこともも消化液を吐き出すこともできなくなる。
「ッ――――!?」
「よし、今のうちに離れて!!」
「ウォンッ!!」
「わわっ!?どうなってるんだ!?」
サンドワームが混乱している間にウルは地上に降り立つと、ナオは右手を構えた。サンドワームの口元を封じた画面は彼の意志で自由に動かせるため、右手を無茶苦茶に振り回す。
「おらおらおらっ!!」
「ッ――――!!」
「す、すげぇっ!!これも魔法の力か!?」
「クゥ~ンッ」
画面に振り回される形となったサンドワームは苦し気なうめき声を漏らし、何度も地面に叩きつけられた。襲われたとはいえ、少しかわいそうに思ったのかウルは鳴き声を漏らす。
(さすがに頑丈だな。これだけ痛めつけてるのに傷一つない)
何度地面に叩きつけられようとサンドワームはくたばらず、画面をもっと拡大化させるか、あるいは回転を加えれば倒せると思うが、そうなるとサンドワームが死んだときに体液が飛び散る可能性もある。そこでナオは身体を回転させながら右手を振り回す。
「うおおおおっ!!」
「ちょ、兄ちゃん!?」
「ウォンッ!?」
「ッ――――!?」
ナオが回転すると画面に口元を封じられたサンドワームも同じように動き出し、巨体が空中に浮かび上がる。まるでハンマー投げの要領でナオはサンドワームを遥か彼方に投げ飛ばす。
「吹っ飛べぇえええっ!!」
「ギュロロロッ!?」
「ええええっ!?」
「ウォンッ!?」
ミノタウロスの何倍もの体長を誇る巨大生物が遥か上空に吹き飛ばされ、やがて姿が見えなくなった。ナオの魔力感知の圏外まで吹き飛んだらしく、これで追ってくることはないと判断したナオは額の汗をぬぐう。
「ふうっ、どうにかなった」
「に、兄ちゃん……実は凄い魔術師だったのか?」
「クゥンッ(←お腹を見せて服従のポーズを取る)」
「ちょ、怖がらないでよ!?」
サンドワームを吹き飛ばしたナオにネココとウルは若干引いており、そんな二人にナオは何をしたのか説明しようとしたとき、山の方からミズネが大量の果物と姿が変わり果てたスラミンが現れた。
35
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。


異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる