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第53話 エルフの傷薬
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「グルルルッ……!!」
「うぐぅっ……!?」
「ウルも落ち着け、あんたも挑発するような真似は辞めといたほうがいい」
ウルが牙を剥き出しにして唸り声を上げると流石のセマカも冷や汗を流し、その様子を見てレノは注意した。セマカは黙って顔を背け、その態度にレノはため息を吐く。
(こいつ捕まってるくせに何を考えてるんだ……)
自分が捕縛されていることを理解していないのかセマカは不遜の態度を貫き、そんな彼にダインは苛立ちを募らせていた。ハルナも困った表情を浮かべ、レノは仕方なく注意した。
「いいか、もしもお前が逃げようとすれば今度は治療なんてしないからな」
「ぐぐっ……!!」
「……それにしても凄いよな、あんな怪我が一晩で治るなんて凄い傷薬だな」
昨日にレノが撃った矢でセマカは右膝を負傷したが、現在は傷跡も残らずに完璧に治っていた。森を出ていく際にレノは餞別としてアルが自作した傷薬をいくつか貰っており、それを使って彼を治療した。
アルから貰った薬は森に生えている数種類の薬草を調合して作り出した物であり、矢で射抜かれた足も一晩で治る程の優れた薬だった。本当ならば悪人の治療などに使いたくはなかったが、セマカの傷が予想以上に酷かったので放置するとどうなるか分からず、仕方なく治療してやった。
(俺も師匠から薬の作り方は教わってたけど、やっぱり師匠の作る薬の方が凄いな)
レノが出会う前からアルは薬の保管は怠らなかった。彼女は一人暮らしであるが故に怪我や病気になった場合、自分一人の力で何とかしなければならない。そのために彼女は万が一の場合に備えて普段から薬の調合を行っていた。そのお陰か彼女の生み出す薬はどれもが効果が高く、矢で射抜かれた傷でも一晩で治るほどだった。
一応はレノも薬の調合手順は教わったが、アルの作り出す薬ほどの効能がある薬は今まで一度も作ったことがない。だからアルの薬は滅多に使わないように大切に保管したかったが、セマカのせいで貴重な薬を使ったことにレノは残念に思う。
(さっさとこいつを引き渡して賞金を貰わないと割に合わないな……)
大切な薬をセマカに使ったのは彼を死なせないためであり、ダインによると賞金首は生け捕りの方が賞金が高く貰えるらしい。殺してしまった場合でも賞金は貰えるが、その場合は元々の賞金額から何割か減らされるらしい(死体の引き渡しの場合は確実に本人か判別できなくなるため)。
(そういえば賞金首を引き渡したらダインとハルナとはお別れになるのかな?それはちょっと寂しいけど……)
ここまで共に行動をしてきたがダインとハルナは冒険者であり、街に帰って賞金首を引き渡せば別れることになるのかとレノは寂しく思う。しかし、この時にレノはある考えに至る。
(そうだ、俺も冒険者になってみようかな?)
レノは旅をする理由は人間社会で生きていくためであり、いずれは仕事に就く必要があった。魔物退治の経験もある自分ならばダインとハルナのような冒険者になれるのではないかと考えた。レノは冒険者になるための手順を二人に尋ねることにした。
「ねえ、二人はどうやって冒険者になったのか教えてくれる?」
「ほえ?」
「えっ!?い、いきなりなんだよ!?」
「いや、ちょっと冒険者に興味が湧いてさ……」
唐突に冒険者になった経緯を尋ねられたハルナとダインは驚いたが、最初に答えたのはハルナだった。
「えっとね、私は冒険者になれたのは院長のお陰なんだ」
「院長?」
「あ、そういえば話してなかったね。実は私、孤児院で育ったんだ。私が赤ん坊の時に孤児院の前に捨てられてたんだって」
「ええっ!?」
さらりと自分が捨て子である事を明かしたハルナにレノは驚いたが、ハルナ本人は自分が捨てられたことは特に気にしておらず、彼女は自分を拾って育ててくれた孤児院の院長を慕っていた。
「実は黒虎のギルドマスターさんも私がいた孤児院の出身で、私が冒険者になりたいと言ったら院長がギルドマスターさんに紹介してくれたの。孤児院を経営する前は院長さんも冒険者をやっていたから、色々と教えてもらったよ~」
「そ、そうなんだ……」
「たく、ハルナはずるいよな……僕なんて必死に勉強して頑張って試験に合格したのに」
ハルナは彼女が育った孤児院の院長の紹介でギルドマスターと知り合い、冒険者になったことが判明した。一方でダインの場合は自力で勉強して試験を受けて冒険者になったらしい。
「レノ、お前がどういうつもりで冒険者になりたいなんて言い出したのかは理由は聞かないけどさ……冒険者は簡単になれる職業じゃないぞ」
「そんなに難しいの?」
「難しいに決まってんだろ!!僕だって10回以上も試験を受けてようやく合格できたんだぞ!?冒険者になるために1年も掛かったんだからな!!」
「1年!?」
ダインは試験に受かるまで1年の時を費やし、彼が冒険者になったのは5年も前の話なので11才の時に冒険者になったことになる。それを聞いてレノは子供でも冒険者になれるのか疑問を抱く。
「冒険者の試験は子供でも受けられるの?」
「いや、それはギルドによるかな……昔はどこの冒険者ギルドも年齢制限はなかったらしいけど、今は殆どのギルドが15才以上じゃないと試験に受けられないはずだ。でも、黒虎は実力のある人間なら子供でも試験を受けることができるんだよ」
「そ、そうなんだ……それを聞くとダインは凄いね」
「ま、まあな!!僕は小さい頃から凄かったんだよ!!」
試験に受かるまで1年を費やしたがダインはわずか12才で合格したことになり、この年齢で冒険者になれる人間は滅多にいない。だが、レノにとって運が良かったのは他所のギルドでは15才以下の人間は冒険者になれないという情報を得たことだった。
レノの年齢は14才なので黒虎以外の冒険者ギルドでは彼は試験も受けることができず、冒険者になるとしたら黒虎で試験を受けるのが無難だった。他のギルドの中には黒虎のように年齢制限がない冒険者ギルドもあるかもしれないが、ダインによれば今の時代では殆どのギルドが15才以下の人間は受け入れていないらしく、黒虎以外の年齢制限がない冒険者ギルドを探すのは一苦労しそうだった。
(黒虎なら今の俺でも試験を受けられるのか。でも、試験ってどんな内容だろう?)
冒険者になると完全に決めたわけではないが、冒険者になるための試験に関して興味を抱いたレノはダインがどのような試験を受けたのかを尋ねる。
「ダインが受けた試験はどんなの?」
「僕が受けた試験は……」
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「わあっ!?ど、どうしたのウルちゃん!?」
レノがダインから試験の内容を聞く前にウルが鳴き声を上げ、何事かと全員が振り返ると拘束されているはずのセマカの姿がなかった。何時の間にかセマカを繋いでいた縄が切れており、どうやら逃げ出したようだった。
「あ、あいつ!?いつの間に縄を……」
「あっちに逃げてるよ!!」
「何だって!?」
「ウォオンッ!!」
ハルナが示す方向に全員が視線を向けると、全速力で草原を駆け抜けるセマカの姿があった。逃げる彼を見つけたウルは即座に後を追いかけようとするが、それをレノは止めた。
「うぐぅっ……!?」
「ウルも落ち着け、あんたも挑発するような真似は辞めといたほうがいい」
ウルが牙を剥き出しにして唸り声を上げると流石のセマカも冷や汗を流し、その様子を見てレノは注意した。セマカは黙って顔を背け、その態度にレノはため息を吐く。
(こいつ捕まってるくせに何を考えてるんだ……)
自分が捕縛されていることを理解していないのかセマカは不遜の態度を貫き、そんな彼にダインは苛立ちを募らせていた。ハルナも困った表情を浮かべ、レノは仕方なく注意した。
「いいか、もしもお前が逃げようとすれば今度は治療なんてしないからな」
「ぐぐっ……!!」
「……それにしても凄いよな、あんな怪我が一晩で治るなんて凄い傷薬だな」
昨日にレノが撃った矢でセマカは右膝を負傷したが、現在は傷跡も残らずに完璧に治っていた。森を出ていく際にレノは餞別としてアルが自作した傷薬をいくつか貰っており、それを使って彼を治療した。
アルから貰った薬は森に生えている数種類の薬草を調合して作り出した物であり、矢で射抜かれた足も一晩で治る程の優れた薬だった。本当ならば悪人の治療などに使いたくはなかったが、セマカの傷が予想以上に酷かったので放置するとどうなるか分からず、仕方なく治療してやった。
(俺も師匠から薬の作り方は教わってたけど、やっぱり師匠の作る薬の方が凄いな)
レノが出会う前からアルは薬の保管は怠らなかった。彼女は一人暮らしであるが故に怪我や病気になった場合、自分一人の力で何とかしなければならない。そのために彼女は万が一の場合に備えて普段から薬の調合を行っていた。そのお陰か彼女の生み出す薬はどれもが効果が高く、矢で射抜かれた傷でも一晩で治るほどだった。
一応はレノも薬の調合手順は教わったが、アルの作り出す薬ほどの効能がある薬は今まで一度も作ったことがない。だからアルの薬は滅多に使わないように大切に保管したかったが、セマカのせいで貴重な薬を使ったことにレノは残念に思う。
(さっさとこいつを引き渡して賞金を貰わないと割に合わないな……)
大切な薬をセマカに使ったのは彼を死なせないためであり、ダインによると賞金首は生け捕りの方が賞金が高く貰えるらしい。殺してしまった場合でも賞金は貰えるが、その場合は元々の賞金額から何割か減らされるらしい(死体の引き渡しの場合は確実に本人か判別できなくなるため)。
(そういえば賞金首を引き渡したらダインとハルナとはお別れになるのかな?それはちょっと寂しいけど……)
ここまで共に行動をしてきたがダインとハルナは冒険者であり、街に帰って賞金首を引き渡せば別れることになるのかとレノは寂しく思う。しかし、この時にレノはある考えに至る。
(そうだ、俺も冒険者になってみようかな?)
レノは旅をする理由は人間社会で生きていくためであり、いずれは仕事に就く必要があった。魔物退治の経験もある自分ならばダインとハルナのような冒険者になれるのではないかと考えた。レノは冒険者になるための手順を二人に尋ねることにした。
「ねえ、二人はどうやって冒険者になったのか教えてくれる?」
「ほえ?」
「えっ!?い、いきなりなんだよ!?」
「いや、ちょっと冒険者に興味が湧いてさ……」
唐突に冒険者になった経緯を尋ねられたハルナとダインは驚いたが、最初に答えたのはハルナだった。
「えっとね、私は冒険者になれたのは院長のお陰なんだ」
「院長?」
「あ、そういえば話してなかったね。実は私、孤児院で育ったんだ。私が赤ん坊の時に孤児院の前に捨てられてたんだって」
「ええっ!?」
さらりと自分が捨て子である事を明かしたハルナにレノは驚いたが、ハルナ本人は自分が捨てられたことは特に気にしておらず、彼女は自分を拾って育ててくれた孤児院の院長を慕っていた。
「実は黒虎のギルドマスターさんも私がいた孤児院の出身で、私が冒険者になりたいと言ったら院長がギルドマスターさんに紹介してくれたの。孤児院を経営する前は院長さんも冒険者をやっていたから、色々と教えてもらったよ~」
「そ、そうなんだ……」
「たく、ハルナはずるいよな……僕なんて必死に勉強して頑張って試験に合格したのに」
ハルナは彼女が育った孤児院の院長の紹介でギルドマスターと知り合い、冒険者になったことが判明した。一方でダインの場合は自力で勉強して試験を受けて冒険者になったらしい。
「レノ、お前がどういうつもりで冒険者になりたいなんて言い出したのかは理由は聞かないけどさ……冒険者は簡単になれる職業じゃないぞ」
「そんなに難しいの?」
「難しいに決まってんだろ!!僕だって10回以上も試験を受けてようやく合格できたんだぞ!?冒険者になるために1年も掛かったんだからな!!」
「1年!?」
ダインは試験に受かるまで1年の時を費やし、彼が冒険者になったのは5年も前の話なので11才の時に冒険者になったことになる。それを聞いてレノは子供でも冒険者になれるのか疑問を抱く。
「冒険者の試験は子供でも受けられるの?」
「いや、それはギルドによるかな……昔はどこの冒険者ギルドも年齢制限はなかったらしいけど、今は殆どのギルドが15才以上じゃないと試験に受けられないはずだ。でも、黒虎は実力のある人間なら子供でも試験を受けることができるんだよ」
「そ、そうなんだ……それを聞くとダインは凄いね」
「ま、まあな!!僕は小さい頃から凄かったんだよ!!」
試験に受かるまで1年を費やしたがダインはわずか12才で合格したことになり、この年齢で冒険者になれる人間は滅多にいない。だが、レノにとって運が良かったのは他所のギルドでは15才以下の人間は冒険者になれないという情報を得たことだった。
レノの年齢は14才なので黒虎以外の冒険者ギルドでは彼は試験も受けることができず、冒険者になるとしたら黒虎で試験を受けるのが無難だった。他のギルドの中には黒虎のように年齢制限がない冒険者ギルドもあるかもしれないが、ダインによれば今の時代では殆どのギルドが15才以下の人間は受け入れていないらしく、黒虎以外の年齢制限がない冒険者ギルドを探すのは一苦労しそうだった。
(黒虎なら今の俺でも試験を受けられるのか。でも、試験ってどんな内容だろう?)
冒険者になると完全に決めたわけではないが、冒険者になるための試験に関して興味を抱いたレノはダインがどのような試験を受けたのかを尋ねる。
「ダインが受けた試験はどんなの?」
「僕が受けた試験は……」
「ウォンッ!!ウォンッ!!」
「わあっ!?ど、どうしたのウルちゃん!?」
レノがダインから試験の内容を聞く前にウルが鳴き声を上げ、何事かと全員が振り返ると拘束されているはずのセマカの姿がなかった。何時の間にかセマカを繋いでいた縄が切れており、どうやら逃げ出したようだった。
「あ、あいつ!?いつの間に縄を……」
「あっちに逃げてるよ!!」
「何だって!?」
「ウォオンッ!!」
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