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第47話 もう一人じゃない
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ゴブリンが情報を黒マントの人物に伝えているのを見てレノは時間がないと悟り、内心焦りながら狙いを定めた。だが、どうしても人を撃つことに躊躇してしまい、レノは標的を変更して矢を撃ちこむ。
「付与《エンチャント》!!」
「うわっ!?」
「わあっ!?」
レノの付与魔法で風属性の魔力を付与させた矢が解き放たれ、それを見たダインとハルナは驚く。風の魔力をまとった矢は凄まじい速度で黒マントの人物の傍にいるホブゴブリンの一体に的中した。
「アガァッ!?」
「グギィッ!?」
「グギャッ!?」
「ギィイッ!?」
「っ……!?」
ホブゴブリンの口元に突っ込んだ矢は頭を貫通し、後方の建物の壁に突き刺さった。頭を貫かれたホブゴブリンは呆気なく絶命し、それを見た他のホブゴブリンとゴブリンは驚愕した。
黒マントの人物はいきなり倒れたホブゴブリンを見て攻撃を受けたと判断し、矢が放たれた方向に顔を向けた。この際にレノ達の居場所がバレてしまい、黒マントの人物は大声をあげる。
「敵だ!!殺せっ!!」
「「グギィイイッ!!」」
「ギギィッ!!」
レノ達の存在に気が付いた魔物使いは攻撃の命令を下すと、即座にホブゴブリンとゴブリンは動き出す。レノは自分が狙いを変えたせいで敵に気付かれてしまい、ダインとハルナに逃げるように促す。
「二人は離れて!!俺が何とかする!!」
「な、何とかするって……」
「わわっ!?こ、こっちに来るよ!?」
2体のホブゴブリンがゴブリンが迫る姿を見てダインとハルナも戦闘態勢に入るが、レノは自分達の元に辿り着く前に魔物を仕留める自信はあった。
(大丈夫だ!!この距離なら外さない!!)
魔物使いを狙い撃つことはできなかったが、魔物が相手ならばレノは躊躇せずに撃ちこめた。新しい矢を構えるとまずは厄介なホブゴブリンの片方を狙い、先ほどのように急所に目掛けて矢を放つ。
「付与《エンチャント》!!」
「グギャアアアッ!?」
「グギィッ!?」
「ギギィッ!?」
レノが撃ちこんだ矢は先頭を走っていたホブゴブリンの眉間を撃ち抜いて一発で仕留めた。先を走っていたホブゴブリンが倒れたせいで後方を走っていたもう一体のホブゴブリンとゴブリンは足を止める。
敵が動きを止める間にレノは矢を二本取り出し、同時に二つの矢を弓に番えた。森で暮らしていた時にレノはアルから特殊な矢の打ち方も習っており、二本の矢を同時に構て撃つ。
(練習では上手くいったんだ!!絶対に当ててみせる!!)
複数の敵に襲われた時に備えて訓練していたレノはアルから教わった撃ち方と自分の弓魔術を組み合わせて撃ちこむ。矢を二本番えた状態で付与魔法を発動させ、敵を同時に二体狙い撃つ。
「付与《エンチャント》!!」
「ギィアッ!?」
「グギィイイッ!?」
放たれた二本の矢はゴブリンの心臓を貫き、ホブゴブリンの右腕に突き刺さった。同時に二本の矢を撃つ場合は威力と命中精度が格段に落ちてしまい、ゴブリンを仕留めることはできたがホブゴブリンの急所は外れてしまった。
(しまった!?焦り過ぎた……間に合えっ!!)
ホブゴブリンを仕留めそこなったレノは新しい矢を取り出そうとするが、ホブゴブリンは右腕を負傷しながらも残された左腕で顔を庇いながら突っ込む。急所を確実に撃ち抜かなければホブゴブリンは倒せず、頭を庇いながら突っ込んできたホブゴブリンにレノは目を見開く。
(間に合わない!?)
敵を確実に倒すのならば頭部を狙い撃つのが一番なのだが、ホブゴブリンは頭だけはしっかり守っていた。冷静さを欠いたレノは頭以外の急所を狙おうとしたが既にホブゴブリンは彼の目の前にまで迫る。
「グギィイイッ!!」
「うわっ――!?」
ホブゴブリンの体当たりを受けそうになったレノは逃げようとするが、その前に彼の前に何者かた立ちはだかる。
「ええいっ!!」
「グギャッ!?」
「ハ、ハルナ!?」
レノに迫ったホブゴブリンの突進を止めたのはハルナだった。彼女は大盾を構えてホブゴブリンの体当たりを正面から受け止めると、地面を後退りながらもどうにか体当たりを止めた。
人間離れした怪力を誇るハルナだからこそホブゴブリンの突進を食い止めることに成功し、その隙を逃さずにダインも影魔法を発動させた。
「僕のことも忘れるなよ!!シャドウバインド!!」
「グギィイイッ!?」
ダインが自分の影に黒杖を突き刺した瞬間、彼の影は蛇のように変化してホブゴブリンに纏わりつく。ホブゴブリンは最初は黒蛇の如く絡みつく影を振り払おうとしたが、いくら力を込めようと影の蛇は振りほどけない。
ハルナがホブゴブリンの体当たりを止めたお陰でダインは影魔法を繰り出すことに成功し、完全にホブゴブリンの動きを止めることに成功した。そしてホブゴブリンが動けない隙を逃さずにウルが駆け出す。
「ガアアアッ!!」
「ウル!?」
「グギィイイッ!?」
ウルはホブゴブリンの首元に噛みつき、刃物の如く鋭く尖った牙を食い込ませる。影魔法で完全に動きを封じ込められたホブゴブリンは抵抗することもできず、首の肉を抉り取られた。
グギャアアアアッ――!?
ホブゴブリンの断末魔の悲鳴が廃村中に響き渡り、ダインが影魔法を解除するとホブゴブリンは首元から大量に出血しながら倒れ込む。それを見たレノは呆然と立ち尽くし、ダインとハルナは疲れた表情で自慢に膝をつく。
「はあっ、はあっ……死ぬかと思った」
「ううっ……ちょっと痛かったよ~」
「二人とも……どうして逃げなかったの?」
ホブゴブリンの突進を食い止めたハルナと影魔法で動きを封じ込めたダインにレノは戸惑い、どうして二人が自分を助けてくれたのか分からなかった。下手をしたら自分が死ぬかもしれないのに危険を冒して助けてくれた二人に理由を問うと、ダインとハルナは不思議そうな表情を浮かべる。
「こんな時に何を言ってんだお前……仲間を置いて逃げるわけないだろ?」
「そうそう、レノ君だけ置いて逃げるなんてできないよ~」
「……仲間?」
「ウォンッ!!」
二人の答えを聞いてレノは言われてみて気が付く。この二人は今日出会ったばかりの相手だが、ここに来るまで共に行動してきた。森で暮らしていた時はレノは一人で戦うことが多くて忘れていたが、今の彼には頼れる仲間が傍にいる。
(そうだ。今の俺は一人じゃないんだ)
今まで気づかなかったがレノは一人で戦っているのではなく、ダインやハルナやウルという仲間がいる。これまで自分一人で戦っていると思い込んでいたせいで気づかなかったが、仲間がいると自覚した途端にレノの身体は軽くなった気がした。
「ウォオオンッ!!」
「うわっ!?急にどうしたんだこいつ!?」
「こんなに大きい魔物を倒したからウルちゃんも喜んでるんだよ~」
「勝利の雄叫びか……」
ウルはホブゴブリンに止めを刺したことに興奮しているのか嬉しそうに鳴き声を上げ、その姿を見てレノは自分が初めて魔物を倒した時のことを思い出す。自分の命を脅かす危険な相手に勝利した時、生き延びたという実感を抱いた。
子供の頃よりも強くなったつもりだが、仲間に助けられなければ今頃はレノは死んでいたかもしれない。いくら腕を磨いたところで人間一人では限界があり、圧倒的な力を持つ魔物と対抗するには力を合わせる必要があると再認識する。
(そうだ。いくら一人で強くなっても限界がある……仲間がいるなら頼ればいいんだ)
一人で戦うことに慣れていたせいで今まで気づかなかったが、レノは仲間がいるだけでどれだけ心強いのかを思い知る。改めてレノは三人にお礼を告げた。
「ありがとう……皆のお陰で助かったよ」
「へへ、これで貸しが一つだからな」
「もうダイン君たら……気にしないでいいよ~」
「クゥ~ンッ」
レノの言葉にダインとハルナは照れくさそうな表情を浮かべ、ウルは尻尾を振って喜ぶ。しかし、和んでいる状況ではなく、すぐにレノは魔物使いの存在を思い出す。
「付与《エンチャント》!!」
「うわっ!?」
「わあっ!?」
レノの付与魔法で風属性の魔力を付与させた矢が解き放たれ、それを見たダインとハルナは驚く。風の魔力をまとった矢は凄まじい速度で黒マントの人物の傍にいるホブゴブリンの一体に的中した。
「アガァッ!?」
「グギィッ!?」
「グギャッ!?」
「ギィイッ!?」
「っ……!?」
ホブゴブリンの口元に突っ込んだ矢は頭を貫通し、後方の建物の壁に突き刺さった。頭を貫かれたホブゴブリンは呆気なく絶命し、それを見た他のホブゴブリンとゴブリンは驚愕した。
黒マントの人物はいきなり倒れたホブゴブリンを見て攻撃を受けたと判断し、矢が放たれた方向に顔を向けた。この際にレノ達の居場所がバレてしまい、黒マントの人物は大声をあげる。
「敵だ!!殺せっ!!」
「「グギィイイッ!!」」
「ギギィッ!!」
レノ達の存在に気が付いた魔物使いは攻撃の命令を下すと、即座にホブゴブリンとゴブリンは動き出す。レノは自分が狙いを変えたせいで敵に気付かれてしまい、ダインとハルナに逃げるように促す。
「二人は離れて!!俺が何とかする!!」
「な、何とかするって……」
「わわっ!?こ、こっちに来るよ!?」
2体のホブゴブリンがゴブリンが迫る姿を見てダインとハルナも戦闘態勢に入るが、レノは自分達の元に辿り着く前に魔物を仕留める自信はあった。
(大丈夫だ!!この距離なら外さない!!)
魔物使いを狙い撃つことはできなかったが、魔物が相手ならばレノは躊躇せずに撃ちこめた。新しい矢を構えるとまずは厄介なホブゴブリンの片方を狙い、先ほどのように急所に目掛けて矢を放つ。
「付与《エンチャント》!!」
「グギャアアアッ!?」
「グギィッ!?」
「ギギィッ!?」
レノが撃ちこんだ矢は先頭を走っていたホブゴブリンの眉間を撃ち抜いて一発で仕留めた。先を走っていたホブゴブリンが倒れたせいで後方を走っていたもう一体のホブゴブリンとゴブリンは足を止める。
敵が動きを止める間にレノは矢を二本取り出し、同時に二つの矢を弓に番えた。森で暮らしていた時にレノはアルから特殊な矢の打ち方も習っており、二本の矢を同時に構て撃つ。
(練習では上手くいったんだ!!絶対に当ててみせる!!)
複数の敵に襲われた時に備えて訓練していたレノはアルから教わった撃ち方と自分の弓魔術を組み合わせて撃ちこむ。矢を二本番えた状態で付与魔法を発動させ、敵を同時に二体狙い撃つ。
「付与《エンチャント》!!」
「ギィアッ!?」
「グギィイイッ!?」
放たれた二本の矢はゴブリンの心臓を貫き、ホブゴブリンの右腕に突き刺さった。同時に二本の矢を撃つ場合は威力と命中精度が格段に落ちてしまい、ゴブリンを仕留めることはできたがホブゴブリンの急所は外れてしまった。
(しまった!?焦り過ぎた……間に合えっ!!)
ホブゴブリンを仕留めそこなったレノは新しい矢を取り出そうとするが、ホブゴブリンは右腕を負傷しながらも残された左腕で顔を庇いながら突っ込む。急所を確実に撃ち抜かなければホブゴブリンは倒せず、頭を庇いながら突っ込んできたホブゴブリンにレノは目を見開く。
(間に合わない!?)
敵を確実に倒すのならば頭部を狙い撃つのが一番なのだが、ホブゴブリンは頭だけはしっかり守っていた。冷静さを欠いたレノは頭以外の急所を狙おうとしたが既にホブゴブリンは彼の目の前にまで迫る。
「グギィイイッ!!」
「うわっ――!?」
ホブゴブリンの体当たりを受けそうになったレノは逃げようとするが、その前に彼の前に何者かた立ちはだかる。
「ええいっ!!」
「グギャッ!?」
「ハ、ハルナ!?」
レノに迫ったホブゴブリンの突進を止めたのはハルナだった。彼女は大盾を構えてホブゴブリンの体当たりを正面から受け止めると、地面を後退りながらもどうにか体当たりを止めた。
人間離れした怪力を誇るハルナだからこそホブゴブリンの突進を食い止めることに成功し、その隙を逃さずにダインも影魔法を発動させた。
「僕のことも忘れるなよ!!シャドウバインド!!」
「グギィイイッ!?」
ダインが自分の影に黒杖を突き刺した瞬間、彼の影は蛇のように変化してホブゴブリンに纏わりつく。ホブゴブリンは最初は黒蛇の如く絡みつく影を振り払おうとしたが、いくら力を込めようと影の蛇は振りほどけない。
ハルナがホブゴブリンの体当たりを止めたお陰でダインは影魔法を繰り出すことに成功し、完全にホブゴブリンの動きを止めることに成功した。そしてホブゴブリンが動けない隙を逃さずにウルが駆け出す。
「ガアアアッ!!」
「ウル!?」
「グギィイイッ!?」
ウルはホブゴブリンの首元に噛みつき、刃物の如く鋭く尖った牙を食い込ませる。影魔法で完全に動きを封じ込められたホブゴブリンは抵抗することもできず、首の肉を抉り取られた。
グギャアアアアッ――!?
ホブゴブリンの断末魔の悲鳴が廃村中に響き渡り、ダインが影魔法を解除するとホブゴブリンは首元から大量に出血しながら倒れ込む。それを見たレノは呆然と立ち尽くし、ダインとハルナは疲れた表情で自慢に膝をつく。
「はあっ、はあっ……死ぬかと思った」
「ううっ……ちょっと痛かったよ~」
「二人とも……どうして逃げなかったの?」
ホブゴブリンの突進を食い止めたハルナと影魔法で動きを封じ込めたダインにレノは戸惑い、どうして二人が自分を助けてくれたのか分からなかった。下手をしたら自分が死ぬかもしれないのに危険を冒して助けてくれた二人に理由を問うと、ダインとハルナは不思議そうな表情を浮かべる。
「こんな時に何を言ってんだお前……仲間を置いて逃げるわけないだろ?」
「そうそう、レノ君だけ置いて逃げるなんてできないよ~」
「……仲間?」
「ウォンッ!!」
二人の答えを聞いてレノは言われてみて気が付く。この二人は今日出会ったばかりの相手だが、ここに来るまで共に行動してきた。森で暮らしていた時はレノは一人で戦うことが多くて忘れていたが、今の彼には頼れる仲間が傍にいる。
(そうだ。今の俺は一人じゃないんだ)
今まで気づかなかったがレノは一人で戦っているのではなく、ダインやハルナやウルという仲間がいる。これまで自分一人で戦っていると思い込んでいたせいで気づかなかったが、仲間がいると自覚した途端にレノの身体は軽くなった気がした。
「ウォオオンッ!!」
「うわっ!?急にどうしたんだこいつ!?」
「こんなに大きい魔物を倒したからウルちゃんも喜んでるんだよ~」
「勝利の雄叫びか……」
ウルはホブゴブリンに止めを刺したことに興奮しているのか嬉しそうに鳴き声を上げ、その姿を見てレノは自分が初めて魔物を倒した時のことを思い出す。自分の命を脅かす危険な相手に勝利した時、生き延びたという実感を抱いた。
子供の頃よりも強くなったつもりだが、仲間に助けられなければ今頃はレノは死んでいたかもしれない。いくら腕を磨いたところで人間一人では限界があり、圧倒的な力を持つ魔物と対抗するには力を合わせる必要があると再認識する。
(そうだ。いくら一人で強くなっても限界がある……仲間がいるなら頼ればいいんだ)
一人で戦うことに慣れていたせいで今まで気づかなかったが、レノは仲間がいるだけでどれだけ心強いのかを思い知る。改めてレノは三人にお礼を告げた。
「ありがとう……皆のお陰で助かったよ」
「へへ、これで貸しが一つだからな」
「もうダイン君たら……気にしないでいいよ~」
「クゥ~ンッ」
レノの言葉にダインとハルナは照れくさそうな表情を浮かべ、ウルは尻尾を振って喜ぶ。しかし、和んでいる状況ではなく、すぐにレノは魔物使いの存在を思い出す。
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