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廃墟編
マカセの言い分
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シルフィアはマカセに搭載されているタブレットを取り出し、全員が見える位置に配置する。どうして霧魔将がこの場所にビゾンに現れたのかを問い質す。
「さあ、答えなさい。霧魔将ビゾンがどうしてこの場所に訪れたのか、貴方はそれを知っていたのか、全て白状しなさい!!」
『ま、待て!!我は何も知らない!!それに我も主人を守ろうとしたんだぞ!?裏切るつもりはない!!』
「まあ、確かに一応は守ろうとはしてくれたのかな?」
『ゴロロッ』
タブレットに表示された文字にレアはゴレムに視線を向け、確かにマカセは自分だけでも逃げる事が出来た状態にも関わらずにレアを守ろうとしていた。実際に戦闘の間は彼の元から離れず、逃走を促す行動を取っていたのは事実であり、そもそも文字変換の能力で「絶対服従」を誓わせたマカセが裏切るとは考えにくい。
「シルフィア、マカセは本当に俺の事を助けようとしてくれたよ」
『ま、マスター(感激)』
「マスターはこの機械人形もどきに甘すぎます……まあ、いいでしょう。では質問を変えます。どうして霧魔将がこの場所に訪れたのか、その心当たりは?」
『……思いつかない。そもそも奴とは顔を何度か合わせただけで別に交友があったわけではない』
「じゃあ、偶然にこの場所に訪れたんですか?」
マカセはビゾンとは交流はなく、彼がどうしてセカンの街に姿を現したのか全く心当たりはなかった。今回の作戦でビゾンが動く事も聞いておらず、それだけにマカセも何が起きているのか理解できなかった。
『我は本当に何も知らないんだ。今回の作戦はイルミナからアルディナの援護を行うようにとしか指示されていない……ビゾンがここに訪れた理由が分からん』
「では偶然にもこの街を襲撃し、我々と遭遇したというのですか?幾らなんでも都合が良すぎるのでは?」
『少しは我を信用しろ!!ビゾンが来る事を知っていればマスターに隠すはずがないだろう!!』
「……分かりました。ですが、貴方の知る限りの魔将の能力を全て答えなさい」
『わ、分かった……我の知る限りの魔将の能力を話そう』
白霧が町全体を覆いこんだ時点でマカセがビゾンの存在に気付いていた事は間違いなく、事前にその情報を他の人間も知っていれば今回のような事態には陥らなかっただろう。
『まず炎魔将ゴウカだが……こいつは火属性の精霊石を喰らったガーゴイルだ。歴代の魔将の中でも最強と呼ばれている』
「ガーゴイル?それは神話に出てくる石像の悪魔の事ですか?」
『悪魔?よく分からんが、石像のような外見をしているのは確かだ。こいつの能力はミスリルだろうと溶かし尽くす程の炎を操れる』
「ミスリルを溶かすって……とんでもない奴ですね!!」
「ミスリル……?」
「恐らくはこの世界の特融の金属でしょう」
マカセの言葉にイリスが驚愕し、更にゴウカ以外の魔将の能力が明かされる。
『次に氷魔将セツナは東方から訪れた雪女だ』
「雪女って……妖怪の?」
「この世界には実在するのですか?」
『妖怪?それは分からんが、奴は普段は美しい女に化けているが、その正体は精霊石を吸収したスライムだ』
「スライム!?スライムってあの小さくて可愛くて無害なスライムの事ですか?」
イリスはマカセの言葉を聞いて呆気にとられ、レアもRPGのゲームでは基本的に雑魚として扱われている「スライム」を思い出し、この世界にも実在するらしい。しかし、マカセによると二人が思い込んでいるような存在ではないらしく、魔将の中で最も恐ろしい存在らしい。
『スライムと言っても奴の力は計り知れない……それに誰よりも冷酷な女だ。人間に化けて街に入り込み、その街の人間と接触するのが奴の趣味だが、少しでも気に入らない事があれば街を凍り尽くして住んでいる住民を全員殺す。しかも殺す方法が街の出入口を完全封鎖し、ゆっくりと時間を掛けて街全体の気温を低下させてじっくりと殺すのだ。奴の恐ろしい所は人間同士を争う場面を見るために敢えて自分に歯向かう者以外は殺そうとしない。暖を取るために一本の薪を手に入れるために住民同士が殺しあう姿を見て笑っていた姿を見た事がある』
「……酷い」
「理解できません……どうしてそんな事を」
『全ての魔将は人間を見下しているが、セツナのように人形のように弄ぶような真似はしない。敵ではあるが、それでも苦しみ悶える姿を見るためだけに時間を掛けて嬲り殺すような魔将は奴だけだろう』
セツナの説明を聞き終えたレア達は黙り込み、覚悟していたこととはいえ、自分達が敵対する存在がどれほど恐ろしいのかを自覚する。
『アルディラに関しては前に説明した通り、サキュバスの魅了の能力で魔物を従えさせているだけに過ぎん。イルミナと比べればそれほどの脅威ではないが、それでも魔物の軍勢を構成する程の力を持っている。だが、奴自身の戦闘能力はそれほどではない』
「ではイルミナは?その女が実質上の魔将のトップなんでしょう。どのような能力を持っているのですか?」
『……知らない。奴がサキュバスであり、アルディラ以上の魅了の能力を扱える事は知っているが、他にどんな能力を持っているのかは誰も知らない。だが、誰よりも頭が切れる事から奴が指揮官として魔王様の代わりに他の魔将を指示しているのだ』
全ての魔将の説明を終えたマカセは腕を組み、これ以上の情報は持っていないことを示すように黙り込む。
「さあ、答えなさい。霧魔将ビゾンがどうしてこの場所に訪れたのか、貴方はそれを知っていたのか、全て白状しなさい!!」
『ま、待て!!我は何も知らない!!それに我も主人を守ろうとしたんだぞ!?裏切るつもりはない!!』
「まあ、確かに一応は守ろうとはしてくれたのかな?」
『ゴロロッ』
タブレットに表示された文字にレアはゴレムに視線を向け、確かにマカセは自分だけでも逃げる事が出来た状態にも関わらずにレアを守ろうとしていた。実際に戦闘の間は彼の元から離れず、逃走を促す行動を取っていたのは事実であり、そもそも文字変換の能力で「絶対服従」を誓わせたマカセが裏切るとは考えにくい。
「シルフィア、マカセは本当に俺の事を助けようとしてくれたよ」
『ま、マスター(感激)』
「マスターはこの機械人形もどきに甘すぎます……まあ、いいでしょう。では質問を変えます。どうして霧魔将がこの場所に訪れたのか、その心当たりは?」
『……思いつかない。そもそも奴とは顔を何度か合わせただけで別に交友があったわけではない』
「じゃあ、偶然にこの場所に訪れたんですか?」
マカセはビゾンとは交流はなく、彼がどうしてセカンの街に姿を現したのか全く心当たりはなかった。今回の作戦でビゾンが動く事も聞いておらず、それだけにマカセも何が起きているのか理解できなかった。
『我は本当に何も知らないんだ。今回の作戦はイルミナからアルディナの援護を行うようにとしか指示されていない……ビゾンがここに訪れた理由が分からん』
「では偶然にもこの街を襲撃し、我々と遭遇したというのですか?幾らなんでも都合が良すぎるのでは?」
『少しは我を信用しろ!!ビゾンが来る事を知っていればマスターに隠すはずがないだろう!!』
「……分かりました。ですが、貴方の知る限りの魔将の能力を全て答えなさい」
『わ、分かった……我の知る限りの魔将の能力を話そう』
白霧が町全体を覆いこんだ時点でマカセがビゾンの存在に気付いていた事は間違いなく、事前にその情報を他の人間も知っていれば今回のような事態には陥らなかっただろう。
『まず炎魔将ゴウカだが……こいつは火属性の精霊石を喰らったガーゴイルだ。歴代の魔将の中でも最強と呼ばれている』
「ガーゴイル?それは神話に出てくる石像の悪魔の事ですか?」
『悪魔?よく分からんが、石像のような外見をしているのは確かだ。こいつの能力はミスリルだろうと溶かし尽くす程の炎を操れる』
「ミスリルを溶かすって……とんでもない奴ですね!!」
「ミスリル……?」
「恐らくはこの世界の特融の金属でしょう」
マカセの言葉にイリスが驚愕し、更にゴウカ以外の魔将の能力が明かされる。
『次に氷魔将セツナは東方から訪れた雪女だ』
「雪女って……妖怪の?」
「この世界には実在するのですか?」
『妖怪?それは分からんが、奴は普段は美しい女に化けているが、その正体は精霊石を吸収したスライムだ』
「スライム!?スライムってあの小さくて可愛くて無害なスライムの事ですか?」
イリスはマカセの言葉を聞いて呆気にとられ、レアもRPGのゲームでは基本的に雑魚として扱われている「スライム」を思い出し、この世界にも実在するらしい。しかし、マカセによると二人が思い込んでいるような存在ではないらしく、魔将の中で最も恐ろしい存在らしい。
『スライムと言っても奴の力は計り知れない……それに誰よりも冷酷な女だ。人間に化けて街に入り込み、その街の人間と接触するのが奴の趣味だが、少しでも気に入らない事があれば街を凍り尽くして住んでいる住民を全員殺す。しかも殺す方法が街の出入口を完全封鎖し、ゆっくりと時間を掛けて街全体の気温を低下させてじっくりと殺すのだ。奴の恐ろしい所は人間同士を争う場面を見るために敢えて自分に歯向かう者以外は殺そうとしない。暖を取るために一本の薪を手に入れるために住民同士が殺しあう姿を見て笑っていた姿を見た事がある』
「……酷い」
「理解できません……どうしてそんな事を」
『全ての魔将は人間を見下しているが、セツナのように人形のように弄ぶような真似はしない。敵ではあるが、それでも苦しみ悶える姿を見るためだけに時間を掛けて嬲り殺すような魔将は奴だけだろう』
セツナの説明を聞き終えたレア達は黙り込み、覚悟していたこととはいえ、自分達が敵対する存在がどれほど恐ろしいのかを自覚する。
『アルディラに関しては前に説明した通り、サキュバスの魅了の能力で魔物を従えさせているだけに過ぎん。イルミナと比べればそれほどの脅威ではないが、それでも魔物の軍勢を構成する程の力を持っている。だが、奴自身の戦闘能力はそれほどではない』
「ではイルミナは?その女が実質上の魔将のトップなんでしょう。どのような能力を持っているのですか?」
『……知らない。奴がサキュバスであり、アルディラ以上の魅了の能力を扱える事は知っているが、他にどんな能力を持っているのかは誰も知らない。だが、誰よりも頭が切れる事から奴が指揮官として魔王様の代わりに他の魔将を指示しているのだ』
全ての魔将の説明を終えたマカセは腕を組み、これ以上の情報は持っていないことを示すように黙り込む。
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