文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

白霧

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『どうやって使うの?』
『普通にこの穴に弾丸を嵌め込んで引き金を引けばいいだけですよ』
『使い方は一緒なのか……でも、こっちの方が西部っぽいな』


イリスの持ち出した拳銃は西部劇のガンマンが取り扱うようなデザインであり、扱い方はレアのハンドガンと同じだが、威力の方に関してはアイリスの話ではレベル20以上の人間には効果が薄いという。


『それ、ちょっと撃ってみたいな。持ってきてくれない?』
『レアさんがそう言うと思って持ち出したんですよ。ちゃんと修理してから発砲してくださいね』
『ありがとう。不謹慎だけど、ちょっと楽しみだな』
『じゃあ、私は戻りますので……あれ、何ですかこれ?』
『どうしたの?』
『いえ、何か霧が出てきたんですけど……でも、この街に霧なんて初めて見ましたよ』
『霧……?』


レアは他のドローンの画像に視線を向け、イリスの言葉通りにいくつかのドローンの映像が霧に覆われていた。どうやら街中にだけ白霧が広がっているらしく、映像の半分近くが白霧で覆われて何も見えない。


『ちょ、こっちの方にも来ましたよ!?』
『大丈夫?今からシルフィアに連絡を……』
『マスター?今はよろしいでしょうか』
『うわっ!?』


シルフィアに連絡をしようとした時にスマホ型の万能金属から彼女の声が流れ込み、どうやら別の人間と通信中でも彼女とは通信が行えるらしい。


『申し訳ありません、驚かせてしまったでしょうか?』
『い、いや、大丈夫』
『ぷぷっ……びびりすぎですよ』
『シルフィアのレーザーで焼き付くすぞこの野郎』
『許可さえ頂ければすぐに実行しますが』
『ちょ、止めてくださいよ。冗談に聞こえませんよ』
『それよりもマスターに報告があります。街全体に謎の白霧が広まっています。何故か街の外には流れ込まないようですが……』
『キュロロッ!!』
『うわ、なんだ!?マカセも居るの?』
『静かにしなさい!!今はマスターと通信中ですよ』


どうやらシルフィアの傍にはマカセも存在するらしく、必死に鳴き声のような音を鳴らす。傍にはゴレムもいるらしく、彼を落ち着かせようとしているのか騒音も流れ込む。


『ゴロロッ……』
『キュロッ!?キュロロッ!!』
『全く……ロボ・ゴーレムになっても迷惑を掛けるのですね』
『急にどうしたんだろう……あ、シルフィア!!近くにドローンはいる?』
『はい。数体ほど待機させていますが……』
『それならシルフィア達の映像を映してよ。そっちの方が分かりやすいし』
『分かりました』


新しい映像が空中に表示され、レアの視界にシルフィアとゴレムに抱えられたマカセの映像が表示される。シルフィアとイリスからはレアの姿は見えないが、彼女達に指示を与える分には問題はない。


『作業の方はどんな感じ?』
『大きな問題ありません解体する建物から回収した資材が予想以上に多いので保管に時間が掛かっています』
『資材……ああ、家具とかか』
『それと洋服や貴重品の類です。中には金銭に換えられそうな物も存在しますが……』
『ほほう!!』
『ここぞというばかりに反応するな。それより、この霧の原因は……』
『キュロロロッ!!』
『またですか?一体どうしたと言うのです』


レアの言葉に反応するようにマカセが暴れ出し、シルフィアが静かにさせようとするが、彼の反応を見て疑問を抱いたレアは事情を尋ねる事にした。


『落ち着いてシルフィア、マカセが何を伝えようとしているのか分かる?』
『申し訳ありませんがロボ・ゴーレムには翻訳機能は搭載されていません。ですが、タブレット端末を通して会話は出来ます』
『タブレット?』


シルフィアはマカセに近づき、頭の裏の部分に取り付けられている小型のタブレットを取り外す。どうやらマカセの考えている事が文章として表示されるらしく、タブレットの画面に文章が表示される。ちなみに文字は日本語ではなかったがレアは「翻訳スキル」のお陰なのか内容を理解できた。


『女よ!!早くこいつに俺を離すように命令しろ!!手遅れになっても知らんぞ!!』
『あ、本当にマカセの伝えたいことが表示されるんだ』
『全く……一体何だと言うのです。用件だけを言いなさい』
『そんな事を言っている場合か!!このままでは主人ともう一人の女が危険に晒されるぞ!!』
『危険?どういう事ですか?』


画面に表示された文字にレア達は訝しみ、マカセはこの街を覆いこんだ白霧が何か知っているのかとレアは考えた直後、画面に次の文章が表示される。


『これは霧魔将ビゾンの能力で作り出した白霧だ!!吸い続けると毒になって死ぬぞ!!』
『なっ!?』
『ええっ!?』
『え?ちょ、どうしたんですか?というか、この文字は何ですか?』


表示された文章を読み上げたレアとシルフィアは驚愕の声を上げるが、翻訳スキルを所持していないイリスには文章の内容は理解出来ず、唐突に驚いた二人に疑問を抱く。
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