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廃墟編
イリスの様子
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「イリスは何処にいるのかな……適当に探すか」
レアはドローンを数体ほど操作しながら街の探索を行い、イリスの姿を探す。空から地上の様子を撮影しているので彼女の姿を見落とさないように気を付けていると、運良く街道を移動するイリスの姿を捉えた。
「あ、いた。でも、何か様子がおかしいな……何してるんだろう?」
『集音機能を発動しますか?』
「うわ、びっくりした!!そういう機能もあるのか……」
画面内に質問文が表示され、レアは機能を作動させると、地上を移動するイリスの声が腕輪を通して流れ込む。何やら様子が暗く、溜息を吐きながら街道を歩んでいた。
『ふうっ……期待はしてませんでしたけど、やっぱり駄目でしたね』
「イリス……」
『やっぱり、一般家庭では碌な物が残ってませんね。金持ちの家にでも忍び込みますかね』
「火事場泥棒してたのかよ!!」
何時の間にかイリスは背中に大きなカバンを抱えており、中身は金銭に換えられそうな代物が大量に入っていた。どうやら用事を終えたのかゴブリンに殺された人間の家に忍び込み、物色していたらしい。
「たくっ……心配してたのに。あ、でも俺も人の事を言えないか……」
ゴレムが作り出したログハウスは元々は宿屋と思われる建物を解体して製作されており、現在もロボ・ゴーレムの大群が周囲の建物を解体して素材に変換させている。そう考えるとレアもイリスの行動に責める資格はなく、むしろ建物を壊さない彼女の方が被害は少ない。
『まあ、これだけあればしばらくは大丈夫ですね。もしも街の人が生き残っていたら申し訳ないですけど、こっちも余裕がありませんし』
「よく言うよ……というか、独り言が多いな」
『……ん?なんですかこれ?ああ、シルフィアさんが言っていたドローンという奴ですね』
「あ、やばい。気付かれた」
イリスにドローンを接近しすぎたらしく、彼女は不思議そうに画面越しにレアの顔を見つめる。画面内のイリスを観察していたレアは彼女の腕にも自分と同じ腕輪と紋様が腕に存在する事に気付き、試しに会話を行えないのかを試みる。
「えっと……腕輪を使えば連絡も取れるとか言ってたよな。イリスに話をしたいんだけど……おおっ?」
レアの意思に答えるように腕輪が変形し、スマートフォンのような形状に変わり果てた。金属板のように変形した腕輪を耳に押し当て、レアは電話を掛ける要領で話しかけた。
『えっと……もしもし、イリス?』
『うわっ!?レアさん!?何処にいるんですか?』
『あ、よかった。やっぱり聞こえるんだ。何処から俺の声が聞こえる?』
『いや、何処からって……あ、シルフィアさんに渡された腕輪から喋ってるんですか』
画面内のイリスが唐突に聞こえてきたレアの声に驚くが、彼女の場合だと腕輪からレアの声が届くらしく、レアの腕輪のように変形する様子はない。恐らく彼の腕輪がスマートフォン状に変形したのは普段から慣れ親しんた携帯端末である事から自動的に変化した可能性が高い。
『そういえばシルフィアさんがこの腕輪で会話が出来るとか言ってましたね。もう、びっくりしましたよ』
『そんな事より何してるの?もう確認は済んだの?』
『ええ、まあ、一応は……やっぱり、駄目でしたよ』
『そっか……』
イリスの表情が強張り、予想していたとはいえ彼女の街の友人や知人は既に死亡していたらしく、死体も確認したらしい。しかし、死亡を確認した後に他の人間の家に忍び込んで貴重品を回収する辺り、たくましい根性をしている。
『イリスの前に何か飛んでるでしょ。見えるよね?』
『ああ、このドローンという奴ですね。街のあちこちに飛んでましたよ』
『そうそう、こいつを通してイリスの姿が見えてるよ』
『マジですか。いやん、スカートの中を覗かないで下さい!!』
『だからお前、ズボンだろ』
会話に関しては普段通りの彼女にレアは安心するが、彼女が所持している道具の中に拳銃のような武器も含まれている事に気付く。
『イリス、その拳銃ってもしかして……』
『ああ、少し前に銃士の知り合いが居ると言ったでしょう?その人の家から拝借してきました。生きているといいんですけど……』
『勝手に持ち出していいのそれ?』
『この拳銃自体はもう使ってませんでしたよ。銃身の部分が曲がってるそうなので修理にもお金がかかるし、ずっと家に保管していた奴です。レアさんなら修理できるかと思って持ってきました』
『これがこの世界の銃器か。確かにハンドガンと似てるな』
彼女が持ち込んだ銃器はレアが所有しているハンドガンと酷似しており、リボルバー式の拳銃だった。柄の部分には魔法陣のような紋様が刻まれており、弾丸の方も用意してくれたのかイリスは小袋を取り出す。
『こちらが拳銃の弾丸です。加工に難しい代物らしいのであんまり家には残ってませんでした』
『友達の家で盗みを働くなよ』
『緊急事態です。きっと許してくれます』
レアはドローンを数体ほど操作しながら街の探索を行い、イリスの姿を探す。空から地上の様子を撮影しているので彼女の姿を見落とさないように気を付けていると、運良く街道を移動するイリスの姿を捉えた。
「あ、いた。でも、何か様子がおかしいな……何してるんだろう?」
『集音機能を発動しますか?』
「うわ、びっくりした!!そういう機能もあるのか……」
画面内に質問文が表示され、レアは機能を作動させると、地上を移動するイリスの声が腕輪を通して流れ込む。何やら様子が暗く、溜息を吐きながら街道を歩んでいた。
『ふうっ……期待はしてませんでしたけど、やっぱり駄目でしたね』
「イリス……」
『やっぱり、一般家庭では碌な物が残ってませんね。金持ちの家にでも忍び込みますかね』
「火事場泥棒してたのかよ!!」
何時の間にかイリスは背中に大きなカバンを抱えており、中身は金銭に換えられそうな代物が大量に入っていた。どうやら用事を終えたのかゴブリンに殺された人間の家に忍び込み、物色していたらしい。
「たくっ……心配してたのに。あ、でも俺も人の事を言えないか……」
ゴレムが作り出したログハウスは元々は宿屋と思われる建物を解体して製作されており、現在もロボ・ゴーレムの大群が周囲の建物を解体して素材に変換させている。そう考えるとレアもイリスの行動に責める資格はなく、むしろ建物を壊さない彼女の方が被害は少ない。
『まあ、これだけあればしばらくは大丈夫ですね。もしも街の人が生き残っていたら申し訳ないですけど、こっちも余裕がありませんし』
「よく言うよ……というか、独り言が多いな」
『……ん?なんですかこれ?ああ、シルフィアさんが言っていたドローンという奴ですね』
「あ、やばい。気付かれた」
イリスにドローンを接近しすぎたらしく、彼女は不思議そうに画面越しにレアの顔を見つめる。画面内のイリスを観察していたレアは彼女の腕にも自分と同じ腕輪と紋様が腕に存在する事に気付き、試しに会話を行えないのかを試みる。
「えっと……腕輪を使えば連絡も取れるとか言ってたよな。イリスに話をしたいんだけど……おおっ?」
レアの意思に答えるように腕輪が変形し、スマートフォンのような形状に変わり果てた。金属板のように変形した腕輪を耳に押し当て、レアは電話を掛ける要領で話しかけた。
『えっと……もしもし、イリス?』
『うわっ!?レアさん!?何処にいるんですか?』
『あ、よかった。やっぱり聞こえるんだ。何処から俺の声が聞こえる?』
『いや、何処からって……あ、シルフィアさんに渡された腕輪から喋ってるんですか』
画面内のイリスが唐突に聞こえてきたレアの声に驚くが、彼女の場合だと腕輪からレアの声が届くらしく、レアの腕輪のように変形する様子はない。恐らく彼の腕輪がスマートフォン状に変形したのは普段から慣れ親しんた携帯端末である事から自動的に変化した可能性が高い。
『そういえばシルフィアさんがこの腕輪で会話が出来るとか言ってましたね。もう、びっくりしましたよ』
『そんな事より何してるの?もう確認は済んだの?』
『ええ、まあ、一応は……やっぱり、駄目でしたよ』
『そっか……』
イリスの表情が強張り、予想していたとはいえ彼女の街の友人や知人は既に死亡していたらしく、死体も確認したらしい。しかし、死亡を確認した後に他の人間の家に忍び込んで貴重品を回収する辺り、たくましい根性をしている。
『イリスの前に何か飛んでるでしょ。見えるよね?』
『ああ、このドローンという奴ですね。街のあちこちに飛んでましたよ』
『そうそう、こいつを通してイリスの姿が見えてるよ』
『マジですか。いやん、スカートの中を覗かないで下さい!!』
『だからお前、ズボンだろ』
会話に関しては普段通りの彼女にレアは安心するが、彼女が所持している道具の中に拳銃のような武器も含まれている事に気付く。
『イリス、その拳銃ってもしかして……』
『ああ、少し前に銃士の知り合いが居ると言ったでしょう?その人の家から拝借してきました。生きているといいんですけど……』
『勝手に持ち出していいのそれ?』
『この拳銃自体はもう使ってませんでしたよ。銃身の部分が曲がってるそうなので修理にもお金がかかるし、ずっと家に保管していた奴です。レアさんなら修理できるかと思って持ってきました』
『これがこの世界の銃器か。確かにハンドガンと似てるな』
彼女が持ち込んだ銃器はレアが所有しているハンドガンと酷似しており、リボルバー式の拳銃だった。柄の部分には魔法陣のような紋様が刻まれており、弾丸の方も用意してくれたのかイリスは小袋を取り出す。
『こちらが拳銃の弾丸です。加工に難しい代物らしいのであんまり家には残ってませんでした』
『友達の家で盗みを働くなよ』
『緊急事態です。きっと許してくれます』
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