文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

機械人形

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「でもドローンを動かし続けたらナノマシンはオーバーヒートしないの?」
「問題ありません。ドローンの内蔵されているナノマシンに私の指示を与えて操作しているだけなので、本体の私には影響はありません」
「本体から切り離されたドローンはどれくらいの時間を活動できるの?」
「事前に埋め込んだ魔素の量に応じて変化します。最も兵器以外の物体は魔素の消耗量が少ないのでドローンならば一週間は活動し続けます」
「な、なにを言っているのか全然わからない」
「この女と我が主は何処の国の言葉を話しているのだ……?」


地球の知識を知らないイリスとマカセはレアとシルフィアの会話の内容を理解できない。最も今は二人に説明する暇はなく、レアはシルフィアにドローンの探索を命じる。


「分かった。それなら探索を頼んだよ。何か気になる物を発見したら教えてね」
「はい」
「あ、それと……もしもこの街から逃げ延びた住民も見つけたら教えてくれる?出来れば助けたいんだけど……」
「分かりました。それでは救助用の大型ドローンも用意しておきます。あ、それとマスターにお願いしたい事があるのですが……」
「何?」


シルフィアは会話の途中で周辺の建物に視線を向け、ゴブリンの襲撃を受けて破損した建物や未だに煙が上がっている地域を確認し、ある提案を行う。


「私が存在した世界には建築物を修復する機械人形が存在しました。ご存じでしょうか?」
「ああ、そういえば居たねそんなの……」


シルフィアが存在した「龍殺しの英雄」の世界には破壊された建物の修復を行うロボットが存在し、作中では「ロボ・ゴーレム」と呼ばれている。正式名称はもっと長いのだが、主人公が外見を見た時にこちらの名前を名付けており、いつの間にか定着していた。


「彼等をマスターの力で呼び出す事は出来ないでしょうか?そうすれば街の再建も行えると思います」
「いや、出来なくはないだろうけど……この世界とシルフィアの世界は科学技術にかなり差があるよ?それに修復と言っても材料とかはどうするの?」
「問題ありません。設定を変更させればどのような環境でも対応できます。彼等を呼び出せば私が管理を行いますので安心してください」
「シルフィアがそういうなら……」
「あの……出来れば私達にも分かるように説明してくれません?」
「主人の言っている事が全く理解できん……」


蚊帳の外のイリスとマカセが口を挟むが、二人に説明をする前にレアは腰のホルスターから拳銃を取り出し、弾丸を引き抜く。いつも通りに解析の能力を発動させ、視界に表示された画面の文字を変更させる。


「えっと、名前は……もうロボ・ゴーレムでいいや。問題ないだろ」


主人公が名付けた名前しか印象がなく、レアは機械人形の正式名称を思い出せないので主人公が呼んでいた名前を書き込む。


『ロボ・ゴーレム――龍殺しの英雄の物語に出てくる機械人形 状態:最新型』
「これでいいのかな……おっ、上手くいったみたい」


文字を打ち込むと弾丸が発光を始め、別の物体に変形を行う。それを確認したレアは弾丸を地面に置くと、徐々に巨大化して別の物体に変形した。


「ちょ、今度は何を出す気ですか!?」
「何だ……これは……!?」
「……素晴らしい」


自分達の目の前でレアが取り出した弾丸が別の存在に変化する光景にイリス達は文字通りに三者三様の反応を示し、そして彼等の前に体長が3メートルを超えるいかにも「メカ」という言葉を想像させる外見の人型の機械が誕生した。


「おおっ!!本当に出てきた……確かにこんな感じの奴だったな」
「これがマスターの力……ただの弾丸をここまでに変化させるなんて信じられません……!!」
「……何ですかこれ?魔物ですか?」
「このような奇怪な魔物は見たことがないが……」
「こいつは生物とは言い難いな……」


ロボ・ゴーレムのデザインは小さな男の子が好きそうなメカメカしい形状の二足歩行型のロボットであり、起動の際には人間の目元を想像させるレンズが赤色に光り輝く。総重量は2トンを超えるが、内蔵されている反重力装置によって重量を操作出来る。場合によっては人間が乗り込む事もあるため、背中側に搭乗部も存在する。


「一応は作ってみたけど、こいつをどうやって動かすの?」
「大丈夫です。私のナノマシンと同調させ、操作します」


起動前のロボ・ゴーレムにシルフィアは掌を押し付けた瞬間、彼女の腕の紋様が光り輝き、それに反応するかのようにロボ・ゴーレムの目元が点灯した。


『ゴロロロッ……!!』
「うわ、喋った!?」
「安心してください。只の起動音ですから……同調に成功しました。これで機械人形の指揮権は私に移行しました」
『ゴロンッ!!』


レア達の目の前で動き出したロボ・ゴーレムが最初に行った動作は「敬礼」であり、シルフィアの主人であるレアにまずは跪く。その光景に恐る恐るレアはロボ・ゴーレムに触れ、危険が無い事を確認する。
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