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廃墟編
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――漫画(元は小説)の登場人物と遭遇するという機会に巡り合うとは思いもしなかったが、レアは自分が作り出してしまったシルフィアに説明を行う。最もイリスがいると話がややこしくなるため、彼女には悪いが二人だけ話し合う。
「異世界……?ここはアースの世界ではないのですか?」
「アース……龍殺しの英雄の舞台の世界の事か」
「龍殺しの英雄?」
「ああ、そこから説明しないといけないのか……ええっと、どういえばいいのかな」
レアの言葉にシルフィアは不思議そうな表情を浮かべ、レアはここが彼女の住んでいた世界ではない事から説明を行う。
「えっと、教える前に聞きたいことがあるんだけど、一先ず聞きたいのは貴女の名前はシルフィアで間違いないですか?」
「はい。私の名前はシルフィアで間違いありません。しかし、どうして貴方が私の名前を?」
「名前以外にもいろいろ知ってるよ。何気に一番印象深いキャラクターだったから……」
「どういう意味でしょうか?レアさんは私の事を知っているのですか?」
名乗っても居ないのに自分の名前を知っていたレアにシルフィアは疑問を抱くと、そんな彼女の表情から察してレアは自分が怪しまれている事に気付き、仕方なく彼は拾い上げた拳銃に視線を向け、一先ずは自分の能力を見せる事にした。
「これを見て」
「はい」
「ここをこんな風にすると……ほら、直った」
「えっ?」
シルフィアの目の前でレアは拳銃に解析と文字変換の能力を利用して修復を行い、先ほどまで銃口が曲がっていたはずの拳銃が光り輝き、新品同然の状態でレアの掌に収まっていた。その光景にシルフィアは目を丸くし、彼の手元に握りしめられている拳銃に視線を向ける。
「この光は……それに銃口が修復している?一体どういう……」
「そのまま見ててね。もっと凄い事をするから」
「は、はい」
レアが修復した拳銃の弾倉から弾丸を引き抜くと、自動的に新しい弾丸が装填される光景にシルフィアは目を見開くが、更にレアは引き抜いた弾丸を見せつけ、手元を操作して弾丸を別の物体に変化させた。
「どう?」
「こ、これは……!?」
「確か、君の好きな花だったよね」
弾丸を変化させて作り出したのは漫画の設定上ではシルフィアが好む「アサガオ」に変化させ、彼女に差し出す。シルフィアは戸惑いながらもその花を受け取り、香りを嗅いで本物の植物である事に気付く。
「信じられません……確かにこれは本物の花です。でも、どういう事ですか?金属を植物に変換させる能力なんて聞いた事がありません。私の友人に植物を操る能力を持つ人もいますが、弾丸を花に作り替えるなんて真似はとても……」
「ロザリアの事?あのドリル頭が特徴的な……」
「彼女を知っているのですか?」
「知っているだけ……だけどね」
自分の事だけではなく、仲間である「ロザリア」の存在を知っているレアにシルフィアは警戒心を抱いたように無意識に距離を取るが、そんな彼女にレアは新しい弾丸を取り出し、今度は掌を空に掲げて別の生き物に変化させた。
「ほらっ」
「なっ!?」
シルフィアの目にはレアが何もない空間に向けて空いている方の手を伸ばし、指を動かす動作をした瞬間、彼の手元の弾丸が今度は「青色の小鳥」に変化して空を飛ぶ。即座にシルフィアは空を移動する小鳥に視線を向け、本物の生き物である事を見抜く。植物だけではなく、動物を作り出したレアに彼女は動揺を隠せない。
「これが俺の能力……まあ、簡単に言えば物体を別の物体に作り替える能力かな」
「物体……物質変換という事でしょうか?」
「そうそう、そんな感じ」
「なるほど、そういう事でしたか。しかし、この能力と私がこの世界に訪れた事と何か関係があるのですか?」
レアの能力の本質を理解したシルフィアは感心した表情を浮かべるが、どうして自分にその能力を見せたのか疑問を抱き、レアに問い質す。だが、レアはどのように説明すればいいのか悩み、結局は正直に自分の行動を白状した。
「その前にお礼を言わせてほしい。さっきのワイバーン……いや、あのでかい生き物から俺達を救ってくれたのはシルフィア……さんですよね?」
「あの新型の龍の事でしょうか?」
二人はワイバーンに死骸に視線を向けると、そこにはイリスが興味深そうにワイバーンの死骸を漁る姿があり、完全に焼き尽くされているとはいえ、貴重な竜種の素材を回収出来ないのかを試しているらしく、彼女は身体が汚れる事も気にせずに死骸を調査していた。
「う~んっ……鱗は完全に焼け崩れていますね。どうしようもなさそうですし、牙と爪ぐらいしか回収できそうにないですね。ふんぬっ!!」
ワイバーンの死骸から金目に変えられそうな素材を探し、必死に爪を引き抜こうとする彼女の姿にレアは呆れるが、シルフィアは彼女の行動に不思議がる。
「あの女性はどうして龍の死体を恐れずに調べているのでしょうか?魔素は確認されていないとはいえ、危険な行為です。今すぐに止めましょう」
「魔素?」
「まさか、魔素を知らないのですか!?」
シルフィアの言葉にレアは不思議そうに聞き返すと、彼女は信じられないとばかりに驚いた声を上げる。だが、レアは「龍殺しの英雄」の物語の設定を思い出し、彼女の語る「魔素」の存在を思い出した。
※次回の更新は1月26日です。
「異世界……?ここはアースの世界ではないのですか?」
「アース……龍殺しの英雄の舞台の世界の事か」
「龍殺しの英雄?」
「ああ、そこから説明しないといけないのか……ええっと、どういえばいいのかな」
レアの言葉にシルフィアは不思議そうな表情を浮かべ、レアはここが彼女の住んでいた世界ではない事から説明を行う。
「えっと、教える前に聞きたいことがあるんだけど、一先ず聞きたいのは貴女の名前はシルフィアで間違いないですか?」
「はい。私の名前はシルフィアで間違いありません。しかし、どうして貴方が私の名前を?」
「名前以外にもいろいろ知ってるよ。何気に一番印象深いキャラクターだったから……」
「どういう意味でしょうか?レアさんは私の事を知っているのですか?」
名乗っても居ないのに自分の名前を知っていたレアにシルフィアは疑問を抱くと、そんな彼女の表情から察してレアは自分が怪しまれている事に気付き、仕方なく彼は拾い上げた拳銃に視線を向け、一先ずは自分の能力を見せる事にした。
「これを見て」
「はい」
「ここをこんな風にすると……ほら、直った」
「えっ?」
シルフィアの目の前でレアは拳銃に解析と文字変換の能力を利用して修復を行い、先ほどまで銃口が曲がっていたはずの拳銃が光り輝き、新品同然の状態でレアの掌に収まっていた。その光景にシルフィアは目を丸くし、彼の手元に握りしめられている拳銃に視線を向ける。
「この光は……それに銃口が修復している?一体どういう……」
「そのまま見ててね。もっと凄い事をするから」
「は、はい」
レアが修復した拳銃の弾倉から弾丸を引き抜くと、自動的に新しい弾丸が装填される光景にシルフィアは目を見開くが、更にレアは引き抜いた弾丸を見せつけ、手元を操作して弾丸を別の物体に変化させた。
「どう?」
「こ、これは……!?」
「確か、君の好きな花だったよね」
弾丸を変化させて作り出したのは漫画の設定上ではシルフィアが好む「アサガオ」に変化させ、彼女に差し出す。シルフィアは戸惑いながらもその花を受け取り、香りを嗅いで本物の植物である事に気付く。
「信じられません……確かにこれは本物の花です。でも、どういう事ですか?金属を植物に変換させる能力なんて聞いた事がありません。私の友人に植物を操る能力を持つ人もいますが、弾丸を花に作り替えるなんて真似はとても……」
「ロザリアの事?あのドリル頭が特徴的な……」
「彼女を知っているのですか?」
「知っているだけ……だけどね」
自分の事だけではなく、仲間である「ロザリア」の存在を知っているレアにシルフィアは警戒心を抱いたように無意識に距離を取るが、そんな彼女にレアは新しい弾丸を取り出し、今度は掌を空に掲げて別の生き物に変化させた。
「ほらっ」
「なっ!?」
シルフィアの目にはレアが何もない空間に向けて空いている方の手を伸ばし、指を動かす動作をした瞬間、彼の手元の弾丸が今度は「青色の小鳥」に変化して空を飛ぶ。即座にシルフィアは空を移動する小鳥に視線を向け、本物の生き物である事を見抜く。植物だけではなく、動物を作り出したレアに彼女は動揺を隠せない。
「これが俺の能力……まあ、簡単に言えば物体を別の物体に作り替える能力かな」
「物体……物質変換という事でしょうか?」
「そうそう、そんな感じ」
「なるほど、そういう事でしたか。しかし、この能力と私がこの世界に訪れた事と何か関係があるのですか?」
レアの能力の本質を理解したシルフィアは感心した表情を浮かべるが、どうして自分にその能力を見せたのか疑問を抱き、レアに問い質す。だが、レアはどのように説明すればいいのか悩み、結局は正直に自分の行動を白状した。
「その前にお礼を言わせてほしい。さっきのワイバーン……いや、あのでかい生き物から俺達を救ってくれたのはシルフィア……さんですよね?」
「あの新型の龍の事でしょうか?」
二人はワイバーンに死骸に視線を向けると、そこにはイリスが興味深そうにワイバーンの死骸を漁る姿があり、完全に焼き尽くされているとはいえ、貴重な竜種の素材を回収出来ないのかを試しているらしく、彼女は身体が汚れる事も気にせずに死骸を調査していた。
「う~んっ……鱗は完全に焼け崩れていますね。どうしようもなさそうですし、牙と爪ぐらいしか回収できそうにないですね。ふんぬっ!!」
ワイバーンの死骸から金目に変えられそうな素材を探し、必死に爪を引き抜こうとする彼女の姿にレアは呆れるが、シルフィアは彼女の行動に不思議がる。
「あの女性はどうして龍の死体を恐れずに調べているのでしょうか?魔素は確認されていないとはいえ、危険な行為です。今すぐに止めましょう」
「魔素?」
「まさか、魔素を知らないのですか!?」
シルフィアの言葉にレアは不思議そうに聞き返すと、彼女は信じられないとばかりに驚いた声を上げる。だが、レアは「龍殺しの英雄」の物語の設定を思い出し、彼女の語る「魔素」の存在を思い出した。
※次回の更新は1月26日です。
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