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廃墟編
廃墟からの脱出手段
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「やっと身体を休められるな……でも、これからどうしよう」
文字変換と解析の能力を使用すれば食料と水は確保出来る事が証明されたが、他にも問題は山積みである。一つ目は魔物に対抗するために本格的に武器の類を入手する必要があり、こちらの方も食料と同様に文字変換の能力を利用すれば作り出せる可能性は十分に高い。
二つ目に問題なのはレアは自分が何処に存在するのか分からないという点であり、帝国から別の場所に飛ばされた事は確かだが、それ以外に関しては何も情報がない。下手をしたら世界の反対側に転移した可能性も否定できない。
「一先ずはここから抜け出さないと……この廃墟を抜け出した後の事も考えないといけないし、人間に出会えるといいけどな」
仮に人間の街を発見したとしても問題は残っており、まずはこちらの世界の金銭を彼は所持していない。しかも人間の街を発見するまでの間に他の魔物に襲われる事は間違いなく、いくらステータスを改竄して驚異的な能力を持っていると言っても当てもなく街の外を彷徨うのは危険すぎる。
「街に辿り着いたら情報収集もしないといけないし、そもそもここから脱出できるのかな」
大量のゴブリンが救う廃墟に飛ばされた事は不運としか言いようがないが、生き残るためには本格的な武器を手に入れる必要がり、色々と考えた末にレアは地面に放置されていたナイフを改造する事を決めた。
「勝手に使っていいのかな……後で持ち主が来たら謝ろう」
『ナイフ――鉄製の刃物 状態:刃が錆びている』
元々は解体用のナイフだと思われるが、レアはナイフを握りしめながら「解析」の能力を発動させ、内容を確認すると刃の部分が錆び付いている事が発覚し、まずは状態の項目を変化させる。
「こんな感じかな」
『ナイフ――鉄製の解体用のナイフ 状態:普通』
状態の項目の文章を変換させた瞬間、彼の目の前でナイフの刃の部分が発光し、錆び付いていた刃が研ぎ直されたように綺麗な状態に変化する。それを確認したレアはナイフを握りしめ、普段は包丁ぐらいしか刃物を扱わないので彼は違和感を覚えながらも武器を手に入れたことを喜ぶ。
「だけどリーチが短いな。軍人じゃあるまいし、俺に扱いこなせるかな」
ナイフの刃の長さは15センチ程度しか存在せず、戦闘の達人ならば自由に扱いこなせるかも知れないが、現実世界では一般人だったレアが扱えるはずがない。
「別の刃物に換えてみるか。えっと……これでどうかな」
『日本刀――名刀 状態:頑丈』
文字変換の能力を発動させた瞬間、彼が握りしめているナイフが光り輝き、刀身が一気に70センチ近くまで伸びる。更に柄の部分も変化が生じ、ご丁寧にも鞘まで取り付けられた状態の「日本刀」が誕生した。
「おお、これは便利そうだな。リーチが長いし、木刀なら使った事もあるし」
子供の頃に嵌まった漫画の主人公が木刀を使っていた事もあり、レアは中学の修学旅行の時に訪れた京都で木刀を買った事もある。遊び半分で友達と買った代物だが、中学の頃は毎日のように木刀を振っていた事を思い出す。こんな事態に陥るのならば遊びでは済まさずに剣道部に入部するべきだったと後悔しながらも彼は日本刀を引き抜く。
「あれ?思ったより全然軽いな。あ、腕力の能力値を上げたせいか」
金属製の日本刀の重量にレアは違和感を覚えるが、即座に自分の能力値が上昇している事を思い出し、彼は日本刀を軽く振り回す。
「せいっ!!はあっ!!」
掛け声と共に刀を振り抜いた瞬間、普通の人間ならば有り得ない速度で刃が空を切る。あまりに軽すぎるので武器として扱えるのか不安を抱き、レアはSPを消費して剣士の戦技を探す。
「何か便利なスキルはないかな……お、これは良さそうだな」
『剣術(技能)――刀剣の技術が向上する』
『疾風剣(戦技)――速度に特化した斬撃を繰り出す』
未収得のスキルの中から彼は自分の武器と相性が良さそうなスキルを発見し、即座に習得する。
「能力も大分強化されてきたな。よし、まずは疾風剣を試してみるか」
日本刀を握りしめた状態でレアは新しく覚えた「戦技」を発動させるため、周囲に邪魔な存在がない場所に移動して剣の戦技を発動させた。
「疾風剣!!」
次の瞬間、レアの手元が残像が生み出される速度で動き、正面に向けて刃を振り下ろす。その速度に彼は驚く一方、彼は更に熟練度を上昇させればどれ程の威力を引き出せるのか気にかかり、試しに「疾風剣」の熟練度を「3」まで上昇させる。
「どうなるのかな……まさか斬撃だけで真空波みたいのが出たりして」
日本刀を握りしめながら彼は前方に視線を向け、緊張しながらもレアは前方に向けて戦技を発動させた。
「疾風剣!!」
――次の瞬間、レアの両手が残像さえも残さない速度で動き出し、前方に向けて3回の斬撃を繰り出す。その剣速の余波だけでカマイタチのような風圧が発生し、床や壁に切り傷が生まれるのと同時にレアの身体が前のめりに倒れ込む。
「うわぁっ!?」
予想外の剣速に彼は身体が耐え切れずに転んでしまい、日本刀を手放してしまう。慌てて立ち上がり、自分の傍に抜き身の日本刀が落ちている事にレアは冷や汗を流し、危うく身体を切るところだった。
「いったぁっ……危なかったな。ちょっと熟練度を上げ過ぎたかな……武器を扱う戦技を使う時は気を付けないとな」
落ちた日本刀を拾い上げて鞘に戻し、彼は溜息を吐きながら座り込む。肉体の疲労は回復したが、精神的な疲労までは回復できない。
「うん、普通に刀は危ないな。止めとこう」
色々と考えた結果、レアは日本刀を鞘に納めて別の武器を作り出す事にした。幾ら木刀を扱っていた経験があるとはいえ、正式に誰かの指導を受けていたわけではないので、彼は仕方なく別の武器の制作を考える。解析と文字変換の能力を扱えば大抵の物は作り出せる事は判明し、彼はどのような武器ならば効率よく魔物を倒す方法を考える。
「拳銃とか作り出せないかな?」
拳銃を扱った事はないが、FPSのゲームなどではよく利用しており、ゲームのキャラクターのように上手く使いこなせる自信はないが、もしも作り出す事が出来れば日本刀よりも心強い武器が手に入る。レアは拳銃を作り出すため、適当に自分の周囲に存在する物体を探していると、地面に光り輝く物が落ちている事に気付く。
「お、これがいいかも」
椅子の下に落ちていた「銅貨」を数枚発見し、この世界の通貨だと思われるが、銅貨の表面には見た事もない老人の顔が刻まれていた。価値はどれくらい存在するのかは不明だが、彼は銅貨を利用して武器を作り出す。
『銅貨――銅製の通貨 状態:使用可能』
「使用可能って何だよ。ああ、お金として使えるかどうかを示しているのかな?」
随分と簡素な説明文にレアは呆れながらも文字変換の能力を発動させ、ついでに状態の項目にも変化を加える。
『拳銃――リボルバー式のハンドガン 状態:弾数は無限』
「どうだっ!?」
説明文に具体的な拳銃の種類と項目の部分には弾数を無限にさせる文字に変換させると、上手く成功したのかレアの手元に存在した銅貨が光り輝き、やがて拳銃が手元に現れた。
「おおっ、成功した?」
拳銃に作り替えるのは成功したが、試しにレアは安全装置を外し、本当に武器として利用できるのかを試す為に外に出る。拳銃の発砲音を聞きつけてゴブリンが現れる事を考慮し、教会から十分に離れた建物まで移動を行う。
「この街、相当に広いな。これぐらい離れればいいかな……」
街にどの程度のゴブリンが生息しているのかは分からないが、教会から300メートル程離れた場所に移動すると、レアは拳銃を握りしめる。銃の使い方はゲーム等でしか知らないが、安全装置を外した後、引金に指を構えて標的物を探す。
「的はどうしようかな。あ、あれにするか」
拳銃の試し打ちのためにレアは元々はこの街の噴水が存在する広場だったと思われる場所に辿り着き、昔は水が流れていたと思われる噴水には人間の銅像が建てられていた。銅像に対して拳銃の試し撃ちを行うのは罰当たりかも知れないが、生き残るために彼は拳銃の威力を彼は確かめる必要があった。
「当たったらごめんなさい……こうかな?」
映画の登場人物のように拳銃を構えたレアは銃口を定め、銅像から10メートル程離れた位置にて拳銃を向ける。銃の反動はどの程度なのか確かめる必要があり、外れても構わないので彼は発砲する。
「ここっ!!」
狙いを定めて銃を発砲した瞬間、彼の身体に軽い衝撃が走り、見事に頭部に的中していたのか眉間の部分に弾丸が食い込んでいた。
「お、おおっ……上手く行くもんだな。ちょっとうるさいけど……」
能力値を上昇していたお陰なのか彼の予想に反して銃の反動による影響は少なく、銅像に減り込んだ弾丸を確認して殺傷能力は十分に存在する事を確信する。発砲音が大きすぎるのが難点だが、これさえあればゴブリンにも十分に対抗できるのは間違いない。
「弾丸の方は……お、本当に無限なのかな?」
リボルバーを確認すると6発式らしく、全ての弾丸が装填された状態だった。眉間に存在する弾丸は減り込んだままなので本来ならば弾数の数が減っているはずだが、状態の項目に「弾数無限」という文字を書き加えていたせいか、文字通りに拳銃の弾丸は発砲しても自動的に装填されるらしい。
「弾丸を取ったらどうなるのかな……うわ、勝手に新しいのが出てきた」
弾丸を手動で取り出すと、数秒後に弾倉が光り輝き、新しい弾丸が装填された状態で出現する。それを確認したレアは驚きながらも自分が取り出した弾丸は消えていない事に気付き、試しに弾丸を抜いた後に別の弾丸を装填した場合は何も起きない事が発覚する。
「お、これいいな。文字変換の良い道具になりそう」
『弾丸――拳銃の弾丸 状態:使用可能』
拳銃の弾倉から弾丸を無限に引き抜ける事が発覚し、文字変換の道具の材料として利用できる事に気付いたレアは何発かの弾丸をポケットに入れる。あまり持ち歩きたくはない代物だが、何かに使えるかもしれないので彼は拳銃をしまうホルスターも序に文字変換の能力で作り出した。
文字変換と解析の能力を使用すれば食料と水は確保出来る事が証明されたが、他にも問題は山積みである。一つ目は魔物に対抗するために本格的に武器の類を入手する必要があり、こちらの方も食料と同様に文字変換の能力を利用すれば作り出せる可能性は十分に高い。
二つ目に問題なのはレアは自分が何処に存在するのか分からないという点であり、帝国から別の場所に飛ばされた事は確かだが、それ以外に関しては何も情報がない。下手をしたら世界の反対側に転移した可能性も否定できない。
「一先ずはここから抜け出さないと……この廃墟を抜け出した後の事も考えないといけないし、人間に出会えるといいけどな」
仮に人間の街を発見したとしても問題は残っており、まずはこちらの世界の金銭を彼は所持していない。しかも人間の街を発見するまでの間に他の魔物に襲われる事は間違いなく、いくらステータスを改竄して驚異的な能力を持っていると言っても当てもなく街の外を彷徨うのは危険すぎる。
「街に辿り着いたら情報収集もしないといけないし、そもそもここから脱出できるのかな」
大量のゴブリンが救う廃墟に飛ばされた事は不運としか言いようがないが、生き残るためには本格的な武器を手に入れる必要がり、色々と考えた末にレアは地面に放置されていたナイフを改造する事を決めた。
「勝手に使っていいのかな……後で持ち主が来たら謝ろう」
『ナイフ――鉄製の刃物 状態:刃が錆びている』
元々は解体用のナイフだと思われるが、レアはナイフを握りしめながら「解析」の能力を発動させ、内容を確認すると刃の部分が錆び付いている事が発覚し、まずは状態の項目を変化させる。
「こんな感じかな」
『ナイフ――鉄製の解体用のナイフ 状態:普通』
状態の項目の文章を変換させた瞬間、彼の目の前でナイフの刃の部分が発光し、錆び付いていた刃が研ぎ直されたように綺麗な状態に変化する。それを確認したレアはナイフを握りしめ、普段は包丁ぐらいしか刃物を扱わないので彼は違和感を覚えながらも武器を手に入れたことを喜ぶ。
「だけどリーチが短いな。軍人じゃあるまいし、俺に扱いこなせるかな」
ナイフの刃の長さは15センチ程度しか存在せず、戦闘の達人ならば自由に扱いこなせるかも知れないが、現実世界では一般人だったレアが扱えるはずがない。
「別の刃物に換えてみるか。えっと……これでどうかな」
『日本刀――名刀 状態:頑丈』
文字変換の能力を発動させた瞬間、彼が握りしめているナイフが光り輝き、刀身が一気に70センチ近くまで伸びる。更に柄の部分も変化が生じ、ご丁寧にも鞘まで取り付けられた状態の「日本刀」が誕生した。
「おお、これは便利そうだな。リーチが長いし、木刀なら使った事もあるし」
子供の頃に嵌まった漫画の主人公が木刀を使っていた事もあり、レアは中学の修学旅行の時に訪れた京都で木刀を買った事もある。遊び半分で友達と買った代物だが、中学の頃は毎日のように木刀を振っていた事を思い出す。こんな事態に陥るのならば遊びでは済まさずに剣道部に入部するべきだったと後悔しながらも彼は日本刀を引き抜く。
「あれ?思ったより全然軽いな。あ、腕力の能力値を上げたせいか」
金属製の日本刀の重量にレアは違和感を覚えるが、即座に自分の能力値が上昇している事を思い出し、彼は日本刀を軽く振り回す。
「せいっ!!はあっ!!」
掛け声と共に刀を振り抜いた瞬間、普通の人間ならば有り得ない速度で刃が空を切る。あまりに軽すぎるので武器として扱えるのか不安を抱き、レアはSPを消費して剣士の戦技を探す。
「何か便利なスキルはないかな……お、これは良さそうだな」
『剣術(技能)――刀剣の技術が向上する』
『疾風剣(戦技)――速度に特化した斬撃を繰り出す』
未収得のスキルの中から彼は自分の武器と相性が良さそうなスキルを発見し、即座に習得する。
「能力も大分強化されてきたな。よし、まずは疾風剣を試してみるか」
日本刀を握りしめた状態でレアは新しく覚えた「戦技」を発動させるため、周囲に邪魔な存在がない場所に移動して剣の戦技を発動させた。
「疾風剣!!」
次の瞬間、レアの手元が残像が生み出される速度で動き、正面に向けて刃を振り下ろす。その速度に彼は驚く一方、彼は更に熟練度を上昇させればどれ程の威力を引き出せるのか気にかかり、試しに「疾風剣」の熟練度を「3」まで上昇させる。
「どうなるのかな……まさか斬撃だけで真空波みたいのが出たりして」
日本刀を握りしめながら彼は前方に視線を向け、緊張しながらもレアは前方に向けて戦技を発動させた。
「疾風剣!!」
――次の瞬間、レアの両手が残像さえも残さない速度で動き出し、前方に向けて3回の斬撃を繰り出す。その剣速の余波だけでカマイタチのような風圧が発生し、床や壁に切り傷が生まれるのと同時にレアの身体が前のめりに倒れ込む。
「うわぁっ!?」
予想外の剣速に彼は身体が耐え切れずに転んでしまい、日本刀を手放してしまう。慌てて立ち上がり、自分の傍に抜き身の日本刀が落ちている事にレアは冷や汗を流し、危うく身体を切るところだった。
「いったぁっ……危なかったな。ちょっと熟練度を上げ過ぎたかな……武器を扱う戦技を使う時は気を付けないとな」
落ちた日本刀を拾い上げて鞘に戻し、彼は溜息を吐きながら座り込む。肉体の疲労は回復したが、精神的な疲労までは回復できない。
「うん、普通に刀は危ないな。止めとこう」
色々と考えた結果、レアは日本刀を鞘に納めて別の武器を作り出す事にした。幾ら木刀を扱っていた経験があるとはいえ、正式に誰かの指導を受けていたわけではないので、彼は仕方なく別の武器の制作を考える。解析と文字変換の能力を扱えば大抵の物は作り出せる事は判明し、彼はどのような武器ならば効率よく魔物を倒す方法を考える。
「拳銃とか作り出せないかな?」
拳銃を扱った事はないが、FPSのゲームなどではよく利用しており、ゲームのキャラクターのように上手く使いこなせる自信はないが、もしも作り出す事が出来れば日本刀よりも心強い武器が手に入る。レアは拳銃を作り出すため、適当に自分の周囲に存在する物体を探していると、地面に光り輝く物が落ちている事に気付く。
「お、これがいいかも」
椅子の下に落ちていた「銅貨」を数枚発見し、この世界の通貨だと思われるが、銅貨の表面には見た事もない老人の顔が刻まれていた。価値はどれくらい存在するのかは不明だが、彼は銅貨を利用して武器を作り出す。
『銅貨――銅製の通貨 状態:使用可能』
「使用可能って何だよ。ああ、お金として使えるかどうかを示しているのかな?」
随分と簡素な説明文にレアは呆れながらも文字変換の能力を発動させ、ついでに状態の項目にも変化を加える。
『拳銃――リボルバー式のハンドガン 状態:弾数は無限』
「どうだっ!?」
説明文に具体的な拳銃の種類と項目の部分には弾数を無限にさせる文字に変換させると、上手く成功したのかレアの手元に存在した銅貨が光り輝き、やがて拳銃が手元に現れた。
「おおっ、成功した?」
拳銃に作り替えるのは成功したが、試しにレアは安全装置を外し、本当に武器として利用できるのかを試す為に外に出る。拳銃の発砲音を聞きつけてゴブリンが現れる事を考慮し、教会から十分に離れた建物まで移動を行う。
「この街、相当に広いな。これぐらい離れればいいかな……」
街にどの程度のゴブリンが生息しているのかは分からないが、教会から300メートル程離れた場所に移動すると、レアは拳銃を握りしめる。銃の使い方はゲーム等でしか知らないが、安全装置を外した後、引金に指を構えて標的物を探す。
「的はどうしようかな。あ、あれにするか」
拳銃の試し打ちのためにレアは元々はこの街の噴水が存在する広場だったと思われる場所に辿り着き、昔は水が流れていたと思われる噴水には人間の銅像が建てられていた。銅像に対して拳銃の試し撃ちを行うのは罰当たりかも知れないが、生き残るために彼は拳銃の威力を彼は確かめる必要があった。
「当たったらごめんなさい……こうかな?」
映画の登場人物のように拳銃を構えたレアは銃口を定め、銅像から10メートル程離れた位置にて拳銃を向ける。銃の反動はどの程度なのか確かめる必要があり、外れても構わないので彼は発砲する。
「ここっ!!」
狙いを定めて銃を発砲した瞬間、彼の身体に軽い衝撃が走り、見事に頭部に的中していたのか眉間の部分に弾丸が食い込んでいた。
「お、おおっ……上手く行くもんだな。ちょっとうるさいけど……」
能力値を上昇していたお陰なのか彼の予想に反して銃の反動による影響は少なく、銅像に減り込んだ弾丸を確認して殺傷能力は十分に存在する事を確信する。発砲音が大きすぎるのが難点だが、これさえあればゴブリンにも十分に対抗できるのは間違いない。
「弾丸の方は……お、本当に無限なのかな?」
リボルバーを確認すると6発式らしく、全ての弾丸が装填された状態だった。眉間に存在する弾丸は減り込んだままなので本来ならば弾数の数が減っているはずだが、状態の項目に「弾数無限」という文字を書き加えていたせいか、文字通りに拳銃の弾丸は発砲しても自動的に装填されるらしい。
「弾丸を取ったらどうなるのかな……うわ、勝手に新しいのが出てきた」
弾丸を手動で取り出すと、数秒後に弾倉が光り輝き、新しい弾丸が装填された状態で出現する。それを確認したレアは驚きながらも自分が取り出した弾丸は消えていない事に気付き、試しに弾丸を抜いた後に別の弾丸を装填した場合は何も起きない事が発覚する。
「お、これいいな。文字変換の良い道具になりそう」
『弾丸――拳銃の弾丸 状態:使用可能』
拳銃の弾倉から弾丸を無限に引き抜ける事が発覚し、文字変換の道具の材料として利用できる事に気付いたレアは何発かの弾丸をポケットに入れる。あまり持ち歩きたくはない代物だが、何かに使えるかもしれないので彼は拳銃をしまうホルスターも序に文字変換の能力で作り出した。
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