16 / 39
人間の国
第16話 最後の仕掛け
しおりを挟む
「――アイリスちゃん、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。ロプス君はナイトさんの友達なんですから、ちゃんと役目を果たしてくれますよ」
「う~ん……それならいいんだけど」
川の向こう岸にてアイリスとライラはナイト達の様子を観察していた。二人とも双眼鏡越しにロプスの動向を伺う。
アイリスがロプスを呼び出したのは「悪役」を勤めてもらうためであり、彼の役割は狂暴な魔族のふりをしてハルカに襲い掛かり、それをナイトが阻止すればハルカは彼に恩を感じ、お互いの距離がより縮まると確信していた。
「私の見立てではハルカさんは陥落寸前ですね。最初は嫌っていた男の子が何度も自分を助けてくれたら女の子なら意識しないはずがありません」
「……もしかして選定の儀式に派手な光を放ったのはわざとだったの?」
「ええ、あの時は敢えてナイトさんが嫌われるように仕組みました。好きの反対は無感情と言いますし、あの時はどんな形でもいいのでハルカさんに強い印象を抱かせる必要があったんです」
「流石はアイリスちゃん、性悪魔王のあだ名は伊達じゃないわね」
「何ですかその不名誉な渾名は!?私ってそんな風に呼ばれてたんですか!?」
自分の渾名を初めて知ってアイリスはショックを受けるが、ここまでは彼女の思惑通りに事は進んでいた。草原で襲い掛かった「ボア」も森で襲撃してきた「ゴブリン」と「ホブゴブリン」も偶然現れたのではなく、ナイトがハルカに信頼されるために用意したアイリスの仕掛けだった。
「ナイトさんに作戦を伝えなかったのが功を奏しましたね。もしも事前に襲われる事を把握していたら、ナイトさんの性格的に考えてハルカさんに罪悪感を抱いてまともに話す事もできなかったでしょうね」
「それはそうかもしれないけど、最後にロプスちゃんを呼び出すのはやり過ぎじゃない?ナイトちゃんだって今までの事がアイリスちゃんの仕業だと気付いちゃうでしょう」
「まあ、いいじゃないですか。これからしばらくの間はナイトさんは戻れないんですし、お別れをさせてあげましょう」
「もう、変な所で優しさを見せるんだから……」
ナイトは勇者学園に入学する以上は魔王領には当分は戻れず、ロプスと次に会えるのは何時になるか分からない。だからアイリスはロプスを連れてきたのだが、彼女の思いやりが思わぬ事態を引き起こす――
――橋を封鎖するサイクロプスの正体が親友のロプスだと気付いたナイトは冷や汗が止まらず、その一方でロプスは久々に会えたナイトに嬉しそうに両手を上げる。
「キュロロッ♪」
「ロ、ロプス君久しぶり……俺も敢えて嬉しいよ」
「キュロロロッ!!」
喜びのあまりにロプスは胸板を何度も拳で叩き、その光景は傍から見ればナイトに対して威嚇をしているようにしか見えない。遠くから様子を伺っていたハルカと商団の人間達は話し合う。
「ど、どうしますか?今のうちに逃げるしか……」
「馬鹿を言え!!あんな子供を見捨てて逃げるつもりか!?」
「だけど、俺達に何ができるんだよ!?相手はあの恐ろしい一つ目の巨人なんだぞ!!」
「くそっ、せめて役立つ物があれば……」
「ナイト君……あ、そうだ!!」
ハルカはナイトが荷物を馬車に置いてきた事を思い出し、彼女は急いでナイトの収納鞄を持ち出す。
「確かこの中に入れてたような……えっと、欲しい物を頭に浮かべて鞄の中に手を入れるといいんだっけ?」
ナイトと雑談していた時に収納鞄の使い方を教わったハルカは鞄の中に手を入れると、自分が望む物を頭に思い浮かべる。そして鞄から手を抜くとナイトの「スリングショット」を手にしていた。
「あった!!これを使ってあの怪物の注意を引けばナイト君を助けられるかも……」
スリングショットを手に入れたハルカはナイトの収納鞄を背負って外に飛び出す。今の所はサイクロプスは何故か大人しくしているが、もしもナイトに襲い掛かれば今度はハルカが助ける番だった。
(ナイト君待っててね!!今度は私が役に立つから!!)
これまでナイトに何度も救われたためにハルカは恩返しをしたいと思い、彼の役に立つためにナイトの元に向かう――
――その頃、ナイトはロプスから事情を聞いていた。ゴンゾウやライラと違ってロプスはまだ人間の言葉を話せないが、ジェスチャーを交えて意思疎通を行える。
「キュロッ、キュロロッ」
「ふむふむ、つまり魔王様に頼まれて俺に会いに来たんだね?」
「キュロロッ」
「なるほど、自分が悪者のふりをすれば俺が喜ぶと聞いてずっとここで待ってたけど、中々来ないから眠っていたというわけか……」
ロプスからここまでの経緯を知らされ、ナイトがアイリスの企みに気付いた。予想通りにこれまで襲って来た魔物も全てアイリスの仕業であると知り、深いため息を吐く。
(魔王様、また良からぬことを考えたな……もしも俺がハルカを守り切れなかったらどうするつもりだったんだろう?)
一応はアイリスも万が一の場合に備えてナイト達が魔物に襲われた時に傍に居たのだが、彼女とライラは特殊な方法で魔力を完璧に消していたのでナイトの魔力感知でも捉える事はできなかった(尤も二人ともナイトを信頼しているので彼がボアやゴブリン程度の魔物に後れを取るなど微塵も心配してなかったが)。
他の人間に怪しまれる前にロプスを一刻も早く逃がす必要があり、彼に適当にやられたふりをして帰るように伝える。
「ロプス君、久々に会えて嬉しいけど今は魔王様の元に早く帰った方が良いよ。今度会う時はいっぱい遊んであげるから、今日の所は戻ってくれる?」
「キュロロッ……」
「そんなに寂しそうな顔しないでよ。俺だってロプス君と別れるのは辛いんだからさ……ほら、最後に抱きしめてあげるから」
「キュロロッ♪」
ナイトとの別れを惜しむロプスは最後に彼を抱き締めようと近付く。しかし、両腕を広げてナイトに迫る姿はまるで彼を襲い掛かろうとしているようにしか見えず、様子を伺っていた人間達が騒ぎ出す。
「ま、まずいぞ!!あのサイクロプスに捕まっちまう!!」
「早く何とかしないと本当に殺されるぞ!?」
「しかし、どうすれば……」
「ナイト君!!こっちだよ!!」
大人達がみっともなく騒ぐ中、自分の杖とスリングショットを手にしたハルカが駆けつける。ナイトは彼女の声に驚いて振り返ると、ロプスが後ろからナイトを抱き上げる形になった。
「キュロロッ♪」
「うわっ!?」
「ナ、ナイト君!?今助けるからね!!」
ロプスに後ろから抱き上げられたナイトを見てハルカは彼が捕まったと勘違いし、先のボアとの戦闘で利用した「ライト」の魔法を利用した目眩ましを思いつく。
「ナイト君、目を閉じて!!」
「ちょっ!?それはまずいよ!!」
「キュロッ?」
杖を構えたハルカを見てナイトは本気で焦った表情を浮かべるが、彼女はもう魔法を発動させてしまった。
「聖なる光よ、闇を照らしたまえ……ライト!!」
「ギュロロロッ!?」
「うわわっ!?」
杖先から閃光が放たれ、強烈な光を浴びたサイクロプスはナイトを手放してしまう。ナイトは光が放たれる寸前に目を閉じたので助かったが、目眩ましを受けたロプスを見て顔色を青ざめる。
ハルカとしてはナイトを助けるつもりで魔法を使ったのだろうが、最悪の事態を引き起こす。サイクロプスはたった一つしかない眼を刺激されると、怒りのあまりに暴れ狂う習性を持つ。
――ギュロロロロッ!!
完全に頭に血が上ったロプスは瞼を見開き、充血した眼でハルカを睨みつける。あまりの迫力にハルカは悲鳴を上げる事もできずに腰を抜かしてしまう。ボアやホブゴブリンとは比べ物にならない迫力を放つロプスに彼女は震え上がる。
「あ、ああっ……」
「ハルカ!!逃げろ、早く逃げるんだ!!」
「ギュロロッ!!」
切れたロプスは親友であるナイトの言葉も耳に届かず、自分に閃光を放ったハルカの元に向かう。
「ロプス君!!落ち着いて……うわぁっ!?」
「ギュロロロッ!!」
「ひいっ!?」
自分に飛び掛かってきたナイトに対してロプスは無造作に腕を振り払い、ミノタウロスのゴンゾウを上回る膂力でナイトは吹き飛ばされる。
(まずい!?受け身を取らないと……)
咄嗟の事だったので流拳を発動させる暇もなく、ナイトは地面に叩きつけられる。どうにか受け身を取って衝撃を最小限に抑えたが、それでも身体中に痛みが走って上手く動けない。
(くそっ……ロプス君にやられるのなんて何時ぶりだ?)
戦いを好まないロプスはゴンゾウと違ってナイトと訓練は行わず、子供の頃から喧嘩などしたことはなかった。だが、暴走したロプスを放ってはおけず、ナイトはハルカに逃げるように促す。
「ハ、ハルカ!!早く逃げろ……殺されるぞ!!」
「だ、駄目……腰が抜けて動けないの」
「くそっ……ロプス君、止めろ!!」
「ギュロロッ!!」
ロプスはナイトの言葉が聞こえていないのかハルカの元に迫り、このままでは彼女の身が危ない。ナイトはどうにかハルカを救おうとするが、身体が痺れてまともに動けない。
(くそっ!!またこれを頼るしかないのか!?)
人前での使用は控えたかったが、ナイトはハルカを救うためにサキュバスの指輪を手にした。これを使えばナイトは変身してハルカを助けられるかもしれないが、他の人間に正体を知られてしまう。しかし、今は迷っている暇はなかった。
「大丈夫ですよ。ロプス君はナイトさんの友達なんですから、ちゃんと役目を果たしてくれますよ」
「う~ん……それならいいんだけど」
川の向こう岸にてアイリスとライラはナイト達の様子を観察していた。二人とも双眼鏡越しにロプスの動向を伺う。
アイリスがロプスを呼び出したのは「悪役」を勤めてもらうためであり、彼の役割は狂暴な魔族のふりをしてハルカに襲い掛かり、それをナイトが阻止すればハルカは彼に恩を感じ、お互いの距離がより縮まると確信していた。
「私の見立てではハルカさんは陥落寸前ですね。最初は嫌っていた男の子が何度も自分を助けてくれたら女の子なら意識しないはずがありません」
「……もしかして選定の儀式に派手な光を放ったのはわざとだったの?」
「ええ、あの時は敢えてナイトさんが嫌われるように仕組みました。好きの反対は無感情と言いますし、あの時はどんな形でもいいのでハルカさんに強い印象を抱かせる必要があったんです」
「流石はアイリスちゃん、性悪魔王のあだ名は伊達じゃないわね」
「何ですかその不名誉な渾名は!?私ってそんな風に呼ばれてたんですか!?」
自分の渾名を初めて知ってアイリスはショックを受けるが、ここまでは彼女の思惑通りに事は進んでいた。草原で襲い掛かった「ボア」も森で襲撃してきた「ゴブリン」と「ホブゴブリン」も偶然現れたのではなく、ナイトがハルカに信頼されるために用意したアイリスの仕掛けだった。
「ナイトさんに作戦を伝えなかったのが功を奏しましたね。もしも事前に襲われる事を把握していたら、ナイトさんの性格的に考えてハルカさんに罪悪感を抱いてまともに話す事もできなかったでしょうね」
「それはそうかもしれないけど、最後にロプスちゃんを呼び出すのはやり過ぎじゃない?ナイトちゃんだって今までの事がアイリスちゃんの仕業だと気付いちゃうでしょう」
「まあ、いいじゃないですか。これからしばらくの間はナイトさんは戻れないんですし、お別れをさせてあげましょう」
「もう、変な所で優しさを見せるんだから……」
ナイトは勇者学園に入学する以上は魔王領には当分は戻れず、ロプスと次に会えるのは何時になるか分からない。だからアイリスはロプスを連れてきたのだが、彼女の思いやりが思わぬ事態を引き起こす――
――橋を封鎖するサイクロプスの正体が親友のロプスだと気付いたナイトは冷や汗が止まらず、その一方でロプスは久々に会えたナイトに嬉しそうに両手を上げる。
「キュロロッ♪」
「ロ、ロプス君久しぶり……俺も敢えて嬉しいよ」
「キュロロロッ!!」
喜びのあまりにロプスは胸板を何度も拳で叩き、その光景は傍から見ればナイトに対して威嚇をしているようにしか見えない。遠くから様子を伺っていたハルカと商団の人間達は話し合う。
「ど、どうしますか?今のうちに逃げるしか……」
「馬鹿を言え!!あんな子供を見捨てて逃げるつもりか!?」
「だけど、俺達に何ができるんだよ!?相手はあの恐ろしい一つ目の巨人なんだぞ!!」
「くそっ、せめて役立つ物があれば……」
「ナイト君……あ、そうだ!!」
ハルカはナイトが荷物を馬車に置いてきた事を思い出し、彼女は急いでナイトの収納鞄を持ち出す。
「確かこの中に入れてたような……えっと、欲しい物を頭に浮かべて鞄の中に手を入れるといいんだっけ?」
ナイトと雑談していた時に収納鞄の使い方を教わったハルカは鞄の中に手を入れると、自分が望む物を頭に思い浮かべる。そして鞄から手を抜くとナイトの「スリングショット」を手にしていた。
「あった!!これを使ってあの怪物の注意を引けばナイト君を助けられるかも……」
スリングショットを手に入れたハルカはナイトの収納鞄を背負って外に飛び出す。今の所はサイクロプスは何故か大人しくしているが、もしもナイトに襲い掛かれば今度はハルカが助ける番だった。
(ナイト君待っててね!!今度は私が役に立つから!!)
これまでナイトに何度も救われたためにハルカは恩返しをしたいと思い、彼の役に立つためにナイトの元に向かう――
――その頃、ナイトはロプスから事情を聞いていた。ゴンゾウやライラと違ってロプスはまだ人間の言葉を話せないが、ジェスチャーを交えて意思疎通を行える。
「キュロッ、キュロロッ」
「ふむふむ、つまり魔王様に頼まれて俺に会いに来たんだね?」
「キュロロッ」
「なるほど、自分が悪者のふりをすれば俺が喜ぶと聞いてずっとここで待ってたけど、中々来ないから眠っていたというわけか……」
ロプスからここまでの経緯を知らされ、ナイトがアイリスの企みに気付いた。予想通りにこれまで襲って来た魔物も全てアイリスの仕業であると知り、深いため息を吐く。
(魔王様、また良からぬことを考えたな……もしも俺がハルカを守り切れなかったらどうするつもりだったんだろう?)
一応はアイリスも万が一の場合に備えてナイト達が魔物に襲われた時に傍に居たのだが、彼女とライラは特殊な方法で魔力を完璧に消していたのでナイトの魔力感知でも捉える事はできなかった(尤も二人ともナイトを信頼しているので彼がボアやゴブリン程度の魔物に後れを取るなど微塵も心配してなかったが)。
他の人間に怪しまれる前にロプスを一刻も早く逃がす必要があり、彼に適当にやられたふりをして帰るように伝える。
「ロプス君、久々に会えて嬉しいけど今は魔王様の元に早く帰った方が良いよ。今度会う時はいっぱい遊んであげるから、今日の所は戻ってくれる?」
「キュロロッ……」
「そんなに寂しそうな顔しないでよ。俺だってロプス君と別れるのは辛いんだからさ……ほら、最後に抱きしめてあげるから」
「キュロロッ♪」
ナイトとの別れを惜しむロプスは最後に彼を抱き締めようと近付く。しかし、両腕を広げてナイトに迫る姿はまるで彼を襲い掛かろうとしているようにしか見えず、様子を伺っていた人間達が騒ぎ出す。
「ま、まずいぞ!!あのサイクロプスに捕まっちまう!!」
「早く何とかしないと本当に殺されるぞ!?」
「しかし、どうすれば……」
「ナイト君!!こっちだよ!!」
大人達がみっともなく騒ぐ中、自分の杖とスリングショットを手にしたハルカが駆けつける。ナイトは彼女の声に驚いて振り返ると、ロプスが後ろからナイトを抱き上げる形になった。
「キュロロッ♪」
「うわっ!?」
「ナ、ナイト君!?今助けるからね!!」
ロプスに後ろから抱き上げられたナイトを見てハルカは彼が捕まったと勘違いし、先のボアとの戦闘で利用した「ライト」の魔法を利用した目眩ましを思いつく。
「ナイト君、目を閉じて!!」
「ちょっ!?それはまずいよ!!」
「キュロッ?」
杖を構えたハルカを見てナイトは本気で焦った表情を浮かべるが、彼女はもう魔法を発動させてしまった。
「聖なる光よ、闇を照らしたまえ……ライト!!」
「ギュロロロッ!?」
「うわわっ!?」
杖先から閃光が放たれ、強烈な光を浴びたサイクロプスはナイトを手放してしまう。ナイトは光が放たれる寸前に目を閉じたので助かったが、目眩ましを受けたロプスを見て顔色を青ざめる。
ハルカとしてはナイトを助けるつもりで魔法を使ったのだろうが、最悪の事態を引き起こす。サイクロプスはたった一つしかない眼を刺激されると、怒りのあまりに暴れ狂う習性を持つ。
――ギュロロロロッ!!
完全に頭に血が上ったロプスは瞼を見開き、充血した眼でハルカを睨みつける。あまりの迫力にハルカは悲鳴を上げる事もできずに腰を抜かしてしまう。ボアやホブゴブリンとは比べ物にならない迫力を放つロプスに彼女は震え上がる。
「あ、ああっ……」
「ハルカ!!逃げろ、早く逃げるんだ!!」
「ギュロロッ!!」
切れたロプスは親友であるナイトの言葉も耳に届かず、自分に閃光を放ったハルカの元に向かう。
「ロプス君!!落ち着いて……うわぁっ!?」
「ギュロロロッ!!」
「ひいっ!?」
自分に飛び掛かってきたナイトに対してロプスは無造作に腕を振り払い、ミノタウロスのゴンゾウを上回る膂力でナイトは吹き飛ばされる。
(まずい!?受け身を取らないと……)
咄嗟の事だったので流拳を発動させる暇もなく、ナイトは地面に叩きつけられる。どうにか受け身を取って衝撃を最小限に抑えたが、それでも身体中に痛みが走って上手く動けない。
(くそっ……ロプス君にやられるのなんて何時ぶりだ?)
戦いを好まないロプスはゴンゾウと違ってナイトと訓練は行わず、子供の頃から喧嘩などしたことはなかった。だが、暴走したロプスを放ってはおけず、ナイトはハルカに逃げるように促す。
「ハ、ハルカ!!早く逃げろ……殺されるぞ!!」
「だ、駄目……腰が抜けて動けないの」
「くそっ……ロプス君、止めろ!!」
「ギュロロッ!!」
ロプスはナイトの言葉が聞こえていないのかハルカの元に迫り、このままでは彼女の身が危ない。ナイトはどうにかハルカを救おうとするが、身体が痺れてまともに動けない。
(くそっ!!またこれを頼るしかないのか!?)
人前での使用は控えたかったが、ナイトはハルカを救うためにサキュバスの指輪を手にした。これを使えばナイトは変身してハルカを助けられるかもしれないが、他の人間に正体を知られてしまう。しかし、今は迷っている暇はなかった。
10
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる