上 下
13 / 39
人間の国

第13話 変身の力

しおりを挟む
(畳みかけろ!!ここで倒し切るんだ!!)


ホブゴブリンがふらついている間にナイトは両拳に硬魔を発動させ、顔面を何度も殴りつける。


「うおおおおっ!!」
「グギャギャッ!?」


反撃の隙も与えずにナイトは何度も顔面を殴りつけ、ホブゴブリンは鼻血を噴き出す。その光景を車内で見ていたハルカはナイトの強さに驚く。


「す、凄い!!あんな化物を一方的に……」
「う~ん、ちょっとまずい状況ですね。少し焦り過ぎてますね」
「えっ!?」


頭上から聞こえてきた声にハルカは驚いて見上げると、いつの間にか車の上に見知らぬ女性が立っていた。いったい何処から現れたのかと彼女は戸惑うが、女性はナイトを指差す。


「だ、誰!?」
「どうも初めまして。私は通りすがりの旅人です」
「あ、どうも……じゃなくて、そんなところに居たら危ないよ!?」
「私の事は気にしないでください。それよりもお友達さんが危ないですよ」
「えっ!?」


ハルカは女性の言葉を聞いて驚き、見た限りではナイトが一方的にホブゴブリンを殴りつけているようにしか見えない。しかし、徐々にホブゴブリンの顔色が良くなる。


「グギィイイッ!!」
「うわぁっ!?」
「危ない!?」


脳震盪から回復したのかホブゴブリンは拳を繰り出し、慌ててナイトは頭を下げるとゴブリンの拳が頭上を掠める。もしも反応が遅れていればナイトの頭は吹き飛んでいた。

最初の一撃で脳震盪を引き起こしたまでは良かったが、その後のナイトの攻撃は殆ど通じていなかった。いくら硬魔で固めた拳で殴りつけたとしてもであるナイトの腕力ではホブゴブリンに致命傷を与える事はできなかった。


「そ、そんな……全然効いてないの?」
「このままだと負けちゃうかもしれませんね。貴女の力で何とかできませんか?」
「む、無理だよ!!私は回復魔法しか使えないのに……」
「なら見捨てますか?」
「ううっ!?」


女性の言葉にハルカは口ごもり、自分がナイトの力になれるのならばなんとかしてやりたいが、良い方法が思いつかない。そんな彼女に対して女性は一粒の種を投げ渡す。


「これをあげます」
「え!?な、なにこれ?」
「とある植物の種ですよ。それを使えばあの魔物の動きを止める事ができるかもしれません」
「種って……こんなのどうすればいいの?」
「それは自分で考えてください。ほら、お友達君が危ないですよ」
「えっ!?」


ハルカはナイトの方を振り返ると、ホブゴブリンに両腕を抑えつけられた状態で壁際に追い込まれていた。どうにか掴まれた腕を硬魔で覆う事で握り潰されるのを防いでいた。


「ぐぎぎっ……!?」
「グギギギッ!!」
「た、大変!!何とか助けないと……あれ!?」


ナイトが追いつめられている姿を見てハルカは車から身を乗り出すが、先ほどまでいたはずの女性の姿が消えてしまった。いったい何処に行ったのかは気になるが、今はナイトを助けるために必死に頭を巡らせる。


(さっきの女の人、この種でどうにかしろと言ったけど……こんなのどうすればいいの!?)


女性から貰った種をどう使えばいいのか分からずにハルカは悩む中、ナイトを拘束したホブゴブリンは彼を力尽くで持ち上げる。


「グギィイイッ!!」
「うわぁっ!?」
「ナ、ナイト君!?ええいっ、もうどうにでもなっちゃえっ!!」


ハルカは種を強く握りしめると、ホブゴブリンに目掛けて全力で投げつける。この時に彼女の手が一瞬だけ光り輝き、投げ放たれた種に変化が起きた。


「え~いっ!!」
「ハルカ!?」
「グギィッ!?」


ナイトを持ち上げたホブゴブリンの背中に種が衝突した瞬間、身体に食い込んだ種から芽が出て急速に成長し、ホブゴブリンの全身に植物が纏わりつく。


「グギャアアアッ!?」
「こ、これは……まさか!?」
「ええっ!?」


ホブゴブリンは慌ててナイトを手放すと、自分の身体に纏わりついた蔦の様な植物を引き剥がそうとする。その間にナイトは戦闘態勢を立て直し、車内にいるハルカに話しかけた。


「ハルカ!!車の中にある俺の剣を!!」
「えっ!?」
「早くしてっ!!」
「わ、分かった!!」


ナイトの言葉にハルカは慌てて車の中に戻り、彼が持っていた剣を探す。だが、いくら探してもナイトの剣は見つからない。何故ならばナイトは外に飛び出す際に収納鞄に自分の剣を戻していた。

どうしてハルカに嘘を吐いて彼女を車の中に戻したのかというと、ナイトはハルカに姿を見られるわけにいかなかった。ここまでの戦闘で悔しい事にホブゴブリンに勝つためには今のナイトでは力不足だった。


(こいつを確実に倒すには俺の力が足りない……なら、これに頼るしかないか)


ネックレスに括り付けていた指輪を手にすると、車内からハルカが出てくる前にナイトは指輪を装着した。次の瞬間、彼の身体が光に包まれる。


「グギィッ!?」
「よし、この姿なら……って、何だこの格好!?」


光が消えるとナイトは女性の姿へと変化するが、露出度の激しい格好に変わっていた。事前にライラから特別な素材で構成された衣服と聞かされていたが、変身した途端に女性物の服へと変化した。

指輪の効果でサキュバスの魔力を取り込んだナイトは女性の姿へと変わり果て、この状態の彼は本物のサキュバスと同程度の身体能力を得ている。人間の時と比べて身体が軽くなり、今ならばホブゴブリンでも倒せる気がした。


(服装に関しては後でライラさんに文句を言おう……けど、今はこいつを仕留めるのが先だ!!)


ハルカのお陰でホブゴブリンは蔦のような植物によって拘束され、攻撃を仕掛けるのは今が好機だった。ナイトはホブゴブリンに向かい合い、いざ殴りかかろうとした時に異変に気が付く。


「グ、グギィッ……」
「な、何?」


何故かホブゴブリンはナイトを見た途端に硬直し、様子がおかしい事に気づいたナイトは若干後退ると、ホブゴブリンは奇声を上げて身体に纏わりついていた植物を引きちぎる。


「グギィイイイッ!!」
「ひいっ!?」


ホブゴブリンは酷く興奮した様子で両腕を広げ、虚ろな瞳でナイトを見つめながら涎を垂らす。見られるだけで悪寒を感じたナイトはホブゴブリンの異変の正体に気付く。


(こ、こいつまさか……発情してるのか!?)


ホブゴブリンは魔物ではあるがサキュバスの気配を漂わせるナイトを見て欲情したらしく、どうやらサキュバスの魅力は魔物にも通じるらしい。興奮したホブゴブリンはナイトに目掛けて全力で飛び掛かってきた。


「グギャアアアッ!!」
「ち、近寄るなぁあああっ!!」


突進を仕掛けてきたホブゴブリンに対してナイトは拳を握りしめ、ありったけの魔力を右手に集中させる。すると男の姿の時よりも瞬時に魔力が右手に集積され、一瞬にして硬魔の発動に成功した。


(やっぱりこの姿の方が魔力を操りやすい!!きっとライラさんの魔力を取り込んだお陰だ!!)


変身するとナイトの魔力量は格段に増加し、硬魔も一瞬で形成できる。そしてお得意の「流拳」も利用して正面から突っ込んできたホブゴブリンに全力の一撃を繰り出す。


「くたばれぇええっ!!」
「ガハァアアアッ!?」


ホブゴブリンの胸元に目掛けて強烈な一撃を叩き込み、胸元が陥没する程の威力の反撃《カウンター》を受けたホブゴブリンは地面に倒れる。たった一撃でホブゴブリンを仕留めたナイトは自分の力に愕然し、変身前と比べて圧倒的な魔力と腕力を手に入れていた。


(こ、こんな化物を一撃で仕留めるなんて……これが魔王様の指輪の力か)


ホブゴブリンの始末を終えるとナイトは指輪を外し、元の姿と服装に戻った。その直後に車内から焦った様子でハルカが顔を出す。


「い、今の音は何!?大丈夫なの!?」
「あ、いや……えっと、なんか倒せたみたい」
「倒せたって……ええっ!?」


自分が見ていない間にナイトがホブゴブリンを倒した事にハルカは衝撃の表情を浮かべ、その一方で落とし穴の上から様子を伺うライラの姿があった。


「あら、もう終わっちゃった。もう少し女の子のナイトちゃんの活躍を見たかったのに」
「ギ、ギギィッ……!?」
「ごめんなさいね、もう貴方達に構っている余裕はないの」


ライラの傍には十数匹のゴブリンが横たわっており、ナイトがホブゴブリンを相手している間にライラはゴブリン達を始末していた。最後に残った一匹は首を絞め上げて容赦なく首の骨をへし折る。


「アガァッ!?」
「ふうっ……この程度の雑魚じゃお腹の足しにもならないわね」


ゴブリンが死んだ途端、急激に痩せ細ってミイラのように変化した。サキュバスは触れた相手の精気を奪い取る能力があり、それを利用してライラはゴブリン達を精気を吸いつくす。彼女はミイラと化したゴブリンを投げ捨てると、穴底にいるナイトを見下ろす。


(ナイトちゃん、あの程度の相手に苦戦しているようじゃまだまだね)


ホブゴブリンはゴブリンの上位種とはいえ、魔物の中では決して強い方ではない。単純な強さならばナイトが訓練で戦ったミノタウロスのゴンゾウの方が圧倒的に格上である。それなのにナイトがホブゴブリンに苦戦したのは理由があった。

結論から言えばミノタウロスは攻撃方面に特化した種族であるのに対し、ホブゴブリンは耐久力に優れた生き物だからである。ナイトの流拳は相手の攻撃を利用して反撃する格闘術だが、ホブゴブリンの場合は自分の攻撃力よりも防御力の方が優れていたため、流拳を繰り出しても大きな損傷は与えられなかった。その一方でゴンゾウの場合は攻撃力が防御力を遥かに上回るため、流拳の使い手にとっては絶好の相手ともいえる。


(流拳は決して万能ではないわ。この戦いを通じて理解してくれるといいけど……それよりもアイリスちゃんは最後の仕掛けは準備できたかしら?)


先に向かったアイリスの事を気にかかり、ゴブリンの始末を終えたライラは次の準備に移る――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈 
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

私はただ自由に空を飛びたいだけなのに!

hennmiasako
ファンタジー
異世界の田舎の孤児院でごく普通の平民の孤児の女の子として生きていたルリエラは、5歳のときに木から落ちて頭を打ち前世の記憶を見てしまった。 ルリエラの前世の彼女は日本人で、病弱でベッドから降りて自由に動き回る事すら出来ず、ただ窓の向こうの空ばかりの見ていた。そんな彼女の願いは「自由に空を飛びたい」だった。でも、魔法も超能力も無い世界ではそんな願いは叶わず、彼女は事故で転落死した。 魔法も超能力も無い世界だけど、それに似た「理術」という不思議な能力が存在する世界。専門知識が必要だけど、前世の彼女の記憶を使って、独学で「理術」を使い、空を自由に飛ぶ夢を叶えようと人知れず努力することにしたルリエラ。 ただの個人的な趣味として空を自由に飛びたいだけなのに、なぜかいろいろと問題が発生して、なかなか自由に空を飛べない主人公が空を自由に飛ぶためにいろいろがんばるお話です。

処理中です...