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廃墟編
魔道具
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「レアさんの能力は大抵の物を作り出せるんですよね?それなら薬とかも作れるんですか?」
「多分、出来ると思うけど……」
「それなら試しに魔力回復薬を作ってくれませんか?それがあれば私も魔法が使えるようになるので……」
「さっき言っていた魔力を回復させる薬?う~ん、作れるかな……」
この世界にしか存在しない道具の製作は初めなのでレアは不安を抱くが、一先ずは自分の所持している道具の中で適当な道具を探し出す。だが、手持ちの道具の中で文字数が合う道具はなかった。
(ちょっと面倒だな……名前は「薬品」にして説明文で薬の種類を書いとけばいいかな)
リリスに聞こえない声量で呟いたレアは「薬品」という漢字ならば少ない文字で済むと判断し、試しに余っていた弾丸に解析を発動させ、詳細画面の改竄を行う。
『弾丸――ハンドガンの銃弾 状態:良質』
「これをこうして……どうだ?」
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
説明文の文字数に合わせてレアは改竄を終えると「魔力回復薬《マナ・ポーション》」の生成を試みる。
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
「これでどうだっ!!」
「わっ!?」
画面から指を話した途端、弾丸が光り輝いて青色の液体が入った硝子瓶に変化を果たす。大きさは掌に収まる程度であり、能力が無事に発動したことからこの世界にしか存在しない道具も生成できることが判明した。レアは作り出した魔力回復薬をリリスに渡すと、彼女は唖然とした。
「これでいいの?」
「うわ、まさか本当に作り出したんですか!?本当に凄い能力ですね……飲んでもいいですか?」
「別にいいよ」
「ありがとうございます」
魔力回復薬を渡されたリリスは礼を告げて蓋を開き、まずは鼻を近づけて香りを確かめると、恐る恐る中身を飲み干す。薬瓶を一気飲みすると、彼女は満足そうな表情を浮かべた
「んぐぅっ……ぷはぁっ!!喉越しすっきり!!」
「酒飲んだ親父みたいだよ……それで魔力は回復したの?」
「そんなにすぐには効果は出ませんよ。飲んだ液体が身体に巡回するまで時間が掛かりますからね」
「へえ、そうなんだ」
リリスの話によると魔力回復薬はあくまでも魔力の自然回復を高めるだけの薬でしかなく、ゲームのように一瞬で魔力が回復できるわけではなく、品質が高い程に回復速度も上昇するという。
「一級品ならすぐに魔力も回復するかもしれませんが、回復薬の類は高級なので一流の冒険者でもなければ購入するのも難しいんです」
「それは世知辛いね」
「それではそろそろ行きましょうか。その能力があれば本当に食料と飲料水の心配は要らないんですよね」
「大丈夫だ、問題ない」
「その台詞は何故か不安をあおられますが……あ、もうそろそろ夕方を迎えようとしていますね……やっぱり、出発は明日の朝に出発しませんか?夜の移動は危険なので……」
「そういえば草原にはゴブリン以外の魔物が出るんだっけ、ここに来る時はどうしたの?二日はかかったんでしょ?」
「他の冒険者と交代で見張りを行ってました。そうだ、レアさんの能力で反響石とかは作れませんか?」
「あ、その手があったか。でも道具があったかな……」
反響石は魔物を追い払う効果がある優れた魔石だが、取り扱いが難しく簡単に壊れる危険性があるので冒険者でも持ち歩く者は滅多にいない。しかし、魔力回復薬を作り出したレアならば同じ文字数の道具があればいくらでも制作できるはずだった。
教会から持って来た道具の中からレアは三文字の名前を探そうとするが、先ほどの「薬品」で「魔力回復薬《マナ・ポーション》」を作り出したことを思い出したレアはある方法を思いつく。
「そうだ。いいことを思いついた」
『弾丸――ハンドガンの銃弾 状態:普通』
魔物との戦闘に備えてレアは大量の弾丸を生成しており、それをまた一つ取り出して指を構えて適当な文章に変化させて反響石の生成を行う。
「こんな所かな」
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
『魔石――凄く頑丈な反響石 状態:良質』
文章を書き替える際にレアは壊れやすいという反響石に「凄く頑丈」という文字を加えて指を離すと、無事に成功したのかレアの手元に存在した弾丸が光り輝き、教会の前に建てられていた銅像の目に嵌め込まれていた灰色の宝石が誕生する。リリスの話が正しければこれを馬車に取り付ければ魔物に襲われる可能性が低くなり、格段に安全度が高まる。
「これでいい?」
「本当に何でもありですねその能力……どうやって覚えたんですか?」
「それは俺も知りたい」
反響石をリリスに渡すと彼女は戸惑いながらも何処からか片眼鏡を取り出し、魔石を調べるように眺める。すると肩眼鏡のレンズの部分に魔法陣が浮き上がり、リリスは魔石を覗き込みながら頷く。
「ふむふむ……これは随分と純度が高い魔石ですね。これなら大抵の魔物は追い払えるはずです」
「……その眼鏡は何?」
「あ、これは「鑑定」の技能がない人間でも鑑定の能力が扱える魔道具《アイテム》です。私の手持ちの中では一番価値の高い道具なんですよ」
「魔道具?そんなのもあるのか……」
リリスの説明を聞いてSPを消費してわざわざ技能を習得せずとも「魔道具」なる特別な道具で技能を発揮できることを初めて知った。
「多分、出来ると思うけど……」
「それなら試しに魔力回復薬を作ってくれませんか?それがあれば私も魔法が使えるようになるので……」
「さっき言っていた魔力を回復させる薬?う~ん、作れるかな……」
この世界にしか存在しない道具の製作は初めなのでレアは不安を抱くが、一先ずは自分の所持している道具の中で適当な道具を探し出す。だが、手持ちの道具の中で文字数が合う道具はなかった。
(ちょっと面倒だな……名前は「薬品」にして説明文で薬の種類を書いとけばいいかな)
リリスに聞こえない声量で呟いたレアは「薬品」という漢字ならば少ない文字で済むと判断し、試しに余っていた弾丸に解析を発動させ、詳細画面の改竄を行う。
『弾丸――ハンドガンの銃弾 状態:良質』
「これをこうして……どうだ?」
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
説明文の文字数に合わせてレアは改竄を終えると「魔力回復薬《マナ・ポーション》」の生成を試みる。
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
「これでどうだっ!!」
「わっ!?」
画面から指を話した途端、弾丸が光り輝いて青色の液体が入った硝子瓶に変化を果たす。大きさは掌に収まる程度であり、能力が無事に発動したことからこの世界にしか存在しない道具も生成できることが判明した。レアは作り出した魔力回復薬をリリスに渡すと、彼女は唖然とした。
「これでいいの?」
「うわ、まさか本当に作り出したんですか!?本当に凄い能力ですね……飲んでもいいですか?」
「別にいいよ」
「ありがとうございます」
魔力回復薬を渡されたリリスは礼を告げて蓋を開き、まずは鼻を近づけて香りを確かめると、恐る恐る中身を飲み干す。薬瓶を一気飲みすると、彼女は満足そうな表情を浮かべた
「んぐぅっ……ぷはぁっ!!喉越しすっきり!!」
「酒飲んだ親父みたいだよ……それで魔力は回復したの?」
「そんなにすぐには効果は出ませんよ。飲んだ液体が身体に巡回するまで時間が掛かりますからね」
「へえ、そうなんだ」
リリスの話によると魔力回復薬はあくまでも魔力の自然回復を高めるだけの薬でしかなく、ゲームのように一瞬で魔力が回復できるわけではなく、品質が高い程に回復速度も上昇するという。
「一級品ならすぐに魔力も回復するかもしれませんが、回復薬の類は高級なので一流の冒険者でもなければ購入するのも難しいんです」
「それは世知辛いね」
「それではそろそろ行きましょうか。その能力があれば本当に食料と飲料水の心配は要らないんですよね」
「大丈夫だ、問題ない」
「その台詞は何故か不安をあおられますが……あ、もうそろそろ夕方を迎えようとしていますね……やっぱり、出発は明日の朝に出発しませんか?夜の移動は危険なので……」
「そういえば草原にはゴブリン以外の魔物が出るんだっけ、ここに来る時はどうしたの?二日はかかったんでしょ?」
「他の冒険者と交代で見張りを行ってました。そうだ、レアさんの能力で反響石とかは作れませんか?」
「あ、その手があったか。でも道具があったかな……」
反響石は魔物を追い払う効果がある優れた魔石だが、取り扱いが難しく簡単に壊れる危険性があるので冒険者でも持ち歩く者は滅多にいない。しかし、魔力回復薬を作り出したレアならば同じ文字数の道具があればいくらでも制作できるはずだった。
教会から持って来た道具の中からレアは三文字の名前を探そうとするが、先ほどの「薬品」で「魔力回復薬《マナ・ポーション》」を作り出したことを思い出したレアはある方法を思いつく。
「そうだ。いいことを思いついた」
『弾丸――ハンドガンの銃弾 状態:普通』
魔物との戦闘に備えてレアは大量の弾丸を生成しており、それをまた一つ取り出して指を構えて適当な文章に変化させて反響石の生成を行う。
「こんな所かな」
『薬品――マナ・ポーション 状態:良質』
『魔石――凄く頑丈な反響石 状態:良質』
文章を書き替える際にレアは壊れやすいという反響石に「凄く頑丈」という文字を加えて指を離すと、無事に成功したのかレアの手元に存在した弾丸が光り輝き、教会の前に建てられていた銅像の目に嵌め込まれていた灰色の宝石が誕生する。リリスの話が正しければこれを馬車に取り付ければ魔物に襲われる可能性が低くなり、格段に安全度が高まる。
「これでいい?」
「本当に何でもありですねその能力……どうやって覚えたんですか?」
「それは俺も知りたい」
反響石をリリスに渡すと彼女は戸惑いながらも何処からか片眼鏡を取り出し、魔石を調べるように眺める。すると肩眼鏡のレンズの部分に魔法陣が浮き上がり、リリスは魔石を覗き込みながら頷く。
「ふむふむ……これは随分と純度が高い魔石ですね。これなら大抵の魔物は追い払えるはずです」
「……その眼鏡は何?」
「あ、これは「鑑定」の技能がない人間でも鑑定の能力が扱える魔道具《アイテム》です。私の手持ちの中では一番価値の高い道具なんですよ」
「魔道具?そんなのもあるのか……」
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