貧弱の英雄

カタナヅキ

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最終章

第1087話 黒猫亭

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白猫亭は表向きはテンが管理する宿屋だが、実質的にヒナが経営を任されている。彼女の手腕のお陰で白猫亭は繁盛し、最近では商業区にも新しい宿屋を建てる計画が進められていた。

名前は「黒猫亭」と呼ばれ、元々はクロネが経営していた黒猫酒場と呼ばれる場所に新しい宿屋が建てられる。正確には一階部分は酒場であり、二階から上は宿屋になっている。この宿屋の管理はクロネが取り仕切り、遂に彼女は念願の店を取り戻した。


「クロネさん、おめでとうございます!!遂にこの場所に戻って来れましたね!!」
「ううっ……夢みたいだわ、まさかここでもう一度酒場を開けるなんて……これもヒナちゃんのお陰ね」
「いえいえ、クロネさんにはたくさんお世話になりましたから……」


クロネが前々から黒猫酒場があった場所で店を持ちたいという事はヒナも知っており、彼女も援助を行っていた。まずは土地を買い取り、その後にアルトに協力してもらって彼と親しい鍛冶師達に協力して貰い、工場区から建物作りが得意な人材を集めてもらう。

準備自体は数か月前から行われ、そして遂に建物が完成した。以前よりも立派な建物でしかも現在は商売敵が経営していた酒場は存在しない。実は黒猫酒場がなくなった後に色々と会って酒場は閉店した(噂によれば鬼のような女集団に潰されたらしい)。


「亡くなった夫もきっと喜んでいるわ……ヒナちゃん、本当に今までありがとう」
「もう、何を言ってるんですか。これからクロネさんと私の共同経営になるんですからね」
「ええ、そうだったわね」


白猫亭と黒猫亭は今後はヒナとクロネが共同で経営を行い、黒猫亭はクロネが管理を任されている。既に人材も集められており、この場所には用心棒として聖女騎士団も配置される。

ちなみにヒナが黒猫亭を作り出すのに協力したのはクロネに恩義を返すというだけではなく、いずれテンが聖女騎士団の指導官を辞めて本格的に白猫亭の経営者として戻ってくる事を予測し、彼女は自分だけの新しい宿屋を作り出す予定だった。


(白猫亭と黒猫亭を繁盛させて、その利益で今度はあたしだけの宿屋を作ってみせるわ!!)


次のヒナの目的は三つ目の宿屋を作り出すための資金稼ぎであり、そのために彼女は経営者として張り切る。



――後に彼女はテンが聖女騎士団を辞めて白猫亭に戻ると、新しい宿屋を築いて独立する。ちなみに彼女の宿屋の名前は「ぶち猫亭」と名付け、十年後には白猫亭と黒猫亭を抑えて王都一番の宿屋と呼ばれるようになる。



※テン「下剋上されちまったよ(´;ω;`)」
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