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最終章
第1023話 クラーケン亜種
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「あ、あのタコ……いや、クラーケンかい?なんかこっちを見てないかい?」
「モモ、船の中に避難するわよ!!」
「う、うん!!」
『ふははっ!!イカかと思ったらタコか!!なら今夜はたこ焼きが食べれるな!!』
ヒナはモモを連れて船内に避難しようとすると、ゴウカはタコ型のクラーケンを見て嬉しそうに背中に手を伸ばす。だが、いつも背負っているはずのドラゴンスレイヤーがない事に気付く。
『むむっ!?しまった、部屋の中に大剣を忘れてきてしまった!!』
「はっ!?」
『仕方ない、取りに行ってくるからその間は任せたぞ!!』
「ちょっ……任せるって、どうすればいいんだい!?」
ゴウカは船内に戻ると、残された者達はクラーケンを見て焦り、当のクラーケンは飛行船に向けて既に移動を開始した。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?こ、こっちに来るな!!あたしはぬめぬめした奴は嫌いなんだよ!?」
「そうなの!?」
「そういえば女将さん、タコやイカを料理した事がないような……」
テンの意外な弱点が判明し、彼女はぬめぬめした触手を持つ生き物は大の苦手だった。見ただけで鳥肌が立ち、怯えてまともに動けない。
ロランは迫りくるクラーケンに対して舌打ちし、彼は背負っていた双紅刃を引き抜く。ヒナとモモはテンを連れて船内に避難しようとする。
「ほら、テンさん!!急いでこっちに!!」
「早く早く!!」
「ううっ……あ、後の事は頼むよ大将軍」
「ああ、任せろ……早く行け!!」
『ジュルルルッ!!』
クラーケンは飛行船に近付くだけで激しい波が発生し、飛行船が揺れてしまう。そのせいで甲板にいる人間はまともに立っていられず、船から落ちないように身体を伏せるのが精一杯だった。
「わああっ!?」
「きゃああっ!?」
「うひぃっ!?」
「くっ……舐めるな!!」
振動のせいで甲板に居る者達はまともに立っていられず、テン達も船から落ちないようにしがみつく。しかし、ロランは足場が不安定な中でも双紅刃を振りかざし、刃に紅色の魔力を宿す。
(船体が攻撃を受ければ沈没してしまうかもしれん。ならば一撃で仕留めるしかあるまい!!)
ロランは双紅刃を振りかざすと、水面から身体を出しているクラーケンに目掛けて投げ放とうとした。だが、ロランが攻撃を繰り出す前にクラーケンが触手を伸ばして水面に叩き付ける。
『ジュラァッ!!』
「何だと!?」
「うわっぷっ!?」
「わああっ!?」
「モモ!?」
水上に派手な水しぶきが舞い上がり、触手が叩き付けられた拍子で飛び散った水が飛行船の甲板に降り注ぎ、モモが甲板から流されてしまう。
彼女は船に落ちそうになったが咄嗟にテンが腕を伸ばして捕まえる。彼女の力ならモモを持ち上げる事は容易いはずだが、クラーケンの鳴き声を聞いただけでテンは震え上がって力が上手く出ない。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?」
「わわわっ!?」
「テンさん、しっかりして!!モモが落ちるわよ!?」
「くうっ……調子に乗りおって!!」
テンは危うくモモを落としそうになり、慌ててヒナが駆けつけて彼女もモモの腕を掴む。ロランは全身が水浸しにされて怒りを抱き、彼は今度こそクラーケンに目掛けて双紅刃を放つ。
「くたばれ!!」
『ジュラァッ!?』
投げ放たれた双紅刃はまるでブーメランのように高速回転しながらクラーケンに迫り、この時にクラーケンの触手の何本かが切り裂かれる。
『ジュラアアアッ!?』
「思い知ったか、タコめ!!」
傷ついたクラーケンを見てロランは珍しく興奮した様子で大声を張り上げるが、攻撃を受けたクラーケンは怒りを露わにして、水中に隠していた別の触手を浮上させる。
『ジュルルルルッ!!』
「なっ……」
「嘘っ!?まだあんなに隠していたの!?」
「ひいいっ!?は、早く上がりな!!」
「よいしょっと……わあっ!?タコさんの足がいっぱい!?」
水面に隠されいていた触手は数十本は存在し、それを見たテンは悲鳴を上げながらもモモを引っ張り出す。流石のロランも触手の数を見て唖然とするが、すぐに彼は双紅刃を回収するために手を伸ばす。
ブーメランの如く回転しながら双紅刃はロランの手元に戻ると、この時にクラーケンは彼に警戒心を抱き、数十本の蠢かせながら様子を伺う。ロランは触手をいくら切り落としても意味はないと悟り、本体に狙いを定めた。
(あの触手をいくら切り裂こうと無駄だ。ならば本体を倒せば……)
標的を触手からクラーケン本体に切り替えたロランは双紅刃に先ほどよりも魔力を込めようとすると、ここで意外な事にクラーケンが水中に沈み込む。
『ジュルルルッ……!!』
「何!?」
「あれ、沈んでいくよ……諦めて帰っちゃったのかな?」
「な、ならいいんだけど……」
「……ち、違う!!逃げたんじゃない、あいつ水中からこっちに近付くつもりだよ!?」
水中に潜り込んだクラーケンは水上で戦うのは不利だと判断したのか、水中から船に接近する。それに気づいたテンはいち早く飛行船を飛ばすように促す。
「は、早く船を飛ばすんだ!!そうしないとこのまま船の下にクラーケンが張り付いて沈められちまうよ!?」
「えええっ!?」
「そ、そんな!?」
「船内のアルト王子に伝えろ!!船を今すぐに浮上せよとな!!」
「は、はい!!」
テンの言葉にヒナとモモは驚きの声を上げ、ロランもテンの言葉に頷き、甲板の兵士達に指示を出す。慌てて兵士達は船内に駆け込むが、クラーケンは既に船の下に潜り込み、触手を伸ばして船に絡みつかせる。
『ジュルルルッ!!』
「きゃああっ!?」
「ぎゃあああっ!?触手が、触手がぁああっ!?」
「わああっ!?誰か助けてぇっ!?」
「落ち着け、取り乱すな!!この船は簡単には壊れん!!」
水中から多数の触手が出現して船体に絡みつく。触手を間近で見たテンは悲鳴を上げ、そんな彼女をヒナとモモが引っ張っていく。ロランは甲板にいる者達を落ち着かせようとすると、ようやく騒ぎを聞きつけた船内の王国騎士達が駆けつけた。
「これは何の騒ぎ……わああっ!?」
「どうし……はわっ!?」
「いったい何事です……ひゃあっ!?」
「どうし……おおっ!?」
ヒイロ、ミイナ、ドリス、リンが甲板に現れると彼女達は大量の触手を目にして驚愕し、状況を理解できずに混乱する。この時に船にしがみついていた触手が動き出し、ロランを除いた甲板に存在する者達を拘束する。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?」
「きゃああっ!?」
「わああっ!?」
「ひいっ!?」
「はわわっ!?」
「いやぁっ!?」
「くううっ!?」
「お、お前達!?」
テン、ヒナ、モモ、ヒイロ、ミイナ、ドリス、リンが順に触手に捕らえられ、それを見たロランは彼女達を救おうとするが、彼が動く前に数本の触手が同時にロランに振り下ろされた。
『ジュラァッ!!』
「ぐううっ!?」
数本の触手を同時に叩き付けられたロランはどうにか双紅刃を頭上に掲げて防ぐが、クラーケンは触手に力を込めて彼を押し潰そうとする。
流石に大型の魔物なだけはあって力も強く、ロランの力を以てしても触手を押し退けられない。彼の双紅刃は刃を回転させる事で魔力を纏うが、抑え込まれた状態では双紅刃の能力は封じられてしまう。
「リ、リンさん!!何をしてますの、早く触手を斬って下さい!!」
「くっ……腕が抜けない、これじゃあ剣が抜けない!!お前の方こそ何とかしろ!?」
「む、無理ですわ!!私だって真紅を掴めないと……」
ドリスとリンは触手に捕まる際に腕を挟まれてしまい、自由に動かす事ができない。二人の真紅と暴風は直に手に持っていないと能力は扱えず、他の者も同じように身体を拘束されてどうにもできない。
「ミ、ミイナ!!貴女の力でも振りほどけないんですか!?」
「無理……この触手、ぬめぬめしてるくせに力が強くて引き剥がせない」
「う~ん!!離して~!!」
「テンさん、お願いだから正気に戻って……気絶してる!?」
「…………(←白目を剥いて泡を吹いている)」
ミイナやモモの怪力でも触手を引き剥がす事ができず、ヒイロやミイナも武器を抜く事すらできない。このまま水中に引きずり込まれれば抵抗する術もなく溺死してしてしまいかねず、どうにか脱出しなければならない。
「おい、何の騒ぎだ……うおっ!?」
「これはいったい……のわっ!?」
「さっきから何だ……うおおっ!?」
「ちょっと、見ないでよ男子!?」
船内から今度はガロ、ゴンザレス、ガオウが現れると三人は触手に捕まっている女性陣を見て驚き、彼女達はぬめぬめの触手のせいで服が若干透けていた。
三人は甲板で触手に捕まっている女性陣の姿と、数本の触手に抑え込まれているロランを見て戸惑い、不覚にも隙を作ってしまった。その隙を逃さずにクラーケンは触手の一本を動かし、硬直している三人に向けて放つ。
『ジュラァッ!!』
「「「うわぁあああっ!?」」」
「ちょっ!?何してるの!?」
「何の役にも立ちませんでしたわっ!?」
「何しに来たんだお前達はっ!?」
ガロ達が触手に吹き飛ばされて水面に落ちる姿に女性陣は怒りの言葉を放つが、その間にも触手の力が強まり、全員が苦し気な表情を浮かべる。
「くぅうっ……!?」
「ううっ……!!」
「も、もう駄目ぇっ……!!」
「あ、諦めちゃ駄目よ……また頼りになる人たちが来るわ!!」
ヒナの言葉を聞いた女性陣は頷き、この船の中にはまだまだ頼りになる人物は乗っている。そして彼女達の期待に応えるかのように甲板に次々と人が集まってきた。
「何の騒ぎだ!!」
「さっき、窓に変な物を見かけましたが……」
「息子の悲鳴が聞こえた気がしたが……」
「うわっ!?なんすかこれ、どういう状況!?」
甲板に現れたのは聖女騎士団の面々であり、ルナ、アリシア、ランファン、エリナを筆頭に他の者たちも駆けつけた。
「モモ、船の中に避難するわよ!!」
「う、うん!!」
『ふははっ!!イカかと思ったらタコか!!なら今夜はたこ焼きが食べれるな!!』
ヒナはモモを連れて船内に避難しようとすると、ゴウカはタコ型のクラーケンを見て嬉しそうに背中に手を伸ばす。だが、いつも背負っているはずのドラゴンスレイヤーがない事に気付く。
『むむっ!?しまった、部屋の中に大剣を忘れてきてしまった!!』
「はっ!?」
『仕方ない、取りに行ってくるからその間は任せたぞ!!』
「ちょっ……任せるって、どうすればいいんだい!?」
ゴウカは船内に戻ると、残された者達はクラーケンを見て焦り、当のクラーケンは飛行船に向けて既に移動を開始した。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?こ、こっちに来るな!!あたしはぬめぬめした奴は嫌いなんだよ!?」
「そうなの!?」
「そういえば女将さん、タコやイカを料理した事がないような……」
テンの意外な弱点が判明し、彼女はぬめぬめした触手を持つ生き物は大の苦手だった。見ただけで鳥肌が立ち、怯えてまともに動けない。
ロランは迫りくるクラーケンに対して舌打ちし、彼は背負っていた双紅刃を引き抜く。ヒナとモモはテンを連れて船内に避難しようとする。
「ほら、テンさん!!急いでこっちに!!」
「早く早く!!」
「ううっ……あ、後の事は頼むよ大将軍」
「ああ、任せろ……早く行け!!」
『ジュルルルッ!!』
クラーケンは飛行船に近付くだけで激しい波が発生し、飛行船が揺れてしまう。そのせいで甲板にいる人間はまともに立っていられず、船から落ちないように身体を伏せるのが精一杯だった。
「わああっ!?」
「きゃああっ!?」
「うひぃっ!?」
「くっ……舐めるな!!」
振動のせいで甲板に居る者達はまともに立っていられず、テン達も船から落ちないようにしがみつく。しかし、ロランは足場が不安定な中でも双紅刃を振りかざし、刃に紅色の魔力を宿す。
(船体が攻撃を受ければ沈没してしまうかもしれん。ならば一撃で仕留めるしかあるまい!!)
ロランは双紅刃を振りかざすと、水面から身体を出しているクラーケンに目掛けて投げ放とうとした。だが、ロランが攻撃を繰り出す前にクラーケンが触手を伸ばして水面に叩き付ける。
『ジュラァッ!!』
「何だと!?」
「うわっぷっ!?」
「わああっ!?」
「モモ!?」
水上に派手な水しぶきが舞い上がり、触手が叩き付けられた拍子で飛び散った水が飛行船の甲板に降り注ぎ、モモが甲板から流されてしまう。
彼女は船に落ちそうになったが咄嗟にテンが腕を伸ばして捕まえる。彼女の力ならモモを持ち上げる事は容易いはずだが、クラーケンの鳴き声を聞いただけでテンは震え上がって力が上手く出ない。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?」
「わわわっ!?」
「テンさん、しっかりして!!モモが落ちるわよ!?」
「くうっ……調子に乗りおって!!」
テンは危うくモモを落としそうになり、慌ててヒナが駆けつけて彼女もモモの腕を掴む。ロランは全身が水浸しにされて怒りを抱き、彼は今度こそクラーケンに目掛けて双紅刃を放つ。
「くたばれ!!」
『ジュラァッ!?』
投げ放たれた双紅刃はまるでブーメランのように高速回転しながらクラーケンに迫り、この時にクラーケンの触手の何本かが切り裂かれる。
『ジュラアアアッ!?』
「思い知ったか、タコめ!!」
傷ついたクラーケンを見てロランは珍しく興奮した様子で大声を張り上げるが、攻撃を受けたクラーケンは怒りを露わにして、水中に隠していた別の触手を浮上させる。
『ジュルルルルッ!!』
「なっ……」
「嘘っ!?まだあんなに隠していたの!?」
「ひいいっ!?は、早く上がりな!!」
「よいしょっと……わあっ!?タコさんの足がいっぱい!?」
水面に隠されいていた触手は数十本は存在し、それを見たテンは悲鳴を上げながらもモモを引っ張り出す。流石のロランも触手の数を見て唖然とするが、すぐに彼は双紅刃を回収するために手を伸ばす。
ブーメランの如く回転しながら双紅刃はロランの手元に戻ると、この時にクラーケンは彼に警戒心を抱き、数十本の蠢かせながら様子を伺う。ロランは触手をいくら切り落としても意味はないと悟り、本体に狙いを定めた。
(あの触手をいくら切り裂こうと無駄だ。ならば本体を倒せば……)
標的を触手からクラーケン本体に切り替えたロランは双紅刃に先ほどよりも魔力を込めようとすると、ここで意外な事にクラーケンが水中に沈み込む。
『ジュルルルッ……!!』
「何!?」
「あれ、沈んでいくよ……諦めて帰っちゃったのかな?」
「な、ならいいんだけど……」
「……ち、違う!!逃げたんじゃない、あいつ水中からこっちに近付くつもりだよ!?」
水中に潜り込んだクラーケンは水上で戦うのは不利だと判断したのか、水中から船に接近する。それに気づいたテンはいち早く飛行船を飛ばすように促す。
「は、早く船を飛ばすんだ!!そうしないとこのまま船の下にクラーケンが張り付いて沈められちまうよ!?」
「えええっ!?」
「そ、そんな!?」
「船内のアルト王子に伝えろ!!船を今すぐに浮上せよとな!!」
「は、はい!!」
テンの言葉にヒナとモモは驚きの声を上げ、ロランもテンの言葉に頷き、甲板の兵士達に指示を出す。慌てて兵士達は船内に駆け込むが、クラーケンは既に船の下に潜り込み、触手を伸ばして船に絡みつかせる。
『ジュルルルッ!!』
「きゃああっ!?」
「ぎゃあああっ!?触手が、触手がぁああっ!?」
「わああっ!?誰か助けてぇっ!?」
「落ち着け、取り乱すな!!この船は簡単には壊れん!!」
水中から多数の触手が出現して船体に絡みつく。触手を間近で見たテンは悲鳴を上げ、そんな彼女をヒナとモモが引っ張っていく。ロランは甲板にいる者達を落ち着かせようとすると、ようやく騒ぎを聞きつけた船内の王国騎士達が駆けつけた。
「これは何の騒ぎ……わああっ!?」
「どうし……はわっ!?」
「いったい何事です……ひゃあっ!?」
「どうし……おおっ!?」
ヒイロ、ミイナ、ドリス、リンが甲板に現れると彼女達は大量の触手を目にして驚愕し、状況を理解できずに混乱する。この時に船にしがみついていた触手が動き出し、ロランを除いた甲板に存在する者達を拘束する。
『ジュルルルッ!!』
「うひぃっ!?」
「きゃああっ!?」
「わああっ!?」
「ひいっ!?」
「はわわっ!?」
「いやぁっ!?」
「くううっ!?」
「お、お前達!?」
テン、ヒナ、モモ、ヒイロ、ミイナ、ドリス、リンが順に触手に捕らえられ、それを見たロランは彼女達を救おうとするが、彼が動く前に数本の触手が同時にロランに振り下ろされた。
『ジュラァッ!!』
「ぐううっ!?」
数本の触手を同時に叩き付けられたロランはどうにか双紅刃を頭上に掲げて防ぐが、クラーケンは触手に力を込めて彼を押し潰そうとする。
流石に大型の魔物なだけはあって力も強く、ロランの力を以てしても触手を押し退けられない。彼の双紅刃は刃を回転させる事で魔力を纏うが、抑え込まれた状態では双紅刃の能力は封じられてしまう。
「リ、リンさん!!何をしてますの、早く触手を斬って下さい!!」
「くっ……腕が抜けない、これじゃあ剣が抜けない!!お前の方こそ何とかしろ!?」
「む、無理ですわ!!私だって真紅を掴めないと……」
ドリスとリンは触手に捕まる際に腕を挟まれてしまい、自由に動かす事ができない。二人の真紅と暴風は直に手に持っていないと能力は扱えず、他の者も同じように身体を拘束されてどうにもできない。
「ミ、ミイナ!!貴女の力でも振りほどけないんですか!?」
「無理……この触手、ぬめぬめしてるくせに力が強くて引き剥がせない」
「う~ん!!離して~!!」
「テンさん、お願いだから正気に戻って……気絶してる!?」
「…………(←白目を剥いて泡を吹いている)」
ミイナやモモの怪力でも触手を引き剥がす事ができず、ヒイロやミイナも武器を抜く事すらできない。このまま水中に引きずり込まれれば抵抗する術もなく溺死してしてしまいかねず、どうにか脱出しなければならない。
「おい、何の騒ぎだ……うおっ!?」
「これはいったい……のわっ!?」
「さっきから何だ……うおおっ!?」
「ちょっと、見ないでよ男子!?」
船内から今度はガロ、ゴンザレス、ガオウが現れると三人は触手に捕まっている女性陣を見て驚き、彼女達はぬめぬめの触手のせいで服が若干透けていた。
三人は甲板で触手に捕まっている女性陣の姿と、数本の触手に抑え込まれているロランを見て戸惑い、不覚にも隙を作ってしまった。その隙を逃さずにクラーケンは触手の一本を動かし、硬直している三人に向けて放つ。
『ジュラァッ!!』
「「「うわぁあああっ!?」」」
「ちょっ!?何してるの!?」
「何の役にも立ちませんでしたわっ!?」
「何しに来たんだお前達はっ!?」
ガロ達が触手に吹き飛ばされて水面に落ちる姿に女性陣は怒りの言葉を放つが、その間にも触手の力が強まり、全員が苦し気な表情を浮かべる。
「くぅうっ……!?」
「ううっ……!!」
「も、もう駄目ぇっ……!!」
「あ、諦めちゃ駄目よ……また頼りになる人たちが来るわ!!」
ヒナの言葉を聞いた女性陣は頷き、この船の中にはまだまだ頼りになる人物は乗っている。そして彼女達の期待に応えるかのように甲板に次々と人が集まってきた。
「何の騒ぎだ!!」
「さっき、窓に変な物を見かけましたが……」
「息子の悲鳴が聞こえた気がしたが……」
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