貧弱の英雄

カタナヅキ

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最終章

第1018話 モモとヒナの同行

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「仕方ないわね……モモ、行ってきなさい。どうせ残ってても仕事なんてないし、ナイ君のために役立ちなさい」
「うん、ありがとうヒナちゃん!!私、頑張るよ!!」
「ええ、頑張りなさい。私はクロエさんと一緒に留守番して……」
「そうだ、ヒナちゃんも一緒に行こうよ!!」
「ええっ!?」


モモの予想外の発言にヒナは驚き、確かに白猫亭の修復工事が終わるまでは彼女も仕事はできないが、モモはともかくヒナは自分が付いて行っても役には立たないと考えていた。


「む、無理に決まってるでしょ!?あんたと違って私は煌魔石なんて作れないし……」
「でも、ヒナちゃんは料理上手いでしょ?それに掃除だって得意だし、手先も器用で裁縫だって私より上手いし……」
「だからって一緒に行けるはずないでしょ!?私は一般人よ、飛行船に乗る事なんて許されるはずが……」
「いいですよ別に」
「嘘っ!?」


ヒナは自分のような一般人が飛行船に乗る事などできるはずがないと告げるが、その言葉に対してイリアはあっさりと許可を出す。


「料理も掃除も裁縫もできるのなら私の身の回りの世話も頼めますよね。だったら私専属の使用人として働いて貰えたら助かります。その方が私も実験に集中できますし、全然問題ないですよ」
「い、いやでも……私みたいな一般人が一緒に乗っても迷惑じゃないんですか?だって、冒険者や王国騎士の人達は試験を受けたんでしょう?」
「まあ、問題ないですよ。むしろ王国騎士や冒険者の人に私の身の回りの世話なんて頼む方が問題ですからね。そういう意味では一般人のヒナさんの方が適任です」
「なるほど……一理ある」
「ナイ君まで何言ってるの!?」


イリアの世話を見る役目を王国騎士や冒険者に任せるよりも、家事を得意とするヒナに任せる事にナイも納得する。王国騎士や冒険者を小間扱いするわけにもいかず、それにヒナの場合は一応は王国関係者である。

ヒナは聖女騎士団団長のテンの元で世話になっており、こう見えても小さい頃から彼女の指導を受けて鍛えられていた。アルトとも親しい関係を築いているため、一般人とはそもそも言い難い。


「ねえ、ヒナちゃんも一緒に行こうよ~」
「ちょっ、抱きつくのは止めなさい……ああ、もう!!分かったわよ、でも本当に雑用しかできませんからね!?」
「それで十分ですよ。じゃあ、ここにいる人たちは今から私の助手として働いてもらいます。私の命令は絶対厳守です、もふもふやぷるぷるやぱふぱふしたくなった時は従って貰いますよ」
「ワフッ(もふもふ?)」
「ぷるんっ(ぷるぷる?)」
「ぱふぱふ?」
「ぱふ……て何ですか?」
「何をやらせようとしてるんですか!?というか、女同士ですよ!?」


イリアの発言にナイ達は首を傾げる中、ヒナだけは頬を赤く染めて反応する。こうして急遽モモ達の同行も決定し、彼女達も準備を整えてから飛行船へ向かう――





――同時刻、工場区に存在するハマーンの鍛冶屋にアルトが訪れ、彼の後ろにはドゴンも付いて来ていた。ドゴンは背中に大量の荷物を抱えており、これらの荷物は全てアルトがこれまでの旅で入手した素材が詰め込まれていた。。


「ドゴン、落とさないように気を付けるんだよ」
「ドゴンッ」
「うおっ……噂には聞いていたが、本当に従うんだな」
「こいつが人造ゴーレムか……」


アルトの周りにはハマーンの弟子達が集まり、彼等は集められたのは新型の飛行船内に存在する工房でドゴンの改造を行うためだった。ドゴンの更なる強化のため、アルトはハマーンの弟子達を集めて彼等の力を借りる。


「よし、皆……これが僕の描いたドゴンの強化形態だ」
「こいつは設計図ですか?」
「ふむふむ……なるほど、確かにこれなら俺達でも何とかなりそうだ」
「だけど、この設計図通りに作るとなるとかなりの素材が必要になりますが……」
「その辺は大丈夫だ。既にここに用意してある……どれくらいの時間が掛かる?」
「そうだな……三日、ですかね」


鍛冶師達はアルトが書いた設計図を読み取り、ドゴンの強化を終わらせるには三日は掛かると予想した。しかし、その言葉に対してアルトは首を振った。


「飛行船は今から二日後に発進する予定だ。それまでにどうにか間に合わせてくれ」
「王子様、いくら何でもそりゃ無茶だ。親方ならともかく、俺達の腕じゃ……」
「無理を言っている事は分かっている。しかし、旧型の飛行船には工房はないんだ。どうにかここにいる間に強化を終わらせてほしい」
「う~ん……」
「……やるだけやってみますが、失敗しても怒らないでください」


アルトの言葉に鍛冶師達は困り顔を浮かべ、アルトも彼等に無茶な頼みごとをしている事は理解している。それでも彼等でしか仕事を頼める相手はおらず、ドゴンの改造が開始された――





「――何だって!?その話、嘘じゃないだろうね!?」
「は、はい!!本当です、嘘じゃありません!!」
「テン、落ち着け!!脅してどうする!?」


王都にて飛行船が出発準備が行われている頃、聖女騎士団はとある街にてアンの目撃情報を手に入れた。アンを見かけたのは城壁の兵士であり、彼等によると確かにアンらしき人物を見かけたという。

城壁の兵士達がアンを発見したのは彼女の手配書が訪れる前らしく、彼等は数日前にアンが街に立ち寄った事を話す。その話を聞いたテンはアンの手掛かりを掴んだ事に喜ぶが、兵士達の話を聞いてある疑問を抱く。


「その女がここへ来たのは手配書が届く前というのは本当かい?」
「は、はい!!間違いありません!!」
「その時、アンは馬に乗っていたかい?」
「いいえ……馬も騎獣(移動に利用される魔獣の通称)も乗り合わせず、徒歩で旅をしてきたと言っています」
「馬鹿な……そいつは有り得ないね」


王都からアンが姿を消した日数を計算した場合、テン達が辿り着いた街まで徒歩で移動できる距離ではない。アンは恐らくは馬よりも早い生物に乗って移動している事は間違いなく、街に入る時は彼女一人だけだったそうだが、恐らくは街の外に移動に利用する魔獣を待機させていた事は間違いない。

ようやくアンに繋がる手がかりを入手したにも関わらず、アンが馬よりも早い生物に乗って移動している事が判明すると、聖女騎士団にとっては都合が悪い。彼女達は移動に利用しているのは馬であるため、馬よりも移動速度が高い生物にアンが乗って旅をしているのならば追いつける道理はない。


「テン、どうする?この街で馬よりも早い騎獣に乗り換えて追いかけるか?」
「いや……それでも追いつけるか分からない。相手は魔物使いだ、騎獣の扱いだって私達より上手いだろう」
「ならどうする?諦めるのか?」
「馬鹿を言うんじゃないよ……とりあえず、追えるところまで追うしかない。国外に逃げられでもしたらどうしようもないからね」


この時のテン達はアンの目的を把握しておらず、彼女が王都で騒ぎを起こしたので逃げているとしか考えていなかった。しかし、アンの目的は国外逃亡ではなく、この国を追い詰めようとしている事を彼女達はまだ知らない――






――同時刻、テン達が訪れた街から既に別の街にアンは訪れていた。彼女は宿屋に泊まってベッドの上で優雅に過ごし、これからの事を考えると高揚感を抑えきれずに笑い声を我慢できない。


「ふっ、ふふっ……あははっ!!」


アンは王国から盗んできた巻物を確認し、彼女は笑い声をあげた。この巻物は元々はシノビ一族が管理していた巻物であり、現当主のシノビが王国に忠誠の証として託した代物でもある。

この巻物を偶然にも書庫でアンは発見した時、彼女は「運命」という言葉が頭に思い描いた。彼女はこの巻物を解読する技能を身に着け、巻物に記された暗号を知る事ができた。


「まさかあの時のが和国の子孫が築いた集落だったなんてね……」


二つの巻物を手にしながらアンは過去の出来事を思い返し、今から数年程前にアンが立ち寄ったイチノ地方の奥地に存在する廃村を思い出す。

実を言えばアンはかつてシノビたちが暮らしていた「隠れ里」に立ち寄った事があった。彼女が訪れた時には既に隠れ里の人間はシノビの家族とあるを除いて全滅しており、当時は既に人は住んでいなかった。

彼女は隠れ里に訪れた時、興味深い物を色々と発見した。その時に彼女は和国の文字で描かれた巻物を手にしており、普通の人間ならば和国の文字を理解できない。



――しかし、アンは生まれた時から特別な技能を持ち合わせていた。その技能の名前は「翻訳」であり、彼女はこの能力のお陰で魔物使いの能力を極める事ができた。
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