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最終章
第1008話 討伐隊の帰還
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――グマグ火山のマグマゴーレムの大群の討伐には成功したが、魔導士のマホは目を覚まさず、鍛冶師ハマーンは最後の仕事を終えて亡くなった。それでも討伐隊は王都へ帰還する前にグマグ火山に赴き、討伐を果たしたマグマゴーレムの素材の回収を行う。
マグマゴーレムの素材を回収する理由はいくつかあり、一つ目の理由は良質な火属性の魔石となる「核」を回収する事、二つ目の理由は仮に生き残りのマグマゴーレムが存在した場合、他のマグマゴーレムの死骸を吸収して暴走する恐れを未然に防ぐためである。
飛行船が襲撃を受けた際にマグマゴーレムが他の仲間の死骸を吸収し、より強大なゴーレムに変化する事が発覚した。もしもマグマゴーレムの死骸をそのまま放置すれば他に生き残りが居た場合、その死骸を吸収して強大な力を手にしたマグマゴーレムが誕生する恐れがあった。
討伐隊が倒したマグマゴーレムの死骸から核を回収するのは想定よりも時間が掛かり、念のためにグマグ火山近辺を調査してマグマゴーレムが残っていないのかも確認した。結果から言えばマグマゴーレムは確認されず、討伐隊は無事にグマグ火山周辺のマグマゴーレムの討伐の成功を果たす。
しかし、マグマゴーレムを殲滅したところで時が立てば火山から新たなマグマゴーレムが誕生する。これは自然の摂理であり、ゴーレム種は自然発生で生まれるので絶滅させる事はできない。それでもしばらくの間は安全のため、グマグ火山に炭夫を送り込んで火属性の魔石の採掘が再開できる。
最大の問題は飛行船の操縦者であったハマーンが亡くなってしまい、彼の代わりに誰が飛行船を操作するのかでひと悶着があった。これまでに飛行船を操縦してきたのはハマーンだけであり、彼の弟子達も操縦方法は教わったが実際に操縦した事はない。
仮に飛行船を操縦できるとしたらハマーンの直弟子だったアルトしかおらず、その彼は王都に残っているので力を借りれない。まさか素人が飛行船の操縦をするわけにもいかず、結局はナイ達は飛行船に頼らずに王都へ帰還する事になった。
「ロランよ、無事に任務を果たしてよくぞ戻ってきた」
「はっ……予定よりも大分遅れてしまい、申し訳ございません」
討伐隊が王都を出発してから丁度十日後、討伐隊の指揮を務めたロランは一足先に国王の元へ戻り、これまでの報告を行う。
核の回収や火山近辺の調査、飛行船に乗ってきたせいで馬などの乗り物は用意できず、戻るのに大分時間が掛かってしまった。それでもロランは王都へ戻って作戦が成功した事を報告すると、国王は非常に喜んで彼を迎え入れた。
「そうか、無事にグマグ火山の奪還にしたか!!」
「はっ……しかし、その代償としてマホ魔導士は深き眠りにつき、ハマーン技師を失ってしまいました。全ては私の責任です……どうか、罰するなら私だけを」
「何を言う、お主に責任はない。しかし、あのマホ魔導士とハマーン技師が……」
国王としてはマホが倒れ、ハマーンが亡くなった事は残念でならなかった。二人ともこの国にとっては重要な人材であり、せめてマホだけでも目を覚ます事だけを祈る。
「マホ魔導士の容体は?」
「診察したイリア魔導士の話によればマホ魔導士が目覚めるのはいつ頃になるのか全く分からないそうです。明日には目覚めるかもしれないし、もしかしたら10年経っても目を覚まさないかもしれないとの事です」
「そうか……」
「希望があるとすればイリア魔導士が現在制作している薬……精霊薬が完成すればマホ魔導士も目覚めるかもしれないとの事です。尤も完成の目途は立っていないようですが……」
「精霊薬、か……御伽噺じゃな」
イリアが前々から精霊薬の開発に勤しんでいる事は周知の事実だが、伝説の秘薬とまで称された薬の開発などできるはずがないと周りの人間は考えている。彼女が優秀な薬師なのは認めざるを得ないが、それでも国王が精霊薬を人の手で造り出せる薬だとは到底思えなかった。
「この王都に帰還した人間はどのくらいおる?」
「私の他にはバッシュ王子とリノ王女、それと護衛が数名と聖女騎士団団長のテンだけです。他の者は飛行船に残り、船の警備を任せています」
「そうか……飛行船を動かす事ができるのはアルトだけというのは誠か?」
「はい。生前にハマーン技師が残した手紙によると飛行船の運転をアルト王子が変わっていた事もあるそうです」
「アルトめ、そんな話は聞いておらんぞ……」
ハマーンは亡くなる前に自分の命が長くない事を悟り、事前に遺書を書き込残していた。その遺書には飛行船を動かせるのは自分の弟子であるアルトしかおらず、彼以外の者は飛行船を動かす事はできないだろうと記していた。
手紙を確認したロランはグマグ火山に残した飛行船を動かせるのはアルトだけだと信じ、この国にはたった二つしか存在しない飛行船を放置するわけにもいかず、彼は他の討伐隊を王都へ帰還させるためにもアルトをグマグ火山へ出向かせるように国王へ進言する。
「国王陛下、飛行船を失うわけにはいきません。すぐにアルト王子をグマグ火山まで派遣する許可を……護衛役は私が務めましょう」
「うむ、それは構わんが……実はアルトは例の研究室に引きこもっててな」
「実験室?王子になにかあったのですか?」
「その事に関して説明する前にお主は色々と話さなければならん事があってな……実は王都でもとんでもない事が起きたのじゃ」
「……お聞かせください」
神妙な表情を浮かべる国王に対してロランは自分達が不在の間、王都でも只事ではない出来事が起きたと察し、彼から詳しく話を聞く――
――その頃、ロランに同行して王都に戻ったテンは聖女騎士団の団員に連れられてある場所に赴いていた。それは王城内に存在する墓地で有り、この場所には歴代の将軍や魔導士、もしくは多大な功績を残した王国騎士の墓が残される。
墓地に案内された時点でテンは察しがつき、彼女は「レイラ」と名前が刻まれた墓を見て黙って立ち尽くす。彼女の傍にはアリシア、ランファンの姿もあった。この二人はテンと同じくレイラとは長い付き合いであり、かつて義姉妹の誓いを交わした。
エルマがいないのは彼女は意識を失ったマホを城内へ運び、彼女の傍を離れられなかった。しかし、レイラの死を聞かされたエルマは涙を流し、自分の代わりにテンに彼女の墓参りを頼む。
「……本当にあいつはそんな事を言ったのかい」
「ええ、間違いありません」
「あのレイラが……殺されただと」
レイラの死を見届けたアリシアはテンとランファンに事情を説明するが、その話を聞かされたテンとランファンはとても信じられなかった。レイラは聖女騎士団の中でも指折りの剣士であり、テンが副団長に就く前は彼女が王妃の右腕として活躍していた。
聖女騎士団の中では王妃と同じく双剣の使い手であり、元傭兵だが気さくで姉御肌な人物だったので他の団員からも慕われていた。テンも言葉こそ口にしなかったが、彼女の事は実の姉の様に大切に想っていた。
「例の魔物使い……アンとやらに殺されたのかい」
「……そうです」
「アン……あの時のガキが、レイラを……」
「信じられない……」
テンの覚えている限りではアンは孤児院でバートンに人質にされていた哀れな子供にしか見えなかったが、そのアンがレイラを殺したという事実は受け入れがたい。しかし、いくら頭が理解を拒もうとレイラがこの世にいない事は現実である。
「何やってんだいあんた……約束したじゃないかい、あたし達は死ぬときは一緒だって……」
「テン……」
「申し訳ありません、私がレイラの傍を離れていなければ……」
「止めなっ!!それ以上言ったらぶっ飛ばすよ!!」
アリシアはレイラと別行動を取らなければ彼女を死なせる事はなかったかもしれないと謝罪しようとするが、レイラが死んだのは彼女の責任であって他の人間のせいではない。
「あいつが死んだのは全部あいつのせいさ……あんたのせいじゃない」
「しかし……」
「しかしもくそもあるかい!!これ以上に余計な事を言ったら殴り飛ばすよ!!」
「落ち着け、二人とも」
沈痛な表情を浮かべて今にも泣きだしそうなアリシアを見て、テンは思わずに彼女に殴り掛かりそうになったが、それをランファンが抑える。二人とも頭では理解しているが、それでも簡単にはレイラの死を受け入れられない。
レイラが死んだ事はアリシアは自分にも責任の一端があると思い込み、テンはレイラが死んだのはアンのせいであって他の誰の責任でもないと考えている。ランファンもテンと同じ考えであり、彼女は決意を固めて二人に告げた。
「アンの行方を追うぞ……レイラの仇は我々が討つ」
「ええっ……そうですね」
「……ここで待ってな、レイラ。必ずあんたの仇を討つ、ここにアンの首を持ってくるよ」
3人はレイラの仇を討つ事を誓い、ここから先は聖女騎士団の王国騎士としてではなく、レイラと義姉妹の誓い会った者同士として彼女の命を奪ったアンを討つ事を誓う。
この日からテン達はアンの行方を追い、彼女は聖女騎士団を離れる決意を固めた――
――その一方で王城の研究室ではアルトがブラックゴーレムとの戦闘で負傷した「ドゴン」の修復を行い、これまでにハマーンから教わった技術を駆使して人造ゴーレムである彼を完璧に直す。
「よし、これで問題ない……気分はどうだい?」
「ドゴン♪」
「よし、良い子だ」
ドゴンは自分を直してくれたアルトに嬉しそうな声を上げ、完璧に元通りの状態に戻っていた。そんな彼の姿を見てアルトは安心するが、アンの支配下に置かれていたブラックゴーレムの事を思い出すと素直に喜べない。
(まさか最強のゴーレムだと思っていたドゴンを追い詰めるゴーレムがいたなんて……あの黒色のゴーレム、侮れないな)
もしもドゴンがブラックゴーレムと再遭遇した場合、勝てる保証はない。そこでアルトはドゴンを見つめ、彼がブラックゴーレムに確実に勝つためには「改良」を加える必要があると判断した。
(よし、ここからが魔道具職人の本領発揮だ。必ず仕上げてみせるぞ、僕だけの最強のゴーレムを!!)
アルトはドゴンに改造を加えて最強のゴーレムを作り出す事を誓うが、それからしばらくしないうちにロランが実験室に訪れ、飛行船の回収のためにグマグ火山へ向かう事を伝えられる――
マグマゴーレムの素材を回収する理由はいくつかあり、一つ目の理由は良質な火属性の魔石となる「核」を回収する事、二つ目の理由は仮に生き残りのマグマゴーレムが存在した場合、他のマグマゴーレムの死骸を吸収して暴走する恐れを未然に防ぐためである。
飛行船が襲撃を受けた際にマグマゴーレムが他の仲間の死骸を吸収し、より強大なゴーレムに変化する事が発覚した。もしもマグマゴーレムの死骸をそのまま放置すれば他に生き残りが居た場合、その死骸を吸収して強大な力を手にしたマグマゴーレムが誕生する恐れがあった。
討伐隊が倒したマグマゴーレムの死骸から核を回収するのは想定よりも時間が掛かり、念のためにグマグ火山近辺を調査してマグマゴーレムが残っていないのかも確認した。結果から言えばマグマゴーレムは確認されず、討伐隊は無事にグマグ火山周辺のマグマゴーレムの討伐の成功を果たす。
しかし、マグマゴーレムを殲滅したところで時が立てば火山から新たなマグマゴーレムが誕生する。これは自然の摂理であり、ゴーレム種は自然発生で生まれるので絶滅させる事はできない。それでもしばらくの間は安全のため、グマグ火山に炭夫を送り込んで火属性の魔石の採掘が再開できる。
最大の問題は飛行船の操縦者であったハマーンが亡くなってしまい、彼の代わりに誰が飛行船を操作するのかでひと悶着があった。これまでに飛行船を操縦してきたのはハマーンだけであり、彼の弟子達も操縦方法は教わったが実際に操縦した事はない。
仮に飛行船を操縦できるとしたらハマーンの直弟子だったアルトしかおらず、その彼は王都に残っているので力を借りれない。まさか素人が飛行船の操縦をするわけにもいかず、結局はナイ達は飛行船に頼らずに王都へ帰還する事になった。
「ロランよ、無事に任務を果たしてよくぞ戻ってきた」
「はっ……予定よりも大分遅れてしまい、申し訳ございません」
討伐隊が王都を出発してから丁度十日後、討伐隊の指揮を務めたロランは一足先に国王の元へ戻り、これまでの報告を行う。
核の回収や火山近辺の調査、飛行船に乗ってきたせいで馬などの乗り物は用意できず、戻るのに大分時間が掛かってしまった。それでもロランは王都へ戻って作戦が成功した事を報告すると、国王は非常に喜んで彼を迎え入れた。
「そうか、無事にグマグ火山の奪還にしたか!!」
「はっ……しかし、その代償としてマホ魔導士は深き眠りにつき、ハマーン技師を失ってしまいました。全ては私の責任です……どうか、罰するなら私だけを」
「何を言う、お主に責任はない。しかし、あのマホ魔導士とハマーン技師が……」
国王としてはマホが倒れ、ハマーンが亡くなった事は残念でならなかった。二人ともこの国にとっては重要な人材であり、せめてマホだけでも目を覚ます事だけを祈る。
「マホ魔導士の容体は?」
「診察したイリア魔導士の話によればマホ魔導士が目覚めるのはいつ頃になるのか全く分からないそうです。明日には目覚めるかもしれないし、もしかしたら10年経っても目を覚まさないかもしれないとの事です」
「そうか……」
「希望があるとすればイリア魔導士が現在制作している薬……精霊薬が完成すればマホ魔導士も目覚めるかもしれないとの事です。尤も完成の目途は立っていないようですが……」
「精霊薬、か……御伽噺じゃな」
イリアが前々から精霊薬の開発に勤しんでいる事は周知の事実だが、伝説の秘薬とまで称された薬の開発などできるはずがないと周りの人間は考えている。彼女が優秀な薬師なのは認めざるを得ないが、それでも国王が精霊薬を人の手で造り出せる薬だとは到底思えなかった。
「この王都に帰還した人間はどのくらいおる?」
「私の他にはバッシュ王子とリノ王女、それと護衛が数名と聖女騎士団団長のテンだけです。他の者は飛行船に残り、船の警備を任せています」
「そうか……飛行船を動かす事ができるのはアルトだけというのは誠か?」
「はい。生前にハマーン技師が残した手紙によると飛行船の運転をアルト王子が変わっていた事もあるそうです」
「アルトめ、そんな話は聞いておらんぞ……」
ハマーンは亡くなる前に自分の命が長くない事を悟り、事前に遺書を書き込残していた。その遺書には飛行船を動かせるのは自分の弟子であるアルトしかおらず、彼以外の者は飛行船を動かす事はできないだろうと記していた。
手紙を確認したロランはグマグ火山に残した飛行船を動かせるのはアルトだけだと信じ、この国にはたった二つしか存在しない飛行船を放置するわけにもいかず、彼は他の討伐隊を王都へ帰還させるためにもアルトをグマグ火山へ出向かせるように国王へ進言する。
「国王陛下、飛行船を失うわけにはいきません。すぐにアルト王子をグマグ火山まで派遣する許可を……護衛役は私が務めましょう」
「うむ、それは構わんが……実はアルトは例の研究室に引きこもっててな」
「実験室?王子になにかあったのですか?」
「その事に関して説明する前にお主は色々と話さなければならん事があってな……実は王都でもとんでもない事が起きたのじゃ」
「……お聞かせください」
神妙な表情を浮かべる国王に対してロランは自分達が不在の間、王都でも只事ではない出来事が起きたと察し、彼から詳しく話を聞く――
――その頃、ロランに同行して王都に戻ったテンは聖女騎士団の団員に連れられてある場所に赴いていた。それは王城内に存在する墓地で有り、この場所には歴代の将軍や魔導士、もしくは多大な功績を残した王国騎士の墓が残される。
墓地に案内された時点でテンは察しがつき、彼女は「レイラ」と名前が刻まれた墓を見て黙って立ち尽くす。彼女の傍にはアリシア、ランファンの姿もあった。この二人はテンと同じくレイラとは長い付き合いであり、かつて義姉妹の誓いを交わした。
エルマがいないのは彼女は意識を失ったマホを城内へ運び、彼女の傍を離れられなかった。しかし、レイラの死を聞かされたエルマは涙を流し、自分の代わりにテンに彼女の墓参りを頼む。
「……本当にあいつはそんな事を言ったのかい」
「ええ、間違いありません」
「あのレイラが……殺されただと」
レイラの死を見届けたアリシアはテンとランファンに事情を説明するが、その話を聞かされたテンとランファンはとても信じられなかった。レイラは聖女騎士団の中でも指折りの剣士であり、テンが副団長に就く前は彼女が王妃の右腕として活躍していた。
聖女騎士団の中では王妃と同じく双剣の使い手であり、元傭兵だが気さくで姉御肌な人物だったので他の団員からも慕われていた。テンも言葉こそ口にしなかったが、彼女の事は実の姉の様に大切に想っていた。
「例の魔物使い……アンとやらに殺されたのかい」
「……そうです」
「アン……あの時のガキが、レイラを……」
「信じられない……」
テンの覚えている限りではアンは孤児院でバートンに人質にされていた哀れな子供にしか見えなかったが、そのアンがレイラを殺したという事実は受け入れがたい。しかし、いくら頭が理解を拒もうとレイラがこの世にいない事は現実である。
「何やってんだいあんた……約束したじゃないかい、あたし達は死ぬときは一緒だって……」
「テン……」
「申し訳ありません、私がレイラの傍を離れていなければ……」
「止めなっ!!それ以上言ったらぶっ飛ばすよ!!」
アリシアはレイラと別行動を取らなければ彼女を死なせる事はなかったかもしれないと謝罪しようとするが、レイラが死んだのは彼女の責任であって他の人間のせいではない。
「あいつが死んだのは全部あいつのせいさ……あんたのせいじゃない」
「しかし……」
「しかしもくそもあるかい!!これ以上に余計な事を言ったら殴り飛ばすよ!!」
「落ち着け、二人とも」
沈痛な表情を浮かべて今にも泣きだしそうなアリシアを見て、テンは思わずに彼女に殴り掛かりそうになったが、それをランファンが抑える。二人とも頭では理解しているが、それでも簡単にはレイラの死を受け入れられない。
レイラが死んだ事はアリシアは自分にも責任の一端があると思い込み、テンはレイラが死んだのはアンのせいであって他の誰の責任でもないと考えている。ランファンもテンと同じ考えであり、彼女は決意を固めて二人に告げた。
「アンの行方を追うぞ……レイラの仇は我々が討つ」
「ええっ……そうですね」
「……ここで待ってな、レイラ。必ずあんたの仇を討つ、ここにアンの首を持ってくるよ」
3人はレイラの仇を討つ事を誓い、ここから先は聖女騎士団の王国騎士としてではなく、レイラと義姉妹の誓い会った者同士として彼女の命を奪ったアンを討つ事を誓う。
この日からテン達はアンの行方を追い、彼女は聖女騎士団を離れる決意を固めた――
――その一方で王城の研究室ではアルトがブラックゴーレムとの戦闘で負傷した「ドゴン」の修復を行い、これまでにハマーンから教わった技術を駆使して人造ゴーレムである彼を完璧に直す。
「よし、これで問題ない……気分はどうだい?」
「ドゴン♪」
「よし、良い子だ」
ドゴンは自分を直してくれたアルトに嬉しそうな声を上げ、完璧に元通りの状態に戻っていた。そんな彼の姿を見てアルトは安心するが、アンの支配下に置かれていたブラックゴーレムの事を思い出すと素直に喜べない。
(まさか最強のゴーレムだと思っていたドゴンを追い詰めるゴーレムがいたなんて……あの黒色のゴーレム、侮れないな)
もしもドゴンがブラックゴーレムと再遭遇した場合、勝てる保証はない。そこでアルトはドゴンを見つめ、彼がブラックゴーレムに確実に勝つためには「改良」を加える必要があると判断した。
(よし、ここからが魔道具職人の本領発揮だ。必ず仕上げてみせるぞ、僕だけの最強のゴーレムを!!)
アルトはドゴンに改造を加えて最強のゴーレムを作り出す事を誓うが、それからしばらくしないうちにロランが実験室に訪れ、飛行船の回収のためにグマグ火山へ向かう事を伝えられる――
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