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嵐の前の静けさ
第996話 イリアの新兵器
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「くそっ!!とにかく眠っている奴等を叩き起こしな!!このままだと飛行船は燃やされるよ!?」
「は、はい!!」
「それと例の魔導大砲!!あれを使う準備も進めな!!」
「わ、分かりました!!」
飛行船には外部からの攻撃に備えて兵器が搭載されており、ポイズンタートルとの戦闘で利用された魔導大砲などもこれに含まれる。テンは魔導大砲ならばマグマゴーレムを一網打尽にできると考えたが、魔導大砲は船首に存在するために位置的に正面の相手しか狙えない。
飛行船を取り囲むマグマゴーレムの大群は魔導大砲だけでは対処できず、他に飛行船に内蔵されている兵器といえば甲板には魔獣を打ち倒すための特製ボーガンが設置されているだけである。
「おい、あの馬鹿でかいボーガンで狙い撃てないのかい!?」
「あ、そうか……いや、駄目です!!専用の矢を運び出さないと使えません!!昨日の雨で濡れないように矢は別の場所で保管してまして……」
「たくっ、使ええないね!!それでも最新の船かい!?」
「はいは~い、すいませんけど、ちょっと退いてください」
テンが騎士達に怒鳴りつけていると、彼女の後方から聞き覚えのある声が聞こえた。驚いたテンは振り返ると、そこにはヒイロとミイナに大量の樽を載せた荷車を運ばせるイリアの姿があった。
「イリア!?それにヒイロとミイナまで……何してるんだい!?」
「見ての通り、助けに来たんですよ。この私が改良を加えた小樽型爆弾で」
「こ、小樽型爆弾!?」
「テン、邪魔だから退いて」
「ううっ……け、結構重いんですね」
ミイナは軽々と小樽型爆弾を肩に乗せて持ち上げ、その隣でヒイロは両手を使って必死に小樽型爆弾を持ち上げる。彼女達の行動にテンは戸惑うと、後ろの方から更に元気な声が聞こえてきた。
「おい、イリア!!持ってきてやったぞ!!」
「おお、流石ですね。重くなかったですか?」
「これぐらい、へっちゃらだ!!」
「ルナ、あんたまで……ていうか、何だいそれは!?」
ルナの声が甲板に響き渡り、テンは声のする方に視線を向けるとそこには「投石機」らしき物を運ぶルナの姿があった。彼女は小さいながらにナイやゴウカに次ぐ怪力を誇り、投石機を一人で運び出す。
投石機の前にヒイロとミイナは小樽型爆弾を置くと、それを確認したイリアが地上から接近するマグマゴーレムの大群の位置を把握し、他の者たちに指示を与える。
「あの位置だと……この角度ですね。よし、やっちゃってください」
「了解」
「せ、せぇのっ!!」
「うりゃあっ!!」
小樽型爆弾を石の代わりに投石機に乗せると、イリアの合図でマグマゴーレムの大群に向けて放たれた。それを見たテンと甲板の騎士達は呆気に取られるが、投石機によって投げ放たれた小樽型爆弾が地上に落ちた瞬間、凄まじい爆発を引き起こす。
「「「ゴアアアッ!?」」」
「うわぁっ!?」
「ひいいっ!?」
「うわっとと……威力の調整を失敗《ミス》りましたかね?」
「でも、かなりの数を減らせた」
小樽型爆弾の爆発によってマグマゴーレムの大群の一部が巻き込まれ、木っ端みじんに吹き飛ぶ。マグマゴーレムは本来は火属性の魔法攻撃には強いが、イリアが用意した小樽型爆弾はこれまで彼女が使用していた爆弾よりも威力が高く、ゴーレムを粉々に吹き飛ばす程の威力があった。
「な、何だい!!今の馬鹿げた威力は!?」
「いや~私も驚きですよ。ナイさんに頼んでマグマゴーレムの核をいくつか回収してもらったんですけど、それを利用して小樽型爆弾の改良を行ったんです。それで威力は御覧の通りですよ」
「うわぁっ……でっかい穴ができたぞ!!」
「な、なんて威力……上級の砲撃魔法にも匹敵します!!」
イリアは先日にナイに頼んでグマグ火山で倒したマグマゴーレムの核を回収してもらった。そして討伐隊が戻ってきた後にイリアはこっそりと薬の開発の合間に改良を加えた「小樽型爆弾」を作り出していた。
小樽型爆弾を製作するには火属性の魔石が必要なのだが、その代用品としてマグマゴーレムの核を使用した所、従来の小樽型爆弾の何倍もの威力を引きだせる事が発覚した。そのお陰で火属性の耐性を持つマグマゴーレムをも吹き飛ばし、投石機を利用して次々と撃ち込む。
「ほらほら、どんどんと撃っちゃってください!!」
「よし、何だか楽しくなってきたぞ!!」
「次、私が撃ちたい」
「わ、私も……」
「あんたらね……いや、その調子だよ。あたしにも手伝わせな!!」
「テン団長!?」
「「「ゴオオッ……!?」」」
半ば遊び感覚で投石機を利用して小樽型爆弾を撃ち込むイリア達にテンは呆れたが、この状況でマグマゴーレムの対抗手段を手に入れたのは頼もしく、彼女も共に小樽型爆弾を投石機に乗せて撃ち込む。
「ははっ、何だか楽しくなってきたね!!」
「新しい荷車が届きました!!」
「投石機も持って来たぞ!!」
「バンバン撃ってくださいね~いくらでもありますから」
「ていっ、ていっ」
「「「ゴアアアアッ!?」」」
二台目の投石機が到着し、小樽型爆弾を載せた新しい荷車が到着すると、飛行船の左右から小樽型爆弾を打ち込む。接近してきたマグマゴーレム達は小樽型爆弾を受けて弾け跳び、中には体内の核を刺激されて誘爆する個体も居た。
「ゴオオッ!?」
「ゴアッ!?」
「ゴオオッ……!!」
仲間達が次々とやられてもマグマゴーレムは進行を止めず、数を減らしながらも徐々に包囲網を狭めていく。その様子を見て投石機だけでは対処できないと判断したイリアは次の兵器を用意させる。
「流石に数が多いですね。仕方ありません、あれを使いましょう」
「あれ?まだ何かあるのかい?」
「ええ、どうやら持ってきてくれたようですね」
「イリア魔導士!!言われた物を持ってきました!!」
イリアの言葉を聞いてテンは不思議に思うと、騎士達が船内から駆けつけて大量の矢を運び込む。彼等が持って来た矢は普通の矢ではなく、通常の矢と違う点は鏃の部分が赤色の魔石だった。
こちらの矢もイリアが作り出した代物であり、ハマーンに協力して貰って火属性の魔石を削り取って鏃へと造り替えてもらった。それらを矢に嵌め込み、甲板に設置されている巨大ボーガンに装填させて打ち込む。
「よし、今度はこれで狙いますよ」
「おお、遂にそいつの出番かい!!退きな、あたしが撃ってやる!!」
「いいですけど、しっかりと当ててくださいね。数はそんなにないんですから……」
「任せな、こういうのは得意なんだよ!!」
テンはボーガンに矢を装填すると、狙いを定めて船に迫るマグマゴーレムを狙う。彼女が狙いを付けたのは他のマグマゴーレムよりも一回り程大きい個体であり、狙いを定めて矢を放つ。
「喰らいなっ!!」
「ゴオオッ!?」
ボーガンから矢が発射された瞬間、凄まじい勢いで矢が標的に当たった。マグマゴーレムの溶岩の肉体に火属性の魔石の鏃が触れた瞬間、その高熱に反応して爆発を引き起こす。
あまりの威力のマグマゴーレムは粉々に吹き飛び、更に吹き飛んだ拍子に出現したマグマゴーレムの核が発熱し、爆発を引き起こす。しかもその爆発が他のマグマゴーレムを巻き込み、連鎖的に誘爆していく。
『ゴアアアアッ!?』
「うわっ……な、何だいこれは!?」
「ふふふ、私が計算して作り出した特別な矢です。威力は保証しますよ」
「何てもんを作り出したんだい……」
「でも、凄い勢いで減っていくぞ!!」
ルナの言う通りにイリアの作り出した矢のお陰でマグマゴーレムは次々と吹き飛び、大分数を減らす事ができた。残りのマグマゴーレムは10体程度まで減り、これだけの数ならばもう兵器に頼らずとも対処できた。
「あ、今のでもう小樽型爆弾も矢を撃ち尽くしましたね……」
「十分だよ!!よし、後は下に下りて残った奴等をぶっ壊すだけだね!!」
「いったい何の騒ぎだ!!」
「うおっ!?何だ、この状況!?」
ようやく船内からロランが率いる王国騎士達と冒険者が訪れ、外の光景を見て唖然としたが、そんな彼等にテンは堂々と言い放つ。
「たくっ、やっと来たのかい!!情けない男衆だね!!あんたらが呑気に眠っている間にこっちはもう敵を倒してるんだよ!!」
「な、何だこりゃ!?どうしてマグマゴーレムがこんな所に……」
「奴等がここまで来たというのか……」
遅れて駆けつけてきた者達も事態を把握すると、彼等はマグマゴーレムが火山から落ちてこんな場所まで降りてきた事を理解する。しかし、既にテン達の活躍でマグマゴーレムの9割近くが既に倒されたと知ると驚愕したが同時に安堵した。
だが、辛うじて生き残ったマグマゴーレムは破壊された仲間の残骸を拾い上げ、その中から砕けた核を取り出す。
「アガァッ……」
「ゴアッ……」
「ウグゥッ……」
マグマゴーレム達は倒された仲間の核を取り出し、それを口の中に放り込む。その瞬間、マグマゴーレムは膨大な火属性の魔力を取り込み、全身に火炎を纏う。
『ゴォオオオッ!!』
「お、おい!!様子がおかしいぞ!?」
「な、何だあれは!?」
「嫌な予感がする……」
地上のマグマゴーレムの異変に気付いた甲板の騎士達は急いで戦闘準備を行うが、その間にもマグマゴーレム達は仲間の核を喰らっては姿形を変化させていく。
最終的には生き残った十匹のマグマゴーレムは全長が四メートルを超え、全身に炎を纏った状態で咆哮を放つ。膨大な火属性の魔力を取り込んだマグマゴーレム達は飛行船に向けて再接近する。
「は、はい!!」
「それと例の魔導大砲!!あれを使う準備も進めな!!」
「わ、分かりました!!」
飛行船には外部からの攻撃に備えて兵器が搭載されており、ポイズンタートルとの戦闘で利用された魔導大砲などもこれに含まれる。テンは魔導大砲ならばマグマゴーレムを一網打尽にできると考えたが、魔導大砲は船首に存在するために位置的に正面の相手しか狙えない。
飛行船を取り囲むマグマゴーレムの大群は魔導大砲だけでは対処できず、他に飛行船に内蔵されている兵器といえば甲板には魔獣を打ち倒すための特製ボーガンが設置されているだけである。
「おい、あの馬鹿でかいボーガンで狙い撃てないのかい!?」
「あ、そうか……いや、駄目です!!専用の矢を運び出さないと使えません!!昨日の雨で濡れないように矢は別の場所で保管してまして……」
「たくっ、使ええないね!!それでも最新の船かい!?」
「はいは~い、すいませんけど、ちょっと退いてください」
テンが騎士達に怒鳴りつけていると、彼女の後方から聞き覚えのある声が聞こえた。驚いたテンは振り返ると、そこにはヒイロとミイナに大量の樽を載せた荷車を運ばせるイリアの姿があった。
「イリア!?それにヒイロとミイナまで……何してるんだい!?」
「見ての通り、助けに来たんですよ。この私が改良を加えた小樽型爆弾で」
「こ、小樽型爆弾!?」
「テン、邪魔だから退いて」
「ううっ……け、結構重いんですね」
ミイナは軽々と小樽型爆弾を肩に乗せて持ち上げ、その隣でヒイロは両手を使って必死に小樽型爆弾を持ち上げる。彼女達の行動にテンは戸惑うと、後ろの方から更に元気な声が聞こえてきた。
「おい、イリア!!持ってきてやったぞ!!」
「おお、流石ですね。重くなかったですか?」
「これぐらい、へっちゃらだ!!」
「ルナ、あんたまで……ていうか、何だいそれは!?」
ルナの声が甲板に響き渡り、テンは声のする方に視線を向けるとそこには「投石機」らしき物を運ぶルナの姿があった。彼女は小さいながらにナイやゴウカに次ぐ怪力を誇り、投石機を一人で運び出す。
投石機の前にヒイロとミイナは小樽型爆弾を置くと、それを確認したイリアが地上から接近するマグマゴーレムの大群の位置を把握し、他の者たちに指示を与える。
「あの位置だと……この角度ですね。よし、やっちゃってください」
「了解」
「せ、せぇのっ!!」
「うりゃあっ!!」
小樽型爆弾を石の代わりに投石機に乗せると、イリアの合図でマグマゴーレムの大群に向けて放たれた。それを見たテンと甲板の騎士達は呆気に取られるが、投石機によって投げ放たれた小樽型爆弾が地上に落ちた瞬間、凄まじい爆発を引き起こす。
「「「ゴアアアッ!?」」」
「うわぁっ!?」
「ひいいっ!?」
「うわっとと……威力の調整を失敗《ミス》りましたかね?」
「でも、かなりの数を減らせた」
小樽型爆弾の爆発によってマグマゴーレムの大群の一部が巻き込まれ、木っ端みじんに吹き飛ぶ。マグマゴーレムは本来は火属性の魔法攻撃には強いが、イリアが用意した小樽型爆弾はこれまで彼女が使用していた爆弾よりも威力が高く、ゴーレムを粉々に吹き飛ばす程の威力があった。
「な、何だい!!今の馬鹿げた威力は!?」
「いや~私も驚きですよ。ナイさんに頼んでマグマゴーレムの核をいくつか回収してもらったんですけど、それを利用して小樽型爆弾の改良を行ったんです。それで威力は御覧の通りですよ」
「うわぁっ……でっかい穴ができたぞ!!」
「な、なんて威力……上級の砲撃魔法にも匹敵します!!」
イリアは先日にナイに頼んでグマグ火山で倒したマグマゴーレムの核を回収してもらった。そして討伐隊が戻ってきた後にイリアはこっそりと薬の開発の合間に改良を加えた「小樽型爆弾」を作り出していた。
小樽型爆弾を製作するには火属性の魔石が必要なのだが、その代用品としてマグマゴーレムの核を使用した所、従来の小樽型爆弾の何倍もの威力を引きだせる事が発覚した。そのお陰で火属性の耐性を持つマグマゴーレムをも吹き飛ばし、投石機を利用して次々と撃ち込む。
「ほらほら、どんどんと撃っちゃってください!!」
「よし、何だか楽しくなってきたぞ!!」
「次、私が撃ちたい」
「わ、私も……」
「あんたらね……いや、その調子だよ。あたしにも手伝わせな!!」
「テン団長!?」
「「「ゴオオッ……!?」」」
半ば遊び感覚で投石機を利用して小樽型爆弾を撃ち込むイリア達にテンは呆れたが、この状況でマグマゴーレムの対抗手段を手に入れたのは頼もしく、彼女も共に小樽型爆弾を投石機に乗せて撃ち込む。
「ははっ、何だか楽しくなってきたね!!」
「新しい荷車が届きました!!」
「投石機も持って来たぞ!!」
「バンバン撃ってくださいね~いくらでもありますから」
「ていっ、ていっ」
「「「ゴアアアアッ!?」」」
二台目の投石機が到着し、小樽型爆弾を載せた新しい荷車が到着すると、飛行船の左右から小樽型爆弾を打ち込む。接近してきたマグマゴーレム達は小樽型爆弾を受けて弾け跳び、中には体内の核を刺激されて誘爆する個体も居た。
「ゴオオッ!?」
「ゴアッ!?」
「ゴオオッ……!!」
仲間達が次々とやられてもマグマゴーレムは進行を止めず、数を減らしながらも徐々に包囲網を狭めていく。その様子を見て投石機だけでは対処できないと判断したイリアは次の兵器を用意させる。
「流石に数が多いですね。仕方ありません、あれを使いましょう」
「あれ?まだ何かあるのかい?」
「ええ、どうやら持ってきてくれたようですね」
「イリア魔導士!!言われた物を持ってきました!!」
イリアの言葉を聞いてテンは不思議に思うと、騎士達が船内から駆けつけて大量の矢を運び込む。彼等が持って来た矢は普通の矢ではなく、通常の矢と違う点は鏃の部分が赤色の魔石だった。
こちらの矢もイリアが作り出した代物であり、ハマーンに協力して貰って火属性の魔石を削り取って鏃へと造り替えてもらった。それらを矢に嵌め込み、甲板に設置されている巨大ボーガンに装填させて打ち込む。
「よし、今度はこれで狙いますよ」
「おお、遂にそいつの出番かい!!退きな、あたしが撃ってやる!!」
「いいですけど、しっかりと当ててくださいね。数はそんなにないんですから……」
「任せな、こういうのは得意なんだよ!!」
テンはボーガンに矢を装填すると、狙いを定めて船に迫るマグマゴーレムを狙う。彼女が狙いを付けたのは他のマグマゴーレムよりも一回り程大きい個体であり、狙いを定めて矢を放つ。
「喰らいなっ!!」
「ゴオオッ!?」
ボーガンから矢が発射された瞬間、凄まじい勢いで矢が標的に当たった。マグマゴーレムの溶岩の肉体に火属性の魔石の鏃が触れた瞬間、その高熱に反応して爆発を引き起こす。
あまりの威力のマグマゴーレムは粉々に吹き飛び、更に吹き飛んだ拍子に出現したマグマゴーレムの核が発熱し、爆発を引き起こす。しかもその爆発が他のマグマゴーレムを巻き込み、連鎖的に誘爆していく。
『ゴアアアアッ!?』
「うわっ……な、何だいこれは!?」
「ふふふ、私が計算して作り出した特別な矢です。威力は保証しますよ」
「何てもんを作り出したんだい……」
「でも、凄い勢いで減っていくぞ!!」
ルナの言う通りにイリアの作り出した矢のお陰でマグマゴーレムは次々と吹き飛び、大分数を減らす事ができた。残りのマグマゴーレムは10体程度まで減り、これだけの数ならばもう兵器に頼らずとも対処できた。
「あ、今のでもう小樽型爆弾も矢を撃ち尽くしましたね……」
「十分だよ!!よし、後は下に下りて残った奴等をぶっ壊すだけだね!!」
「いったい何の騒ぎだ!!」
「うおっ!?何だ、この状況!?」
ようやく船内からロランが率いる王国騎士達と冒険者が訪れ、外の光景を見て唖然としたが、そんな彼等にテンは堂々と言い放つ。
「たくっ、やっと来たのかい!!情けない男衆だね!!あんたらが呑気に眠っている間にこっちはもう敵を倒してるんだよ!!」
「な、何だこりゃ!?どうしてマグマゴーレムがこんな所に……」
「奴等がここまで来たというのか……」
遅れて駆けつけてきた者達も事態を把握すると、彼等はマグマゴーレムが火山から落ちてこんな場所まで降りてきた事を理解する。しかし、既にテン達の活躍でマグマゴーレムの9割近くが既に倒されたと知ると驚愕したが同時に安堵した。
だが、辛うじて生き残ったマグマゴーレムは破壊された仲間の残骸を拾い上げ、その中から砕けた核を取り出す。
「アガァッ……」
「ゴアッ……」
「ウグゥッ……」
マグマゴーレム達は倒された仲間の核を取り出し、それを口の中に放り込む。その瞬間、マグマゴーレムは膨大な火属性の魔力を取り込み、全身に火炎を纏う。
『ゴォオオオッ!!』
「お、おい!!様子がおかしいぞ!?」
「な、何だあれは!?」
「嫌な予感がする……」
地上のマグマゴーレムの異変に気付いた甲板の騎士達は急いで戦闘準備を行うが、その間にもマグマゴーレム達は仲間の核を喰らっては姿形を変化させていく。
最終的には生き残った十匹のマグマゴーレムは全長が四メートルを超え、全身に炎を纏った状態で咆哮を放つ。膨大な火属性の魔力を取り込んだマグマゴーレム達は飛行船に向けて再接近する。
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