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嵐の前の静けさ
第981話 グマグ火山へ向けて
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(確かにここに何かいる……何処だ?)
ナイは廊下に出ると「気配感知」を発動させて周囲を探る。しかし、この飛行船内には数百人の人間が乗り込んでいるため、人が多すぎて上手く気配を感知できない。
飛行船に乗り込んでいる人間の中には一般人とは比べ物にならない力を持つ人間がおり、特にゴウカの気配が大きすぎて視線の主を特定する事ができない。
(駄目だ、気配感知は頼りにならない。それなら心眼で探すしかないか)
ナイは目を閉じて心眼を発動させ、視覚以外の五感を研ぎ澄まして周囲に隠れている人物を探す。心眼を頼りにナイは周囲に怪しい人物がいないのかを探した結果、彼は自分から逃げるように移動する小さな物体を感じ取った。
(何だ……人じゃない!?)
心眼を頼りにナイは廊下を移動する小さな物体の後を追うと、曲がり角に差し当たった時に別の気配を感じ取った。そちらの気配は間違いなく人間であり、ナイは目を開いて刺剣に手を伸ばす。
「「誰だ!?」」
曲がり角に到着すると、ナイは刺剣を手にした状態で叫ぶ。相手の方も全く同時に叫んで曲がり角から出てくると、その相手は「ガオウ」だった。彼はナイを見て驚き、その手には短剣が握りしめられていた。
「ガオウさん!?」
「坊主!?お前だったのか……」
お互いの顔を見て武器を戻すと、二人は周囲を見渡す。そして相手の顔を見てどうやら二人とも同じ行動を取っていた事が判明する。
「ガオウさんも何か追いかけていたんですか?」
「ああ、ちょいと変な臭いがしたからな……だが、どうやら逃げられたみたいだな」
「臭い?」
「獣臭だ。まあ、多分だけど鼠か何かだな」
獣人族のガオウは人間よりも嗅覚が優れているため、ナイが後を追った生物の正体を見抜いていた。彼によると獣臭がした事から鼠だと判断し、臭いを辿ってここまで追いかけてきたらしい。
自分が感じた視線の正体が「鼠」なのかとナイは疑問を抱くが、もう既に心眼は解除してしまった。ガオウも鼻を鳴らすが臭いは途絶えてしまい、これ以上の追跡は難しかった。
「ちっ、逃げられたようだな……仕方ない、もうそろそろ到着するらしい。放っておくか」
「そうですね……」
「坊主も準備はしておけよ。まあ、ただの鼠なら放っておいても大丈夫だろ」
「…………」
ガオウの「ただの鼠」という言葉にナイは不安を抱き、ただの勘ではあるが嫌な予感がした。こういう時のナイの「直感」は外れた事はなく、それでも一匹の鼠が何か仕出かせるとは思えず、考え過ぎかと思いながら甲板へ向かう――
――飛行船はグマグ火山へと辿り着くが、火山の方は以前にもまして熱気が増していた。恐らく熱気が上昇した理由は大量発生したマグマゴーレムの影響であると考えられ、飛行船が影響を受ける事を考慮してグマグ火山から数キロほど離れた場所に着陸した。
飛行船が着地すると各騎士団と冒険者達が整列し、今回の作戦は馬などの乗り物は用意されていない。理由としては馬などの生き物はマグマゴーレムを前にすると怯えて逃げ出す可能性もあり、第一に火山の熱気に耐え切れない。魔獣の類も同様の理由で連れはいない。
「ここを野営地とする!!我々はこの場所を拠点にグマグ火山へ向かう!!各自、回復薬を受け取れ!!」
「はいは~い、王国印の回復薬ですよ~」
「皆の分もあるからね~」
イリアとモモが作り出した回復薬が支給され、この日のために事前に全員分の回復薬を用意していた。騎士達が次々と受け取り、ナイの番が訪れるとモモが嬉しそうに新しい煌魔石を差し出す。
「はい、これ!!ナイ君のために新しいの用意したんだよ!!」
「私も手を加えた特製の煌魔石です。大切にしてくださいね」
「あ、ありがとう……大切にするよ」
ナイは二人に礼を告げて新しい煌魔石を受け取り、魔法腕輪に装着を行う。そして彼女達から回復薬を受け取ると、不意に受け取った回復薬を見て不思議に思う。
「あれ?仙薬の類は用意してないの?」
「ああ、それなんですけどね……何故か仙薬が入った袋がなくなってたんですよ」
「え?どういう事?」
「分かりません、確かに保管してたはずなんですけど……誰かに盗まれたのかもしれません」
「そんなはずがないだろう。この飛行船に盗人が乗り込んだというつもりか?」
イリアの言葉にリンが即座に否定し、飛行船の乗員の中に盗人が居る可能性を否定する。飛行船に乗り込んだのは信頼の厚い王国騎士と冒険者だけであり、その中に盗人がいるはずもない。
仮にナイ達の知らぬ間に悪党が乗り込んでいたという事もあり得ず、飛行船が出発した後に隈なく飛行船内は捜索され、他の人間が乗っていない事は確認済みである。しかし、同行者の中にはナイやガオウの他に不穏な気配を感じた者も居た。
「絶対にあり得ないとは言い切れないだろう」
「拙者もそう思うでござる」
「お前達……いきなり何を言い出すんだ」
銀狼騎士団に従属しているシノビとクノが口を挟み、この二人は並の暗殺者よりも優れた能力を持つ「忍者」だった。その二人が飛行船の移動中、ナイとガオウと同様に不審な気配を感じた事を報告する。
「確かに我々も移動中、何度か奇妙な気配を感じた。一人ならばともかく、二人や三人も違和感を感じるのであればそれはただの偶然とは言えん」
「もう一度船内を捜索した方がいいかもしれないでござる」
「私も賛成ですね。仙薬がなくなったのは確かですし、もしかしたら船の中に誰かいるかもしれません」
「ふむ……どちらにしろ、全員が飛行船を離れるわけには行かん。残った人間は船内の捜索を行わせよう」
報告を聞いたロランはナイ達が感じた奇妙な気配が気にかかり、飛行船に待機する人間は船内の捜索を行わせる事を告げる。そして飛行船に残る人員を選別した。
「シノビ、クノ、お前達のどちらかは飛行船に残って調査しろ。ガオウ、お前も二人の手伝いをしてくれるか?」
「それならば妹に任せよう」
「承知したでござる」
「まあ、大将軍の頼みなら断るわけにはいかないな」
飛行船にはクノが残る事が決まり、ガオウもロランに頼まれては断り切れない。念のためにロランはリノにも話しかける。
「リノ王女も残って下さい。我々が居ない間、この飛行船の守護をお任せします」
「わ、分かりました」
「……クノ、やはりお前が行け。俺が船に残った方がいいだろう」
「兄者……それはあからさま過ぎるでござる」
リノが残る事を知るとシノビは先ほどとは真逆に自分が残る事を告げる。そんな彼の態度にクノは呆れてしまうが、仕方なくシノビに任せて彼女はマグマゴーレムの討伐部隊に参加した。
他にも飛行船には何十名か騎士が残り、ハマーンも待機する事になった。彼は元々討伐部隊に参加する予定はなく、飛行船を動かせるのは彼だけのため、最初から飛行船に残る事を決めていた。
「儂と弟子達は飛行船の整備を行っておく。それと魔物が現れた時のために冒険者の中から誰かもう一人だけ残ってくれんか?」
「うむ、それならばフィルが残ってくれるか?」
「えっ……あ、はい。分かりました」
「ちっ、お前かよ……足を引っ張るなよ」
「うるさい!!こっちの台詞だ!!」
ロランから指名されたフィルが飛行船に残る事が決まると、ガオウはあからさまに嫌そうな表情を浮かべたが、この人員の選抜は最適だった。ガオウとフィルは他の冒険者と比べてマグマゴーレムと相性が悪く、他の魔物の対処ならば問題なく行えるので飛行船の守護は十分に任せられる。
「念のためにもう少し残しておくか……ヒイロ、ドリスも残ってくれ」
「は、はい!!」
「私もですの?」
「お前達の得意とする魔法剣と魔法槍はマグマゴーレムと相性が悪いだろう」
ヒイロとドリスは火属性の魔法剣(槍)を得意とするため、マグマゴーレムとは相性が悪い。その事はヒイロは自覚しているので彼女はロランの意見に従うが、ドリスの方は納得しなかった。
「ロラン大将軍、お言葉ですが私もこの日のためにマグマゴーレムの対抗策を用意してきましたわ」
「ほう……大した自信だな。いいだろう、そこまで言うのであれば討伐隊に加えてやる」
「それなら私が残る」
ドリスは討伐隊に参加する事を告げると、ヒイロの相方であるミイナが残る事を伝えた。彼女もマグマゴーレムとは相性が悪く、それを知っているロランは頷いて飛行船に残る者達を確認した。
飛行船に待機するのは銀狼騎士団からは団長であるリノ(王女)、シノビが残り、白狼騎士団からはミイナとヒイロ、黄金級冒険者からはガオウ、フィル、そしてハマーンが残る事が決まった。念のために他にも各騎士団から何名か人員を割き、この時に聖女騎士団からルナも残る事が決まる。
「大将軍、この娘も残してくれるかい?見ての通り、へばっちまったんだよ」
「う~ん……ここ暑すぎるぞ~」
「聖女騎士団のルナか……なるほど、確かにきつそうだな」
聖女騎士団の中でもテンを上回る怪力を誇るルナだが、彼女はグマグ火山に到着する前からあまりの熱気に耐え切れずにへばっていた。彼女は元々は寒い地方で生まれたため、暑い場所は大の苦手としていた。これではグマグ火山に連れて行っても熱気に耐え切れないと判断し、テンは彼女を残す事にした。
「よし、それでは他の者はグマグ火山に向けて出発してくれ。麓に辿り着いたら全員が集まるまで待機するように。言っておくが、先走って行動する事は許さん」
『おおっ、遂に出発か!!腕が鳴るな!!』
『……倒したマグマゴーレムの核は貰っていい?』
「ああ、構わん。冒険者は倒した魔物の素材は自由にしていい」
事前の取り決めで冒険者組は自分が倒した魔物の素材は自由にしていいという契約を交わしており、マリンはその契約が目当てで今回の作戦に参加した。マリンの目的はマグマゴーレムの核を回収し、研究用の素材として利用するつもりだった。
ナイは廊下に出ると「気配感知」を発動させて周囲を探る。しかし、この飛行船内には数百人の人間が乗り込んでいるため、人が多すぎて上手く気配を感知できない。
飛行船に乗り込んでいる人間の中には一般人とは比べ物にならない力を持つ人間がおり、特にゴウカの気配が大きすぎて視線の主を特定する事ができない。
(駄目だ、気配感知は頼りにならない。それなら心眼で探すしかないか)
ナイは目を閉じて心眼を発動させ、視覚以外の五感を研ぎ澄まして周囲に隠れている人物を探す。心眼を頼りにナイは周囲に怪しい人物がいないのかを探した結果、彼は自分から逃げるように移動する小さな物体を感じ取った。
(何だ……人じゃない!?)
心眼を頼りにナイは廊下を移動する小さな物体の後を追うと、曲がり角に差し当たった時に別の気配を感じ取った。そちらの気配は間違いなく人間であり、ナイは目を開いて刺剣に手を伸ばす。
「「誰だ!?」」
曲がり角に到着すると、ナイは刺剣を手にした状態で叫ぶ。相手の方も全く同時に叫んで曲がり角から出てくると、その相手は「ガオウ」だった。彼はナイを見て驚き、その手には短剣が握りしめられていた。
「ガオウさん!?」
「坊主!?お前だったのか……」
お互いの顔を見て武器を戻すと、二人は周囲を見渡す。そして相手の顔を見てどうやら二人とも同じ行動を取っていた事が判明する。
「ガオウさんも何か追いかけていたんですか?」
「ああ、ちょいと変な臭いがしたからな……だが、どうやら逃げられたみたいだな」
「臭い?」
「獣臭だ。まあ、多分だけど鼠か何かだな」
獣人族のガオウは人間よりも嗅覚が優れているため、ナイが後を追った生物の正体を見抜いていた。彼によると獣臭がした事から鼠だと判断し、臭いを辿ってここまで追いかけてきたらしい。
自分が感じた視線の正体が「鼠」なのかとナイは疑問を抱くが、もう既に心眼は解除してしまった。ガオウも鼻を鳴らすが臭いは途絶えてしまい、これ以上の追跡は難しかった。
「ちっ、逃げられたようだな……仕方ない、もうそろそろ到着するらしい。放っておくか」
「そうですね……」
「坊主も準備はしておけよ。まあ、ただの鼠なら放っておいても大丈夫だろ」
「…………」
ガオウの「ただの鼠」という言葉にナイは不安を抱き、ただの勘ではあるが嫌な予感がした。こういう時のナイの「直感」は外れた事はなく、それでも一匹の鼠が何か仕出かせるとは思えず、考え過ぎかと思いながら甲板へ向かう――
――飛行船はグマグ火山へと辿り着くが、火山の方は以前にもまして熱気が増していた。恐らく熱気が上昇した理由は大量発生したマグマゴーレムの影響であると考えられ、飛行船が影響を受ける事を考慮してグマグ火山から数キロほど離れた場所に着陸した。
飛行船が着地すると各騎士団と冒険者達が整列し、今回の作戦は馬などの乗り物は用意されていない。理由としては馬などの生き物はマグマゴーレムを前にすると怯えて逃げ出す可能性もあり、第一に火山の熱気に耐え切れない。魔獣の類も同様の理由で連れはいない。
「ここを野営地とする!!我々はこの場所を拠点にグマグ火山へ向かう!!各自、回復薬を受け取れ!!」
「はいは~い、王国印の回復薬ですよ~」
「皆の分もあるからね~」
イリアとモモが作り出した回復薬が支給され、この日のために事前に全員分の回復薬を用意していた。騎士達が次々と受け取り、ナイの番が訪れるとモモが嬉しそうに新しい煌魔石を差し出す。
「はい、これ!!ナイ君のために新しいの用意したんだよ!!」
「私も手を加えた特製の煌魔石です。大切にしてくださいね」
「あ、ありがとう……大切にするよ」
ナイは二人に礼を告げて新しい煌魔石を受け取り、魔法腕輪に装着を行う。そして彼女達から回復薬を受け取ると、不意に受け取った回復薬を見て不思議に思う。
「あれ?仙薬の類は用意してないの?」
「ああ、それなんですけどね……何故か仙薬が入った袋がなくなってたんですよ」
「え?どういう事?」
「分かりません、確かに保管してたはずなんですけど……誰かに盗まれたのかもしれません」
「そんなはずがないだろう。この飛行船に盗人が乗り込んだというつもりか?」
イリアの言葉にリンが即座に否定し、飛行船の乗員の中に盗人が居る可能性を否定する。飛行船に乗り込んだのは信頼の厚い王国騎士と冒険者だけであり、その中に盗人がいるはずもない。
仮にナイ達の知らぬ間に悪党が乗り込んでいたという事もあり得ず、飛行船が出発した後に隈なく飛行船内は捜索され、他の人間が乗っていない事は確認済みである。しかし、同行者の中にはナイやガオウの他に不穏な気配を感じた者も居た。
「絶対にあり得ないとは言い切れないだろう」
「拙者もそう思うでござる」
「お前達……いきなり何を言い出すんだ」
銀狼騎士団に従属しているシノビとクノが口を挟み、この二人は並の暗殺者よりも優れた能力を持つ「忍者」だった。その二人が飛行船の移動中、ナイとガオウと同様に不審な気配を感じた事を報告する。
「確かに我々も移動中、何度か奇妙な気配を感じた。一人ならばともかく、二人や三人も違和感を感じるのであればそれはただの偶然とは言えん」
「もう一度船内を捜索した方がいいかもしれないでござる」
「私も賛成ですね。仙薬がなくなったのは確かですし、もしかしたら船の中に誰かいるかもしれません」
「ふむ……どちらにしろ、全員が飛行船を離れるわけには行かん。残った人間は船内の捜索を行わせよう」
報告を聞いたロランはナイ達が感じた奇妙な気配が気にかかり、飛行船に待機する人間は船内の捜索を行わせる事を告げる。そして飛行船に残る人員を選別した。
「シノビ、クノ、お前達のどちらかは飛行船に残って調査しろ。ガオウ、お前も二人の手伝いをしてくれるか?」
「それならば妹に任せよう」
「承知したでござる」
「まあ、大将軍の頼みなら断るわけにはいかないな」
飛行船にはクノが残る事が決まり、ガオウもロランに頼まれては断り切れない。念のためにロランはリノにも話しかける。
「リノ王女も残って下さい。我々が居ない間、この飛行船の守護をお任せします」
「わ、分かりました」
「……クノ、やはりお前が行け。俺が船に残った方がいいだろう」
「兄者……それはあからさま過ぎるでござる」
リノが残る事を知るとシノビは先ほどとは真逆に自分が残る事を告げる。そんな彼の態度にクノは呆れてしまうが、仕方なくシノビに任せて彼女はマグマゴーレムの討伐部隊に参加した。
他にも飛行船には何十名か騎士が残り、ハマーンも待機する事になった。彼は元々討伐部隊に参加する予定はなく、飛行船を動かせるのは彼だけのため、最初から飛行船に残る事を決めていた。
「儂と弟子達は飛行船の整備を行っておく。それと魔物が現れた時のために冒険者の中から誰かもう一人だけ残ってくれんか?」
「うむ、それならばフィルが残ってくれるか?」
「えっ……あ、はい。分かりました」
「ちっ、お前かよ……足を引っ張るなよ」
「うるさい!!こっちの台詞だ!!」
ロランから指名されたフィルが飛行船に残る事が決まると、ガオウはあからさまに嫌そうな表情を浮かべたが、この人員の選抜は最適だった。ガオウとフィルは他の冒険者と比べてマグマゴーレムと相性が悪く、他の魔物の対処ならば問題なく行えるので飛行船の守護は十分に任せられる。
「念のためにもう少し残しておくか……ヒイロ、ドリスも残ってくれ」
「は、はい!!」
「私もですの?」
「お前達の得意とする魔法剣と魔法槍はマグマゴーレムと相性が悪いだろう」
ヒイロとドリスは火属性の魔法剣(槍)を得意とするため、マグマゴーレムとは相性が悪い。その事はヒイロは自覚しているので彼女はロランの意見に従うが、ドリスの方は納得しなかった。
「ロラン大将軍、お言葉ですが私もこの日のためにマグマゴーレムの対抗策を用意してきましたわ」
「ほう……大した自信だな。いいだろう、そこまで言うのであれば討伐隊に加えてやる」
「それなら私が残る」
ドリスは討伐隊に参加する事を告げると、ヒイロの相方であるミイナが残る事を伝えた。彼女もマグマゴーレムとは相性が悪く、それを知っているロランは頷いて飛行船に残る者達を確認した。
飛行船に待機するのは銀狼騎士団からは団長であるリノ(王女)、シノビが残り、白狼騎士団からはミイナとヒイロ、黄金級冒険者からはガオウ、フィル、そしてハマーンが残る事が決まった。念のために他にも各騎士団から何名か人員を割き、この時に聖女騎士団からルナも残る事が決まる。
「大将軍、この娘も残してくれるかい?見ての通り、へばっちまったんだよ」
「う~ん……ここ暑すぎるぞ~」
「聖女騎士団のルナか……なるほど、確かにきつそうだな」
聖女騎士団の中でもテンを上回る怪力を誇るルナだが、彼女はグマグ火山に到着する前からあまりの熱気に耐え切れずにへばっていた。彼女は元々は寒い地方で生まれたため、暑い場所は大の苦手としていた。これではグマグ火山に連れて行っても熱気に耐え切れないと判断し、テンは彼女を残す事にした。
「よし、それでは他の者はグマグ火山に向けて出発してくれ。麓に辿り着いたら全員が集まるまで待機するように。言っておくが、先走って行動する事は許さん」
『おおっ、遂に出発か!!腕が鳴るな!!』
『……倒したマグマゴーレムの核は貰っていい?』
「ああ、構わん。冒険者は倒した魔物の素材は自由にしていい」
事前の取り決めで冒険者組は自分が倒した魔物の素材は自由にしていいという契約を交わしており、マリンはその契約が目当てで今回の作戦に参加した。マリンの目的はマグマゴーレムの核を回収し、研究用の素材として利用するつもりだった。
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