貧弱の英雄

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
964 / 1,110
砂漠の脅威

第947話 獣人族の女の子

しおりを挟む
「ひいっ!?」
「キャインッ!?」
「逃げようとするんじゃない!!さあ、今月の寝床代を払って貰おうかね!!」


足元に突き刺さった短剣を見てネココとワン子は怯えた表情を浮かべ、そんな彼女達に対してスナネコは手招きを行うと、何故か短剣がひとりでに地面から引き抜かれて彼女の手元に戻った。

まるで魔法のように短剣を自分の手元に引き寄せたスナネコを見て、ネココは腰を抜かしてしまう。今のはただの脅しではなく、本気でスナネコはネココが逃げれば殺すつもりだった。彼女は大人しくネココが隠し持っている財布を渡すように促す。


「さあ、今月の寝床代を渡して貰おうか」
「あ、あの……ぜ、全部渡すのだけは」
「私に口答えするつもりかい?」
「ク、クゥ~ンッ……」


スナネコのあまりの迫力にワン子も怯えてしまい、ネココは悔し気に隠していた財布を差し出す。差し出された財布をスナネコは奪い取ると、中身を確認して満足そうな表情を浮かべる。


「こいつは凄いね、どこの貴族から盗んできたんだい?まあ、これだけあれば今月の寝床代は十分だね」
「あ、あの……せめて一枚だけでも返しては……」
「あん?あんた、誰のお陰で生きていられると思うんだい?」
「ひっ!?」
「ウォンッ!!」


ネココの言葉にスナネコは眉をしかめ、彼女は短剣を逆手に構えるとネココは頭を抱えて怯える。そんなネココを見てワン子は彼女を庇う。

飼い犬に庇ってもらうネココを見てスナネコは鼻を鳴らし、彼女はネココから奪った財布を手にして立ち去ろうとした。しかし、路地裏の出入口から少年の声が響く。


「ちょっといいですか?」
「あん?」
「あ、あんたは……!?」
「ウォンッ!?」


の技能でワン子を追いかけてきたナイが遂にネココを発見すると、彼は自分の財布を持っているスナネコと、怯えた様子で座り込むネココを見て状況を把握する。


「その財布、そこにいる子供が僕から盗んだ財布です。返してください」
「何だい、あんたは……死にたいのかい?」
「や、止めろ!!殺されちゃうぞ!?この人はあの砂猫団の……」
「ウォンッ!!」


財布を返して貰おうとナイは路地裏に入り込むと、そんな彼に対してスナネコは面倒そうに短剣に手を伸ばす。慌ててネココが止めようとしたが既に時は遅く、スナネコはナイの顔面に目掛けて短剣を投げ放つ。


「死になっ!!」
「危ないっ!?」


短剣がナイの顔面に向けて迫り、その光景を見たネココは咄嗟に彼を助けようとしたが、当のナイ本人は投げつけられた短剣を何事も無いように掴み取る。


「おっと」
「はっ!?」
「ええっ!?」
「ウォンッ!?」


顔面に目掛けて飛んできた短剣をナイはあっさりと掴み取ると、その光景を見たスナネコとネココは驚愕の表情を浮かべる。

虫でもはらうように短剣を掴み取ったナイは柄の部分を見つめ、何かに気づいたようにスナネコに顔を向ける。初対面でいきなり殺そうとしてきたスナネコを睨みつけた。


「殺そうとしましたよね、今の……」
「くっ!?このっ……」


スナネコは慌てて手元を手繰り寄せる動作を行い、ナイが握りしめている短剣が彼女の元に引き寄せられる。それを見たナイは彼女が手に取りつけている指輪と短剣の柄の部分にが繋がっている事に気付き、糸を手繰り寄せて短剣を回収した事を知る。


(今のはの類かな?シノビやクノも似たようなのを持ってたな)


相手の武器を見てナイはスナネコの正体が暗殺者の類だと判断し、命を狙ってきた以上は容赦はしない。しかし、狭い路地裏では大剣の類は扱いにくく、彼は腰に差している刺剣を引き抜く。

ナイも武器を手にした事にスナネコは警戒心を露にすると、彼女は四つの短剣を同時に引き抜いて片手で二本ずつ短剣を掴むと、ナイに目掛けて放つ。


「死ねっ!!」
「頭を下げて!!」
「うわっ!?」
「キャインッ!?」


同時に四つの短剣を投げてきたスナネコに対してナイはネココとワン子に頭を下げるように指示すると、二人は慌てて頭を抱えて地面に伏せる。狭い路地裏では投げつけられた短剣を躱すのは困難であり、仕方なくナイは背中の反魔の盾を取り出して弾き返す。


「ふんっ!!」
「そんな盾……うぎゃあああっ!?」


反魔の盾で短剣が弾かれた瞬間、衝撃波が発生して短剣はあらぬ方向へ飛び去り、その影響で短剣に糸を繋げていた指輪のせいでスナネコの指があらぬ方向へ曲がってしまう。

路地裏にスナネコの悲鳴が響き渡り、その隙を逃さずにナイはスナネコに近付くと、掌底を腹部に叩き込む。


「はあっ!!」
「ぐへぇっ!?」
「す、すげぇっ!?」
「ウォンッ!?」


武道の達人の如く、ナイの掌底の一撃を受けたスナネコは吹き飛んでしまい、その光景を見たネココとワン子は驚愕の声を上げた――





――スナネコを倒した後、ナイは財布を回収すると気絶したスナネコを連れて兵士の駐屯所に赴く。この時にしっかりとネココとワン子も逃がさずに連れていき、兵士に事情を話すとスナネコは彼等でも手を焼いている悪党だと判明した。


「あのスナネコを捕まえるなんて……本当に助かりました。奴は賞金首なのですが、今まで誰も捕まえる事ができずに困ってたんですよ」
「あいつはここいらに暮らしている浮浪者から金を巻き上げ、特にすばしっこい子供の浮浪者にはスリをさせて観光客から金を盗ませる奴なんですよ」
「という事はあの女の子も……」
「ええ、スナネコにスリをさせられていたんでしょうね」


ナイは女兵士から事情聴取を受けているネココに視線を向け、彼女は説教を受けて涙目になっていた。


「君のような小さい子がこんな事をしたら駄目よ!!死んじゃったお父さんとお母さんが悲しむわよ」
「ううっ……ごめんなさい」
「ウォンッ……」


涙を流すネココを見てワン子は彼女を慰めようと顔を舐めやり、その態度を見て女兵士はもう十分に反省したかと判断する。


「隊長、この子どうしますか?お父さんもお母さんもいないようですが……」
「子供を放っておくわけにはいかん、しばらくの間はうちで保護しよう」
「あの……ちょっとその子と話していいですか?」


ナイは兵士の許可を取ってネココの元へ向かうと、彼女はナイを見て怯えた表情を浮かべるが、ナイはこれ以上にネココに怒るつもりはない。

ネココに財布を盗まれたのは事実だが、彼女も生きるためには仕方なく他の人間から財布を奪ってきた事は知った以上は怒る気にはなれなかった。しかし、ナイが気になったのはネココの態度だった。


「君、嘘泣きしてるでしょ」
「……へへっ、バレてたか」
「ウォンッ!?」


他の兵士に気付かれないようにナイは小声で話しかけると、ネココは可愛らしく舌を出して嘘泣きである事を明かす。その彼女の態度にワン子さえも驚くが、ナイは昔にゴマンが悪戯をした時によく噓泣きをしていたので、彼女の嘘泣きも見抜く事ができた。


「これから君は兵士に保護されるみたいだけど、それでいいの?」
「良くないよ、あたしは自由に生きたいんだ。こんな危険な街なんかおさらばして他の国に暮らしたい」
「どうしてこの街が嫌なの?」
「……さっきの奴だけじゃないんだよ、あたし達から金をせしめるのは」


ネココによるとスナネコ以外にも身寄りのない人間から金を奪う悪党がいるらしく、この街に暮らす限りは彼女は平穏な時を過ごせない。だからこそネココは金を集めて砂船に乗り、他の国へ行きたいと考えていた。


「兵士に保護されてもどうせいつまでも面倒を見てくれないし、また外に放り出されるだけだ。それなら逃げ出した方がまだマシだよ」
「つまり、ここにいても君は逃げるわけね」
「そうだよ、それ以外にあたしが生きる方法なんてないんだからさ……」


不貞腐れるようにネココは椅子の上でふんぞり返ると、そんな彼女を見てナイは自分の財布から金貨を何枚か取り出し、こっそりとネココに手渡す


「これだけあれば十分でしょ?」
「え、な、なんで……」
「そのお金で今度こそ外に出て、真っ当に生きるんだよ」


ナイはお金を渡すとネココは驚いた表情を浮かべ、どうして自分のためにここまでしてくれるのかと思った。確かにナイはネココとは今日出会ったばかりで助ける義理はないのだが、困っている子供を放っておける性格ではない。

別れ際にネココに外に出るために必要なお金を渡すと、ナイはワン子の頭を撫でてしっかりと主人を守るように忠告した。


「ご主人様の事をちゃんと守るんだぞ」
「クゥ~ンッ……」


ワン子はナイの言葉を理解しているのかはっきりと頷き、後の事は兵士達に任せてナイは駐屯所を後にした。


「国を出る、か……なら、こっちも頑張らないとな」


ネココが街の外に出るためには土鯨を何とかしなければならず、現在の街は土鯨が現れたせいで閉鎖中だった。だから彼女が国を出ていくために土鯨を始末して閉鎖を解かなければならず、ナイは戦う理由がまた一つ増えてしまった――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

処理中です...