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番外編 獣人国の刺客
第893話 人造ゴーレム
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「人造ゴーレムというのは文字通りに人の手で作られたゴーレムなんだ」
「えっ!」
「といっても今の時代ではゴーレムを作り出すのは不可能なんだけどね。記録によれば人造ゴーレムを作り出す技術を編み出したのは勇者らしいよ」
アルトによれば遥か昔に異界から訪れたという「勇者」が残した技術によって作り出されたのが「人造ゴーレム」という。しかし、現在の時代ではその技術は廃れてしまい、もう二度と人造ゴーレムは作り出せなくなった。
「人造ゴーレムは野生のゴーレム種とは異なり、主人である人間の命令には忠実に従う。古城に残された人造ゴーレムは元々は魔物に対抗するために作り出された代物なんだけど、結局は人造ゴーレムだけでは魔物の大群はどうしようもできなくて旧王都は放棄されたみたいだね」
「そ、そうなんだ。それなら人造ゴーレムは……」
「人が去っても残された人造ゴーレムは旧王都の古城に残り続け、今現在も古城に入り込もうとする侵入者を拒むために稼働し続けているよ。何百年も主人が戻る事がない城の守護を行っているんだ……そう思うと彼等も哀れだね」
「何百年も……」
魔物に対抗するために作り出された人造ゴーレム達は、今尚も旧王都の古城に残って守り続けているらしく、もう主人が戻ってくる事はないにも関わらずに人造ゴーレムは古城の侵入者を排除するために働き続けているらしい。
古城には人造ゴーレムが侵入者を排除するために巡回しており、もしも人造ゴーレムに見つかれば仮に人間であろうと容赦なく襲い掛かる。元々は人間を守るために作り出された存在が、今では逆に人間を脅かす存在と化したのは皮肉な話だった。
「人造ゴーレムの戦闘力は野生のゴーレムを遥かに上回るんだ。しかもゴーレム種の共有の弱点である水に対しても耐性を持っているから厄介な事この上ないよ」
「えっ!?水が効かないの?」
「ああ、僕も前に腕利きの冒険者を雇って古城の調査に出向いた事があるんだ。だけど、人造ゴーレムは水属性の魔法を得意とする魔術師の攻撃を受けても平気だった。彼等はどうやらゴーレム種共通の弱点を克服しているらしい」
ゴーレム種は環境によって様々な能力を持ち合わせ、例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」は名前の通りに岩石の如き硬い外殻に覆われ、この外殻を破壊して核を壊さなければ倒す事はできない。
他にもナイがグマグ火山で遭遇した「マグマゴーレム」や「ゴーレムキング」は膨大な火属性の魔力を宿し、溶岩のように肉体に高熱を帯びたり、火竜のように火炎の吐息を吐き出せるなどの特殊能力を持つゴーレムも存在する。
しかし、これらのゴーレム種の弱点は「水」であり、彼等は水を浴びると身体が泥のように柔らかくなって肉体が崩れる。だからこそ水属性の魔法の使い手がいればそれほどの脅威にはならないのだが、人造ゴーレムの場合はこの水の弱点も克服しているとアルトは説明する。
「人造ゴーレムは魔物だけではなく、将来的には国の戦力として有効活用しようと考えた輩もいたんだ。でも、実験の成功間近で王都が魔物の大群に占拠されたせいで全てが台無し……もう人造ゴーレムを作り出す技術も完全に失われた」
「魔物を戦力になんて……」
「まあ、魔物を味方につける事自体は別に珍しくはないよ。獣人国もファングを飼いならして馬代わりに利用したり、巨人国もマモスやパオーといった大型の魔獣を飼いならして戦闘に参加させる事もあるからね。といっても……魔物を一から作り出して戦力に加えようと試みたのは王国だけだろうね」
「…………」
人々を脅かす存在の魔物、それを味方にする事ができればこれ以上に心強い存在はいない。しかし、結果的には人の手で作り出された人造ゴーレムは本来の目的を逸脱し、今では人々を脅かす存在と化した。
古城を調査するためには人造ゴーレムを何とかしなければならず、人造ゴーレムを倒さなければ古城内の調査は難しい。しかも人造ゴーレムは従来のゴーレムの弱点である水は効かず、力ずくで破壊する以外に方法はない。
「かつて古城を調べるために何人もの冒険者が挑んだらしいよ。けど、結局は全員が返り討ちにあった。そのせいで王国側も古城へ立ち入る事を禁じたんだ」
「そんなに人造ゴーレムは強いの?」
「強いというよりは厄介な相手なんだ。どういうわけだか彼等には水属性の魔法どころか、他の属性の魔法も喰らわない。爆炎、電撃、氷結……様々な攻撃手段を用いても人造ゴーレムには通じなかったよ」
「その口ぶりだとアルト……もしかして実際に試したの?」
「ああ、うん……色々と罠を張って試してみたけど駄目だったね」
アルトも以前に古城の調査のために赴き、彼なりに作戦を立てて冒険者の協力を得て人造ゴーレムの討伐を行ったが、結局は全て失敗してしまった事を告げる。
――アルトがまだナイと出会う前、彼は冒険者を個人的に雇って迷宮都市に赴いた事がある。この時に彼の師匠であるハマーンも同行しており、迷宮都市に訪れた彼は古城へ乗り込むために冒険者達と共に向かう。
しかし、古城に辿り着く前にアルト達は人造ゴーレムと遭遇してしまう。この時に人造ゴーレムは古城の内部だけではなく、城の周辺も巡回していた事を初めて知る。
止む無く冒険者達はアルトを守るために人造ゴーレムと交戦する事になったが、冒険者の中から水属性の魔法を得意とする魔術師が最初に攻撃を仕掛けた。通常のゴーレムならば水属性の魔法を受ければ肉体が崩れ落ちて倒す事はできるはずだが、人造ゴーレムは魔法をまともに浴びても肉体が崩れる所か怯みもしなかった。
その後の戦闘は大変な事態に陥り、同行していた巨人族の冒険者が真っ先に人造ゴーレムに狙われた。人造ゴーレムは巨人族の冒険者が放った斧を正面から受けても弾き返し、肉体の硬度もロックゴーレムやマグマゴーレム以上だと判明する。
結局は魔術師の砲撃魔法も巨人族の怪力による攻撃も通じず、アルト達は止む無く撤退するしかなかった。殿はハマーンが請け負い、彼は皆を逃がすために尽力したがこの時の戦闘で大怪我を負う。
結果的にはアルトを守り切り、冒険者達も誰も死なずに逃げる事はできた。しかし、被害の方はかなり酷く、この時の戦闘で同行していた冒険者達は重傷を負ってしまい、黄金冒険者であるハマーンでさえも危うく命を落としかけたという――
――この一件以来、アルトは迷宮都市に訪れる事はあっても古城に近付くような真似はしなかった。古城の周辺地域は危険区域として認定され、今となっては一流冒険者でも古城周辺には絶対に近づけない。
唯一の幸運は人造ゴーレムは古城から遠く離れて行動する事はなく、彼等はあくまでも古城の守護者であるために城から離れる事は決してない。しかし、人造ゴーレムが守っている限りは古城に入る事は不可能に等しい。
「当時の僕はまだ黄金級冒険者だったハマーン師匠と、数名の腕利きの冒険者を雇えば古城に入り込む事はできると思ったんだ。けど、噂以上に人造ゴーレムの強さを思い知らされたよ」
「あのハマーンさんが勝てないなんて……」
「師匠によればあの人造ゴーレムは魔法金属のミスリル以上の硬度を誇るらしいね。しかもあらゆる魔法に対して絶対の耐性を誇る……だからリンやドリスのような魔法剣の使い手でもどうする事もできないと言っていたよ」
人造ゴーレムは他のゴーレム種よりも魔法耐性がずば抜けて高く、過去に黄金級にまで上り詰めた魔術師が攻撃魔法を仕掛けた際も、人造ゴーレムの破壊には至らなかったという記録まで残っている。
この事から考えられるのは人造ゴーレムは魔法に対する強い耐性を誇り、砲撃魔法や魔法剣の類は通じない。魔法が通じなければ力ずくで破壊するしかないが、人造ゴーレムの硬度はロックゴーレムの比ではなく、巨人族の全力の攻撃を受けてもびくともしない。
「僕の見立てでは人造ゴーレムを倒すには圧倒的な力で破壊するしかない。それに破壊する場合は武器の方もそれ相応の硬度を誇らないといけない……それこそ君の盛っている岩砕剣のような武器じゃないとね」
「へえっ……」
「人造ゴーレムを直に見た僕からすればあんな化物を倒せるとしたら……元黄金級冒険者のゴウカさんぐらいだね」
アルトの知る限りで人造ゴーレムを確実に倒せる実力を持つのは黄金級冒険者の中でも「ゴウカ」だけであり、彼の「馬鹿力」の異能と竜種をも屠ると言われるドラゴンスレイヤーならば人造ゴーレムの防御力を突破して破壊できる可能性は十分にあった。
最もそのゴウカは現在も収監されており、少なくともあと数年は出られる事はない。彼が行った罪を考えればむしろ数年で出られるのもおかしい事だが、ゴウカは王都の反乱に参加はしたが一般人には手を出さず、戦った冒険者や兵士も殺してはいない。それに彼が冒険者時代に残した功績も配慮して数年の収監で済んだ。
「ゴウカさん以外に人造ゴーレムを倒せるとしたら……君ぐらいだろうね」
「えっ?」
「だって君はゴウカさんと互角に戦ったリョフという男を倒したんだろう?それに君の持っている岩砕剣と旋斧なら人造ゴーレムも破壊できる可能性は十分にあるよ。だからそれを見越したうえでイリアも君に助けを求めたんだろうね」
「あ、なるほど……そう言う事だったのか」
ナイはアルトの言葉を聞いてイリアが自分に手紙を送った理由を悟り、彼女は古城の調査のために邪魔者である人造ゴーレムと対抗できる力を持つナイに助けを求めたのだ。それを知った上でナイはどうするべきか悩み、イリアの調査に協力するかどうかをアルトに相談する。
「えっ!」
「といっても今の時代ではゴーレムを作り出すのは不可能なんだけどね。記録によれば人造ゴーレムを作り出す技術を編み出したのは勇者らしいよ」
アルトによれば遥か昔に異界から訪れたという「勇者」が残した技術によって作り出されたのが「人造ゴーレム」という。しかし、現在の時代ではその技術は廃れてしまい、もう二度と人造ゴーレムは作り出せなくなった。
「人造ゴーレムは野生のゴーレム種とは異なり、主人である人間の命令には忠実に従う。古城に残された人造ゴーレムは元々は魔物に対抗するために作り出された代物なんだけど、結局は人造ゴーレムだけでは魔物の大群はどうしようもできなくて旧王都は放棄されたみたいだね」
「そ、そうなんだ。それなら人造ゴーレムは……」
「人が去っても残された人造ゴーレムは旧王都の古城に残り続け、今現在も古城に入り込もうとする侵入者を拒むために稼働し続けているよ。何百年も主人が戻る事がない城の守護を行っているんだ……そう思うと彼等も哀れだね」
「何百年も……」
魔物に対抗するために作り出された人造ゴーレム達は、今尚も旧王都の古城に残って守り続けているらしく、もう主人が戻ってくる事はないにも関わらずに人造ゴーレムは古城の侵入者を排除するために働き続けているらしい。
古城には人造ゴーレムが侵入者を排除するために巡回しており、もしも人造ゴーレムに見つかれば仮に人間であろうと容赦なく襲い掛かる。元々は人間を守るために作り出された存在が、今では逆に人間を脅かす存在と化したのは皮肉な話だった。
「人造ゴーレムの戦闘力は野生のゴーレムを遥かに上回るんだ。しかもゴーレム種の共有の弱点である水に対しても耐性を持っているから厄介な事この上ないよ」
「えっ!?水が効かないの?」
「ああ、僕も前に腕利きの冒険者を雇って古城の調査に出向いた事があるんだ。だけど、人造ゴーレムは水属性の魔法を得意とする魔術師の攻撃を受けても平気だった。彼等はどうやらゴーレム種共通の弱点を克服しているらしい」
ゴーレム種は環境によって様々な能力を持ち合わせ、例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」は名前の通りに岩石の如き硬い外殻に覆われ、この外殻を破壊して核を壊さなければ倒す事はできない。
他にもナイがグマグ火山で遭遇した「マグマゴーレム」や「ゴーレムキング」は膨大な火属性の魔力を宿し、溶岩のように肉体に高熱を帯びたり、火竜のように火炎の吐息を吐き出せるなどの特殊能力を持つゴーレムも存在する。
しかし、これらのゴーレム種の弱点は「水」であり、彼等は水を浴びると身体が泥のように柔らかくなって肉体が崩れる。だからこそ水属性の魔法の使い手がいればそれほどの脅威にはならないのだが、人造ゴーレムの場合はこの水の弱点も克服しているとアルトは説明する。
「人造ゴーレムは魔物だけではなく、将来的には国の戦力として有効活用しようと考えた輩もいたんだ。でも、実験の成功間近で王都が魔物の大群に占拠されたせいで全てが台無し……もう人造ゴーレムを作り出す技術も完全に失われた」
「魔物を戦力になんて……」
「まあ、魔物を味方につける事自体は別に珍しくはないよ。獣人国もファングを飼いならして馬代わりに利用したり、巨人国もマモスやパオーといった大型の魔獣を飼いならして戦闘に参加させる事もあるからね。といっても……魔物を一から作り出して戦力に加えようと試みたのは王国だけだろうね」
「…………」
人々を脅かす存在の魔物、それを味方にする事ができればこれ以上に心強い存在はいない。しかし、結果的には人の手で作り出された人造ゴーレムは本来の目的を逸脱し、今では人々を脅かす存在と化した。
古城を調査するためには人造ゴーレムを何とかしなければならず、人造ゴーレムを倒さなければ古城内の調査は難しい。しかも人造ゴーレムは従来のゴーレムの弱点である水は効かず、力ずくで破壊する以外に方法はない。
「かつて古城を調べるために何人もの冒険者が挑んだらしいよ。けど、結局は全員が返り討ちにあった。そのせいで王国側も古城へ立ち入る事を禁じたんだ」
「そんなに人造ゴーレムは強いの?」
「強いというよりは厄介な相手なんだ。どういうわけだか彼等には水属性の魔法どころか、他の属性の魔法も喰らわない。爆炎、電撃、氷結……様々な攻撃手段を用いても人造ゴーレムには通じなかったよ」
「その口ぶりだとアルト……もしかして実際に試したの?」
「ああ、うん……色々と罠を張って試してみたけど駄目だったね」
アルトも以前に古城の調査のために赴き、彼なりに作戦を立てて冒険者の協力を得て人造ゴーレムの討伐を行ったが、結局は全て失敗してしまった事を告げる。
――アルトがまだナイと出会う前、彼は冒険者を個人的に雇って迷宮都市に赴いた事がある。この時に彼の師匠であるハマーンも同行しており、迷宮都市に訪れた彼は古城へ乗り込むために冒険者達と共に向かう。
しかし、古城に辿り着く前にアルト達は人造ゴーレムと遭遇してしまう。この時に人造ゴーレムは古城の内部だけではなく、城の周辺も巡回していた事を初めて知る。
止む無く冒険者達はアルトを守るために人造ゴーレムと交戦する事になったが、冒険者の中から水属性の魔法を得意とする魔術師が最初に攻撃を仕掛けた。通常のゴーレムならば水属性の魔法を受ければ肉体が崩れ落ちて倒す事はできるはずだが、人造ゴーレムは魔法をまともに浴びても肉体が崩れる所か怯みもしなかった。
その後の戦闘は大変な事態に陥り、同行していた巨人族の冒険者が真っ先に人造ゴーレムに狙われた。人造ゴーレムは巨人族の冒険者が放った斧を正面から受けても弾き返し、肉体の硬度もロックゴーレムやマグマゴーレム以上だと判明する。
結局は魔術師の砲撃魔法も巨人族の怪力による攻撃も通じず、アルト達は止む無く撤退するしかなかった。殿はハマーンが請け負い、彼は皆を逃がすために尽力したがこの時の戦闘で大怪我を負う。
結果的にはアルトを守り切り、冒険者達も誰も死なずに逃げる事はできた。しかし、被害の方はかなり酷く、この時の戦闘で同行していた冒険者達は重傷を負ってしまい、黄金冒険者であるハマーンでさえも危うく命を落としかけたという――
――この一件以来、アルトは迷宮都市に訪れる事はあっても古城に近付くような真似はしなかった。古城の周辺地域は危険区域として認定され、今となっては一流冒険者でも古城周辺には絶対に近づけない。
唯一の幸運は人造ゴーレムは古城から遠く離れて行動する事はなく、彼等はあくまでも古城の守護者であるために城から離れる事は決してない。しかし、人造ゴーレムが守っている限りは古城に入る事は不可能に等しい。
「当時の僕はまだ黄金級冒険者だったハマーン師匠と、数名の腕利きの冒険者を雇えば古城に入り込む事はできると思ったんだ。けど、噂以上に人造ゴーレムの強さを思い知らされたよ」
「あのハマーンさんが勝てないなんて……」
「師匠によればあの人造ゴーレムは魔法金属のミスリル以上の硬度を誇るらしいね。しかもあらゆる魔法に対して絶対の耐性を誇る……だからリンやドリスのような魔法剣の使い手でもどうする事もできないと言っていたよ」
人造ゴーレムは他のゴーレム種よりも魔法耐性がずば抜けて高く、過去に黄金級にまで上り詰めた魔術師が攻撃魔法を仕掛けた際も、人造ゴーレムの破壊には至らなかったという記録まで残っている。
この事から考えられるのは人造ゴーレムは魔法に対する強い耐性を誇り、砲撃魔法や魔法剣の類は通じない。魔法が通じなければ力ずくで破壊するしかないが、人造ゴーレムの硬度はロックゴーレムの比ではなく、巨人族の全力の攻撃を受けてもびくともしない。
「僕の見立てでは人造ゴーレムを倒すには圧倒的な力で破壊するしかない。それに破壊する場合は武器の方もそれ相応の硬度を誇らないといけない……それこそ君の盛っている岩砕剣のような武器じゃないとね」
「へえっ……」
「人造ゴーレムを直に見た僕からすればあんな化物を倒せるとしたら……元黄金級冒険者のゴウカさんぐらいだね」
アルトの知る限りで人造ゴーレムを確実に倒せる実力を持つのは黄金級冒険者の中でも「ゴウカ」だけであり、彼の「馬鹿力」の異能と竜種をも屠ると言われるドラゴンスレイヤーならば人造ゴーレムの防御力を突破して破壊できる可能性は十分にあった。
最もそのゴウカは現在も収監されており、少なくともあと数年は出られる事はない。彼が行った罪を考えればむしろ数年で出られるのもおかしい事だが、ゴウカは王都の反乱に参加はしたが一般人には手を出さず、戦った冒険者や兵士も殺してはいない。それに彼が冒険者時代に残した功績も配慮して数年の収監で済んだ。
「ゴウカさん以外に人造ゴーレムを倒せるとしたら……君ぐらいだろうね」
「えっ?」
「だって君はゴウカさんと互角に戦ったリョフという男を倒したんだろう?それに君の持っている岩砕剣と旋斧なら人造ゴーレムも破壊できる可能性は十分にあるよ。だからそれを見越したうえでイリアも君に助けを求めたんだろうね」
「あ、なるほど……そう言う事だったのか」
ナイはアルトの言葉を聞いてイリアが自分に手紙を送った理由を悟り、彼女は古城の調査のために邪魔者である人造ゴーレムと対抗できる力を持つナイに助けを求めたのだ。それを知った上でナイはどうするべきか悩み、イリアの調査に協力するかどうかをアルトに相談する。
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