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番外編 獣人国の刺客
第888話 カノンの罠
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「待て!!」
「待てと言われて待つ奴なんていると思ってるの!?」
「確かに!!」
逃走しながらもカノンは挑発するようにナイに語り掛け、そんな彼女の言葉にナイは眉をしかめる。ここまではカノンの作戦通りであり、何の疑いもなく自分の後を追いかけてきたナイに笑みを浮かべる。
路地裏を抜けるとカノンは空き地に辿り着き、すぐにナイが追いつくがここで彼は疑問を抱く。わざわざ逃げ場がない空き地にカノンが赴いた事に警戒心を抱き、周囲の様子を「観察眼」を発動させて注意深く伺う。
(罠を警戒しているわね……でも、ここへ来た時点で私の勝ちよ!!)
カノンはしきりに空き地を見渡すナイを見て笑みを浮かべ、この時に彼女は魔銃を構えた。ナイは自分に向けて魔石弾を撃ち込むつもりかと思ったが、彼女が狙いを定めたのはナイではなく、彼が通り抜けた路地裏の左右の建物の屋上部分に向けて発砲する。
「くたばりなさい!!」
「うわっ!?」
建物に目掛けてカノンは魔石弾を二発連射させると、建物に衝突した魔石弾が爆発して建物の上の部分だけが崩壊し、瓦礫が路地裏に降り注いで唯一の出入口を塞ぐ。その光景を見てナイは驚き、これでお互いの退路は絶たれた。
空き地にナイを誘い込む作戦を思いついた時にカノンが仕掛けた罠、それは空き地ではなく空き地を取り囲む建物の方に彼女は罠を仕掛けた。この建物に取り囲まれた空き地はたった一つしかない路地裏を通り抜けるしかなく、この路地裏を塞げば逃げ道はない。
(これでお終いよ!!)
出入口さえ封鎖すればナイには逃げ道はなく、彼女は隠し持っていた小袋を取り出す。それはカノンが魔石弾の制作の際に削り取った火属性の魔石の粉末が入っており、それをナイに目掛けて彼女は中身を放つ。
「喰らいなさいっ!!」
「うわっ!?」
火属性の魔石の粉末が空中に散らばり、普通の人間ならば避ける事もできないだろう。しかし、ナイは持ち前の反射神経で「瞬間加速」を発動させ、空き地の隅へと移動して粉末を回避する。
しかし、粉末をナイが浴びらなくても作戦に問題はなく、彼女は空き地内に火属性の魔石の粉末を散りばめさせる。その様子を見てナイは嫌な予感を覚え、すぐに彼女の行動を止めようと背中の旋斧に手を伸ばす。
「いい加減に……!?」
「これで終わりよ!!」
カノンは武器を手にしたナイを見て魔銃を構えると、この時にカノンが装填したのは火属性の魔石弾ではなく、雷属性の魔石を削り取って作り出した魔石弾だった。
「喰らいなさい!!」
「うわっ!?」
魔銃から雷属性の魔石弾が発射された瞬間、銃口から電撃が発射された。火属性の魔石弾は物体に衝突した際に魔石が砕けて暴発するが、雷属性の魔石弾の場合は発射された際に電撃を帯びた状態で放たれる。
傍目から見ればカノンが銃口から電撃を放った様にしか見えず、しかも火属性の魔石弾よりも弾速に優れ、普通の人間ならば決して反応はできなかった。しかし、常人離れした反射神経を持つナイはどうにか右手の反魔の盾を構えて攻撃を防ぐ。
「くぅっ!?」
反魔の盾で咄嗟に電撃を帯びた魔石弾を受けると、弾丸を弾く際に電撃が拡散され、この時に雷光によってナイは視界を一瞬だけ封じられてしまう。その隙を逃さずにカノンは即座に次の魔石弾を撃ち込む。
「喰らいなさい!!」
「うわっ!?」
ナイが視界を封じられたのを見て即座にカノンは水属性の魔石弾を撃ち込み、弾丸はナイの足元に的中した瞬間、地面が凍り付いてナイの下半身が氷漬けになってしまう。
水属性の魔石弾は火属性の魔石弾と同様に衝突して砕けた瞬間に魔力が暴走し、広範囲に魔力を拡散させる。水属性の魔力は冷気を生み出し、その冷気によってナイは下半身が凍り付いて動けなかった。
「しまっ……」
「これで終わりよ!!いくらあんたでも……これには耐え切れないでしょ!?」
動けなくなったナイに対してカノンは懐に手を伸ばし、マントの下に隠し持っていた最後の火属性の魔石を取り出してナイに目掛けて投擲した。
――空き地には事前に火属性の魔石の粉末が大量に散りばめられており、更に火属性の魔石にカノンが火属性の魔石弾を撃ち込んだ場合、空き地内で強烈な爆発が発生するのは明白だった。
カノンの考えた作戦は逃げ場の少ない空き地内にナイを呼び寄せ、更に唯一の出入口を塞ぐ事で退路を断ち、そこからナイを動けなくさせてから大量の火属性の魔石を利用して爆発を引き起こす。
当然だが爆発が発生すればカノンも無事では済まないが、彼女は火属性の魔法攻撃に対して絶対の耐性を誇るマントを身に付けており、この火竜の翼膜から作り出されたマントならばどんな爆発にも耐えられる。
自分の勝利を確信したカノンはナイに目掛けて放り込んだ魔石に視線を定め、魔銃から最後の魔石弾を発砲しようとした。仮にナイが反魔の盾を利用して防ごうとしても、空き地全体を覆い込む爆発ならば反魔の盾でも防ぐ事はできない。
「今度こそ終わりよ!!」
「くっ…!?」
ナイは下半身が凍り付いた事でどうする事もできず、咄嗟に背中の旋斧に手を伸ばす。しかし、既にカノンは空中に放り投げた魔石に向けて最後の魔石弾を放つ。
カノンは火属性の魔石に目掛けて魔石弾を発射させると、空中に浮かんだ魔石に魔石弾がめり込み、これに寄って二つの魔石の魔力が暴発する。爆発が発生するまで一瞬の間があり、その間にカノンはマントで全身を覆い隠して地面に伏せる。
(これで止めよ!!)
魔石が爆発すれば先にカノンが空き地内に散りばめた火属性の魔石の粉末も反応し、更なる爆発を引き起こして空き地内は爆炎に飲み込まれる。爆発すれば火竜の翼膜のマントを身に付けているカノンはともかく、いくら熱耐性の技能を習得しているナイでも無事では済まない。
空中に浮かんだ魔石が罅割れて亀裂から赤色の光が放たれると、それを見たナイを旋斧を構えた。次の瞬間、爆発が発生して空き地内は爆炎に飲み込まれた――
――周囲が建物に取り囲まれた空き地に爆炎が燃え広がり、事前にマントで身を隠していたカノンも壁際の方まで転がり込む。いくら炎に強いと言っても爆発の際に発生する衝撃までは無効化は出来ず、彼女は痛みに耐えながらもマントの隙間から様子を伺う。
空き地内は爆発の影響で煙が舞い上がり、ほぼ全域に炎が燃え上がっていた。咄嗟にカノンは事前に用意していた風属性の魔石を装着した仮面を取り出し、それを身に付ける事で煙を吸い込まないように気を付ける。
カノンが用意した仮面は風属性の魔石を利用して仮面に新鮮な空気を送り込む魔道具であり、こちらも彼女が暗殺した人間から奪った特殊な魔道具である。仮面を取りつけている間は煙を吸い込まず、カノンはマントから顔だけを出した状態で空き地を伺う。
(……確実に死んだわね)
空き地内はカノンが立っている場所以外は炎に包まれ、大量の煙が燃え上がっていた。大量の火属性の魔石を使用した甲斐はあり、確実に標的を仕留めたとカノンは確信する。
(後は魔剣と盾を回収すれば仕事は終わりね。でも、盾の方は私が頂いておくわ)
大臣からカノンはナイが所有する魔剣と盾の回収も依頼されているが、反魔の盾の性能を知った以上はカノンは大臣に渡すつもりはなく、自分の魔石弾を防ぐ手段を持つ防具をわざわざ渡す必要はない。
反魔の盾は魔銃の攻撃にも対処できる性能を持つと分かった以上、カノンはこの反魔の盾を回収して他の人間が手を出せない場所に封じる事にした。大臣には盾の方は回収に失敗したと報告し、魔剣さえ渡せば十分だと彼女は考える。今回の暗殺の目的はあくまでもナイの命を奪う事であり、魔剣と盾の回収はついででしかない。
(それにしても……おかしいわね、もうちょっと派手に爆発すると思ったんだけど)
炎が燃え盛る空き地の様子を見てカノンはある疑問を抱き、彼女の想像では作戦が成功した場合は周囲の建物が崩壊する程の爆発が発生すると予想していた。しかし、実際の所は爆発によって空き地は炎に包まれたが、周辺の建物は崩れていない事に不思議に思う。
(想定よりも爆発の規模が小さいけど……でも、どっちにしても始末した事に変わりはないわ)
予想よりも爆発の規模が小さい事にカノンは戸惑うが、いくら爆発の威力は落ちようと炎に包まれた空き地の中では普通の人間ならば生きていけるはずがない。いくら英雄ともてはやされている人物だろうと、この燃え盛る炎の中で無事なはずがない。
だが、用心のためにカノンはナイの死体の確認しようと彼女は待ち続け、空き地内に燃え盛る炎が消えるまでじっと待ち続ける。魔石や魔法の類で生み出された炎は長時間は維持できず、やがて10秒ほど経過すると炎が消え始めていく。
(やっと消えたわね、後はあいつの死体から魔剣と盾を……!?)
炎が消えていく光景を確認してカノンはナイの死体を探し出そうとした時、彼女の視界に予想外の光景が映し出される。
――カノンの視界に映し出されたのは大剣を振り下ろした状態で目を閉じた状態のナイが立っていった。先ほどカノンの水属性の魔石弾によって凍り付いていたはずの下半身も元に戻っており、しかも彼が握りしめている大剣も異変が発生していた。
ナイの手元に握りしめられた旋斧は全体に赤色の光を纏い、そして彼の周囲の地面は焦げ付けていない。この事からナイの周辺は爆炎の被害が免れており、そして彼は目を開くとカノンに視線を向けた。
「ふうっ……流石に死ぬかと思ったよ」
「な、な、何を……何をしたのよ、あんた!?」
何事もなかったかのように無傷で立っているナイを見てカノンは動揺を隠しきれず、彼女は取り乱した様子で腰を抜かす。そんな彼女の反応を見てナイは少し前に起きた出来事を思い返す――
「待てと言われて待つ奴なんていると思ってるの!?」
「確かに!!」
逃走しながらもカノンは挑発するようにナイに語り掛け、そんな彼女の言葉にナイは眉をしかめる。ここまではカノンの作戦通りであり、何の疑いもなく自分の後を追いかけてきたナイに笑みを浮かべる。
路地裏を抜けるとカノンは空き地に辿り着き、すぐにナイが追いつくがここで彼は疑問を抱く。わざわざ逃げ場がない空き地にカノンが赴いた事に警戒心を抱き、周囲の様子を「観察眼」を発動させて注意深く伺う。
(罠を警戒しているわね……でも、ここへ来た時点で私の勝ちよ!!)
カノンはしきりに空き地を見渡すナイを見て笑みを浮かべ、この時に彼女は魔銃を構えた。ナイは自分に向けて魔石弾を撃ち込むつもりかと思ったが、彼女が狙いを定めたのはナイではなく、彼が通り抜けた路地裏の左右の建物の屋上部分に向けて発砲する。
「くたばりなさい!!」
「うわっ!?」
建物に目掛けてカノンは魔石弾を二発連射させると、建物に衝突した魔石弾が爆発して建物の上の部分だけが崩壊し、瓦礫が路地裏に降り注いで唯一の出入口を塞ぐ。その光景を見てナイは驚き、これでお互いの退路は絶たれた。
空き地にナイを誘い込む作戦を思いついた時にカノンが仕掛けた罠、それは空き地ではなく空き地を取り囲む建物の方に彼女は罠を仕掛けた。この建物に取り囲まれた空き地はたった一つしかない路地裏を通り抜けるしかなく、この路地裏を塞げば逃げ道はない。
(これでお終いよ!!)
出入口さえ封鎖すればナイには逃げ道はなく、彼女は隠し持っていた小袋を取り出す。それはカノンが魔石弾の制作の際に削り取った火属性の魔石の粉末が入っており、それをナイに目掛けて彼女は中身を放つ。
「喰らいなさいっ!!」
「うわっ!?」
火属性の魔石の粉末が空中に散らばり、普通の人間ならば避ける事もできないだろう。しかし、ナイは持ち前の反射神経で「瞬間加速」を発動させ、空き地の隅へと移動して粉末を回避する。
しかし、粉末をナイが浴びらなくても作戦に問題はなく、彼女は空き地内に火属性の魔石の粉末を散りばめさせる。その様子を見てナイは嫌な予感を覚え、すぐに彼女の行動を止めようと背中の旋斧に手を伸ばす。
「いい加減に……!?」
「これで終わりよ!!」
カノンは武器を手にしたナイを見て魔銃を構えると、この時にカノンが装填したのは火属性の魔石弾ではなく、雷属性の魔石を削り取って作り出した魔石弾だった。
「喰らいなさい!!」
「うわっ!?」
魔銃から雷属性の魔石弾が発射された瞬間、銃口から電撃が発射された。火属性の魔石弾は物体に衝突した際に魔石が砕けて暴発するが、雷属性の魔石弾の場合は発射された際に電撃を帯びた状態で放たれる。
傍目から見ればカノンが銃口から電撃を放った様にしか見えず、しかも火属性の魔石弾よりも弾速に優れ、普通の人間ならば決して反応はできなかった。しかし、常人離れした反射神経を持つナイはどうにか右手の反魔の盾を構えて攻撃を防ぐ。
「くぅっ!?」
反魔の盾で咄嗟に電撃を帯びた魔石弾を受けると、弾丸を弾く際に電撃が拡散され、この時に雷光によってナイは視界を一瞬だけ封じられてしまう。その隙を逃さずにカノンは即座に次の魔石弾を撃ち込む。
「喰らいなさい!!」
「うわっ!?」
ナイが視界を封じられたのを見て即座にカノンは水属性の魔石弾を撃ち込み、弾丸はナイの足元に的中した瞬間、地面が凍り付いてナイの下半身が氷漬けになってしまう。
水属性の魔石弾は火属性の魔石弾と同様に衝突して砕けた瞬間に魔力が暴走し、広範囲に魔力を拡散させる。水属性の魔力は冷気を生み出し、その冷気によってナイは下半身が凍り付いて動けなかった。
「しまっ……」
「これで終わりよ!!いくらあんたでも……これには耐え切れないでしょ!?」
動けなくなったナイに対してカノンは懐に手を伸ばし、マントの下に隠し持っていた最後の火属性の魔石を取り出してナイに目掛けて投擲した。
――空き地には事前に火属性の魔石の粉末が大量に散りばめられており、更に火属性の魔石にカノンが火属性の魔石弾を撃ち込んだ場合、空き地内で強烈な爆発が発生するのは明白だった。
カノンの考えた作戦は逃げ場の少ない空き地内にナイを呼び寄せ、更に唯一の出入口を塞ぐ事で退路を断ち、そこからナイを動けなくさせてから大量の火属性の魔石を利用して爆発を引き起こす。
当然だが爆発が発生すればカノンも無事では済まないが、彼女は火属性の魔法攻撃に対して絶対の耐性を誇るマントを身に付けており、この火竜の翼膜から作り出されたマントならばどんな爆発にも耐えられる。
自分の勝利を確信したカノンはナイに目掛けて放り込んだ魔石に視線を定め、魔銃から最後の魔石弾を発砲しようとした。仮にナイが反魔の盾を利用して防ごうとしても、空き地全体を覆い込む爆発ならば反魔の盾でも防ぐ事はできない。
「今度こそ終わりよ!!」
「くっ…!?」
ナイは下半身が凍り付いた事でどうする事もできず、咄嗟に背中の旋斧に手を伸ばす。しかし、既にカノンは空中に放り投げた魔石に向けて最後の魔石弾を放つ。
カノンは火属性の魔石に目掛けて魔石弾を発射させると、空中に浮かんだ魔石に魔石弾がめり込み、これに寄って二つの魔石の魔力が暴発する。爆発が発生するまで一瞬の間があり、その間にカノンはマントで全身を覆い隠して地面に伏せる。
(これで止めよ!!)
魔石が爆発すれば先にカノンが空き地内に散りばめた火属性の魔石の粉末も反応し、更なる爆発を引き起こして空き地内は爆炎に飲み込まれる。爆発すれば火竜の翼膜のマントを身に付けているカノンはともかく、いくら熱耐性の技能を習得しているナイでも無事では済まない。
空中に浮かんだ魔石が罅割れて亀裂から赤色の光が放たれると、それを見たナイを旋斧を構えた。次の瞬間、爆発が発生して空き地内は爆炎に飲み込まれた――
――周囲が建物に取り囲まれた空き地に爆炎が燃え広がり、事前にマントで身を隠していたカノンも壁際の方まで転がり込む。いくら炎に強いと言っても爆発の際に発生する衝撃までは無効化は出来ず、彼女は痛みに耐えながらもマントの隙間から様子を伺う。
空き地内は爆発の影響で煙が舞い上がり、ほぼ全域に炎が燃え上がっていた。咄嗟にカノンは事前に用意していた風属性の魔石を装着した仮面を取り出し、それを身に付ける事で煙を吸い込まないように気を付ける。
カノンが用意した仮面は風属性の魔石を利用して仮面に新鮮な空気を送り込む魔道具であり、こちらも彼女が暗殺した人間から奪った特殊な魔道具である。仮面を取りつけている間は煙を吸い込まず、カノンはマントから顔だけを出した状態で空き地を伺う。
(……確実に死んだわね)
空き地内はカノンが立っている場所以外は炎に包まれ、大量の煙が燃え上がっていた。大量の火属性の魔石を使用した甲斐はあり、確実に標的を仕留めたとカノンは確信する。
(後は魔剣と盾を回収すれば仕事は終わりね。でも、盾の方は私が頂いておくわ)
大臣からカノンはナイが所有する魔剣と盾の回収も依頼されているが、反魔の盾の性能を知った以上はカノンは大臣に渡すつもりはなく、自分の魔石弾を防ぐ手段を持つ防具をわざわざ渡す必要はない。
反魔の盾は魔銃の攻撃にも対処できる性能を持つと分かった以上、カノンはこの反魔の盾を回収して他の人間が手を出せない場所に封じる事にした。大臣には盾の方は回収に失敗したと報告し、魔剣さえ渡せば十分だと彼女は考える。今回の暗殺の目的はあくまでもナイの命を奪う事であり、魔剣と盾の回収はついででしかない。
(それにしても……おかしいわね、もうちょっと派手に爆発すると思ったんだけど)
炎が燃え盛る空き地の様子を見てカノンはある疑問を抱き、彼女の想像では作戦が成功した場合は周囲の建物が崩壊する程の爆発が発生すると予想していた。しかし、実際の所は爆発によって空き地は炎に包まれたが、周辺の建物は崩れていない事に不思議に思う。
(想定よりも爆発の規模が小さいけど……でも、どっちにしても始末した事に変わりはないわ)
予想よりも爆発の規模が小さい事にカノンは戸惑うが、いくら爆発の威力は落ちようと炎に包まれた空き地の中では普通の人間ならば生きていけるはずがない。いくら英雄ともてはやされている人物だろうと、この燃え盛る炎の中で無事なはずがない。
だが、用心のためにカノンはナイの死体の確認しようと彼女は待ち続け、空き地内に燃え盛る炎が消えるまでじっと待ち続ける。魔石や魔法の類で生み出された炎は長時間は維持できず、やがて10秒ほど経過すると炎が消え始めていく。
(やっと消えたわね、後はあいつの死体から魔剣と盾を……!?)
炎が消えていく光景を確認してカノンはナイの死体を探し出そうとした時、彼女の視界に予想外の光景が映し出される。
――カノンの視界に映し出されたのは大剣を振り下ろした状態で目を閉じた状態のナイが立っていった。先ほどカノンの水属性の魔石弾によって凍り付いていたはずの下半身も元に戻っており、しかも彼が握りしめている大剣も異変が発生していた。
ナイの手元に握りしめられた旋斧は全体に赤色の光を纏い、そして彼の周囲の地面は焦げ付けていない。この事からナイの周辺は爆炎の被害が免れており、そして彼は目を開くとカノンに視線を向けた。
「ふうっ……流石に死ぬかと思ったよ」
「な、な、何を……何をしたのよ、あんた!?」
何事もなかったかのように無傷で立っているナイを見てカノンは動揺を隠しきれず、彼女は取り乱した様子で腰を抜かす。そんな彼女の反応を見てナイは少し前に起きた出来事を思い返す――
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