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番外編 獣人国の刺客
第880話 計画の破綻
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「――おのれ!!忌々しい人間共め!!」
「シバイ様、落ち着いて下さい!!」
「どうかお気を確かに!!」
火竜の死骸が獣人国の王都へ送り届けられた日の晩、シバイは自分の屋敷にて半狂乱になりながら自室にある家具や置物を破壊する。彼を宥めようと使用人たちが駆けつけるが、そんな彼等に対してシバイは怒鳴りつけた。
「これが落ち着いていられるか!!あんな物を送りつけられてはどうしようもできん!!これまでの計画が台無しだ!!」
「シ、シバイ様……?」
「くそっ、忌々しい……やっと邪魔者のマジクやシンが居なくなったというのに!!」
シバイが数十年の時を費やして魔術師の部隊を作り上げようとした理由、それは彼が王国へ攻め入るための軍隊を作り上げるためだった。シバイの目的は獣人国の軍隊の戦力を強化させ、それによって王国へ攻め入り滅ぼすつもりだった。
この計画を実行する際に最大の邪魔者になるのは最強の魔導士であるマジク、そして彼に魔術師を送り続け来たシンだった。この二人を何とかしない限り、王国に攻め入る事はできないとシバイは考えていた。
しかし、マジクはグマグ火山に生息していた火竜との戦闘で死亡し、更にはシンも詳細は不明だが死亡したという報告を受けた。この時からシバイは王国へ攻め入る絶好の機会だと判断した。だからこそ獣人国の軍隊を動かす準備を行っていたが、王国からの使者が持参した「贈り物」のせいで彼の計画が破綻してしまう。
――王国の使者が運び出してきたのは火竜の死骸の頭部であり、災害の象徴と恐れられている竜種の死骸を送りつけた王国に対して誰もが恐怖した。素材としても貴重な火竜の死骸を送りつけるという行為、それはつまり王国は火竜をも倒せる戦力を保有している事を意味する。
火竜の死骸を送りつけたのは王国が獣人国に対して牽制を行い、自分達の国に攻め入るつもりならば火竜の二の舞にしてやると暗に伝えてきた事に等しい。そして竜種という存在は獣人国は最も恐れる生物であり、その死骸を送りつけられればどんなに屈強な精神の持ち主でも心が折れてしまう。
魔術師が少ない獣人国では火竜のような竜種と戦う時、彼等は魔法の力を頼る事ができないので肉弾戦で挑むしかない。しかし、圧倒的な力を誇る竜種に対して魔法の力も借りずに戦って勝利するなど不可能に等しい。実際に獣人国の歴史の中で竜種を討伐された記録は一度もない。
火竜の死骸を見せつけられたときの国王や家臣の顔を思い出すだけでシバイは頭を抱え、今まで彼等はシバイの意見を取り入れて王国と本格的に戦を行う準備を進めていた。だが、火竜の死骸を見せつけられた事で全員の心が折れてしまった。
(もうどうする事もできん……あんな物を見せつけられては誰も戦など賛成しない)
今まではシバイに味方してきた者達も火竜の死骸を見せつけられた事で王国との戦争を恐れ、もしも下手に戦を仕掛ければ自分達も火竜のようになるのではないかと恐れてしまう。
既に殆どの家臣が主戦派から反戦派に切り替わっており、国王さえも戦を行う事に反対し、これからは王国との同盟を強めようと宣言する。そのせいでもうシバイだけではどうしようもできない。
彼は何十も費やして作り上げた魔術師の部隊も無駄に終わりかねず、戦争が起こらなければ彼等の存在価値はないに等しい。いくら強大な戦力であろうと、ここは獣人国の国であって人間だけで構成された部隊は扱いに難しい。
「おのれ……これからどうすればいいのだ」
「シバイ様……」
シバイは椅子に座り込み、これからの事を考える。いつまでも落ち込んではいられず、まずは冷静になって現在の状況を分析し、打開策を考えなければならない。
とりあえずは今の段階では獣人国は王国に戦を仕掛ける事はできず、仮にシバイが主張しても他の者は聞き入れないだろう。しかし、気になる事があるのは王国がどのような手段で火竜を討伐したかである。
火竜がグマグ火山にてマジクの命と引き換えに討伐を果たされた報告は受けており、その後も理由は不明だが突如として王都に襲来した火竜を王国が対処したという報告もシバイは受けている。この時に王国に襲来した火竜をどのような手段で仕留めたのかシバイは調べる事にした。
「……取り乱したな、すまないが片づけを頼むぞ」
「は、はい……分かりました」
使用人に対して謝罪を行った後、シバイは火竜討伐の経緯を詳しく調べるため、王国の事を調べる事にした――
――火竜の首が送り届けられてからさらに月日が経過し、やっとシバイの所に王国へ派遣した密偵が戻ってきた。予定よりも大分遅く帰還してきた彼等に対してシバイは眉をしかめながら王国の内情を尋ねる。
「随分と遅かったな……今まで何をしておった」
「申し訳ございません……思っていた以上に王国の警備は高く、王城へ侵入する事は不可能でした」
「何だと?」
シバイが密偵に派遣したのはかつてバーリと取引を行っていた商人であり、元々彼の正体は商人などではなく、シバイに仕える配下だった。彼は20年以上もシバイに仕えており、シバイが最も信頼している人物といっても過言ではない。
男の本当の名前は「リョフイ」この男は元々は本当の商人だったのだが、ある時にこの国では流通が許されていない品物の取引を行い、そのせいで捕まってしまった。しかし、彼の才能を見抜いたシバイはリョフイの罪を特別に免除し、彼を自分の元で働かせた。
リョフイは商人としての才能を生かし、表向きは商人として振舞わせ、王国の大商人であったヨク・バーリと裏取引を行う。バーリを利用した理由は彼から大金を巻き上げ、王国の内情を知るためである。
但し、実際の所はバーリの後ろ盾である宰相と繋がりを持つためにリョフイは派遣され、結果的にはリョフイの後ろ盾であるシバイは彼とバーリを利用してシンと交渉を行う。つまり、バーリはシンとシバイが繋がるために利用されたリョフイの駒に過ぎない。
「お主程の男がわざわざ王都まで出向いて何も収穫はなかったとは……」
「お待ちください、確かに王城へ侵入する事は叶いませんでしたが情報は入手してきました」
「ふむ……では報告しろ」
シバイはリョフイを派遣したのは王国の詳しい内情を知るためであり、彼からの報告を聞く。リョフイは王国に赴いた後、彼なりに調べた事を伝えた。
「私が調べた限り、やはり王都に火竜が襲来したという話は事実の様です。未だに王都では復興作業が行われ、火竜が暴れた痕跡は残っておりました」
「そうか……だが、どうやって彼奴等は火竜の討伐を果たした?その時はもうマジク魔導士は亡くなっているはずだが……」
「はい、実は火竜との戦闘を目撃した一般人に話を伺ったところ……どうやら火竜を倒したのは「貧弱の英雄」と呼ばれる少年のようです」
「貧……弱?」
リョフイの言葉を聞いた時にシバイは何を言っているのかと唖然とするが、すぐにリョフイは説明を付け加えた。
「貧弱と言いましても言葉通りの意味ではなく、どうやらその少年が持つ異能の事をさしているようです。シバイ様は忌み子の事を知っておりますか」
「忌み子?」
「我々の国では呪い子と呼ばれる存在です」
「ああ、なるほど……」
獣人国では「忌み子」は「呪い子」と呼ばれており、名前の由来は呪いのようにしか思えない能力を覚えて生まれた子供という意味として使われ、王国よりも扱いが酷かった。
王国では忌み子が誕生した場合は陽光教会で保護されるが、獣人国の間では呪い子が生まれれば即座に国外追放される。当然だが呪い子を匿う事も庇う事も許されず、仮に王族の子供であろうと呪い子だと判明すれば国外追放は免れない。
しかし、王国と違って獣人国では呪い子は滅多に生まれず、この数十年の間に呪い子が誕生したという記録はない。だからこそ呪い子という存在自体も忘れかけられているが、リョフイの調べた限りではナイは獣人国では呪い子として認識される存在だという。
「貧弱の英雄は名前の通りに「貧弱」と呼ばれる異能を習得して生まれてきたようです。しかし、実際の所はその実力は非常に高く、噂によれば王国騎士団の団長や副団長をも凌駕する実力を持つと言われております」
「馬鹿な……それは確かなのか?」
「過去に貧弱の英雄を戦う姿を見たという者が多数おります。どうやらその英雄は王都の闘技場でも度々出場しており、圧倒的な力で対戦相手や魔物を蹴散らしているそうです」
「お主はその貧弱の英雄とやらが戦っている姿は見たのか?」
「いえ……ですが、貧弱の英雄は王族からも気に入られ、あの伝説の反魔の盾を所有しているそうです。二つの大剣型の魔剣を扱い、更に数々の魔物を屠ったと語られております。そして火竜の討伐を果たされたのも英雄のお陰だと人々は噂しております」
「馬鹿な……呪い子が火竜を?」
シバイはリョフイの話を聞かされても納得ができず、彼からすれば呪い子が火竜という強大な存在を倒せるとは到底思えなかった。しかし、リョフイは実際に王都に出向き、人々が貧弱の英雄を褒め称える光景を見てきた事をはっきりと告げた。
「シバイ様、落ち着いて下さい!!」
「どうかお気を確かに!!」
火竜の死骸が獣人国の王都へ送り届けられた日の晩、シバイは自分の屋敷にて半狂乱になりながら自室にある家具や置物を破壊する。彼を宥めようと使用人たちが駆けつけるが、そんな彼等に対してシバイは怒鳴りつけた。
「これが落ち着いていられるか!!あんな物を送りつけられてはどうしようもできん!!これまでの計画が台無しだ!!」
「シ、シバイ様……?」
「くそっ、忌々しい……やっと邪魔者のマジクやシンが居なくなったというのに!!」
シバイが数十年の時を費やして魔術師の部隊を作り上げようとした理由、それは彼が王国へ攻め入るための軍隊を作り上げるためだった。シバイの目的は獣人国の軍隊の戦力を強化させ、それによって王国へ攻め入り滅ぼすつもりだった。
この計画を実行する際に最大の邪魔者になるのは最強の魔導士であるマジク、そして彼に魔術師を送り続け来たシンだった。この二人を何とかしない限り、王国に攻め入る事はできないとシバイは考えていた。
しかし、マジクはグマグ火山に生息していた火竜との戦闘で死亡し、更にはシンも詳細は不明だが死亡したという報告を受けた。この時からシバイは王国へ攻め入る絶好の機会だと判断した。だからこそ獣人国の軍隊を動かす準備を行っていたが、王国からの使者が持参した「贈り物」のせいで彼の計画が破綻してしまう。
――王国の使者が運び出してきたのは火竜の死骸の頭部であり、災害の象徴と恐れられている竜種の死骸を送りつけた王国に対して誰もが恐怖した。素材としても貴重な火竜の死骸を送りつけるという行為、それはつまり王国は火竜をも倒せる戦力を保有している事を意味する。
火竜の死骸を送りつけたのは王国が獣人国に対して牽制を行い、自分達の国に攻め入るつもりならば火竜の二の舞にしてやると暗に伝えてきた事に等しい。そして竜種という存在は獣人国は最も恐れる生物であり、その死骸を送りつけられればどんなに屈強な精神の持ち主でも心が折れてしまう。
魔術師が少ない獣人国では火竜のような竜種と戦う時、彼等は魔法の力を頼る事ができないので肉弾戦で挑むしかない。しかし、圧倒的な力を誇る竜種に対して魔法の力も借りずに戦って勝利するなど不可能に等しい。実際に獣人国の歴史の中で竜種を討伐された記録は一度もない。
火竜の死骸を見せつけられたときの国王や家臣の顔を思い出すだけでシバイは頭を抱え、今まで彼等はシバイの意見を取り入れて王国と本格的に戦を行う準備を進めていた。だが、火竜の死骸を見せつけられた事で全員の心が折れてしまった。
(もうどうする事もできん……あんな物を見せつけられては誰も戦など賛成しない)
今まではシバイに味方してきた者達も火竜の死骸を見せつけられた事で王国との戦争を恐れ、もしも下手に戦を仕掛ければ自分達も火竜のようになるのではないかと恐れてしまう。
既に殆どの家臣が主戦派から反戦派に切り替わっており、国王さえも戦を行う事に反対し、これからは王国との同盟を強めようと宣言する。そのせいでもうシバイだけではどうしようもできない。
彼は何十も費やして作り上げた魔術師の部隊も無駄に終わりかねず、戦争が起こらなければ彼等の存在価値はないに等しい。いくら強大な戦力であろうと、ここは獣人国の国であって人間だけで構成された部隊は扱いに難しい。
「おのれ……これからどうすればいいのだ」
「シバイ様……」
シバイは椅子に座り込み、これからの事を考える。いつまでも落ち込んではいられず、まずは冷静になって現在の状況を分析し、打開策を考えなければならない。
とりあえずは今の段階では獣人国は王国に戦を仕掛ける事はできず、仮にシバイが主張しても他の者は聞き入れないだろう。しかし、気になる事があるのは王国がどのような手段で火竜を討伐したかである。
火竜がグマグ火山にてマジクの命と引き換えに討伐を果たされた報告は受けており、その後も理由は不明だが突如として王都に襲来した火竜を王国が対処したという報告もシバイは受けている。この時に王国に襲来した火竜をどのような手段で仕留めたのかシバイは調べる事にした。
「……取り乱したな、すまないが片づけを頼むぞ」
「は、はい……分かりました」
使用人に対して謝罪を行った後、シバイは火竜討伐の経緯を詳しく調べるため、王国の事を調べる事にした――
――火竜の首が送り届けられてからさらに月日が経過し、やっとシバイの所に王国へ派遣した密偵が戻ってきた。予定よりも大分遅く帰還してきた彼等に対してシバイは眉をしかめながら王国の内情を尋ねる。
「随分と遅かったな……今まで何をしておった」
「申し訳ございません……思っていた以上に王国の警備は高く、王城へ侵入する事は不可能でした」
「何だと?」
シバイが密偵に派遣したのはかつてバーリと取引を行っていた商人であり、元々彼の正体は商人などではなく、シバイに仕える配下だった。彼は20年以上もシバイに仕えており、シバイが最も信頼している人物といっても過言ではない。
男の本当の名前は「リョフイ」この男は元々は本当の商人だったのだが、ある時にこの国では流通が許されていない品物の取引を行い、そのせいで捕まってしまった。しかし、彼の才能を見抜いたシバイはリョフイの罪を特別に免除し、彼を自分の元で働かせた。
リョフイは商人としての才能を生かし、表向きは商人として振舞わせ、王国の大商人であったヨク・バーリと裏取引を行う。バーリを利用した理由は彼から大金を巻き上げ、王国の内情を知るためである。
但し、実際の所はバーリの後ろ盾である宰相と繋がりを持つためにリョフイは派遣され、結果的にはリョフイの後ろ盾であるシバイは彼とバーリを利用してシンと交渉を行う。つまり、バーリはシンとシバイが繋がるために利用されたリョフイの駒に過ぎない。
「お主程の男がわざわざ王都まで出向いて何も収穫はなかったとは……」
「お待ちください、確かに王城へ侵入する事は叶いませんでしたが情報は入手してきました」
「ふむ……では報告しろ」
シバイはリョフイを派遣したのは王国の詳しい内情を知るためであり、彼からの報告を聞く。リョフイは王国に赴いた後、彼なりに調べた事を伝えた。
「私が調べた限り、やはり王都に火竜が襲来したという話は事実の様です。未だに王都では復興作業が行われ、火竜が暴れた痕跡は残っておりました」
「そうか……だが、どうやって彼奴等は火竜の討伐を果たした?その時はもうマジク魔導士は亡くなっているはずだが……」
「はい、実は火竜との戦闘を目撃した一般人に話を伺ったところ……どうやら火竜を倒したのは「貧弱の英雄」と呼ばれる少年のようです」
「貧……弱?」
リョフイの言葉を聞いた時にシバイは何を言っているのかと唖然とするが、すぐにリョフイは説明を付け加えた。
「貧弱と言いましても言葉通りの意味ではなく、どうやらその少年が持つ異能の事をさしているようです。シバイ様は忌み子の事を知っておりますか」
「忌み子?」
「我々の国では呪い子と呼ばれる存在です」
「ああ、なるほど……」
獣人国では「忌み子」は「呪い子」と呼ばれており、名前の由来は呪いのようにしか思えない能力を覚えて生まれた子供という意味として使われ、王国よりも扱いが酷かった。
王国では忌み子が誕生した場合は陽光教会で保護されるが、獣人国の間では呪い子が生まれれば即座に国外追放される。当然だが呪い子を匿う事も庇う事も許されず、仮に王族の子供であろうと呪い子だと判明すれば国外追放は免れない。
しかし、王国と違って獣人国では呪い子は滅多に生まれず、この数十年の間に呪い子が誕生したという記録はない。だからこそ呪い子という存在自体も忘れかけられているが、リョフイの調べた限りではナイは獣人国では呪い子として認識される存在だという。
「貧弱の英雄は名前の通りに「貧弱」と呼ばれる異能を習得して生まれてきたようです。しかし、実際の所はその実力は非常に高く、噂によれば王国騎士団の団長や副団長をも凌駕する実力を持つと言われております」
「馬鹿な……それは確かなのか?」
「過去に貧弱の英雄を戦う姿を見たという者が多数おります。どうやらその英雄は王都の闘技場でも度々出場しており、圧倒的な力で対戦相手や魔物を蹴散らしているそうです」
「お主はその貧弱の英雄とやらが戦っている姿は見たのか?」
「いえ……ですが、貧弱の英雄は王族からも気に入られ、あの伝説の反魔の盾を所有しているそうです。二つの大剣型の魔剣を扱い、更に数々の魔物を屠ったと語られております。そして火竜の討伐を果たされたのも英雄のお陰だと人々は噂しております」
「馬鹿な……呪い子が火竜を?」
シバイはリョフイの話を聞かされても納得ができず、彼からすれば呪い子が火竜という強大な存在を倒せるとは到底思えなかった。しかし、リョフイは実際に王都に出向き、人々が貧弱の英雄を褒め称える光景を見てきた事をはっきりと告げた。
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