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後日談
第868話 炎華の継承者
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――とある日、マホの元にヒイロは訪れると彼女は借りていた「炎華」を差し出す。炎華は火竜との戦闘の時にヒイロがマホから借りた代物だったが、結果的には炎華の力で火竜に損傷を与える事はできたが今のヒイロの技量では扱いこなせる代物ではなかった。
「ヒイロ、炎華の力はどうじゃ?お主も火属性の魔剣の使い手……扱い切れるとは思わなかったか?」
「いえ……正直、私の手には負えないと思いました」
ヒイロは魔剣「烈火」の使い手ではあるが、同じく火属性の魔剣である「炎華」に関しては扱い切れる自信がなかった。炎華は凄まじい力を誇り、残念ながら彼女の実力では扱い切れる代物ではない。
烈火の場合はヒイロの意思に従って魔剣に炎を纏うが、炎華の場合は彼女に意思に関係なく、能力を使おうと判断した時点で勝手に魔力を吸収して炎を生み出す。烈火と炎華の違いがあるとすればヒイロの意思に従うかどうかであり、烈火の場合はヒイロの言う事を聞くが、炎華の場合は勝手に魔剣の方から魔力を奪う。
「やはりお主でも扱うのは難しいか……となると、やはりこの炎華の継承者はあの者に限るか」
「あの者?それは誰の事ですか?」
「お主も良く知っておる人物じゃよ。しかし、あの者がこれを受け入れるかどうか……」
マホの言い回しにヒイロは疑問を抱き、どうやら彼女の語る炎華の継承者に相応しい人物はヒイロも知っている人物のようだが、いったい誰なのかをヒイロは率直に尋ねる。
「マホ魔導士、教えてください。魔導士は本当は誰に炎華を誰に託そうとしていたのですか?」
「気になるか?そうじゃのう……別に隠す事もでないか」
炎華を手にしたマホはこれまでに彼女の出会った「若者」の中でこの魔剣を扱い切れる人物を思い返し、どうしても一人の少年の顔しか浮かばなかった。
「儂がこの魔剣を託そうと考えておるのは……ナイじゃ」
「えっ……ナ、ナイ君ですか!?」
まさかナイの名前が出るとは思わずにヒイロは驚愕の声を上げるが、マホは冗談を口にしたつもりはなく、この国で炎華を受け継ぐ力を持つのはナイだけだと考えていた――
――炎華の先代の主は「ジャンヌ」であり、彼女とナイの共通点は実は意外と多い。二人とも二つの魔剣を扱いこなし、更にどちらも型破りな戦法を得意とする。ジャンヌの場合は本来ならば相性が悪い火属性と水属性の適正があり、その一方でナイの方は魔石の力を借りながらも各属性の魔力を操れる。
魔操術を身に付けた人間ならば魔石から自由に魔力を引き出せると思われているが、実際の所は引き出せる魔力量に関してはその人間の適正に関わる。例えば聖属性に特化しているナイの場合は聖属性の魔力から瞬時に魔力を引き出せるが、他の魔石の場合は聖属性の魔石ほどに即座に魔力を引き出す事はできない。
だが、ここで重要なのは「旋斧」の存在だった。旋斧は火竜との戦闘の後、膨大な火属性の魔力を宿した。その影響でナイ自身も旋斧を扱う度に知らず知らずに彼も火属性の適正が芽生え始めていた。
火竜の影響で旋斧が膨大な火属性の魔力を宿した時、ナイはゴブリンキングとの戦闘で旋斧の力を最大限に引き出した。その姿をマホは見た時、彼こそが炎華の継承者に相応しいのではないかと考える。
(まだナイが火属性の適正に完全に芽生えたかどうかは分からぬ……しかし、あれほど膨大な火の魔力を扱える人間など見た事はない)
マホは炎華を見つめて亡きジャンヌの事を思い返し、この魔剣も地に沈めるよりも新しい持ち主の元でその力を発揮する方が幸せだろうと考えていた――
「ヒイロ、炎華の力はどうじゃ?お主も火属性の魔剣の使い手……扱い切れるとは思わなかったか?」
「いえ……正直、私の手には負えないと思いました」
ヒイロは魔剣「烈火」の使い手ではあるが、同じく火属性の魔剣である「炎華」に関しては扱い切れる自信がなかった。炎華は凄まじい力を誇り、残念ながら彼女の実力では扱い切れる代物ではない。
烈火の場合はヒイロの意思に従って魔剣に炎を纏うが、炎華の場合は彼女に意思に関係なく、能力を使おうと判断した時点で勝手に魔力を吸収して炎を生み出す。烈火と炎華の違いがあるとすればヒイロの意思に従うかどうかであり、烈火の場合はヒイロの言う事を聞くが、炎華の場合は勝手に魔剣の方から魔力を奪う。
「やはりお主でも扱うのは難しいか……となると、やはりこの炎華の継承者はあの者に限るか」
「あの者?それは誰の事ですか?」
「お主も良く知っておる人物じゃよ。しかし、あの者がこれを受け入れるかどうか……」
マホの言い回しにヒイロは疑問を抱き、どうやら彼女の語る炎華の継承者に相応しい人物はヒイロも知っている人物のようだが、いったい誰なのかをヒイロは率直に尋ねる。
「マホ魔導士、教えてください。魔導士は本当は誰に炎華を誰に託そうとしていたのですか?」
「気になるか?そうじゃのう……別に隠す事もでないか」
炎華を手にしたマホはこれまでに彼女の出会った「若者」の中でこの魔剣を扱い切れる人物を思い返し、どうしても一人の少年の顔しか浮かばなかった。
「儂がこの魔剣を託そうと考えておるのは……ナイじゃ」
「えっ……ナ、ナイ君ですか!?」
まさかナイの名前が出るとは思わずにヒイロは驚愕の声を上げるが、マホは冗談を口にしたつもりはなく、この国で炎華を受け継ぐ力を持つのはナイだけだと考えていた――
――炎華の先代の主は「ジャンヌ」であり、彼女とナイの共通点は実は意外と多い。二人とも二つの魔剣を扱いこなし、更にどちらも型破りな戦法を得意とする。ジャンヌの場合は本来ならば相性が悪い火属性と水属性の適正があり、その一方でナイの方は魔石の力を借りながらも各属性の魔力を操れる。
魔操術を身に付けた人間ならば魔石から自由に魔力を引き出せると思われているが、実際の所は引き出せる魔力量に関してはその人間の適正に関わる。例えば聖属性に特化しているナイの場合は聖属性の魔力から瞬時に魔力を引き出せるが、他の魔石の場合は聖属性の魔石ほどに即座に魔力を引き出す事はできない。
だが、ここで重要なのは「旋斧」の存在だった。旋斧は火竜との戦闘の後、膨大な火属性の魔力を宿した。その影響でナイ自身も旋斧を扱う度に知らず知らずに彼も火属性の適正が芽生え始めていた。
火竜の影響で旋斧が膨大な火属性の魔力を宿した時、ナイはゴブリンキングとの戦闘で旋斧の力を最大限に引き出した。その姿をマホは見た時、彼こそが炎華の継承者に相応しいのではないかと考える。
(まだナイが火属性の適正に完全に芽生えたかどうかは分からぬ……しかし、あれほど膨大な火の魔力を扱える人間など見た事はない)
マホは炎華を見つめて亡きジャンヌの事を思い返し、この魔剣も地に沈めるよりも新しい持ち主の元でその力を発揮する方が幸せだろうと考えていた――
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