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王国の闇
第845話 倒すべき敵
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「躊躇するな!!奴を倒せ、でなければ殺されるぞ!!」
「は、はい!!」
ロランの言葉を聞いてナイは旋斧を振りかざしながら接近する。それに対してシャドウは杖を振りかざし、彼は自分が座り込んでいた棺桶を持ち上げると、それをナイに向けて放り込む。
『喰らえっ!!』
「こんな物……!?」
正面から投げ放たれた棺桶に対してナイは旋斧で叩き壊そうとした瞬間、異様な気配を感じ取った。そして投げ放たれた棺桶の蓋が開かれると、そこには予想外の存在が出現した。
「グガァアアアッ!!」
「うわっ!?」
「馬鹿なっ!?」
「な、何だ!?この生き物は!?」
――棺桶から出現したのは「火竜」を想像させる生物であり、以前にグマグ火山にて討伐隊が打ち倒した火竜と瓜二つの生物が棺桶から出現する。大きさはグマグ火山の火竜と比べて随分と小ぶりだが、ナイの旋斧に対して躊躇なく噛みつく。
旋斧の刃に噛みついて来た小型の火竜に対してナイは戸惑うが、即座に剛力を発動させて押しとどめる。身体は小さいが凄い力を誇り、少しでも力を抜くと旋斧を奪い取られそうになる。
「グゥウウッ!!」
「くっ……!?」
「まさか、火竜の子供か!?どうしてこんな場所に!?」
『はっ……お前等によそ見する暇はあるのか!?』
シャドウにとっては一番厄介なナイが火竜の幼体が抑えつけている間、シャドウは自分の影を今度は巨人から無数の触手に変化させ、他の騎士達の元へ向かわせる。その結果、騎士達は触手が身体に絡みついて捕まってしまう。
「うおおおっ!?」
「くっ、離せっ!?」
「駄目だ、引き剥がせない……!!」
「お前達!?くそっ……シャドウ!!」
「おっと……魔剣を失ったお前に俺に対抗する手段はないだろう」
ロランは部下を捕まえたシャドウの元に向かうが、彼に対してシャドウは掌を構えると影の触手を伸ばす。それに対してロランは剣を振り抜くが、聖属性の魔力を宿していなければどんな物理攻撃もシャドウの影には通じない。
遂にはナイ以外の者達も影の触手によって捕まってしまい、その光景を見てナイは旋斧に噛みつく火竜の幼体を睨みつけ、ある方法を思いついて反撃に出た。
「痺れろ!!」
「アガァッ!?」
ナイは魔法腕輪の雷属性の魔石から魔力を取り込み、刀身に電流を発生させる。火竜は刃越しに電流を流された事で怯み、その隙を逃さずにナイは「剛力」の技能を発動させて火竜を蹴り飛ばす。
「邪魔だっ!!」
「ギャウッ!?」
「ちっ……」
火竜を蹴り飛ばしたナイはシャドウに視線を向け、彼の影魔法によって拘束された者達を見て助けるために旋斧を振りかざす。
「シャドウ!!」
「っ……!?」
「行けぇっ!!」
シャドウに向けてナイは駆け出すと、彼は杖を構えるが影の大半は他の騎士達に拘束のために使用しており、仮にナイに影魔法を繰り出したとしても聖属性の魔力を帯びた旋斧には通じない。ロランはナイがシャドウを倒す事を祈るが、何処からか黒色の電撃がナイの背後から迫る。
自分の背中に向けて放たれた電撃にナイは反応ができず、背中に抱えていた岩砕剣に電撃が衝突した。何が起きたのか分からずにナイは目を見開き、床に倒れ込む。岩砕剣に電流が迸り、ナイは信じられない表情を浮かべながら電撃が放たれた方向に視線を向けると、そこには死んだはずの人間が立っていた。
「マ、マジク……さん?」
「……すまぬ、だが今はその男を死なせるわけには行かん」
「はっ……余計な真似をしてくれたな」
「マ、マジク魔導士……まさか、貴方まで!?」
死霊人形と化したマジクが登場した事にナイは驚き、ロランでさえもマジクが敵側に回った事が信じられなかった。しかし、現実にロランはシャドウの隣に移動すると、改めて二人は杖を構える。
「さあ、どうする?この状況から逆転できるか?」
「お主等の器……確かめさせてもらうぞ」
「ぐっ……そこまで堕ちたか、マジク!!」
「くぅっ……!!」
世界最強の魔導士であるマジク、世界最悪の死霊使いのシャドウ、このふたりを前にしたナイ達は勝ち目が見いだせず、このまま殺されるしかないのかと思った時、ナイは自分の身体の異変に気付く。
(あれ……どういうことだ?)
先ほどマジクの電撃を受けた際、ナイは確かに背中に電流が走る感覚はあったが、今は何ともない。多少は身体が痺れたが動けない程であり、マジク程の魔術師の攻撃がこの程度のはずがない。
最初はマジクが手加減したのかと思ったが、違和感を覚えたナイは岩砕剣に手を伸ばす。岩砕剣は未だに電流を帯びているが、いつの間にか地属性の魔力が宿っているのか重量が増していた。その影響なのか刀身に纏った黒雷を弾き返して無効化していた。
(まさか、岩砕剣は……電撃を無効化できるのか?)
信じがたい事にこの土壇場で岩砕剣の隠された能力が明かされ、ナイは右手に旋斧を握りしめ、左手に岩砕剣を握りしめた。
「は、はい!!」
ロランの言葉を聞いてナイは旋斧を振りかざしながら接近する。それに対してシャドウは杖を振りかざし、彼は自分が座り込んでいた棺桶を持ち上げると、それをナイに向けて放り込む。
『喰らえっ!!』
「こんな物……!?」
正面から投げ放たれた棺桶に対してナイは旋斧で叩き壊そうとした瞬間、異様な気配を感じ取った。そして投げ放たれた棺桶の蓋が開かれると、そこには予想外の存在が出現した。
「グガァアアアッ!!」
「うわっ!?」
「馬鹿なっ!?」
「な、何だ!?この生き物は!?」
――棺桶から出現したのは「火竜」を想像させる生物であり、以前にグマグ火山にて討伐隊が打ち倒した火竜と瓜二つの生物が棺桶から出現する。大きさはグマグ火山の火竜と比べて随分と小ぶりだが、ナイの旋斧に対して躊躇なく噛みつく。
旋斧の刃に噛みついて来た小型の火竜に対してナイは戸惑うが、即座に剛力を発動させて押しとどめる。身体は小さいが凄い力を誇り、少しでも力を抜くと旋斧を奪い取られそうになる。
「グゥウウッ!!」
「くっ……!?」
「まさか、火竜の子供か!?どうしてこんな場所に!?」
『はっ……お前等によそ見する暇はあるのか!?』
シャドウにとっては一番厄介なナイが火竜の幼体が抑えつけている間、シャドウは自分の影を今度は巨人から無数の触手に変化させ、他の騎士達の元へ向かわせる。その結果、騎士達は触手が身体に絡みついて捕まってしまう。
「うおおおっ!?」
「くっ、離せっ!?」
「駄目だ、引き剥がせない……!!」
「お前達!?くそっ……シャドウ!!」
「おっと……魔剣を失ったお前に俺に対抗する手段はないだろう」
ロランは部下を捕まえたシャドウの元に向かうが、彼に対してシャドウは掌を構えると影の触手を伸ばす。それに対してロランは剣を振り抜くが、聖属性の魔力を宿していなければどんな物理攻撃もシャドウの影には通じない。
遂にはナイ以外の者達も影の触手によって捕まってしまい、その光景を見てナイは旋斧に噛みつく火竜の幼体を睨みつけ、ある方法を思いついて反撃に出た。
「痺れろ!!」
「アガァッ!?」
ナイは魔法腕輪の雷属性の魔石から魔力を取り込み、刀身に電流を発生させる。火竜は刃越しに電流を流された事で怯み、その隙を逃さずにナイは「剛力」の技能を発動させて火竜を蹴り飛ばす。
「邪魔だっ!!」
「ギャウッ!?」
「ちっ……」
火竜を蹴り飛ばしたナイはシャドウに視線を向け、彼の影魔法によって拘束された者達を見て助けるために旋斧を振りかざす。
「シャドウ!!」
「っ……!?」
「行けぇっ!!」
シャドウに向けてナイは駆け出すと、彼は杖を構えるが影の大半は他の騎士達に拘束のために使用しており、仮にナイに影魔法を繰り出したとしても聖属性の魔力を帯びた旋斧には通じない。ロランはナイがシャドウを倒す事を祈るが、何処からか黒色の電撃がナイの背後から迫る。
自分の背中に向けて放たれた電撃にナイは反応ができず、背中に抱えていた岩砕剣に電撃が衝突した。何が起きたのか分からずにナイは目を見開き、床に倒れ込む。岩砕剣に電流が迸り、ナイは信じられない表情を浮かべながら電撃が放たれた方向に視線を向けると、そこには死んだはずの人間が立っていた。
「マ、マジク……さん?」
「……すまぬ、だが今はその男を死なせるわけには行かん」
「はっ……余計な真似をしてくれたな」
「マ、マジク魔導士……まさか、貴方まで!?」
死霊人形と化したマジクが登場した事にナイは驚き、ロランでさえもマジクが敵側に回った事が信じられなかった。しかし、現実にロランはシャドウの隣に移動すると、改めて二人は杖を構える。
「さあ、どうする?この状況から逆転できるか?」
「お主等の器……確かめさせてもらうぞ」
「ぐっ……そこまで堕ちたか、マジク!!」
「くぅっ……!!」
世界最強の魔導士であるマジク、世界最悪の死霊使いのシャドウ、このふたりを前にしたナイ達は勝ち目が見いだせず、このまま殺されるしかないのかと思った時、ナイは自分の身体の異変に気付く。
(あれ……どういうことだ?)
先ほどマジクの電撃を受けた際、ナイは確かに背中に電流が走る感覚はあったが、今は何ともない。多少は身体が痺れたが動けない程であり、マジク程の魔術師の攻撃がこの程度のはずがない。
最初はマジクが手加減したのかと思ったが、違和感を覚えたナイは岩砕剣に手を伸ばす。岩砕剣は未だに電流を帯びているが、いつの間にか地属性の魔力が宿っているのか重量が増していた。その影響なのか刀身に纏った黒雷を弾き返して無効化していた。
(まさか、岩砕剣は……電撃を無効化できるのか?)
信じがたい事にこの土壇場で岩砕剣の隠された能力が明かされ、ナイは右手に旋斧を握りしめ、左手に岩砕剣を握りしめた。
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