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王国の闇
第840話 モモの覚醒
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(すまぬ、ナイよ……せめて最後にお前の顔を見たかったな)
強化薬を手にしたドルトンは一気に飲み込もうとした。だが、彼が薬を飲む前に白猫亭から箒と鍋とお玉を両手に抱えたモモが飛び出す。
「ヒナちゃん、色々持って来たよ!!」
「ちょっ!?モモ!?」
「ぬおっ!?」
「うわぁっ!?」
両手に大量の道具を抱えて戻ってきたモモに対してヒナ達は驚くが、モモは両手に道具を抱え過ぎて前が良く見えず、彼女は転んでしまう。
「あいたぁっ!?」
「うわわっ!?」
「ぬおっ!?」
「キャインッ!?」
「だ、大丈夫か!?」
建物を出た際にモモは転んでしまい、この際に街道に大量の道具が散らばってしまう。そのどさくさでドルトンは薬瓶を手放してしまい、地面に薬を落としてしまう。
「し、しまった!?強化薬が……」
「え、強化薬!?」
「は、早く拾わねば!!ええい、何処に落ちた!?お主等も探してくれ!!」
「そ、そんな事を言われても……」
満月のお陰で夜とはいえ外は明るいが、それでも大量の道具が散らばった街道で小さな薬瓶を見つけ出すのは困難であり、慌てて全員が薬を探し出す。
その一方で吸血鬼の方はドルトン達の行動に唖然とするが、すぐに好機だと判断して彼は翼を伸ばし、全員を一気に始末するために吸血鬼は羽根を広げた状態で身体を回転させ、まるで「ベーゴマ」のように周囲の障害物を金属の如き硬度の羽根で切り裂きながら近付く。
「殺す殺す殺すぅっ!!」
「ひいいっ!?こ、こっちに近付いてるぞ!!」
「えっと、えっと……何処にあるの!?」
「は、早く見つけねば……!!」
「無理よ、逃げましょう!?」
「グルルルッ……!!」
羽根を高速回転させながら接近する吸血鬼の姿を見てヒナは間に合わないと判断し、他の全員に逃げる様に促す。ドルトン、モモ、イーシャンの3人は強化薬を必死に探し回り、ビャクの方は迫りくる吸血鬼に対して立ち塞がる。
吸血鬼は移動する事に回転速度を速め、近くに存在する建物の壁を切り裂き、白猫亭へと迫る。仮に建物の中に逃げ込んだとしても吸血鬼は追跡を辞めず、宿ごと切り裂かれるのは簡単に想像できた。
「あ、あった!!見つけたぞ、こいつだ!!」
「おおっ、でかした!!」
「見つけたの!?」
イーシャンが遂に強化薬を発見して取り上げるが、ドルトンとモモは顔を上げた時には既に吸血鬼は数メートル先まで接近しており、慌ててイーシャンはドルトンに向けて薬瓶を放り込む。
「ほら、受け取れ!!」
「うむっ!!」
「こ、こっちに来るわよ!?」
「わああっ!?」
「グゥウッ……!?」
強化薬をドルトンに向けて投げ込まれると、吸血鬼はもう目の前まで迫り、急いでドルトンは強化薬を受け取ろうと手を伸ばす。だが、落ちた時に薬瓶の蓋が緩んでしまったのか、イーシャンとドルトンの間に丁度座り込んでいたモモの前で薬瓶の中身が噴き出す。
「「「あっ!?」」」
「わぷっ!?」
「ウォンッ!?」
モモは顔に強化薬の液体を浴びてしまい、それを見た三人は声を上げる。ビャクも彼女を見て驚くと、直後に彼の本能が危機を伝える。
強化薬を浴びた途端にモモは四つん這いになり、全身から白炎を纏う。元々彼女は生まれた時から魔力が強く、その魔力量はテンやナイをも遥かに上回り、そんな彼女が聖属性の魔力を活性化させる強化薬を浴びたらどうなるのか、その答えはすぐに判明した。
「ふわぁああああっ!!」
「モ、モモ!?」
「ど、どうしたんじゃ!?」
「ええっ!?」
「キャインッ!?」
気が抜けるような掛け声をあげながらモモは立ち上がると、地面に落ちていた鍋を拾い上げ、それを手にした彼女は盾代わりに利用して高速回転を行う吸血鬼の元へ向かう。
吸血鬼に対してモモは両手に抱えた鍋を振りかざし、勢いよく回転する刃に叩き付ける。普通ならば鍋は真っ二つに切り裂かれてもおかしくはないが、あまりの勢いに叩き付けられた鍋によって吸血鬼は回転が止まり、それどころか片羽根が異様な方向に曲がってしまう。
「うぎゃあああっ!?」
「は、羽根が……へし折ったのか!?」
「な、なんという力……!!」
「モモ、ちょっとあんた大丈夫なの!?」
「はひぃいいっ!!」
奇妙な掛け声を上げながらモモは片羽根を曲げられて泣き叫ぶ吸血鬼の元へ近づき、そのまま身体を持ち上げる。彼女は両手で吸血鬼を持ち上げると、地面に叩き込む。
「ふりゃあっ!!」
「うがぁあああっ!?」
「き、効いとる!!効いておるぞ!?」
「うわぁっ……」
「な、なんて力……いつものモモより凄いわ」
「クゥ~ンッ……(←怯えてヒナの後ろに隠れる)」
強化薬のせいで暴走したモモは凄まじい力で吸血鬼を圧倒し、地面に叩き付けられた吸血鬼は白目を剥いて倒れ込む。しかし、モモは止まらずに吸血の両足を掴み、そのまま身体を高速回転させる。
強化薬を手にしたドルトンは一気に飲み込もうとした。だが、彼が薬を飲む前に白猫亭から箒と鍋とお玉を両手に抱えたモモが飛び出す。
「ヒナちゃん、色々持って来たよ!!」
「ちょっ!?モモ!?」
「ぬおっ!?」
「うわぁっ!?」
両手に大量の道具を抱えて戻ってきたモモに対してヒナ達は驚くが、モモは両手に道具を抱え過ぎて前が良く見えず、彼女は転んでしまう。
「あいたぁっ!?」
「うわわっ!?」
「ぬおっ!?」
「キャインッ!?」
「だ、大丈夫か!?」
建物を出た際にモモは転んでしまい、この際に街道に大量の道具が散らばってしまう。そのどさくさでドルトンは薬瓶を手放してしまい、地面に薬を落としてしまう。
「し、しまった!?強化薬が……」
「え、強化薬!?」
「は、早く拾わねば!!ええい、何処に落ちた!?お主等も探してくれ!!」
「そ、そんな事を言われても……」
満月のお陰で夜とはいえ外は明るいが、それでも大量の道具が散らばった街道で小さな薬瓶を見つけ出すのは困難であり、慌てて全員が薬を探し出す。
その一方で吸血鬼の方はドルトン達の行動に唖然とするが、すぐに好機だと判断して彼は翼を伸ばし、全員を一気に始末するために吸血鬼は羽根を広げた状態で身体を回転させ、まるで「ベーゴマ」のように周囲の障害物を金属の如き硬度の羽根で切り裂きながら近付く。
「殺す殺す殺すぅっ!!」
「ひいいっ!?こ、こっちに近付いてるぞ!!」
「えっと、えっと……何処にあるの!?」
「は、早く見つけねば……!!」
「無理よ、逃げましょう!?」
「グルルルッ……!!」
羽根を高速回転させながら接近する吸血鬼の姿を見てヒナは間に合わないと判断し、他の全員に逃げる様に促す。ドルトン、モモ、イーシャンの3人は強化薬を必死に探し回り、ビャクの方は迫りくる吸血鬼に対して立ち塞がる。
吸血鬼は移動する事に回転速度を速め、近くに存在する建物の壁を切り裂き、白猫亭へと迫る。仮に建物の中に逃げ込んだとしても吸血鬼は追跡を辞めず、宿ごと切り裂かれるのは簡単に想像できた。
「あ、あった!!見つけたぞ、こいつだ!!」
「おおっ、でかした!!」
「見つけたの!?」
イーシャンが遂に強化薬を発見して取り上げるが、ドルトンとモモは顔を上げた時には既に吸血鬼は数メートル先まで接近しており、慌ててイーシャンはドルトンに向けて薬瓶を放り込む。
「ほら、受け取れ!!」
「うむっ!!」
「こ、こっちに来るわよ!?」
「わああっ!?」
「グゥウッ……!?」
強化薬をドルトンに向けて投げ込まれると、吸血鬼はもう目の前まで迫り、急いでドルトンは強化薬を受け取ろうと手を伸ばす。だが、落ちた時に薬瓶の蓋が緩んでしまったのか、イーシャンとドルトンの間に丁度座り込んでいたモモの前で薬瓶の中身が噴き出す。
「「「あっ!?」」」
「わぷっ!?」
「ウォンッ!?」
モモは顔に強化薬の液体を浴びてしまい、それを見た三人は声を上げる。ビャクも彼女を見て驚くと、直後に彼の本能が危機を伝える。
強化薬を浴びた途端にモモは四つん這いになり、全身から白炎を纏う。元々彼女は生まれた時から魔力が強く、その魔力量はテンやナイをも遥かに上回り、そんな彼女が聖属性の魔力を活性化させる強化薬を浴びたらどうなるのか、その答えはすぐに判明した。
「ふわぁああああっ!!」
「モ、モモ!?」
「ど、どうしたんじゃ!?」
「ええっ!?」
「キャインッ!?」
気が抜けるような掛け声をあげながらモモは立ち上がると、地面に落ちていた鍋を拾い上げ、それを手にした彼女は盾代わりに利用して高速回転を行う吸血鬼の元へ向かう。
吸血鬼に対してモモは両手に抱えた鍋を振りかざし、勢いよく回転する刃に叩き付ける。普通ならば鍋は真っ二つに切り裂かれてもおかしくはないが、あまりの勢いに叩き付けられた鍋によって吸血鬼は回転が止まり、それどころか片羽根が異様な方向に曲がってしまう。
「うぎゃあああっ!?」
「は、羽根が……へし折ったのか!?」
「な、なんという力……!!」
「モモ、ちょっとあんた大丈夫なの!?」
「はひぃいいっ!!」
奇妙な掛け声を上げながらモモは片羽根を曲げられて泣き叫ぶ吸血鬼の元へ近づき、そのまま身体を持ち上げる。彼女は両手で吸血鬼を持ち上げると、地面に叩き込む。
「ふりゃあっ!!」
「うがぁあああっ!?」
「き、効いとる!!効いておるぞ!?」
「うわぁっ……」
「な、なんて力……いつものモモより凄いわ」
「クゥ~ンッ……(←怯えてヒナの後ろに隠れる)」
強化薬のせいで暴走したモモは凄まじい力で吸血鬼を圧倒し、地面に叩き付けられた吸血鬼は白目を剥いて倒れ込む。しかし、モモは止まらずに吸血の両足を掴み、そのまま身体を高速回転させる。
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