850 / 1,110
王国の闇
第834話 闘技場の地下施設
しおりを挟む
「――ドリス様、見つけました!!隠し通路です!!」
「やはりここにありましたのね!!」
闘技場内には既にドリス達が乗り込んでおり、彼女は地下施設に通じる抜け道を発見した。地下施設に繋がる抜け道はなんと闘技場の試合場の真下に隠されており、石畳を取り外すと階段が出現した。まさか試合場にこのような仕掛けがあるなど思いもしなかったが、偶然にも騎士の一人が試合場から続く血の跡を発見した。
昼間にナイが倒した死骸の内、リザードマンとリザードゴブリンの死体は消えていた。しかし、死体が運び出された痕跡が残っており、それを辿ると闘技場に続いている事からドリスは闘技場内に乗り込む。そして遂に秘密の抜け道を見つけ出し、ドリス達は乗り込む。
「さあ、行きますわよ!!」
「ドリス様!!ここは斥候を送った方が……」
「いいえ、多少の罠があったとしてもここは私が乗り込みますわ!!」
隠し階段を真っ先に降りようとするドリスを他の者が引き留めるが、ドリスは時間を惜しんで先行する。仮にこの先に罠が仕向けられていようと、ドリスは昼間の屈辱を晴らすために階段を降りていく。
階段は地下深くにまで続いており、騎士達は松明を片手に降りていく。罠を警戒しながら進んでいくと、やがて扉が出現した。その扉は巨人族でも潜り抜けそうな程に大きく、それを確認したドリスは真紅を構えた。
「私の爆槍でこじ開けますわ!!」
「ま、待ってください!!この扉……鍵が掛かっていないのでは?」
「えっ?」
ドリスが真紅を構えると、慌てて他の騎士達が止めて扉を指し示す。確かに暗闇でよく分からなかったが、扉はほんの僅かだが開いており、騎士達が力を合わせて押し込むと扉は呆気なく開かれた。
「鍵が開いている……不用心ですわね、それともやはり罠でしょうか?」
「ドリス副団長、どうしますか?」
「進むしかありませんわ。例え罠であろうと……ここまで来た以上はただでは引き返せません」
騎士達を引き連れてドリスは扉の内側に入り込むと、この際に騎士達は袋を取り出す。彼等が取り出したのはアルトも利用していた「光石」が入ったランタンであり、普通の松明よりも光量が強いので王都ではよく灯りに利用されている。
周囲を照らすために騎士達は光石のランタンを掲げると、彼等は信じがたい光景を目の当たりにした。
「うっ!?」
「こ、これは……」
「ひ、酷い……全員、死んでいるのか?」
地下施設内には大量の死体が並んでおり、それを見た騎士達は口元に手を抑え、吐き出しそうになったがどうにか堪える。ドリスも顔色を青ざめ、彼等が見たのは大量の白面の死体と魔物達の死骸だった。
――施設内には多数の種類の魔物が倒れており、その中には白面や彼等に拉致されて協力させていたと思われる一般人の姿もあった。全ての死体が酷い有様であり、共食いでもしたかのようにまともな状態の死体は一つも残っていない。
ドリスは死んでいる人間の顔を見て目を反らし、その一方で施設を管理するはずの白面までも死んでいる事に疑問を抱く。見た限りでは多数の種類の魔物が倒れており、恐らくは闘技場に運び込まれた魔物だと思われるが、こんな場所でどうして死んでいるのか疑問を抱く。
死体を横切りながらドリス達は奥へと進むと、一本道の通路が存在した。その通路の方も血が酷く、死体が横たわっていた。それを見たドリスは嫌な予感を浮かべ、騎士達に警戒する様に注意する。
「……周囲を常に警戒して進みますわよ。ここで何が起きたのか確かめなければなりません」
「は、はい……」
「うぷっ……」
血生臭い通路の中にドリス達は足を踏み入れようとした時、この際に死んでいると思われたオークの死骸が動き出し、その下からドリス達の様子を伺う魔物が存在した――
――通路の奥に進むと、そこには多数の檻が並べられた広間が存在し、檻の中に確認すると魔物の糞や毛皮らしき物が散乱していた。恐らくはこの場所で魔物が飼育されていたと思われるが、あまりの悪臭にドリス達は鼻を抑える。
檻にはそれぞれ魔物の種類が刻まれた表札が掲げられており、それを確認したドリスは眉をしかめ、先ほど発見した大量の魔物の死体はこの檻から出てきた魔物達の可能性が非常に高い。
状況的に考えてこの施設では魔物を管理していたが、何らかの理由で閉じ込めていた魔物達が檻から抜け出し、それを抑えるために白面が戦ったがお互いに相打ちになったのかもしれない。しかし、ドリスはどうにも腑に落ちない。
(いったい何が起きたんですの?)
魔物達の檻を調べる中、ドリスが気になったのは全ての檻が破壊された形跡は残っておらず、扉だけが開いている状態だった。つまり、これは何者かが魔物を閉じ込めた檻を開き、魔物達を解放して白面と戦わせた事を意味する。
「やはりここにありましたのね!!」
闘技場内には既にドリス達が乗り込んでおり、彼女は地下施設に通じる抜け道を発見した。地下施設に繋がる抜け道はなんと闘技場の試合場の真下に隠されており、石畳を取り外すと階段が出現した。まさか試合場にこのような仕掛けがあるなど思いもしなかったが、偶然にも騎士の一人が試合場から続く血の跡を発見した。
昼間にナイが倒した死骸の内、リザードマンとリザードゴブリンの死体は消えていた。しかし、死体が運び出された痕跡が残っており、それを辿ると闘技場に続いている事からドリスは闘技場内に乗り込む。そして遂に秘密の抜け道を見つけ出し、ドリス達は乗り込む。
「さあ、行きますわよ!!」
「ドリス様!!ここは斥候を送った方が……」
「いいえ、多少の罠があったとしてもここは私が乗り込みますわ!!」
隠し階段を真っ先に降りようとするドリスを他の者が引き留めるが、ドリスは時間を惜しんで先行する。仮にこの先に罠が仕向けられていようと、ドリスは昼間の屈辱を晴らすために階段を降りていく。
階段は地下深くにまで続いており、騎士達は松明を片手に降りていく。罠を警戒しながら進んでいくと、やがて扉が出現した。その扉は巨人族でも潜り抜けそうな程に大きく、それを確認したドリスは真紅を構えた。
「私の爆槍でこじ開けますわ!!」
「ま、待ってください!!この扉……鍵が掛かっていないのでは?」
「えっ?」
ドリスが真紅を構えると、慌てて他の騎士達が止めて扉を指し示す。確かに暗闇でよく分からなかったが、扉はほんの僅かだが開いており、騎士達が力を合わせて押し込むと扉は呆気なく開かれた。
「鍵が開いている……不用心ですわね、それともやはり罠でしょうか?」
「ドリス副団長、どうしますか?」
「進むしかありませんわ。例え罠であろうと……ここまで来た以上はただでは引き返せません」
騎士達を引き連れてドリスは扉の内側に入り込むと、この際に騎士達は袋を取り出す。彼等が取り出したのはアルトも利用していた「光石」が入ったランタンであり、普通の松明よりも光量が強いので王都ではよく灯りに利用されている。
周囲を照らすために騎士達は光石のランタンを掲げると、彼等は信じがたい光景を目の当たりにした。
「うっ!?」
「こ、これは……」
「ひ、酷い……全員、死んでいるのか?」
地下施設内には大量の死体が並んでおり、それを見た騎士達は口元に手を抑え、吐き出しそうになったがどうにか堪える。ドリスも顔色を青ざめ、彼等が見たのは大量の白面の死体と魔物達の死骸だった。
――施設内には多数の種類の魔物が倒れており、その中には白面や彼等に拉致されて協力させていたと思われる一般人の姿もあった。全ての死体が酷い有様であり、共食いでもしたかのようにまともな状態の死体は一つも残っていない。
ドリスは死んでいる人間の顔を見て目を反らし、その一方で施設を管理するはずの白面までも死んでいる事に疑問を抱く。見た限りでは多数の種類の魔物が倒れており、恐らくは闘技場に運び込まれた魔物だと思われるが、こんな場所でどうして死んでいるのか疑問を抱く。
死体を横切りながらドリス達は奥へと進むと、一本道の通路が存在した。その通路の方も血が酷く、死体が横たわっていた。それを見たドリスは嫌な予感を浮かべ、騎士達に警戒する様に注意する。
「……周囲を常に警戒して進みますわよ。ここで何が起きたのか確かめなければなりません」
「は、はい……」
「うぷっ……」
血生臭い通路の中にドリス達は足を踏み入れようとした時、この際に死んでいると思われたオークの死骸が動き出し、その下からドリス達の様子を伺う魔物が存在した――
――通路の奥に進むと、そこには多数の檻が並べられた広間が存在し、檻の中に確認すると魔物の糞や毛皮らしき物が散乱していた。恐らくはこの場所で魔物が飼育されていたと思われるが、あまりの悪臭にドリス達は鼻を抑える。
檻にはそれぞれ魔物の種類が刻まれた表札が掲げられており、それを確認したドリスは眉をしかめ、先ほど発見した大量の魔物の死体はこの檻から出てきた魔物達の可能性が非常に高い。
状況的に考えてこの施設では魔物を管理していたが、何らかの理由で閉じ込めていた魔物達が檻から抜け出し、それを抑えるために白面が戦ったがお互いに相打ちになったのかもしれない。しかし、ドリスはどうにも腑に落ちない。
(いったい何が起きたんですの?)
魔物達の檻を調べる中、ドリスが気になったのは全ての檻が破壊された形跡は残っておらず、扉だけが開いている状態だった。つまり、これは何者かが魔物を閉じ込めた檻を開き、魔物達を解放して白面と戦わせた事を意味する。
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる