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王国の闇
第785話 ナイの異変
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「よし、行くぞお前等!!公爵のためにもやるぞ!!」
「「「うおおおおっ!!」」」
冒険者達はギルドから遂に出ていくと、その気迫に取り囲んでいた警備兵達は慌てて道を開き、冒険者達は散らばって街中に現れた白面と魔物の対処に向かう。
警備兵はアッシュを取り囲むが、彼の気迫に身体が震えて誰も捕まえる事ができなかった。既にドリスとリンは騎士達を率いて冒険者と共に動き出しており、残されたハマーンとガオウは苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、何という奴等じゃ……」
「たくっ……俺達も負けてられねえな!!」
「うっ……」
「おっととっ……その前に坊主を休ませないとな」
「うむ、それもそうじゃな」
ガオウとハマーンは意識を失ったままのナイの事を思い出し、慌てて彼の治療のためにギルドの建物へ運び出そうとすると、ギルドマスターのギガンが現れた。
「ガオウ、ハマーン!!お前達も無事だったか!?」
「よう、ギルドマスター!!悪いが、この坊主のために回復薬をわけてくれないか!?」
「まだ薬は残っているか?」
「あ、ああ……それならこれを使え」
ギルドマスターは二人に運び込まれたナイを見て戸惑うが、彼は常備している回復薬を取り出し、それを受け取ったガオウはナイの口元に流し込む。
「坊主、ほら飲め……これを飲めばすぐに元気になるぞ」
「うぐっ……じい、ちゃん……」
「ん?儂の事か?」
「いや、夢を見てるようだぜ」
ナイは半ば意識を失った状態で薬を飲み込み、一気に顔色が良くなった。その様子を見て安堵するが、薬を飲んだ直後にナイは苦しそうな表情を浮かべる。
「ううっ……!!」
「えっ……お、おい!?大丈夫か、これ!?何だか様子がおかしいぞ!!」
「どうなっておるのだ!?ギルドマスター!!この子に何を飲ませた!?」
「何!?いや、確かに普通の回復薬を……」
「ぐううっ……!!」
薬を飲んだにも関わらずにナイは苦し気な表情を浮かべ、その様子を見てガオウとハマーンは心配し、とりあえずは建物の中に運び込んでベッドのある部屋までナイを連れて行く。
ベッドに横たわらせるとすぐにギルドマスターはギルドに所属する専属の治癒魔導士を呼び出し、彼の治療を行わせる。
「おい、どうなんだ!?坊主に何が起きている!?」
「お、落ち着いて下さい!!とにかく診せて下さい!!」
「頼むぞ、この坊主は儂等の命の恩人じゃ。何としても救ってくれ!!」
治癒魔導士はナイを診察し、彼が苦しむ原因を探る。そしてナイの苦痛の原因を見抜いた。
「もしかして……彼は駆け出しの冒険者ですか?」
「えっ……いや、全然違うぞ」
「そ、そうですか……おかしいですな、彼が引き起こしている現象はどうやら成長痛の様です」
「せ、成長痛!?それって駆け出しの新人冒険者どもが引き起こすあの!?」
「これはたまげたわい……」
成長痛とはレベルを急上昇させた人間が引き起こす現象であり、急速的にレベルが上昇した人間が陥りやすい。レベルが上昇すれば肉体は急激に強化され、その反動で肉体に激痛が走る。
この成長痛は新人の冒険者が引き起こしやすい現象であり、魔物を倒して経験値を獲得し、急速的にレベルを上げると成長痛を引き起こす。その話を聞いたガオウとハマーンは驚き、すぐにナイが「貧弱」と呼ばれる技能を身に付けている話を思い出す。
「待てよ、そういえば坊主は「貧弱」の技能のせいでレベルが1のままだと聞いた事があるような……」
「そういえばそんな話をアルト王子もしていたな……そうか、恐らくは闘技場にいた魔物共を倒した事で大量の経験値を得たんじゃ。そのせいで坊主は成長痛を引き起こして……」
「くそっ、こんな時に……おい、成長痛を早く直す薬は無いのかよ!?」
「そ、そういわれましても……成長痛は肉体が成長している証拠なのです。下手に我々が手を下すと身体にどんな影響を与えるか……」
「そうだ、成長痛は収まるまで待つしかない。俺達にはどうしようもできん」
「だからってこんな時に……くそっ!!」
ナイが成長痛のせいでしばらくの間は起きれない事を知ると、ガオウは悔しがるように壁に拳を殴りつける。こんな時に最も頼りになる存在が動けない事に彼は悔しく思うが、その一方でハマーンはナイの所持していた武器に視線を向ける。
「この武器は……」
「どうした爺さん……その武器がどうかしたのか?」
「いや、気のせいか……こっちの剣の方が大きくなっておらんか?」
「はあっ!?こんな時に何を馬鹿な事を言ってるんだ?」
ハマーンの指摘にガオウは呆れ、剣が勝手に大きくなるなど有り得ない。しかし、一流の鍛冶師であるハマーンが一度見た魔剣を見間違えるはずがなく、確かにナイの所有していた旋斧に変化が起きていた――
「「「うおおおおっ!!」」」
冒険者達はギルドから遂に出ていくと、その気迫に取り囲んでいた警備兵達は慌てて道を開き、冒険者達は散らばって街中に現れた白面と魔物の対処に向かう。
警備兵はアッシュを取り囲むが、彼の気迫に身体が震えて誰も捕まえる事ができなかった。既にドリスとリンは騎士達を率いて冒険者と共に動き出しており、残されたハマーンとガオウは苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、何という奴等じゃ……」
「たくっ……俺達も負けてられねえな!!」
「うっ……」
「おっととっ……その前に坊主を休ませないとな」
「うむ、それもそうじゃな」
ガオウとハマーンは意識を失ったままのナイの事を思い出し、慌てて彼の治療のためにギルドの建物へ運び出そうとすると、ギルドマスターのギガンが現れた。
「ガオウ、ハマーン!!お前達も無事だったか!?」
「よう、ギルドマスター!!悪いが、この坊主のために回復薬をわけてくれないか!?」
「まだ薬は残っているか?」
「あ、ああ……それならこれを使え」
ギルドマスターは二人に運び込まれたナイを見て戸惑うが、彼は常備している回復薬を取り出し、それを受け取ったガオウはナイの口元に流し込む。
「坊主、ほら飲め……これを飲めばすぐに元気になるぞ」
「うぐっ……じい、ちゃん……」
「ん?儂の事か?」
「いや、夢を見てるようだぜ」
ナイは半ば意識を失った状態で薬を飲み込み、一気に顔色が良くなった。その様子を見て安堵するが、薬を飲んだ直後にナイは苦しそうな表情を浮かべる。
「ううっ……!!」
「えっ……お、おい!?大丈夫か、これ!?何だか様子がおかしいぞ!!」
「どうなっておるのだ!?ギルドマスター!!この子に何を飲ませた!?」
「何!?いや、確かに普通の回復薬を……」
「ぐううっ……!!」
薬を飲んだにも関わらずにナイは苦し気な表情を浮かべ、その様子を見てガオウとハマーンは心配し、とりあえずは建物の中に運び込んでベッドのある部屋までナイを連れて行く。
ベッドに横たわらせるとすぐにギルドマスターはギルドに所属する専属の治癒魔導士を呼び出し、彼の治療を行わせる。
「おい、どうなんだ!?坊主に何が起きている!?」
「お、落ち着いて下さい!!とにかく診せて下さい!!」
「頼むぞ、この坊主は儂等の命の恩人じゃ。何としても救ってくれ!!」
治癒魔導士はナイを診察し、彼が苦しむ原因を探る。そしてナイの苦痛の原因を見抜いた。
「もしかして……彼は駆け出しの冒険者ですか?」
「えっ……いや、全然違うぞ」
「そ、そうですか……おかしいですな、彼が引き起こしている現象はどうやら成長痛の様です」
「せ、成長痛!?それって駆け出しの新人冒険者どもが引き起こすあの!?」
「これはたまげたわい……」
成長痛とはレベルを急上昇させた人間が引き起こす現象であり、急速的にレベルが上昇した人間が陥りやすい。レベルが上昇すれば肉体は急激に強化され、その反動で肉体に激痛が走る。
この成長痛は新人の冒険者が引き起こしやすい現象であり、魔物を倒して経験値を獲得し、急速的にレベルを上げると成長痛を引き起こす。その話を聞いたガオウとハマーンは驚き、すぐにナイが「貧弱」と呼ばれる技能を身に付けている話を思い出す。
「待てよ、そういえば坊主は「貧弱」の技能のせいでレベルが1のままだと聞いた事があるような……」
「そういえばそんな話をアルト王子もしていたな……そうか、恐らくは闘技場にいた魔物共を倒した事で大量の経験値を得たんじゃ。そのせいで坊主は成長痛を引き起こして……」
「くそっ、こんな時に……おい、成長痛を早く直す薬は無いのかよ!?」
「そ、そういわれましても……成長痛は肉体が成長している証拠なのです。下手に我々が手を下すと身体にどんな影響を与えるか……」
「そうだ、成長痛は収まるまで待つしかない。俺達にはどうしようもできん」
「だからってこんな時に……くそっ!!」
ナイが成長痛のせいでしばらくの間は起きれない事を知ると、ガオウは悔しがるように壁に拳を殴りつける。こんな時に最も頼りになる存在が動けない事に彼は悔しく思うが、その一方でハマーンはナイの所持していた武器に視線を向ける。
「この武器は……」
「どうした爺さん……その武器がどうかしたのか?」
「いや、気のせいか……こっちの剣の方が大きくなっておらんか?」
「はあっ!?こんな時に何を馬鹿な事を言ってるんだ?」
ハマーンの指摘にガオウは呆れ、剣が勝手に大きくなるなど有り得ない。しかし、一流の鍛冶師であるハマーンが一度見た魔剣を見間違えるはずがなく、確かにナイの所有していた旋斧に変化が起きていた――
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