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王国の闇
閑話 シャドウとシン
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――時は数日前にまで遡り、シンの元にシャドウが訪れて今後の計画を話し合う。シンの計画を聞かされた日、シャドウは保険のために今まで保存していたリョフの死体の事を話す。
「リョフの死体だと……それをお主が蘇らせるというのか?」
「ああ、万が一の場合を考えてな。死体を冷凍保存させている、五体満足の状態なら俺の死霊術で何とか出来るからな」
「なんと……」
リョフが死んでから大分時は経過しているが、彼の死体はシャドウが秘密裏に回収し、密かに冷凍保存していたという話はシンも初めて聞かされた。まさか伝説の武人と呼ばれたリョフの死体をシャドウが保管しているなど思いもしなかったが、彼にとっては都合がいい。
死霊術を使えばあの最強の武人を味方にできるというだけで心強いが、シャドウがその事を自分に隠していた事にシンは不満を抱く。
「どうしてリョフの死体を隠していた事を黙っていた?シャドウよ、忘れたのか。儂等は一心同体……たった二人の家族だ。我々の間に余計な隠し事は無しだ」
「家族ね……それならあんたの息子はどうしたんだ」
「ロランか……確かに奴は儂の息子だが、母親の影響を受け過ぎている。現にあの年齢で子供の一人も作ろうとはせん」
シンは実の息子であるロランの事を信用しきれておらず、その理由は彼が子供を作ろうとしない事だった。このままではシンの家系はロランの代で終わってしまうが、いくらシンがロランに注意しようと彼は誰とも結婚せず、今日まで独身を貫いていた。
「あいつは何も理解しておらん、儂等が消えればこの国は衰退し、やがては滅びるだろう」
「それは……言い過ぎじゃないのか?」
「言い過ぎではない、現にここ最近の間に何度事件が起きたと思っている?」
「でも、何とかなったんだろう?」
「……それは結果論に過ぎん」
シャドウの言葉にシンはため息を吐き出し、その一方でシャドウはシンの姿を見て内心では憐れみを抱く。今の彼は昔の父親にそっくりであり、息子を碌に愛さないという部分まで似てしまった。
(シン……お前は気付いていない、この国を裏から支配する事に執着心を抱いている事にな)
この国の発展のためなどという大義名分を掲げているが、実際の所はシンが執着しているのはこの国を裏から自分の一族が支配し続ける事であり、その姿は正に父親と瓜二つだった。
シンとシャドウの父親も自分達が国を裏から支えていると口にしながら、実際には国を裏から支配する事に固執していた。だからこそシャドウは父親と同じ存在に成り果てたシンを見て哀れに思う。
だが、シャドウはシンを見捨てる事はない。実の父親も手を掛けたシャドウだが、子供の頃からお互いに支え合ったシンだけは裏切る事はできなかった。例え、その先に破滅が待ち構えていようともシャドウはシンと運命を共にするつもりだった。
「計画が終われば……お前は死人だ。その後はどうするんだ?」
「そうだな……今度は闇ギルドの長として生きるのも悪くない」
「ふん……宰相が闇ギルドの長になるなんて世も末だな」
「この国ためならば儂は悪魔にでも魂を売る」
「……大した覚悟だ」
あくまでも国のためという名目でシンはこの国を裏から支配し続ける事に拘り、そんな彼にシャドウは最後まで付き合う事を決めた――
――しかし、この時のシャドウの誓いは果たされる事はない。
「リョフの死体だと……それをお主が蘇らせるというのか?」
「ああ、万が一の場合を考えてな。死体を冷凍保存させている、五体満足の状態なら俺の死霊術で何とか出来るからな」
「なんと……」
リョフが死んでから大分時は経過しているが、彼の死体はシャドウが秘密裏に回収し、密かに冷凍保存していたという話はシンも初めて聞かされた。まさか伝説の武人と呼ばれたリョフの死体をシャドウが保管しているなど思いもしなかったが、彼にとっては都合がいい。
死霊術を使えばあの最強の武人を味方にできるというだけで心強いが、シャドウがその事を自分に隠していた事にシンは不満を抱く。
「どうしてリョフの死体を隠していた事を黙っていた?シャドウよ、忘れたのか。儂等は一心同体……たった二人の家族だ。我々の間に余計な隠し事は無しだ」
「家族ね……それならあんたの息子はどうしたんだ」
「ロランか……確かに奴は儂の息子だが、母親の影響を受け過ぎている。現にあの年齢で子供の一人も作ろうとはせん」
シンは実の息子であるロランの事を信用しきれておらず、その理由は彼が子供を作ろうとしない事だった。このままではシンの家系はロランの代で終わってしまうが、いくらシンがロランに注意しようと彼は誰とも結婚せず、今日まで独身を貫いていた。
「あいつは何も理解しておらん、儂等が消えればこの国は衰退し、やがては滅びるだろう」
「それは……言い過ぎじゃないのか?」
「言い過ぎではない、現にここ最近の間に何度事件が起きたと思っている?」
「でも、何とかなったんだろう?」
「……それは結果論に過ぎん」
シャドウの言葉にシンはため息を吐き出し、その一方でシャドウはシンの姿を見て内心では憐れみを抱く。今の彼は昔の父親にそっくりであり、息子を碌に愛さないという部分まで似てしまった。
(シン……お前は気付いていない、この国を裏から支配する事に執着心を抱いている事にな)
この国の発展のためなどという大義名分を掲げているが、実際の所はシンが執着しているのはこの国を裏から自分の一族が支配し続ける事であり、その姿は正に父親と瓜二つだった。
シンとシャドウの父親も自分達が国を裏から支えていると口にしながら、実際には国を裏から支配する事に固執していた。だからこそシャドウは父親と同じ存在に成り果てたシンを見て哀れに思う。
だが、シャドウはシンを見捨てる事はない。実の父親も手を掛けたシャドウだが、子供の頃からお互いに支え合ったシンだけは裏切る事はできなかった。例え、その先に破滅が待ち構えていようともシャドウはシンと運命を共にするつもりだった。
「計画が終われば……お前は死人だ。その後はどうするんだ?」
「そうだな……今度は闇ギルドの長として生きるのも悪くない」
「ふん……宰相が闇ギルドの長になるなんて世も末だな」
「この国ためならば儂は悪魔にでも魂を売る」
「……大した覚悟だ」
あくまでも国のためという名目でシンはこの国を裏から支配し続ける事に拘り、そんな彼にシャドウは最後まで付き合う事を決めた――
――しかし、この時のシャドウの誓いは果たされる事はない。
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