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王国の闇
第766話 影人形
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「わああっ!?み、皆!?」
「この、離せっ!!うねうねして気持ち悪い!?」
「畜生がっ……」
「ぐううっ!?」
『はっ、どうした?その程度の力で俺に勝てると思っていたのか?』
モモ以外の地上に存在する全員が影人形に拘束され、それを見ていたエルマは白猫亭の向かい側の建物の屋根に移動し、触手に目掛けて矢を放つ。
「これならばどうです!!」
『ちぃっ!?』
「うわっ!?」
「がはぁっ!?」
「切れたっ!?」
魔弓術を利用して矢に風の魔力を纏わせた状態でエルマは矢を放ち、無数の触手を撃ち抜く。どうやら魔法の力を帯びた攻撃は通じるらしく、触手が切り離されて捕まっていた者達は解放された。
だが、シャドウはエルマの存在を確認して目障りに想い、影人形を操作して彼女に向けて触手を伸ばす。エルマは咄嗟に魔弓術で迎撃しようとしたが、この時に矢筒にもう矢が残っていない事に気付く。
「しまった!?」
『くたばれっ!!』
「させないよっ!!」
しかし、エルマが捕まる寸前にテンが窓から飛び出すと、彼女は退魔刀を振り下ろす。その瞬間、退魔刀によって影人形の腕が切り離され、ここで初めてシャドウは動揺したような声を上げる。
『ぐあっ!?』
「はっ……やっぱりね、そういう事かい!!どうやらこの剣ならあんたを斬れるようだね!!」
「ど、どういう事だ!?どうして切れたんだ!?」
テン以上の怪力を誇るルナの攻撃を受けても、先ほどはシャドウは微動だにせず、傷一つ負う事はなかった。しかし、影人形と化した彼に対してテンは退魔刀で腕を切り裂いた事にルナは混乱する。
腕を斬ったと言っても、それはあくまでも魔力で構成された影人形の話であり、実際に本体であるシャドウの腕を斬ったわけではない。それでもテンは先の攻撃でシャドウの弱点を見抜き、彼女の「退魔刀」ならば彼を切り裂けると判断した。
「この退魔刀は魔を絶つ能力を持っている!!だからあんたがいくら魔力で自分を包み込もうと、この退魔刀ならあんたをぶった切れる!!そういう事なんだろう!?」
『ちっ……!!』
「そ、そうか……魔法も切れる退魔刀なら通じるのか」
「ルナの攻撃が通じなかったのは、闇属性の魔力に阻まれていたからか……」
シャドウの全身を覆い込む闇属性の魔力は外部からの攻撃を吸収、あるいは無効化する効力を持つが、退魔刀の場合は魔法の力を断つ能力を持つ。
ルナの攻撃を受けてもシャドウはびくともしなかったのは彼女が扱う戦斧がただの武器だからであり、一方でテンの持つ退魔刀は魔法を斬るために作られた魔剣だった。つまり、テンの攻撃をシャドウは防ぐ術はなく、彼女は退魔刀を構えて突っ込む。
「喰らえっ!!シャドウ!!」
『ちぃいっ!!』
退魔刀を脅威と捉えたシャドウは近づいてくるテンに対して警戒心を抱き、ゴンザレスを抱えていた腕を動かして彼女に放つ。
『こいつを受け止めなかったら死ぬぞ!?』
「なっ!?」
「うおおおっ!?」
「ゴンザレス!!」
ゴンザレスを武器代わりに利用してシャドウはテンに向けて彼を振り下ろすが、この時にランファンが駆けつけ、振り下ろされた息子を受け止めようとテンの前に出る。それを見たテンは仕方なく、ランファンの身体を利用して跳躍する。
「ランファン、肩を借りるよ!!」
「むうっ!?」
「うわぁっ!?」
咄嗟にランファンの肩を借りたテンは跳躍すると、ゴンザレスを掴む影人形の腕を切り裂き、彼を解放させた。そして腕から離れたゴンザレスをランファンは受け止めると、テンは空中で退魔刀を構える。
腕を再び斬られたシャドウは目つきを鋭くさせ、上空から迫るテンに対して彼は影人形を操作して距離を取る。テンが振り下ろした退魔刀は地面に叩きつけられ、亀裂が走った。しかし、既にシャドウは次の行動に移っていた。
『馬鹿力め……ここは退いてやる、命拾いしたな』
「待ちな!!逃がすと思ってるのかい!?」
『図に乗るな!!お前だけは後で必ず殺すぞ!!』
影人形は形態を変化させ、今度は巨人から狼のような姿へと変化する。黒狼種のように全身が黒く染まった狼は本物の狼の如く駆け抜け、この際に背中の部分にシャドウの本体が現れる。
自らの魔力を操作して本物の獣の如くシャドウは市街地を駆け抜け、その様子を見ていたテン達は唖然とするが、このままシャドウを逃がすわけには行かず、テンは後を追う事にした。
「ビャク、起きな!!あんた、あたしを乗せてあいつを追いかけられるかい!?」
「ウォンッ!?」
「テン、落ち着け!!今は奴よりも体勢を整えなければ……」
「それはあんた達だけでも十分だろう!?あいつをここで仕留めない方が厄介な事になる!!あたしは行かせてもらうよ!?」
「て、テンさん!?駄目よ、テンさんはもう……!!」
ヒナが建物の窓から顔を出し、テンを止めようとした。だが、それを無視してテンはビャクを起き上がらせてシャドウの追跡に向かおうとした時、突如として彼女の身体に異変が起きた。
「この、離せっ!!うねうねして気持ち悪い!?」
「畜生がっ……」
「ぐううっ!?」
『はっ、どうした?その程度の力で俺に勝てると思っていたのか?』
モモ以外の地上に存在する全員が影人形に拘束され、それを見ていたエルマは白猫亭の向かい側の建物の屋根に移動し、触手に目掛けて矢を放つ。
「これならばどうです!!」
『ちぃっ!?』
「うわっ!?」
「がはぁっ!?」
「切れたっ!?」
魔弓術を利用して矢に風の魔力を纏わせた状態でエルマは矢を放ち、無数の触手を撃ち抜く。どうやら魔法の力を帯びた攻撃は通じるらしく、触手が切り離されて捕まっていた者達は解放された。
だが、シャドウはエルマの存在を確認して目障りに想い、影人形を操作して彼女に向けて触手を伸ばす。エルマは咄嗟に魔弓術で迎撃しようとしたが、この時に矢筒にもう矢が残っていない事に気付く。
「しまった!?」
『くたばれっ!!』
「させないよっ!!」
しかし、エルマが捕まる寸前にテンが窓から飛び出すと、彼女は退魔刀を振り下ろす。その瞬間、退魔刀によって影人形の腕が切り離され、ここで初めてシャドウは動揺したような声を上げる。
『ぐあっ!?』
「はっ……やっぱりね、そういう事かい!!どうやらこの剣ならあんたを斬れるようだね!!」
「ど、どういう事だ!?どうして切れたんだ!?」
テン以上の怪力を誇るルナの攻撃を受けても、先ほどはシャドウは微動だにせず、傷一つ負う事はなかった。しかし、影人形と化した彼に対してテンは退魔刀で腕を切り裂いた事にルナは混乱する。
腕を斬ったと言っても、それはあくまでも魔力で構成された影人形の話であり、実際に本体であるシャドウの腕を斬ったわけではない。それでもテンは先の攻撃でシャドウの弱点を見抜き、彼女の「退魔刀」ならば彼を切り裂けると判断した。
「この退魔刀は魔を絶つ能力を持っている!!だからあんたがいくら魔力で自分を包み込もうと、この退魔刀ならあんたをぶった切れる!!そういう事なんだろう!?」
『ちっ……!!』
「そ、そうか……魔法も切れる退魔刀なら通じるのか」
「ルナの攻撃が通じなかったのは、闇属性の魔力に阻まれていたからか……」
シャドウの全身を覆い込む闇属性の魔力は外部からの攻撃を吸収、あるいは無効化する効力を持つが、退魔刀の場合は魔法の力を断つ能力を持つ。
ルナの攻撃を受けてもシャドウはびくともしなかったのは彼女が扱う戦斧がただの武器だからであり、一方でテンの持つ退魔刀は魔法を斬るために作られた魔剣だった。つまり、テンの攻撃をシャドウは防ぐ術はなく、彼女は退魔刀を構えて突っ込む。
「喰らえっ!!シャドウ!!」
『ちぃいっ!!』
退魔刀を脅威と捉えたシャドウは近づいてくるテンに対して警戒心を抱き、ゴンザレスを抱えていた腕を動かして彼女に放つ。
『こいつを受け止めなかったら死ぬぞ!?』
「なっ!?」
「うおおおっ!?」
「ゴンザレス!!」
ゴンザレスを武器代わりに利用してシャドウはテンに向けて彼を振り下ろすが、この時にランファンが駆けつけ、振り下ろされた息子を受け止めようとテンの前に出る。それを見たテンは仕方なく、ランファンの身体を利用して跳躍する。
「ランファン、肩を借りるよ!!」
「むうっ!?」
「うわぁっ!?」
咄嗟にランファンの肩を借りたテンは跳躍すると、ゴンザレスを掴む影人形の腕を切り裂き、彼を解放させた。そして腕から離れたゴンザレスをランファンは受け止めると、テンは空中で退魔刀を構える。
腕を再び斬られたシャドウは目つきを鋭くさせ、上空から迫るテンに対して彼は影人形を操作して距離を取る。テンが振り下ろした退魔刀は地面に叩きつけられ、亀裂が走った。しかし、既にシャドウは次の行動に移っていた。
『馬鹿力め……ここは退いてやる、命拾いしたな』
「待ちな!!逃がすと思ってるのかい!?」
『図に乗るな!!お前だけは後で必ず殺すぞ!!』
影人形は形態を変化させ、今度は巨人から狼のような姿へと変化する。黒狼種のように全身が黒く染まった狼は本物の狼の如く駆け抜け、この際に背中の部分にシャドウの本体が現れる。
自らの魔力を操作して本物の獣の如くシャドウは市街地を駆け抜け、その様子を見ていたテン達は唖然とするが、このままシャドウを逃がすわけには行かず、テンは後を追う事にした。
「ビャク、起きな!!あんた、あたしを乗せてあいつを追いかけられるかい!?」
「ウォンッ!?」
「テン、落ち着け!!今は奴よりも体勢を整えなければ……」
「それはあんた達だけでも十分だろう!?あいつをここで仕留めない方が厄介な事になる!!あたしは行かせてもらうよ!?」
「て、テンさん!?駄目よ、テンさんはもう……!!」
ヒナが建物の窓から顔を出し、テンを止めようとした。だが、それを無視してテンはビャクを起き上がらせてシャドウの追跡に向かおうとした時、突如として彼女の身体に異変が起きた。
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