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王国の闇
第760話 闘技場最強の魔物
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「それで……誰を人形にするって?」
「ひいっ!?」
ナイは両手の大剣にこびり付いた返り血を振り払うと、改めて吸血鬼と向かい合う。吸血鬼の方は顔色を青ざめ、圧倒的な力を誇るナイに怯えるが、そんな彼を見てもナイは同情せず、これ以上に邪魔をするつもりならば容赦するつもりはない。
しかし、吸血鬼の方もまだ奥の手があるのか、最初は顔色を青ざめていたが闘技場を振り返って引きつった笑みを浮かべる。
「ふ、ふんっ……どうやら前にあった時よりも強くなったみたいだけど、調子に乗らない方がいいよ。後ろを見てみなよ」
「後ろ?」
吸血鬼の言葉にナイは振り返ると、闘技場の出入口から近付いてくる二つの大きな影を確認し、片方は以前にも見かけた事がある「リザードマン」で間違いなかった。そしてもう片方は異様なまでに巨大化し、赤毛熊級の巨体と毛皮と纏うゴブリンが姿を現す。
「シャアアアッ……!!」
「ギアアアアッ!!」
「なっ!?こいつらは!?」
「そうさ、この闘技場の中でも一、二を誇る化物……リザードマンとゴブリンキラーだよ!!」
ナイの前に現れたのは闘技場内にてドリスとリンとハマーンを打ち破ったリザードマンとゴブリンキラーが現れ、ゴブリンキラーの方は以前にナイが戦った個体よりも外見が大きく異なり、数種類の魔物の特徴が伺えた。
ゴブリンキラーの厄介な能力は倒した魔物を喰らう事で、その魔物の能力を奪う事だった。恐らくはナイが倒したゴブリンキラーよりも戦闘力は高く、まだ生き残りが居た事にナイは面倒に思う。
「こいつはちょっとやばそうだな……」
「やばい?まだそんな事を言える余裕があるの?いくらお兄さんが強くても、こいつらには一人では敵わないでしょ!?」
「どうかな……まあ、でも一つだけ言える事はあるよ」
勝ち誇る吸血鬼に対してナイはリザードマンとゴブリンキラーを見つめると、笑みを浮かべる。その態度に吸血鬼もリザードマンもゴブリンキラーも疑問を抱くが、直後にナイは言い放つ。
「こんな状況、もう慣れっこだよ……それにこいつら以上の化物を僕は知っている」
確かにリザードマンとゴブリンキラーは厄介な相手だが、既にナイは彼ら以上の存在と何度も死闘を繰り広げてきた。火竜、ゴーレムキング、ゴブリンキングと比べたらリザードマンもゴブリンキラーも大きく見劣りするため、不思議と恐怖は抱かない。
自分達に対して全く怖気づいていないナイを見てリザードマンとゴブリンキラーは戸惑い、吸血鬼はナイの言葉をただのはったりだと思い込み、命じた。
「ふ、ふんっ……そんな減らず口、何時まで叩けるのかな!!やってしまえ、人形達!!」
「シャアアアッ!!」
「ギアアアッ!!」
「……来いっ!!」
両手に旋斧と岩砕剣を構えたナイはリザードマンとゴブリンキラーに向けて正面から突っ込み、その行動に対して先手を打ったのはリザードマンだった。
「アガァアアアッ!!」
「っ!?」
リザードマンは大口を開くと、口元から火炎を迸らせ、その光景を確認したナイは瞬時に危険を悟り、旋斧を構えた。その直後にリザードマンは口内から火竜の吐息を想像させる火炎を放つ。
「アアアアッ!!」
「……喰らえっ!!」
ナイは冷静に正面から迫る火炎に対して旋斧を振りかざし、勢いよく突き出す。その結果、旋斧はリザードマンが放出した火炎を吸収し、刃が徐々に赤みを増して熱を怯ていく。
火竜の吐息と同様にリザードマンの放つ火炎は火属性の魔力で構成されており、ナイの所有する旋斧ならば吸収する事ができた。火竜と同様にリザードマンは体内の経験石から発する火属性の魔力を利用して吐き出しているに過ぎず、そして旋斧は全ての炎を吸収すると刃は炎を纏う。
「お返しだっ!!」
「シャアアアッ!?」
「ギアアッ!?」
「うわぁっ!?」
リザードマンの吐き出した火炎を吸収すると、ナイは改めて旋斧を振り払い、今度は逆に刃に蓄積させた炎の魔力を放つ。それによってリザードマンは悲鳴を上げ、ゴブリンキラーは炎に巻き込まれない様に距離を取り、吸血鬼はあまりの熱風に慌てて隠れる。
まさか自分の吐き出した火炎を逆に利用されるとは思わなかったリザードマンは怯み、ゴブリンキラーも迂闊に動けない。そんな二匹に対してナイは突っ込むと、今度は岩砕剣を振りかざす。
「吹き飛べっ!!」
「ブフゥッ!?」
「グギャアッ!?」
岩砕剣の一撃によってリザードマンは吹き飛ばされ、後方に存在したゴブリンキラーを巻き込んで二体は地面に倒れ込む。その一方でナイは旋斧に炎を纏わせ、魔法腕輪から風属性の魔力を引き出すと、旋斧に宿った火属性の魔力を組み合わせて追撃を行う。
「喰らえっ!!」
「シャギャアアアッ!?」
「ギアアアアッ!?」
ナイが旋斧を突き出した瞬間、まるでリザードマンの火炎の吐息の様に刃に纏っていた炎が放出され、二体を包み込む。普通の魔物ならば一瞬で焼き尽くされてもおかしくはない威力だが、刃から炎が消えるとそこにはゴブリンキラーを庇うように立つリザードマンの姿が存在した。
「ひいっ!?」
ナイは両手の大剣にこびり付いた返り血を振り払うと、改めて吸血鬼と向かい合う。吸血鬼の方は顔色を青ざめ、圧倒的な力を誇るナイに怯えるが、そんな彼を見てもナイは同情せず、これ以上に邪魔をするつもりならば容赦するつもりはない。
しかし、吸血鬼の方もまだ奥の手があるのか、最初は顔色を青ざめていたが闘技場を振り返って引きつった笑みを浮かべる。
「ふ、ふんっ……どうやら前にあった時よりも強くなったみたいだけど、調子に乗らない方がいいよ。後ろを見てみなよ」
「後ろ?」
吸血鬼の言葉にナイは振り返ると、闘技場の出入口から近付いてくる二つの大きな影を確認し、片方は以前にも見かけた事がある「リザードマン」で間違いなかった。そしてもう片方は異様なまでに巨大化し、赤毛熊級の巨体と毛皮と纏うゴブリンが姿を現す。
「シャアアアッ……!!」
「ギアアアアッ!!」
「なっ!?こいつらは!?」
「そうさ、この闘技場の中でも一、二を誇る化物……リザードマンとゴブリンキラーだよ!!」
ナイの前に現れたのは闘技場内にてドリスとリンとハマーンを打ち破ったリザードマンとゴブリンキラーが現れ、ゴブリンキラーの方は以前にナイが戦った個体よりも外見が大きく異なり、数種類の魔物の特徴が伺えた。
ゴブリンキラーの厄介な能力は倒した魔物を喰らう事で、その魔物の能力を奪う事だった。恐らくはナイが倒したゴブリンキラーよりも戦闘力は高く、まだ生き残りが居た事にナイは面倒に思う。
「こいつはちょっとやばそうだな……」
「やばい?まだそんな事を言える余裕があるの?いくらお兄さんが強くても、こいつらには一人では敵わないでしょ!?」
「どうかな……まあ、でも一つだけ言える事はあるよ」
勝ち誇る吸血鬼に対してナイはリザードマンとゴブリンキラーを見つめると、笑みを浮かべる。その態度に吸血鬼もリザードマンもゴブリンキラーも疑問を抱くが、直後にナイは言い放つ。
「こんな状況、もう慣れっこだよ……それにこいつら以上の化物を僕は知っている」
確かにリザードマンとゴブリンキラーは厄介な相手だが、既にナイは彼ら以上の存在と何度も死闘を繰り広げてきた。火竜、ゴーレムキング、ゴブリンキングと比べたらリザードマンもゴブリンキラーも大きく見劣りするため、不思議と恐怖は抱かない。
自分達に対して全く怖気づいていないナイを見てリザードマンとゴブリンキラーは戸惑い、吸血鬼はナイの言葉をただのはったりだと思い込み、命じた。
「ふ、ふんっ……そんな減らず口、何時まで叩けるのかな!!やってしまえ、人形達!!」
「シャアアアッ!!」
「ギアアアッ!!」
「……来いっ!!」
両手に旋斧と岩砕剣を構えたナイはリザードマンとゴブリンキラーに向けて正面から突っ込み、その行動に対して先手を打ったのはリザードマンだった。
「アガァアアアッ!!」
「っ!?」
リザードマンは大口を開くと、口元から火炎を迸らせ、その光景を確認したナイは瞬時に危険を悟り、旋斧を構えた。その直後にリザードマンは口内から火竜の吐息を想像させる火炎を放つ。
「アアアアッ!!」
「……喰らえっ!!」
ナイは冷静に正面から迫る火炎に対して旋斧を振りかざし、勢いよく突き出す。その結果、旋斧はリザードマンが放出した火炎を吸収し、刃が徐々に赤みを増して熱を怯ていく。
火竜の吐息と同様にリザードマンの放つ火炎は火属性の魔力で構成されており、ナイの所有する旋斧ならば吸収する事ができた。火竜と同様にリザードマンは体内の経験石から発する火属性の魔力を利用して吐き出しているに過ぎず、そして旋斧は全ての炎を吸収すると刃は炎を纏う。
「お返しだっ!!」
「シャアアアッ!?」
「ギアアッ!?」
「うわぁっ!?」
リザードマンの吐き出した火炎を吸収すると、ナイは改めて旋斧を振り払い、今度は逆に刃に蓄積させた炎の魔力を放つ。それによってリザードマンは悲鳴を上げ、ゴブリンキラーは炎に巻き込まれない様に距離を取り、吸血鬼はあまりの熱風に慌てて隠れる。
まさか自分の吐き出した火炎を逆に利用されるとは思わなかったリザードマンは怯み、ゴブリンキラーも迂闊に動けない。そんな二匹に対してナイは突っ込むと、今度は岩砕剣を振りかざす。
「吹き飛べっ!!」
「ブフゥッ!?」
「グギャアッ!?」
岩砕剣の一撃によってリザードマンは吹き飛ばされ、後方に存在したゴブリンキラーを巻き込んで二体は地面に倒れ込む。その一方でナイは旋斧に炎を纏わせ、魔法腕輪から風属性の魔力を引き出すと、旋斧に宿った火属性の魔力を組み合わせて追撃を行う。
「喰らえっ!!」
「シャギャアアアッ!?」
「ギアアアアッ!?」
ナイが旋斧を突き出した瞬間、まるでリザードマンの火炎の吐息の様に刃に纏っていた炎が放出され、二体を包み込む。普通の魔物ならば一瞬で焼き尽くされてもおかしくはない威力だが、刃から炎が消えるとそこにはゴブリンキラーを庇うように立つリザードマンの姿が存在した。
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