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王国の闇
第726話 ゴブリンの完全体
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「ギアアアアッ!!」
「な、何だ……こいつは!?」
「こ、この鳴き声は……ゴブリンキング!?」
「油断するな、来るぞ!!」
ゴブリンキングと酷似した鳴き声を放つ異形のゴブリンに対し、その見た目と迫力にリンたちは圧倒されるがすぐにハマーンが注意する。
冒険者でもあるハマーンは魔物との戦闘に慣れており、例え相手が初めて遭遇する魔物だろうと冷静さを保ち、ドリスとリンも気を取り直す。ドリスは異形のゴブリンに真紅を構え、一方でリンの方も暴風を手にするとドリスと背中を合わせた。
「そちらのリザードマンは任せましたわよ、リンさん!!」
「お前はそっちの化物を任せたぞ、ドリス!!」
「やれやれ……ならば儂はこのやばそうなのを相手にするか」
異形のゴブリンに対してはドリスとハマーンが相手を行い、その間にリンはリザードマンと戦う事にした。三人は武器を構えると、それぞれの敵と向かい合う。
「ギアアアッ!!」
「シャアアアッ!!」
「爆槍!!」
「嵐切り!!」
前後からゴブリンとリザードマンが迫りくると、ドリスとリンは同時には魔法剣を発動させた――
――同時刻、聖女騎士団は一般区に辿り着くと白面の対処を行い、テンの方は白猫亭へと向かう。自分の宿屋に残してきたヒナの身を案じ、彼女は馬を急がせた。
「ほら、もっと早く走りなっ!!」
「ヒヒンッ!?」
「テン、これ以上に馬を無理させたら倒れるぞ!?それにこの速さだと他の奴等も追いつけない!!」
「ちぃっ……!!」
焦りを抱くテンはルナを除いた他の騎士達と距離が出来てしまい、ルナの言う通りにこのままだとはぐれてしまう。それでもテンは白猫亭の事が気にかかり、どうしても急がねばならなかった。
彼女が白猫亭へ向かう理由はヒナが心配というのもあるが、実は先ほどに彼女もシノビと合流し、彼からある情報を聞き出す。それは現在の白猫亭にはある人物が匿っており、何としても合流する必要があった。目的地に向けてテンは全力で馬を走らせると、遂に視界内に目的地が映し出される。
「テン、見えてきたぞ!!白猫亭だ!!」
「様子は!?」
「えっと……まずい、白面に囲まれている!?」
「何だって!?」
テンよりも視力が優れたルナが見た限り、白猫亭には既に白面の集団が集結していた。白面は白猫亭を取り囲み、屋根の上に存在する二人組と対峙していた。
「シャアアッ!!」
「この、止めなさいよっ!!」
「ヒナさん、下がって!!無茶っすよ!?」
「舐めないで、私だってテンさんの弟子よ!!」
白猫亭の屋根の上にはエリナが立っており、彼女は矢を放って白面を牽制するのに対してヒナは屋根の上に登ってきた白面を相手に掃除用のモップで対応する。
エリナは的確に白面の急所に目掛けて矢を放ち、母親譲りの腕前で白面を迎撃する。一方でヒナの方はエリナに邪魔が入らない様に彼女は他の白面の注意を引き付け、モップを振り回す。
「このっ!!近づかないで!!」
「シャアッ!!」
「きゃっ!?な、何するのよ!!」
「あぐぅっ!?」
後ろから襲い掛かろうとした白面に気付いてヒナはモップの絵の部分を突き出し、腹部を打ちぬく。思っていた以上に彼女は善戦しており、それを確認したテンは笑みを浮かべた。
「流石はうちの娘だね!!よし、ルナ!!あいつらの事はあんたに任せるよ!!」
「えっ!?テンはどうするんだ!?」
「もちろん、ここにいる奴等をぶっ飛ばすに決まってんだろう!!」
『シャアッ……!!』
地上には十数名の白面が存在し、白猫亭を燃やすために全員が松明を抱えていた。それを確認したテンは退魔刀を片手に馬から飛び降りると、白面の集団に突っ込む。
「うちの店に手を出した事、後悔させてやるよ!!」
『シャアアッ!!』
躊躇なくテンは十数名の白面にたった一人で挑み、そんな彼女に対して白面の集団は武器を振りかざす。一方でルナは屋根の上に立つ二人の援護のために動き、戦斧を抱えた状態で跳躍を行う。
「てりゃあああっ!!」
「ぎゃうっ!?」
「がはぁっ!?」
「うげぇっ!?」
屋根の上に降り立ったルナは次々と白面を吹き飛ばし、地面に叩き落とす。エリナとヒナはいきなり屋根に上ってきたルナに驚くが、そんな二人に彼女は笑みを浮かべた。
「もう大丈夫だ!!私達が来たからな!!」
「ル、ルナ先輩!!有難いっす!!」
「ヒナ、無理するな!!お前は下に隠れていろ!!」
「は、はい!!ありがとうございます!!」
ルナの言葉にヒナは従い、慌てて屋根の上から中の方へと移動する。ルナはエリナと背中を合わせ、他の建物の屋根の上に立つ白面と向かい合う。
どういうわけか一般区で騒動を引き起こしていた白面がこの場所に集結しており、彼等は何が狙いなのかは不明だが、この建物を燃やそうとしていた。
「こいつら、何でこんなにいるんだ!?」
「それは……姫様がここにいるからです!!」
「何だって!?」
エリナの言葉にルナは驚愕し、その直後に白面の集団が押し寄せた――
「な、何だ……こいつは!?」
「こ、この鳴き声は……ゴブリンキング!?」
「油断するな、来るぞ!!」
ゴブリンキングと酷似した鳴き声を放つ異形のゴブリンに対し、その見た目と迫力にリンたちは圧倒されるがすぐにハマーンが注意する。
冒険者でもあるハマーンは魔物との戦闘に慣れており、例え相手が初めて遭遇する魔物だろうと冷静さを保ち、ドリスとリンも気を取り直す。ドリスは異形のゴブリンに真紅を構え、一方でリンの方も暴風を手にするとドリスと背中を合わせた。
「そちらのリザードマンは任せましたわよ、リンさん!!」
「お前はそっちの化物を任せたぞ、ドリス!!」
「やれやれ……ならば儂はこのやばそうなのを相手にするか」
異形のゴブリンに対してはドリスとハマーンが相手を行い、その間にリンはリザードマンと戦う事にした。三人は武器を構えると、それぞれの敵と向かい合う。
「ギアアアッ!!」
「シャアアアッ!!」
「爆槍!!」
「嵐切り!!」
前後からゴブリンとリザードマンが迫りくると、ドリスとリンは同時には魔法剣を発動させた――
――同時刻、聖女騎士団は一般区に辿り着くと白面の対処を行い、テンの方は白猫亭へと向かう。自分の宿屋に残してきたヒナの身を案じ、彼女は馬を急がせた。
「ほら、もっと早く走りなっ!!」
「ヒヒンッ!?」
「テン、これ以上に馬を無理させたら倒れるぞ!?それにこの速さだと他の奴等も追いつけない!!」
「ちぃっ……!!」
焦りを抱くテンはルナを除いた他の騎士達と距離が出来てしまい、ルナの言う通りにこのままだとはぐれてしまう。それでもテンは白猫亭の事が気にかかり、どうしても急がねばならなかった。
彼女が白猫亭へ向かう理由はヒナが心配というのもあるが、実は先ほどに彼女もシノビと合流し、彼からある情報を聞き出す。それは現在の白猫亭にはある人物が匿っており、何としても合流する必要があった。目的地に向けてテンは全力で馬を走らせると、遂に視界内に目的地が映し出される。
「テン、見えてきたぞ!!白猫亭だ!!」
「様子は!?」
「えっと……まずい、白面に囲まれている!?」
「何だって!?」
テンよりも視力が優れたルナが見た限り、白猫亭には既に白面の集団が集結していた。白面は白猫亭を取り囲み、屋根の上に存在する二人組と対峙していた。
「シャアアッ!!」
「この、止めなさいよっ!!」
「ヒナさん、下がって!!無茶っすよ!?」
「舐めないで、私だってテンさんの弟子よ!!」
白猫亭の屋根の上にはエリナが立っており、彼女は矢を放って白面を牽制するのに対してヒナは屋根の上に登ってきた白面を相手に掃除用のモップで対応する。
エリナは的確に白面の急所に目掛けて矢を放ち、母親譲りの腕前で白面を迎撃する。一方でヒナの方はエリナに邪魔が入らない様に彼女は他の白面の注意を引き付け、モップを振り回す。
「このっ!!近づかないで!!」
「シャアッ!!」
「きゃっ!?な、何するのよ!!」
「あぐぅっ!?」
後ろから襲い掛かろうとした白面に気付いてヒナはモップの絵の部分を突き出し、腹部を打ちぬく。思っていた以上に彼女は善戦しており、それを確認したテンは笑みを浮かべた。
「流石はうちの娘だね!!よし、ルナ!!あいつらの事はあんたに任せるよ!!」
「えっ!?テンはどうするんだ!?」
「もちろん、ここにいる奴等をぶっ飛ばすに決まってんだろう!!」
『シャアッ……!!』
地上には十数名の白面が存在し、白猫亭を燃やすために全員が松明を抱えていた。それを確認したテンは退魔刀を片手に馬から飛び降りると、白面の集団に突っ込む。
「うちの店に手を出した事、後悔させてやるよ!!」
『シャアアッ!!』
躊躇なくテンは十数名の白面にたった一人で挑み、そんな彼女に対して白面の集団は武器を振りかざす。一方でルナは屋根の上に立つ二人の援護のために動き、戦斧を抱えた状態で跳躍を行う。
「てりゃあああっ!!」
「ぎゃうっ!?」
「がはぁっ!?」
「うげぇっ!?」
屋根の上に降り立ったルナは次々と白面を吹き飛ばし、地面に叩き落とす。エリナとヒナはいきなり屋根に上ってきたルナに驚くが、そんな二人に彼女は笑みを浮かべた。
「もう大丈夫だ!!私達が来たからな!!」
「ル、ルナ先輩!!有難いっす!!」
「ヒナ、無理するな!!お前は下に隠れていろ!!」
「は、はい!!ありがとうございます!!」
ルナの言葉にヒナは従い、慌てて屋根の上から中の方へと移動する。ルナはエリナと背中を合わせ、他の建物の屋根の上に立つ白面と向かい合う。
どういうわけか一般区で騒動を引き起こしていた白面がこの場所に集結しており、彼等は何が狙いなのかは不明だが、この建物を燃やそうとしていた。
「こいつら、何でこんなにいるんだ!?」
「それは……姫様がここにいるからです!!」
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エリナの言葉にルナは驚愕し、その直後に白面の集団が押し寄せた――
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