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王国の闇
第706話 白面の急襲
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「皆様、こちらにおいででしたか!!」
「今度は何だい!?」
「ひいっ!?」
「テンさん、落ち着いて下さい。兵士が怖がってまともに話せませんわ!!」
兵士に対してテンは睨みつけると、あまりの気迫に兵士は恐れを抱いてしまう。ドリスがテンを落ち着かせると、兵士は怯えながらも報告を行う。
「城下町の方にて白面が出現!!富豪区、工場区、一般区、商業区、全ての地区に白面の目撃情報が届いております!!」
「何だって!?」
「被害は!?奴等の人数は!?」
「わ、分かりません!!しかし、白面は現在は街中に火を放ち、警備兵や冒険者だけでは対応できません!!すぐに王国騎士団は出動し、火事の鎮火と白面の捕縛に全力を注げとの国王陛下からの命令でございます!!」
「火事だって!?」
「テン!!外の方で煙が上がってるぞ!!」
兵士の報告を聞いてテン達は戸惑う中、ルナが城壁の上から外の様子を伺い、既に城下町の至る箇所で黒煙が上がっている事を告げる。その光景はテンも確認し、本当に白面が現れて城下町の建物を放火している事を知る。
この状況下で白面が城下町に現れた事からテン達はバッシュの読み通り、白面と宰相が繋がっている事を確信した。しかし、この状況では城下町を放って彼を捕まえに向かうわけには行かない。
「くそっ……こんな時に城下町を放って宰相を捕まえに向かったらあたし達が疑われる!!」
「それにバッシュ王子も行方不明で、リノ王女とシノビさんも消えたのであれば既に捕まっている可能性もありますわ!!」
「くっ……まずは街に現れた白面共を始末するしかない!!宰相の捕縛も王子と王女の救助もその後だ!!」
リンの言う通りに今は城下町に出現した白面を始末する事を優先し、テン達は騎士団を率いて城下町へと向かう。この時に城壁の上からテン達を見下ろす影が存在し、その存在に気付いたのはテンだけであった。
(まさか……!?)
視線を感じたテンは城壁に顔を向けると、そこには宰相が立ち尽くしていた。彼は城壁からテン達を見下ろし、その態度にテンは怒りを抱くが、彼の雰囲気がいつもと異なる事に気付いた。
「あいつ……」
「テンさん、しっかり走って下さい!!」
「後続に追いつかれるぞ!!」
「くっ……くそったれがっ!!」
王国騎士団は城下町に出現した白面の対応のために出向くしかなく、その様子を城壁の上から確認した宰相はその場を立ち去った――
――同時刻、城下町のあちこちでは火災が発生し、白面の集団が街の至る箇所に現れていた。その様子を白猫亭の一番上の部屋の窓からヒナは確認し、彼女の傍には聖女騎士団見習いのエリナの姿もあった。
彼女は聖女騎士団ではあるが、今日は白猫亭の護衛役として残っていたのだが、街の異常事態に気付いてヒナと共に様子を伺う。
「ちょ、これどうなってるんすか!?街が大変な事になってますよ!!」
「そ、そんな事を私に言われて分からないわよ!!一体、何が起きてるの……!?」
「ナイ、ここにナイはいるか!?」
窓から外の光景を眺めて混乱しているヒナとエリナの耳に地上から声が聞こえ、驚いた二人は視線を向けるとそこにはマホの弟子のゴンザレスとエルマ、それにガロの姿が存在した。
どうして三人がこの宿屋に訪れたのかとヒナは驚くが、ゴンザレスの腕にはマホが抱きかかえられており、彼女は顔色を悪い状態ながらも杖を握りしめ、意識は保っている様子だった。
「マホ魔導士!?それにお弟子の皆さんも……」
「そこにいるのは……ヒナさんか!?ナイはここにいるか!?」
「えっ!?ナイ君?ナイ君は今はアルト王子と一緒に外に出ていますけど……」
「な、何だと!?あいつ、こんな時にいないのか……くそっ!!」
「とりあえず、中に入ってきてください!!」
ゴンザレス達はナイが目当てでここへ立ち寄ったみたいだが、とりあえずはヒナは三人を宿の中に通した。ゴンザレス達は宿の中に入ると、ヒナが椅子を用意してマホを座らせる。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫、とはいえんが……すぐに死ぬ事はあるまい」
「また症状が悪化したんだ……治すには例の薬が必要なんだが、今は手持ちがない」
「どうしてここに来たんですか?ナイの兄貴に会いに?」
「はい……これから私達は街中に現れた白面の対処に向かおうと思います。それでこの宿屋にナイさんがいれば彼にマホ魔導士の事を任せようと思って」
「ちくしょう、肝心な時に何処に行きやがったんだ!!」
ガロ達は城から連れ出したマホの事をナイに任せ、自分達も城下町で騒ぎを起こす白面の捕縛に向かおうと考えていた。だが、肝心のナイが王都の外を離れている事を知ってガロは悪態を吐くが、今だけはヒナもこの状況下でナイがいない事に不安を抱く気持ちは分かる。
(ナイ君、早く戻ってきて……!!)
王都で何が起きているのかはヒナも理解できないが、恐らくだがとんでもない事が起きようとしている事は間違いなく、彼女はナイが早く戻るように祈る。しかし、彼女の祈りも難しく、仮にナイが戻ってくるとしてもそれは明日以降の話であり、今すぐに彼が戻る手段はない。
「今度は何だい!?」
「ひいっ!?」
「テンさん、落ち着いて下さい。兵士が怖がってまともに話せませんわ!!」
兵士に対してテンは睨みつけると、あまりの気迫に兵士は恐れを抱いてしまう。ドリスがテンを落ち着かせると、兵士は怯えながらも報告を行う。
「城下町の方にて白面が出現!!富豪区、工場区、一般区、商業区、全ての地区に白面の目撃情報が届いております!!」
「何だって!?」
「被害は!?奴等の人数は!?」
「わ、分かりません!!しかし、白面は現在は街中に火を放ち、警備兵や冒険者だけでは対応できません!!すぐに王国騎士団は出動し、火事の鎮火と白面の捕縛に全力を注げとの国王陛下からの命令でございます!!」
「火事だって!?」
「テン!!外の方で煙が上がってるぞ!!」
兵士の報告を聞いてテン達は戸惑う中、ルナが城壁の上から外の様子を伺い、既に城下町の至る箇所で黒煙が上がっている事を告げる。その光景はテンも確認し、本当に白面が現れて城下町の建物を放火している事を知る。
この状況下で白面が城下町に現れた事からテン達はバッシュの読み通り、白面と宰相が繋がっている事を確信した。しかし、この状況では城下町を放って彼を捕まえに向かうわけには行かない。
「くそっ……こんな時に城下町を放って宰相を捕まえに向かったらあたし達が疑われる!!」
「それにバッシュ王子も行方不明で、リノ王女とシノビさんも消えたのであれば既に捕まっている可能性もありますわ!!」
「くっ……まずは街に現れた白面共を始末するしかない!!宰相の捕縛も王子と王女の救助もその後だ!!」
リンの言う通りに今は城下町に出現した白面を始末する事を優先し、テン達は騎士団を率いて城下町へと向かう。この時に城壁の上からテン達を見下ろす影が存在し、その存在に気付いたのはテンだけであった。
(まさか……!?)
視線を感じたテンは城壁に顔を向けると、そこには宰相が立ち尽くしていた。彼は城壁からテン達を見下ろし、その態度にテンは怒りを抱くが、彼の雰囲気がいつもと異なる事に気付いた。
「あいつ……」
「テンさん、しっかり走って下さい!!」
「後続に追いつかれるぞ!!」
「くっ……くそったれがっ!!」
王国騎士団は城下町に出現した白面の対応のために出向くしかなく、その様子を城壁の上から確認した宰相はその場を立ち去った――
――同時刻、城下町のあちこちでは火災が発生し、白面の集団が街の至る箇所に現れていた。その様子を白猫亭の一番上の部屋の窓からヒナは確認し、彼女の傍には聖女騎士団見習いのエリナの姿もあった。
彼女は聖女騎士団ではあるが、今日は白猫亭の護衛役として残っていたのだが、街の異常事態に気付いてヒナと共に様子を伺う。
「ちょ、これどうなってるんすか!?街が大変な事になってますよ!!」
「そ、そんな事を私に言われて分からないわよ!!一体、何が起きてるの……!?」
「ナイ、ここにナイはいるか!?」
窓から外の光景を眺めて混乱しているヒナとエリナの耳に地上から声が聞こえ、驚いた二人は視線を向けるとそこにはマホの弟子のゴンザレスとエルマ、それにガロの姿が存在した。
どうして三人がこの宿屋に訪れたのかとヒナは驚くが、ゴンザレスの腕にはマホが抱きかかえられており、彼女は顔色を悪い状態ながらも杖を握りしめ、意識は保っている様子だった。
「マホ魔導士!?それにお弟子の皆さんも……」
「そこにいるのは……ヒナさんか!?ナイはここにいるか!?」
「えっ!?ナイ君?ナイ君は今はアルト王子と一緒に外に出ていますけど……」
「な、何だと!?あいつ、こんな時にいないのか……くそっ!!」
「とりあえず、中に入ってきてください!!」
ゴンザレス達はナイが目当てでここへ立ち寄ったみたいだが、とりあえずはヒナは三人を宿の中に通した。ゴンザレス達は宿の中に入ると、ヒナが椅子を用意してマホを座らせる。
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫、とはいえんが……すぐに死ぬ事はあるまい」
「また症状が悪化したんだ……治すには例の薬が必要なんだが、今は手持ちがない」
「どうしてここに来たんですか?ナイの兄貴に会いに?」
「はい……これから私達は街中に現れた白面の対処に向かおうと思います。それでこの宿屋にナイさんがいれば彼にマホ魔導士の事を任せようと思って」
「ちくしょう、肝心な時に何処に行きやがったんだ!!」
ガロ達は城から連れ出したマホの事をナイに任せ、自分達も城下町で騒ぎを起こす白面の捕縛に向かおうと考えていた。だが、肝心のナイが王都の外を離れている事を知ってガロは悪態を吐くが、今だけはヒナもこの状況下でナイがいない事に不安を抱く気持ちは分かる。
(ナイ君、早く戻ってきて……!!)
王都で何が起きているのかはヒナも理解できないが、恐らくだがとんでもない事が起きようとしている事は間違いなく、彼女はナイが早く戻るように祈る。しかし、彼女の祈りも難しく、仮にナイが戻ってくるとしてもそれは明日以降の話であり、今すぐに彼が戻る手段はない。
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