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王都の異変
第697話 幹部の正体と末路
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――しばらく経った後、地下の拠点にて捕縛した白面の幹部の尋問が行われる。幹部の正体は小髭族の男性であり、年齢はまだ随分と若そうだった。
「さて……君が所属する組織に関して色々と教えて貰おうか」
「…………」
クーノの屯所にてアルトは拘束された状態で座り込んだ男と向かい合う。部屋の中にはナイ達の姿はなく、代わりに警備兵とクノとゴエモンが立っていた。
これから行うのはただの尋問ではなく、白面の情報を引き出すために場合によっては拷問を実行しなければならない。白面に関して判明している情報と言えば数年前から既にクーノに地下の拠点を作り出し、国中の子供を誘拐して獣人国の奴隷商人に売り捌いていた事が判明する。
「この幹部の事は俺も顔を知らない。そもそも白面の奴等は滅多に外の世界では話さないからな」
「なるほど、なら情報を聞き出せるのはやはり君だけのようだね」
「…………」
「何とか喋ったらどうでござる?」
幹部はナイに殴り飛ばされた後、意識が戻ってからは一言も喋らない。状況的にもう自分が助からない事は理解しているはずだが、それでも死ぬまで情報を漏らさないつもりなのか黙り込む。
「……いい加減に何か喋ったらどうだい?そうすれば治療もしてあげるよ」
「それにしても酷い怪我でござるな……」
「よく生きているな……」
ナイに殴り飛ばされた時に男は階段を転げ落ちたせいか酷い怪我を負っていた。しかし、どういうわけか怪我の割には出血量が少なく、反応が乏しい。その様子を見てアルトは訝しむが、ようやく男は口を開く。
「はっ……潮時か」
「何だと?」
「それはどういう意味……こ、これはっ!?」
男は一言だけと告げた瞬間、突如として身体全体から黒い煙のような物が噴き出し、それを目撃したアルトは目を見開く。何が起きているのかは不明だが、嫌な予感を抱いたアルト達は男から離れると、やがて男は変わり果てた姿に変貌した。
煙が噴き出した途端に男は全身の力が抜けた様に椅子に身体を預け、身体が一気に腐敗化した。その様子を見てアルト達は驚愕し、男は死体とかした。しかも今さっき死んだとは思えない程に肉体が腐り果てており、それを見たアルトは信じられない表情を浮かべる。
「ま、まさか……こいつは死霊人形か!?」
「死霊人形!?それはまさか、イゾウと同じ!?」
「ば、馬鹿なっ……なんだ、この死体は……」
「ひいいっ!?」
同席していた警備兵は悲鳴を上げ、死体と化した男を見て怯える。アルトは彼の元に近付き、服を剥ぎ取ると胸元の部分に死霊石が埋め込まれていた。
「最初から死霊人形だったというのか……!?」
「で、では……ナイ殿に敗れる前からこいつは死霊人形だったのでござるか!?」
「馬鹿なっ……!!」
先ほどまでは確かに生きている人間にしか見えなかったが、目の前の死体を見てアルトは色々な疑問が解けた。ナイの攻撃によって酷い怪我を負ったのに男は血を行ってきも流さず、それどころか痛みに苦しむ様子もない。
何者かが男の死体を操作して行動していたとしか考えられず、そんなことができるのはアルトが知る限り一人しかいない。
「まさか……シャドウ、なのか!?」
「シャドウだと……」
「そんなっ……!!」
シャドウの名前を口にするとクノとゴエモンも衝撃を受けた表情を浮かべ、三人は死体と化した男を見下ろす――
『――クーノの拠点は潰されたぞ』
同時刻、王都の廃墟にてシャドウは目の前に立つ老人に話しかけた。彼は王都から離れず、この場所から死霊人形を操作してクーノに存在する白面の拠点に出向いていた。
イゾウの時とは異なり、シャドウは自分の「魂の一部」を死霊人形に宿し、それを遠隔で操作していた。彼の魂が宿った死霊人形は彼の意のままに操る事ができるが、その間は彼自身は動く事が出来ない。
シャドウの意識が戻った途端、座り込んでいた老人は手にしていた杯を置き、シャドウの言葉を聞いても一切動じない。そんな彼に対してシャドウは笑みを浮かべる。
『これも計画通りか?』
「いや……だが、悪くない展開だ」
老人はそれだけを告げるとシャドウに向けて杯を差し出し、それに対してシャドウは手を伸ばすと、自分の身体に纏っていた闇属性の魔力が消えている事に気付く。
『おっと……気を抜くとすぐにこれだな』
「案ずる事はない、ここには我々しかおらんのだからな」
『そうだな……』
相棒であるイゾウでさえも正体を晒した事がないシャドウだが、老人の前では彼は遠慮なく真の姿を露にした――
「さて……君が所属する組織に関して色々と教えて貰おうか」
「…………」
クーノの屯所にてアルトは拘束された状態で座り込んだ男と向かい合う。部屋の中にはナイ達の姿はなく、代わりに警備兵とクノとゴエモンが立っていた。
これから行うのはただの尋問ではなく、白面の情報を引き出すために場合によっては拷問を実行しなければならない。白面に関して判明している情報と言えば数年前から既にクーノに地下の拠点を作り出し、国中の子供を誘拐して獣人国の奴隷商人に売り捌いていた事が判明する。
「この幹部の事は俺も顔を知らない。そもそも白面の奴等は滅多に外の世界では話さないからな」
「なるほど、なら情報を聞き出せるのはやはり君だけのようだね」
「…………」
「何とか喋ったらどうでござる?」
幹部はナイに殴り飛ばされた後、意識が戻ってからは一言も喋らない。状況的にもう自分が助からない事は理解しているはずだが、それでも死ぬまで情報を漏らさないつもりなのか黙り込む。
「……いい加減に何か喋ったらどうだい?そうすれば治療もしてあげるよ」
「それにしても酷い怪我でござるな……」
「よく生きているな……」
ナイに殴り飛ばされた時に男は階段を転げ落ちたせいか酷い怪我を負っていた。しかし、どういうわけか怪我の割には出血量が少なく、反応が乏しい。その様子を見てアルトは訝しむが、ようやく男は口を開く。
「はっ……潮時か」
「何だと?」
「それはどういう意味……こ、これはっ!?」
男は一言だけと告げた瞬間、突如として身体全体から黒い煙のような物が噴き出し、それを目撃したアルトは目を見開く。何が起きているのかは不明だが、嫌な予感を抱いたアルト達は男から離れると、やがて男は変わり果てた姿に変貌した。
煙が噴き出した途端に男は全身の力が抜けた様に椅子に身体を預け、身体が一気に腐敗化した。その様子を見てアルト達は驚愕し、男は死体とかした。しかも今さっき死んだとは思えない程に肉体が腐り果てており、それを見たアルトは信じられない表情を浮かべる。
「ま、まさか……こいつは死霊人形か!?」
「死霊人形!?それはまさか、イゾウと同じ!?」
「ば、馬鹿なっ……なんだ、この死体は……」
「ひいいっ!?」
同席していた警備兵は悲鳴を上げ、死体と化した男を見て怯える。アルトは彼の元に近付き、服を剥ぎ取ると胸元の部分に死霊石が埋め込まれていた。
「最初から死霊人形だったというのか……!?」
「で、では……ナイ殿に敗れる前からこいつは死霊人形だったのでござるか!?」
「馬鹿なっ……!!」
先ほどまでは確かに生きている人間にしか見えなかったが、目の前の死体を見てアルトは色々な疑問が解けた。ナイの攻撃によって酷い怪我を負ったのに男は血を行ってきも流さず、それどころか痛みに苦しむ様子もない。
何者かが男の死体を操作して行動していたとしか考えられず、そんなことができるのはアルトが知る限り一人しかいない。
「まさか……シャドウ、なのか!?」
「シャドウだと……」
「そんなっ……!!」
シャドウの名前を口にするとクノとゴエモンも衝撃を受けた表情を浮かべ、三人は死体と化した男を見下ろす――
『――クーノの拠点は潰されたぞ』
同時刻、王都の廃墟にてシャドウは目の前に立つ老人に話しかけた。彼は王都から離れず、この場所から死霊人形を操作してクーノに存在する白面の拠点に出向いていた。
イゾウの時とは異なり、シャドウは自分の「魂の一部」を死霊人形に宿し、それを遠隔で操作していた。彼の魂が宿った死霊人形は彼の意のままに操る事ができるが、その間は彼自身は動く事が出来ない。
シャドウの意識が戻った途端、座り込んでいた老人は手にしていた杯を置き、シャドウの言葉を聞いても一切動じない。そんな彼に対してシャドウは笑みを浮かべる。
『これも計画通りか?』
「いや……だが、悪くない展開だ」
老人はそれだけを告げるとシャドウに向けて杯を差し出し、それに対してシャドウは手を伸ばすと、自分の身体に纏っていた闇属性の魔力が消えている事に気付く。
『おっと……気を抜くとすぐにこれだな』
「案ずる事はない、ここには我々しかおらんのだからな」
『そうだな……』
相棒であるイゾウでさえも正体を晒した事がないシャドウだが、老人の前では彼は遠慮なく真の姿を露にした――
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