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王都の異変
第695話 圧倒的な力の差
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「ブモォオオオッ!!」
「ぐはぁっ!?」
「うわぁっ!?」
「ぎゃああっ!?」
ミノタウロスによって蹴飛ばされたナイはそのまま派手に吹き飛び、他の者も巻き込んでしまう。あまりの力にナイは他の獣人と共に床に転がり込む。
巻き込まれた獣人は全員が倒れたまま動かなくなった。その一方でナイは身体を震わせながら起き上がり、身体の芯まで響く一撃に震える。
(なんて力だ……さっきと全然違う)
現在のミノタウロスはナイが「強化術」を発動させた時と同じ状態に陥っており、肉体の限界近くまで身体能力が上昇していた。しかも興奮状態に陥っており、ミノタウロスは容赦なくナイに向けて迫る。
「ブモォッ!!」
「ぐはぁっ!?」
「はっはっはっ!!さっきまでの威勢はどうした!?抵抗しないと殺されるぞ!?」
ミノタウロスは片腕でナイの身体を持ち上げ、首元を締め付ける。それだけでもナイは意識を失いかけるが、更にミノタウロスはナイの身体を壁に叩きつける。
首を絞めつけられ、壁に向けてナイは何度も叩きつけられ、あまりの激痛に意識を失う事もできない。ナイは血反吐を吐き、頭から血を流す。体のあちこちの骨にひびが入り、このままで死んでしまう。
(まずい、意識が……)
再生術や強化術を発動する暇もなく、このままではナイは殺されると思った。だが、ここで死ぬわけにはいかず、必死に抜け出す方法を考える。
(何か手は……そうだ、これがあった)
咄嗟にナイはミノタウロスの顔面に掌を構え、その行為にミノタウロスと小柄な男は訝しむが、ナイは残された魔力を振り絞った魔法を発動させる。
「ヒール!!」
「ブモォッ!?」
「うぎゃっ!?」
陽光教会のヨウに教わったのは回復魔法を発動させ、本来は他人の怪我を癒す魔法だが、魔力を調整すれば閃光のように掌を光り輝かせる事もできる。
一瞬だけ酒場内が閃光に包まれ、間近で光を浴びたミノタウロスはナイを手放して顔面を両手で覆い込む。その隙を逃さずにナイは身体を這いずりながらも「隠密」の技能を発動させ、存在感を消し去る。
「く、くそっ……ふざけた真似をしやがって、何処に居やがる!!」
「ブモォッ……!!」
「くぅっ……!!」
ナイは必死に身体を這いつくばり、ある場所へ向かう。それは先ほどナイが吹き飛ばされた時に巻き込まれた獣人の元であり、彼等からある物を回収する必要があった。
気絶している暗殺者の懐に手を伸ばし、目的の物を見つけ出す。ナイはそれを握りしめると、小柄な男とミノタウロスに視線を向ける。二人とも視力が戻り始め、薄目でナイの姿を探す。
「ちくしょう、ぶっ殺せ!!さっさとしろ、このウスノロ!!」
「ブモォッ……!!」
「はあっ……はあっ……」
ナイは必死に身体を動かし、地面に横倒れになっている円卓を発見すると、そこに身を隠す。隠密の効果で気配を完全に経ち、しばらくは時間を稼げる。しかし、あまり猶予はない。
(回復するんだ……早く)
魔法腕輪に意識を集中させ、ナイは怪我を治すためにモモの煌魔石から魔力を引き出し、再生術を発動させた。
「何処だ、何処に隠れやがった!!」
「ブモォッ!!」
「うぎゃっ!?」
「がはぁっ!?」
小男とミノタウロスは倒れている獣人達を蹴り飛ばし、酒場内にいるはずのナイを探し回る。その様子を見てナイは怒りを抱き、仲間であるはずの暗殺者を蹴飛ばす奴等に我慢ならない。
意識を集中させ、怪我の治療を終えたナイは身体が動く事を確認し、改めて自分の手にした最後の武器を握りしめる。この策が失敗すれば無事では済まず、それでもこれ以外に方法はない。
「僕はここだ!!」
「なっ!?そこに隠れてやがったか!!」
「ブモォオオッ!!」
ナイは敢えて声を上げると、円卓の後ろから聞こえてきた声に小男とミノタウロスは気付き、即座にミノタウロスは円卓に向けて駆け出す。その動作を予測していたナイは暗殺者から回収した薬瓶の蓋を開き、円卓にミノタウロスが突っ込んできた瞬間に跳躍を行う。
「喰らえっ!!」
「ブフゥッ!?」
「な、なにっ!?」
ミノタウロスに向けてナイは暗殺者が所有する「毒薬」を使用し、顔面に浴びせた。毒薬を浴びたミノタウロスは両目と鼻に毒が入り込み、悲鳴を上げる。
――プギャアアアッ!?
白面の暗殺者が常備する毒薬は普通の人間ならば死に至る毒ではない。人間よりも生命力が強いミノタウロスにも大した効果は与えられないだろう。しかし、顔面に毒薬を浴びて無事で済むはずもなく、ミノタウロスは両目の視力を完全に奪われた。
その一方でナイはミノタウロスの動きを封じると、床に着地して小男の方へ向かう。小男は自分に迫るナイを見て焦りを抱き、ミノタウロスに命じようとした。
「ば、馬鹿!!俺をた……ぐふぅっ!?」
「馬鹿はお前だぁっ!!」
怒りを込めてナイは渾身の一撃を小男に叩き込み、そのまま小男は階段が存在する方向へ吹き飛び、階段を塞いでいた円卓を吹き飛ばして階段の下まで落ちて行った――
「ぐはぁっ!?」
「うわぁっ!?」
「ぎゃああっ!?」
ミノタウロスによって蹴飛ばされたナイはそのまま派手に吹き飛び、他の者も巻き込んでしまう。あまりの力にナイは他の獣人と共に床に転がり込む。
巻き込まれた獣人は全員が倒れたまま動かなくなった。その一方でナイは身体を震わせながら起き上がり、身体の芯まで響く一撃に震える。
(なんて力だ……さっきと全然違う)
現在のミノタウロスはナイが「強化術」を発動させた時と同じ状態に陥っており、肉体の限界近くまで身体能力が上昇していた。しかも興奮状態に陥っており、ミノタウロスは容赦なくナイに向けて迫る。
「ブモォッ!!」
「ぐはぁっ!?」
「はっはっはっ!!さっきまでの威勢はどうした!?抵抗しないと殺されるぞ!?」
ミノタウロスは片腕でナイの身体を持ち上げ、首元を締め付ける。それだけでもナイは意識を失いかけるが、更にミノタウロスはナイの身体を壁に叩きつける。
首を絞めつけられ、壁に向けてナイは何度も叩きつけられ、あまりの激痛に意識を失う事もできない。ナイは血反吐を吐き、頭から血を流す。体のあちこちの骨にひびが入り、このままで死んでしまう。
(まずい、意識が……)
再生術や強化術を発動する暇もなく、このままではナイは殺されると思った。だが、ここで死ぬわけにはいかず、必死に抜け出す方法を考える。
(何か手は……そうだ、これがあった)
咄嗟にナイはミノタウロスの顔面に掌を構え、その行為にミノタウロスと小柄な男は訝しむが、ナイは残された魔力を振り絞った魔法を発動させる。
「ヒール!!」
「ブモォッ!?」
「うぎゃっ!?」
陽光教会のヨウに教わったのは回復魔法を発動させ、本来は他人の怪我を癒す魔法だが、魔力を調整すれば閃光のように掌を光り輝かせる事もできる。
一瞬だけ酒場内が閃光に包まれ、間近で光を浴びたミノタウロスはナイを手放して顔面を両手で覆い込む。その隙を逃さずにナイは身体を這いずりながらも「隠密」の技能を発動させ、存在感を消し去る。
「く、くそっ……ふざけた真似をしやがって、何処に居やがる!!」
「ブモォッ……!!」
「くぅっ……!!」
ナイは必死に身体を這いつくばり、ある場所へ向かう。それは先ほどナイが吹き飛ばされた時に巻き込まれた獣人の元であり、彼等からある物を回収する必要があった。
気絶している暗殺者の懐に手を伸ばし、目的の物を見つけ出す。ナイはそれを握りしめると、小柄な男とミノタウロスに視線を向ける。二人とも視力が戻り始め、薄目でナイの姿を探す。
「ちくしょう、ぶっ殺せ!!さっさとしろ、このウスノロ!!」
「ブモォッ……!!」
「はあっ……はあっ……」
ナイは必死に身体を動かし、地面に横倒れになっている円卓を発見すると、そこに身を隠す。隠密の効果で気配を完全に経ち、しばらくは時間を稼げる。しかし、あまり猶予はない。
(回復するんだ……早く)
魔法腕輪に意識を集中させ、ナイは怪我を治すためにモモの煌魔石から魔力を引き出し、再生術を発動させた。
「何処だ、何処に隠れやがった!!」
「ブモォッ!!」
「うぎゃっ!?」
「がはぁっ!?」
小男とミノタウロスは倒れている獣人達を蹴り飛ばし、酒場内にいるはずのナイを探し回る。その様子を見てナイは怒りを抱き、仲間であるはずの暗殺者を蹴飛ばす奴等に我慢ならない。
意識を集中させ、怪我の治療を終えたナイは身体が動く事を確認し、改めて自分の手にした最後の武器を握りしめる。この策が失敗すれば無事では済まず、それでもこれ以外に方法はない。
「僕はここだ!!」
「なっ!?そこに隠れてやがったか!!」
「ブモォオオッ!!」
ナイは敢えて声を上げると、円卓の後ろから聞こえてきた声に小男とミノタウロスは気付き、即座にミノタウロスは円卓に向けて駆け出す。その動作を予測していたナイは暗殺者から回収した薬瓶の蓋を開き、円卓にミノタウロスが突っ込んできた瞬間に跳躍を行う。
「喰らえっ!!」
「ブフゥッ!?」
「な、なにっ!?」
ミノタウロスに向けてナイは暗殺者が所有する「毒薬」を使用し、顔面に浴びせた。毒薬を浴びたミノタウロスは両目と鼻に毒が入り込み、悲鳴を上げる。
――プギャアアアッ!?
白面の暗殺者が常備する毒薬は普通の人間ならば死に至る毒ではない。人間よりも生命力が強いミノタウロスにも大した効果は与えられないだろう。しかし、顔面に毒薬を浴びて無事で済むはずもなく、ミノタウロスは両目の視力を完全に奪われた。
その一方でナイはミノタウロスの動きを封じると、床に着地して小男の方へ向かう。小男は自分に迫るナイを見て焦りを抱き、ミノタウロスに命じようとした。
「ば、馬鹿!!俺をた……ぐふぅっ!?」
「馬鹿はお前だぁっ!!」
怒りを込めてナイは渾身の一撃を小男に叩き込み、そのまま小男は階段が存在する方向へ吹き飛び、階段を塞いでいた円卓を吹き飛ばして階段の下まで落ちて行った――
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