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王都の異変
第676話 ゴエモンの秘密
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「さっきの質問に答えてやろう……知っていたさ、当然だろう?この街には国中から誘拐した子供を集め、それを運び屋に国境付近まで運ばせている。それも10年以上年も前からな」
「なっ……!?」
「だが、これは非情に思える事かもしれないが、奴らからすればこの国のために必要な事らしい」
「な、何を言ってるんですか!?」
「そんなのおかしいよ!?」
「ぷるぷるっ!!」
ゴエモンの言い分に他の者達も黙っていられずに抗議するが、そんな彼女達に対してゴエモンは鋭くにらみつけ、モモは背筋が凍り付く。リーナでさえもここまで殺気を滲ませた人間の視線を浴びた事はなく、彼女は慌ててモモを庇うように立つ。
ナイはゴエモンが白面の味方であり、同時に人攫いの集団とも関りを持っていたと確信を抱く。そうなるとゴモエンが言っていた情報も誤りなのかと不安を抱くが、ゴエモンはそんなナイの疑問を察したように答えた。
「安心しろ、俺がお前達に話した20年前に存在した白面という組織に関しては何一つ嘘は吐いていない。まあ、証拠はないから信じられなくとも無理はないがな」
「……じゃあ、貴方も白面なんですか?」
「いや、俺は当時白面と繋がっていた協力者だ。正式に奴等の組織に所属していたわけじゃない……だが、奴等の都合がいいように偽の情報を売り込んでいた」
「なら、20年前から嘘を吐いていたんですか!?」
「テンの奴には悪いとは思ったがな……しかし、白面の事を知られるわけにはいかない。俺にも家族がいたからな」
「家族?それって……」
壁に貼られている絵を見てナイは亡くなった妻の事を言っているのかと思うと、ここでゴエモンは殺気を消して寂しそうな表情を浮かべる。
「察しの通りだ。俺は妻を人質に取られていた……いや、人質という言い方は違うな。妻も奴等の協力者だった」
「えっ?」
「俺は最初から嵌められていた。妻は元情報屋で俺と似たような立場の人間だったんだ。あいつらは何処かでその情報を掴み、お互いに素性を隠した状態で俺達が付き合っている事を知った。そして奴等は俺と妻を利用して偽情報を流す様に仕向けた」
「なら、奥さんは……」
「滑稽だろう、お互いに人質だと思い込んでいた相手が実は利用されていた間抜けな情報屋だと知った時、俺達は唖然とした。こんなの笑い話にもならない……結局は俺達は利用されていただけに過ぎない、ただの駒だった」
「そ、そんな……」
情報屋でありながらお互いに相手の素性も知らずに付き合っていたという事実を知らず、結局はゴエモンと彼の妻は利用され続け、結局は白面が壊滅するまで彼等に好きに扱われていた。
しかし、白面が壊滅した後は彼等は白面との繋がりに気付かれる前に逃げる様にクーノへと移住し、そこで二人は改めて夫婦として生活を送る。
「白面が壊滅した後、俺達はこの街に逃げて改めて真面目に生きようとした。だが、お互いに情報屋として生きてきた身だからな……真っ当に生きようとしたが、結局は駄目だった」
「それで……どうしたんですか?」
「仕方がないから俺は妻を養うために情報屋を再開した。最初の頃は上手く言っていた、妻も情報屋だから俺がやっている事を咎めはしなかった。だが……ある時に奴等がまた現れた」
「まさか……奥さんを殺したのは白面!?」
「いや……あいつはまだ生きている、生きているはずなんだ」
ゴエモンは妻は既に亡くなったと言っていたが、実はそれは嘘で彼によると妻は死んだのではなく、白面に攫われたと語る。
「奴等は急に俺達の前に現れ、妻は攫われてしまった……もう何年も前の話だ。やつらは妻を人質にして俺にこの街で情報屋を続けさせ、自分達の存在を気付かれない様に偽情報を流すように仕向けた」
「そんな……なら、奥さんはどうなったの!?」
「生きてはいるはずだ。時々、あいつから手紙が送り届けられる……その手紙も本物かどうかも分からないがな。だが、あいつは生きているはずだ」
妻を人質に取られたゴエモンは白面に従うしかなく、彼等が10年以上も前から国中の子供を誘拐し、それを獣人国の奴隷商人に流している事は知っていた。
何の罪もない子供達が他国に売り渡されている事に関してはゴエモンも可哀想だとは思うが、それでも妻を救うために彼は他の人間に人攫いの存在が漏れぬように偽情報を流す。そして既にナイ達がその人攫いに接触し、しかも自分が目当てでこの街に訪れてきた事を知っていた。
「奴等が約束したんだよ。お前達をここで始末すれば妻を返してくれるとな……どうやらお前達の事を白面は目障りに思っているようだな」
「そ、そんな……」
「悪いが……死んでもらうぞ」
「ゴエモンさん!!」
ゴエモンは全てを語り終えると改めてナイと向き直り、居合の構えを取る。
「なっ……!?」
「だが、これは非情に思える事かもしれないが、奴らからすればこの国のために必要な事らしい」
「な、何を言ってるんですか!?」
「そんなのおかしいよ!?」
「ぷるぷるっ!!」
ゴエモンの言い分に他の者達も黙っていられずに抗議するが、そんな彼女達に対してゴエモンは鋭くにらみつけ、モモは背筋が凍り付く。リーナでさえもここまで殺気を滲ませた人間の視線を浴びた事はなく、彼女は慌ててモモを庇うように立つ。
ナイはゴエモンが白面の味方であり、同時に人攫いの集団とも関りを持っていたと確信を抱く。そうなるとゴモエンが言っていた情報も誤りなのかと不安を抱くが、ゴエモンはそんなナイの疑問を察したように答えた。
「安心しろ、俺がお前達に話した20年前に存在した白面という組織に関しては何一つ嘘は吐いていない。まあ、証拠はないから信じられなくとも無理はないがな」
「……じゃあ、貴方も白面なんですか?」
「いや、俺は当時白面と繋がっていた協力者だ。正式に奴等の組織に所属していたわけじゃない……だが、奴等の都合がいいように偽の情報を売り込んでいた」
「なら、20年前から嘘を吐いていたんですか!?」
「テンの奴には悪いとは思ったがな……しかし、白面の事を知られるわけにはいかない。俺にも家族がいたからな」
「家族?それって……」
壁に貼られている絵を見てナイは亡くなった妻の事を言っているのかと思うと、ここでゴエモンは殺気を消して寂しそうな表情を浮かべる。
「察しの通りだ。俺は妻を人質に取られていた……いや、人質という言い方は違うな。妻も奴等の協力者だった」
「えっ?」
「俺は最初から嵌められていた。妻は元情報屋で俺と似たような立場の人間だったんだ。あいつらは何処かでその情報を掴み、お互いに素性を隠した状態で俺達が付き合っている事を知った。そして奴等は俺と妻を利用して偽情報を流す様に仕向けた」
「なら、奥さんは……」
「滑稽だろう、お互いに人質だと思い込んでいた相手が実は利用されていた間抜けな情報屋だと知った時、俺達は唖然とした。こんなの笑い話にもならない……結局は俺達は利用されていただけに過ぎない、ただの駒だった」
「そ、そんな……」
情報屋でありながらお互いに相手の素性も知らずに付き合っていたという事実を知らず、結局はゴエモンと彼の妻は利用され続け、結局は白面が壊滅するまで彼等に好きに扱われていた。
しかし、白面が壊滅した後は彼等は白面との繋がりに気付かれる前に逃げる様にクーノへと移住し、そこで二人は改めて夫婦として生活を送る。
「白面が壊滅した後、俺達はこの街に逃げて改めて真面目に生きようとした。だが、お互いに情報屋として生きてきた身だからな……真っ当に生きようとしたが、結局は駄目だった」
「それで……どうしたんですか?」
「仕方がないから俺は妻を養うために情報屋を再開した。最初の頃は上手く言っていた、妻も情報屋だから俺がやっている事を咎めはしなかった。だが……ある時に奴等がまた現れた」
「まさか……奥さんを殺したのは白面!?」
「いや……あいつはまだ生きている、生きているはずなんだ」
ゴエモンは妻は既に亡くなったと言っていたが、実はそれは嘘で彼によると妻は死んだのではなく、白面に攫われたと語る。
「奴等は急に俺達の前に現れ、妻は攫われてしまった……もう何年も前の話だ。やつらは妻を人質にして俺にこの街で情報屋を続けさせ、自分達の存在を気付かれない様に偽情報を流すように仕向けた」
「そんな……なら、奥さんはどうなったの!?」
「生きてはいるはずだ。時々、あいつから手紙が送り届けられる……その手紙も本物かどうかも分からないがな。だが、あいつは生きているはずだ」
妻を人質に取られたゴエモンは白面に従うしかなく、彼等が10年以上も前から国中の子供を誘拐し、それを獣人国の奴隷商人に流している事は知っていた。
何の罪もない子供達が他国に売り渡されている事に関してはゴエモンも可哀想だとは思うが、それでも妻を救うために彼は他の人間に人攫いの存在が漏れぬように偽情報を流す。そして既にナイ達がその人攫いに接触し、しかも自分が目当てでこの街に訪れてきた事を知っていた。
「奴等が約束したんだよ。お前達をここで始末すれば妻を返してくれるとな……どうやらお前達の事を白面は目障りに思っているようだな」
「そ、そんな……」
「悪いが……死んでもらうぞ」
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ゴエモンは全てを語り終えると改めてナイと向き直り、居合の構えを取る。
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