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王都の異変
第658話 プルミン
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「――ん?あれ!?おかしい、何処に行ったんだ!?」
「え、どうしたのアルト?」
時刻は夕方を迎え、ナイ達は夜営の準備を行っていると、狼車の中で自分の荷物を確認していたアルトが驚きの声を上げる。彼の反応に疑問を抱いた他の者は様子を伺うと、アルトは自分の持って来た荷物の中から収納鞄に入り切れなかった道具を差し出す。
「僕が持って来た魔力回復薬の中身が無くなっているんだ!!確かに出発する前は中身が入っていたはずなのに……」
「え、魔力回復薬……?」
「ああ、ナイ君に渡すように出発前にイリアから渡されていた物がある事を思い出して取り出そうとしたんだが……中身が消えている!!」
「イリアさんから?」
アルトは出発前にイリアと遭遇し、彼女からナイに渡す様に頼まれた魔力回復薬だけがなくなっている事を話す。本人はすぐに渡すつもりで持ってきていたので収納鞄ではないの方の荷物に入れていたのだが、いつの間にか薬の中身が消えていた。
ちなみにどうして収納鞄を所持しているアルトが薬を鞄の中に入れて置かなかったかというと、収納鞄には制限重量が決まっており、この中には事前にアルトが魔道具の修理や開発を行うための大切な器材が入っており、余分な荷物は入れはしない。そのため、彼は収納鞄とは別に自分の荷物を持ち運んでいる。
収納鞄に入れる事が出来なかった荷物を整理する時にアルトはイリアから渡された薬を思い出したのだが、何故か薬は蓋が抜かれた状態で放置されていた。
「もしかして移動中に蓋が外れて毀れたんじゃないですか?」
「いや、それは有り得ない。ちゃんと蓋を閉めた状態で運んでいたんだ。それに仮に中身が毀れたのなら僕の衣服が濡れていないのもおかしい」
「あ、言われてみれば確かに……」
「なら、中身は何処に消えたんだろう?」
ナイ達は狼車に乗り込み、消えた魔力回復薬の謎に首をかしげると、この時に皆の荷物が並べられている場所にてナイは何か聞こえた気がした。
「ぷるぷるっ……」
「ん?今の声は……そこか!?」
「ナイ君!?」
荷物の中から聞きなれた声を耳にしたナイは荷物を退かすと、そこには見覚えのある青色の生物が存在した。それは皆の荷物の中から水筒を拝借して中身の水を飲み込むスライムの姿が存在した。
「君は……プルミン!?」
「ぷるぷるっ♪」
「え、スライム!?どうしてスライムがこんな所に……」
「わあっ!!可愛い~!!」
「何時の間に車の中に……というか、ナイは知っているの?」
「勝手に付いて来てたのか……」
スライムはかつてナイがゴブリン亜種に襲われた時に彼を救ってくれたスライムであり、その後も草原に出向いた時は何故かナイの元によく現れる。
このスライムの事をナイは「プルミン」と名付け、本人も気に入っているのかナイに見つかるとプルミンは彼に頬ずりを行う。
「ぷるぷるっ♪」
「うわわっ……全く、仕方ない奴だな」
「ナイさんに懐いてますね……」
「ね、ねえ……ちょっと触っていい?」
「全く、僕が持って来た魔力回復薬を飲んだのは君だったのか」
あまりのプルミンの可愛らしさに全員が怒る気も失せ、特に女性陣からは人気が高かった。スライムは魔物の中では唯一にペットとして一般人でも飼育する事が許されており、人気が高い。
スライムは人畜無害の魔物として認識され、世界異変が起きた後でもスライムだけは特に変わりはなく、魔物の中でも最も人間に友好的な存在だった。どうやらプルミンはナイの事が気に入っており、川の近くで彼の姿を見かけて狼車に乗り込んで付いて来たらしい。
「ぷるぷるっ!!」
「ウォンッ!!」
「え?ビャクは気付いてた?全く、そういう事は早く言ってよ」
「クゥ~ンッ……」
狼車に乗り込む時に感覚が鋭いビャクはプルミンの事は気付いていたらしいが、今まで黙っていたという。ナイは付いて来てしまった以上はプルミンを放置はできず、仕方がないので旅の間は連れて行く事にした。
「しょうがない、なら一緒に行こうか」
「ぷるぷるっ♪」
「可愛いな~ナイ君、抱っこしてもいい?」
「ぼ、僕もいいかな?」
「なら、私も」
「わ、私もいいですか……?」
プルミンの可愛らしさにモモ達も夢中になり、彼女達は我先にとプルリンを抱き上げ、プルミンも嬉しそうな声を上げる。
「ぷるぷるっ♪」
「わあ、本当に可愛いっ!!持って帰りたい!!」
「よしよし……」
「スライムは何を食べるのでしょうか……」
「確か、果汁が好きとか聞いた事がある」
「やれやれ……この調子だと叱れる雰囲気でもないね」
「ごめんね、アルト……今度からは勝手に人の物を盗まない様に説教しておくから」
「ウォンッ」
女性陣に可愛がられるプルミンを見てアルトはとても怒れそうな雰囲気ではなく、ため息を吐き出す。そんなアルトにナイはプルミンの代わりに謝罪し、旅の間だけ新しい仲間が増えた――
「え、どうしたのアルト?」
時刻は夕方を迎え、ナイ達は夜営の準備を行っていると、狼車の中で自分の荷物を確認していたアルトが驚きの声を上げる。彼の反応に疑問を抱いた他の者は様子を伺うと、アルトは自分の持って来た荷物の中から収納鞄に入り切れなかった道具を差し出す。
「僕が持って来た魔力回復薬の中身が無くなっているんだ!!確かに出発する前は中身が入っていたはずなのに……」
「え、魔力回復薬……?」
「ああ、ナイ君に渡すように出発前にイリアから渡されていた物がある事を思い出して取り出そうとしたんだが……中身が消えている!!」
「イリアさんから?」
アルトは出発前にイリアと遭遇し、彼女からナイに渡す様に頼まれた魔力回復薬だけがなくなっている事を話す。本人はすぐに渡すつもりで持ってきていたので収納鞄ではないの方の荷物に入れていたのだが、いつの間にか薬の中身が消えていた。
ちなみにどうして収納鞄を所持しているアルトが薬を鞄の中に入れて置かなかったかというと、収納鞄には制限重量が決まっており、この中には事前にアルトが魔道具の修理や開発を行うための大切な器材が入っており、余分な荷物は入れはしない。そのため、彼は収納鞄とは別に自分の荷物を持ち運んでいる。
収納鞄に入れる事が出来なかった荷物を整理する時にアルトはイリアから渡された薬を思い出したのだが、何故か薬は蓋が抜かれた状態で放置されていた。
「もしかして移動中に蓋が外れて毀れたんじゃないですか?」
「いや、それは有り得ない。ちゃんと蓋を閉めた状態で運んでいたんだ。それに仮に中身が毀れたのなら僕の衣服が濡れていないのもおかしい」
「あ、言われてみれば確かに……」
「なら、中身は何処に消えたんだろう?」
ナイ達は狼車に乗り込み、消えた魔力回復薬の謎に首をかしげると、この時に皆の荷物が並べられている場所にてナイは何か聞こえた気がした。
「ぷるぷるっ……」
「ん?今の声は……そこか!?」
「ナイ君!?」
荷物の中から聞きなれた声を耳にしたナイは荷物を退かすと、そこには見覚えのある青色の生物が存在した。それは皆の荷物の中から水筒を拝借して中身の水を飲み込むスライムの姿が存在した。
「君は……プルミン!?」
「ぷるぷるっ♪」
「え、スライム!?どうしてスライムがこんな所に……」
「わあっ!!可愛い~!!」
「何時の間に車の中に……というか、ナイは知っているの?」
「勝手に付いて来てたのか……」
スライムはかつてナイがゴブリン亜種に襲われた時に彼を救ってくれたスライムであり、その後も草原に出向いた時は何故かナイの元によく現れる。
このスライムの事をナイは「プルミン」と名付け、本人も気に入っているのかナイに見つかるとプルミンは彼に頬ずりを行う。
「ぷるぷるっ♪」
「うわわっ……全く、仕方ない奴だな」
「ナイさんに懐いてますね……」
「ね、ねえ……ちょっと触っていい?」
「全く、僕が持って来た魔力回復薬を飲んだのは君だったのか」
あまりのプルミンの可愛らしさに全員が怒る気も失せ、特に女性陣からは人気が高かった。スライムは魔物の中では唯一にペットとして一般人でも飼育する事が許されており、人気が高い。
スライムは人畜無害の魔物として認識され、世界異変が起きた後でもスライムだけは特に変わりはなく、魔物の中でも最も人間に友好的な存在だった。どうやらプルミンはナイの事が気に入っており、川の近くで彼の姿を見かけて狼車に乗り込んで付いて来たらしい。
「ぷるぷるっ!!」
「ウォンッ!!」
「え?ビャクは気付いてた?全く、そういう事は早く言ってよ」
「クゥ~ンッ……」
狼車に乗り込む時に感覚が鋭いビャクはプルミンの事は気付いていたらしいが、今まで黙っていたという。ナイは付いて来てしまった以上はプルミンを放置はできず、仕方がないので旅の間は連れて行く事にした。
「しょうがない、なら一緒に行こうか」
「ぷるぷるっ♪」
「可愛いな~ナイ君、抱っこしてもいい?」
「ぼ、僕もいいかな?」
「なら、私も」
「わ、私もいいですか……?」
プルミンの可愛らしさにモモ達も夢中になり、彼女達は我先にとプルリンを抱き上げ、プルミンも嬉しそうな声を上げる。
「ぷるぷるっ♪」
「わあ、本当に可愛いっ!!持って帰りたい!!」
「よしよし……」
「スライムは何を食べるのでしょうか……」
「確か、果汁が好きとか聞いた事がある」
「やれやれ……この調子だと叱れる雰囲気でもないね」
「ごめんね、アルト……今度からは勝手に人の物を盗まない様に説教しておくから」
「ウォンッ」
女性陣に可愛がられるプルミンを見てアルトはとても怒れそうな雰囲気ではなく、ため息を吐き出す。そんなアルトにナイはプルミンの代わりに謝罪し、旅の間だけ新しい仲間が増えた――
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