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王都の異変
第653話 クーノへの道中
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――旅立ちから一時間ほど経過すると、狼車は大きな川の前で立ち止まる。この川を渡らなければ辿り着けないのだが、何故か橋の方に商団が立ち止まっており、橋を渡ろうとしない彼等にナイは疑問を抱く。
「何だろう?何かあったのかな?」
「ふむ、気になるね……話を聞いてみようか」
「ウォンッ……」
狼車が停車すると、商団の人間は白狼種が馬車を引いている事に驚くが、降りてきた人間の殆どが子供ばかりなので更に驚く。
「あの、何かあったんですか?」
「あ、ああ……いや、実は我々は王都へ向かう途中なんだが、橋を渡ろうとしたらあんなのがいてね」
「あんなの?」
「どれどれ?」
「あれは……」
ナイ達は川に繋がる橋を確認すると、そこには思いがけない存在が待ち構えていた。橋の真ん中には巨大な青色の皮膚で覆われた人型の生物が存在し、並の巨人族よりも体躯が大きく、しかも顔面には瞳が一つしか存在しなかった。
その姿を見てナイ達は驚き、特に冒険者稼業をやっているリーナと博識のアルトは橋に横たわる存在を確認して正体を見抜く。
「あれは……サイクロプスだね」
「うん、間違いないよ。でも、どうしてこんな場所に魔人族が……」
「わあっ……お、おっきいね」
「何という恐ろしい姿でしょう……」
「あいつのせいで橋が通れない?」
怪物の正体はサイクロプスと呼ばれる魔人族であり、ミノタウロスと同等の危険度を誇る魔人族だった。リーナも見るのは初めてらしく、彼女はどうしてこんな場所にサイクロプスが存在するのかと混乱すると、商団の人々が事情を説明する。
「実はあいつは俺達が運んでいた積荷の中に入っていたんだ」
「えっ!?あの怪物を!?」
「あ、ああ……でも、勘違いしないでくれ。俺達はあんな化物が積荷の中に紛れているなんて気づかなかったんだ。俺達はこの荷物を王都の闘技場に送るように依頼されただけなんだが……」
「闘技場、という事はアッシュ公爵か……リーナ君は何か知っているかい?」
「う、ううん……僕は何も聞いてないよ」
商団の人間は王都の闘技場にサイクロプスが入った積荷を運ぶように依頼されいたらしく、運搬の際中は中身を見ない事を厳重注意され、彼等は積荷を運んでいたらしい。
本来、荷物を送る場合は必ず運搬前に積荷の確認を行う決まりなのだが、依頼を出した相手が積荷を絶対に確認しない条件ならば金貨10枚を支払うと言い出した。その条件で商団の人間は引き受けてしまい、約束通りに彼等はここまでの道中は積荷を確認せずに運び込んだ。
しかし、橋を渡る途中で積荷を運んでいた荷車の車輪が限界が壊れてしまった。その拍子に積荷の中に眠っていたと思われるサイクロプスが目を覚まし、箱を破壊して橋の上に居座ったせいで彼等は困り果てていた。
「まさか、あんな化物が積荷の中に隠れていたなんて……」
「正直、こんな場所から早く逃げ出したいんだが……あいつを放っておいたら何をしでかすか分からないからな」
「俺達の中には冒険者も同行しているんだが、もしもあいつがこの橋の上で暴れて壊しでもしたら大変な事になるからな。迂闊に手を出せないんだよ……」
「くそ、あんな場所に居座りやがって……」
「なるほど、そういう事か」
商団に同行していた冒険者は全員が銀級の冒険者であり、人数は五名だった。だが、サイクロプスの危険度を考えれば銀級の冒険者程度ではどうしようもない相手であり、仮に倍の数の銀級冒険者が存在したとしもどうにかできない相手だった。
「誰が闘技場に送るように依頼したんですか?」
「それが俺達も知らないんだよ。ただ、この荷物を闘技場まで運んでくれれば分かるって……引き渡す時はこの手紙を渡せば分かってくれるとだけ言われたよ」
「そんな条件でよくこんな怪しい仕事を引き受けましたね!?」
「か、金払いが良かったんだよ!!それに冒険者を雇う金も依頼人が払ってくれたんだぞ!?」
「なるほど、確かに気前がいいね……すまないが、それを見せてくれるかい?」
「はあっ!?いったい何を言って……だいたい、お前等は何者なんだよ!!白狼種なんか連れている辺り、冒険者か?」
商団の人間はナイ達を怪しむが、そんな彼等の態度を見てアルトは仕方なく王家の紋章が刻まれたペンダントを取り出し、それを見せつける。
「このペンダントを見てくれ」
「はっ?なんだ、それ……」
「えっ!?こ、これって……王国の紋章!?まさか、これを持っている事が許されるのは……」
「ナイ君、リーナ君、君達も見せてくれ」
「メダルの事?」
「これ?」
ナイは二つの貴族のメダルを取り出し、リーナは黄金冒険者の証である冒険者バッジを見せつけると、商団の人間は顔色を青ざめ、冒険者は度肝を抜かす。
「何だろう?何かあったのかな?」
「ふむ、気になるね……話を聞いてみようか」
「ウォンッ……」
狼車が停車すると、商団の人間は白狼種が馬車を引いている事に驚くが、降りてきた人間の殆どが子供ばかりなので更に驚く。
「あの、何かあったんですか?」
「あ、ああ……いや、実は我々は王都へ向かう途中なんだが、橋を渡ろうとしたらあんなのがいてね」
「あんなの?」
「どれどれ?」
「あれは……」
ナイ達は川に繋がる橋を確認すると、そこには思いがけない存在が待ち構えていた。橋の真ん中には巨大な青色の皮膚で覆われた人型の生物が存在し、並の巨人族よりも体躯が大きく、しかも顔面には瞳が一つしか存在しなかった。
その姿を見てナイ達は驚き、特に冒険者稼業をやっているリーナと博識のアルトは橋に横たわる存在を確認して正体を見抜く。
「あれは……サイクロプスだね」
「うん、間違いないよ。でも、どうしてこんな場所に魔人族が……」
「わあっ……お、おっきいね」
「何という恐ろしい姿でしょう……」
「あいつのせいで橋が通れない?」
怪物の正体はサイクロプスと呼ばれる魔人族であり、ミノタウロスと同等の危険度を誇る魔人族だった。リーナも見るのは初めてらしく、彼女はどうしてこんな場所にサイクロプスが存在するのかと混乱すると、商団の人々が事情を説明する。
「実はあいつは俺達が運んでいた積荷の中に入っていたんだ」
「えっ!?あの怪物を!?」
「あ、ああ……でも、勘違いしないでくれ。俺達はあんな化物が積荷の中に紛れているなんて気づかなかったんだ。俺達はこの荷物を王都の闘技場に送るように依頼されただけなんだが……」
「闘技場、という事はアッシュ公爵か……リーナ君は何か知っているかい?」
「う、ううん……僕は何も聞いてないよ」
商団の人間は王都の闘技場にサイクロプスが入った積荷を運ぶように依頼されいたらしく、運搬の際中は中身を見ない事を厳重注意され、彼等は積荷を運んでいたらしい。
本来、荷物を送る場合は必ず運搬前に積荷の確認を行う決まりなのだが、依頼を出した相手が積荷を絶対に確認しない条件ならば金貨10枚を支払うと言い出した。その条件で商団の人間は引き受けてしまい、約束通りに彼等はここまでの道中は積荷を確認せずに運び込んだ。
しかし、橋を渡る途中で積荷を運んでいた荷車の車輪が限界が壊れてしまった。その拍子に積荷の中に眠っていたと思われるサイクロプスが目を覚まし、箱を破壊して橋の上に居座ったせいで彼等は困り果てていた。
「まさか、あんな化物が積荷の中に隠れていたなんて……」
「正直、こんな場所から早く逃げ出したいんだが……あいつを放っておいたら何をしでかすか分からないからな」
「俺達の中には冒険者も同行しているんだが、もしもあいつがこの橋の上で暴れて壊しでもしたら大変な事になるからな。迂闊に手を出せないんだよ……」
「くそ、あんな場所に居座りやがって……」
「なるほど、そういう事か」
商団に同行していた冒険者は全員が銀級の冒険者であり、人数は五名だった。だが、サイクロプスの危険度を考えれば銀級の冒険者程度ではどうしようもない相手であり、仮に倍の数の銀級冒険者が存在したとしもどうにかできない相手だった。
「誰が闘技場に送るように依頼したんですか?」
「それが俺達も知らないんだよ。ただ、この荷物を闘技場まで運んでくれれば分かるって……引き渡す時はこの手紙を渡せば分かってくれるとだけ言われたよ」
「そんな条件でよくこんな怪しい仕事を引き受けましたね!?」
「か、金払いが良かったんだよ!!それに冒険者を雇う金も依頼人が払ってくれたんだぞ!?」
「なるほど、確かに気前がいいね……すまないが、それを見せてくれるかい?」
「はあっ!?いったい何を言って……だいたい、お前等は何者なんだよ!!白狼種なんか連れている辺り、冒険者か?」
商団の人間はナイ達を怪しむが、そんな彼等の態度を見てアルトは仕方なく王家の紋章が刻まれたペンダントを取り出し、それを見せつける。
「このペンダントを見てくれ」
「はっ?なんだ、それ……」
「えっ!?こ、これって……王国の紋章!?まさか、これを持っている事が許されるのは……」
「ナイ君、リーナ君、君達も見せてくれ」
「メダルの事?」
「これ?」
ナイは二つの貴族のメダルを取り出し、リーナは黄金冒険者の証である冒険者バッジを見せつけると、商団の人間は顔色を青ざめ、冒険者は度肝を抜かす。
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