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ゴブリンキングの脅威
第508話 盗賊の拘束
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――場所はニーノの店に戻り、シノビとクノは捕縛した盗賊二人を店の中に連れ込み、改めて尋問を行う。ちなみに怪我はナイが回復魔法を施して治療を行う。
「さあ、洗いざらい話して貰うぞ」
「……俺達が口を割ると思ってんのか?」
「ひいいっ!?」
「ゆ、許してくれぇっ……!!」
「簡単に口を割りそうな者も居るでござるが……」
拘束した三人は椅子に固定された状態でシノビたちと向き合い、こんな状況だというのにガルソンだけは不敵な笑みを浮かべていた。だが、その表情を見てシノビは只の虚勢だと見抜く。
表情だけは余裕の態度を貫いているが、足元が震えている事をシノビは鋭い洞察力で見抜いた。ガルソンにとってもこの状況自体が予想外の展開であり、内心では酷く動揺していた。
「ガルソン、お前は賞金首だな。しかも金貨15枚の高額賞金首だ……このまま警備兵に差し出せば俺は大金を得られるわけだ」
「はんっ、それで脅しているつもりか?言っておくが、捕まった所で俺はすぐに脱出してやる」
「その時はまたお前を捕まえて賞金をもう一度受け取る事が出来るな……だが、お前も分かっているはずだ。高額賞金首の場合は即刻に始末される事をな」
「…………」
ガルソンのような金貨単位の高額賞金首の場合、捕まった場合は即座に処刑が実行される。賞金首の金額が高い人間ほどに凶悪な犯罪をしており、そんな人間の場合は更生の余地は低いと判断され、すぐに処刑を実行するのがこの国の方針だった。
「お前の命は俺達が握っていると思え……さあ、情報を吐いてもらうぞ」
「そ、そんな脅しに俺が屈すると思っているのか?」
「お前でなくても情報は聞き出せるんだぞ」
シノビは他の二人に視線を向け、その内の一人はエルの居場所を確実に知っているはずであり、彼は短刀の刃を首元に構えながら尋ねた。
「おい、貴様……エルの飯係を命じられていたそうだな。という事はエルが何処に捕まっているのか知っているな?」
「ひいっ!?は、はひっ……知っています!!」
「馬鹿野郎、喋るんじゃねえっ!!喋ったら殺す……ふぐっ!?」
「お主は黙っているでござる」
ガルソンは情報を漏らしそうになった男を脅そうとしたが、すかさずにクノが顔面を掴んで口元を塞ぐ。予想以上の力強い握力にガルソンは苦し気な表情を浮かべ、一方でシノビは男を問い質す。
「さっさと答えろ、でないとこのまま首を切り落とすぞ」
「ひいいっ!?」
「お、おい!?やり過ぎじゃないのか?」
「そうですよ、止めてください!!」
傍観していたニエルとナイはシノビの迫力に本当に斬るつもりなのと焦った表情を浮かべ、盗賊の男は涙を流しながら二人に助けを求める。
「お、お願いします!!助けてください、何でも話しますから……」
「……ならさっさと話せ」
「落ち着いて話してください。正直に言えば殺したりなんてしませんから」
シノビが離れるとナイは男に安心させるように語り掛け、その彼の態度に盗賊の男は安心感を抱く。男は完全に警戒心を解いてしまった。
この状況で敢えてシノビは拷問紛いの方法で情報を聞き出すより、ナイとニエルが介入して彼を止める事で敢えてシノビは悪役を演じる。そのお陰で盗賊は二人を味方のように錯覚させ、ナイは優しく語り掛けて盗賊に話を促す。
「深呼吸して……心を落ち着かせてゆっくりと話してください」
「すぅっ……はあっ……エ、エルが捕まっているのは俺達が泊まっている「白銀亭」という宿屋の地下にある倉庫にいる。そこにはエル以外にも宿屋の店主の家族も捕まっているから、そいつらを監禁して俺達は宿屋を拠点にしているんだ」
「なるほど、やはり宿屋の店主を脅していたか……」
「あ、ああ……頭が言うには宿屋の店主を殺すと色々とまずいから、家族を人質にして生かしておくように言われたんだ。もしも警備兵が訪れた時、俺達が店主に化けて対応するわけにはいかないからって……」
「中々に知恵が回るでござるな」
仮に店主を殺して宿屋を乗っ取った場合、もしも警備兵が宿屋に訪れた時、別の人間が店主のふりをしていれば怪しまれるだろう。そんな状況を想定して盗賊の頭であるガルスは店主を生かしているという。
「お前達の仲間の数はどの程度だ?」
「し、知らない……少なくともうちの宿屋に居る奴等だけでも60人はいる。でも、他の場所に隠れている奴等もいるから……多分、100人ぐらいじゃないか?」
「100人……そんな数の盗賊が街の中に入っていたなんて」
「おい、こいつはまずいぞ……早く警備兵に連絡した方が良いんじゃないのか?」
「いや、それはまずいな……そんな事をすれば宿屋に捕まっている人質の身が危ない」
仮に警備兵に報告して盗賊団を逮捕させるにしても、100人の盗賊が相手となると相当な数の警備兵が動く必要があり、当然だが大人数の警備兵が動けば盗賊団も気づき、その場合は捕まえた人質を利用される危険性もあった。
「さあ、洗いざらい話して貰うぞ」
「……俺達が口を割ると思ってんのか?」
「ひいいっ!?」
「ゆ、許してくれぇっ……!!」
「簡単に口を割りそうな者も居るでござるが……」
拘束した三人は椅子に固定された状態でシノビたちと向き合い、こんな状況だというのにガルソンだけは不敵な笑みを浮かべていた。だが、その表情を見てシノビは只の虚勢だと見抜く。
表情だけは余裕の態度を貫いているが、足元が震えている事をシノビは鋭い洞察力で見抜いた。ガルソンにとってもこの状況自体が予想外の展開であり、内心では酷く動揺していた。
「ガルソン、お前は賞金首だな。しかも金貨15枚の高額賞金首だ……このまま警備兵に差し出せば俺は大金を得られるわけだ」
「はんっ、それで脅しているつもりか?言っておくが、捕まった所で俺はすぐに脱出してやる」
「その時はまたお前を捕まえて賞金をもう一度受け取る事が出来るな……だが、お前も分かっているはずだ。高額賞金首の場合は即刻に始末される事をな」
「…………」
ガルソンのような金貨単位の高額賞金首の場合、捕まった場合は即座に処刑が実行される。賞金首の金額が高い人間ほどに凶悪な犯罪をしており、そんな人間の場合は更生の余地は低いと判断され、すぐに処刑を実行するのがこの国の方針だった。
「お前の命は俺達が握っていると思え……さあ、情報を吐いてもらうぞ」
「そ、そんな脅しに俺が屈すると思っているのか?」
「お前でなくても情報は聞き出せるんだぞ」
シノビは他の二人に視線を向け、その内の一人はエルの居場所を確実に知っているはずであり、彼は短刀の刃を首元に構えながら尋ねた。
「おい、貴様……エルの飯係を命じられていたそうだな。という事はエルが何処に捕まっているのか知っているな?」
「ひいっ!?は、はひっ……知っています!!」
「馬鹿野郎、喋るんじゃねえっ!!喋ったら殺す……ふぐっ!?」
「お主は黙っているでござる」
ガルソンは情報を漏らしそうになった男を脅そうとしたが、すかさずにクノが顔面を掴んで口元を塞ぐ。予想以上の力強い握力にガルソンは苦し気な表情を浮かべ、一方でシノビは男を問い質す。
「さっさと答えろ、でないとこのまま首を切り落とすぞ」
「ひいいっ!?」
「お、おい!?やり過ぎじゃないのか?」
「そうですよ、止めてください!!」
傍観していたニエルとナイはシノビの迫力に本当に斬るつもりなのと焦った表情を浮かべ、盗賊の男は涙を流しながら二人に助けを求める。
「お、お願いします!!助けてください、何でも話しますから……」
「……ならさっさと話せ」
「落ち着いて話してください。正直に言えば殺したりなんてしませんから」
シノビが離れるとナイは男に安心させるように語り掛け、その彼の態度に盗賊の男は安心感を抱く。男は完全に警戒心を解いてしまった。
この状況で敢えてシノビは拷問紛いの方法で情報を聞き出すより、ナイとニエルが介入して彼を止める事で敢えてシノビは悪役を演じる。そのお陰で盗賊は二人を味方のように錯覚させ、ナイは優しく語り掛けて盗賊に話を促す。
「深呼吸して……心を落ち着かせてゆっくりと話してください」
「すぅっ……はあっ……エ、エルが捕まっているのは俺達が泊まっている「白銀亭」という宿屋の地下にある倉庫にいる。そこにはエル以外にも宿屋の店主の家族も捕まっているから、そいつらを監禁して俺達は宿屋を拠点にしているんだ」
「なるほど、やはり宿屋の店主を脅していたか……」
「あ、ああ……頭が言うには宿屋の店主を殺すと色々とまずいから、家族を人質にして生かしておくように言われたんだ。もしも警備兵が訪れた時、俺達が店主に化けて対応するわけにはいかないからって……」
「中々に知恵が回るでござるな」
仮に店主を殺して宿屋を乗っ取った場合、もしも警備兵が宿屋に訪れた時、別の人間が店主のふりをしていれば怪しまれるだろう。そんな状況を想定して盗賊の頭であるガルスは店主を生かしているという。
「お前達の仲間の数はどの程度だ?」
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「100人……そんな数の盗賊が街の中に入っていたなんて」
「おい、こいつはまずいぞ……早く警備兵に連絡した方が良いんじゃないのか?」
「いや、それはまずいな……そんな事をすれば宿屋に捕まっている人質の身が危ない」
仮に警備兵に報告して盗賊団を逮捕させるにしても、100人の盗賊が相手となると相当な数の警備兵が動く必要があり、当然だが大人数の警備兵が動けば盗賊団も気づき、その場合は捕まえた人質を利用される危険性もあった。
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