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ゴブリンキングの脅威
第504話 従弟
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「はあっ!?お前、アル叔父さんの息子なのか!?」
「爺ちゃんの事を知ってるんですか?」
「えっ、爺ちゃん!?あれ、息子じゃなかったのか?あれ?」
「あ、いや……僕は養父の事を爺ちゃんと呼んでるんです」
ナイはアルの養子ではあるが、年齢差が離れ過ぎている事もあり、子供の頃からアルが他の人間から「爺さん」と呼ばれる事も多かったのでナイは「爺ちゃん」と呼んでいる。実際の所はアルとナイは義理の親子なので父親と息子という間柄だが、アルは自分の事は好きに呼ばせていた。
自分がアルの義理の息子でエルに会うためだとナイは伝えると、ニエルはまさか自分に従弟がいたなど初めて知った。
「はあっ……なるほど、そういう事だったのか。まさか、俺に従弟がいるとはな。お前、何才だ?」
「15です。もうすぐ16ですが……」
「という事は俺よりも半分も年下か……俺は31歳だ。よろしくな、ナイ」
「どうも……えっと、ニエルさんでいいですか?」
「ああ、好きに呼んでくれ。しかし、親父に会いに来たのか……そいつはまずい時にやってきたな」
「それはどういう意味だ?」
「なにがまずいのでござる?」
ニエルによるとナイ達が訪れたのは彼にとって非常に都合が悪く、ニエルは先ほど自分を殴りつけた相手の事を話す。
「……俺を襲ったのはここいらでも有名なガルスという名前の盗賊の手下だ。ガルスは盗賊団を率いている危険な男でな、俺は奴等に脅されて武器を作っていたんだ」
「武器だと……」
「俺を襲った奴は今日、俺が作った武器を回収しに来る予定だったんだ。俺だって盗賊の武器なんか作りたくはなかったが、親父を人質に取られて仕方なく……」
「親父!?という事はエルさんは……」
「奴等に捕まった……くそっ」
エルは盗賊団に捕まったという話を聞いてナイは驚き、息子のニエルは悔しそうな表情を浮かべて机に拳を叩きつける。彼は武器を引き渡せば父親を解放するという約束の元、今日まで武器を作り続けてきたという。
しかし、最後の武器を渡した途端にニエルは盗賊の手下に襲われ、もしもナイ達が訪れていなかったら今頃は命がなかったかもしれない。偶然にも襲われた直後にナイ達が訪れた事で盗賊は逃げ出したらしい。
「あいつら、やっぱり約束なんか守る気はなかったんだ!!くそったれがっ!!」
「エルさんが捕まっていたなんて……」
「もう既に殺されているかもしれんな」
「兄者、そんな言い方はないでござる!!」
シノビの言葉にクノは注意するが、ニエルは頭を抑えながらも彼はまだ父親が生きていると信じ、彼には父親が必ず生きているという根拠があった。
「いや、親父はまだ生きているはずだ……絶対にだ」
「何故、そう言い切れる?」
「俺が襲われる直前、ガルスの下っ端はこう言っていた。お前等の家に伝わる魔剣を寄越せとな……」
「えっ!?それって……」
ナイはニエルの言葉を聞いて背中の旋斧に視線を向け、盗賊団の狙いがこの旋斧だと知る。ニエルは襲われる直前に盗賊に言われた言葉を継げる。
「奴等は何処で情報を嗅ぎつけたのか、俺達の家に魔剣が伝わっていると知っていたんだ。だから武器を渡した後、俺に魔剣の在処を聞いたんだ……そんな事を俺に聞かれても知らないのによ」
「知らないのでござるか?」
「ああ、確かに親父からうちの家系に伝わる魔剣の話は聞いた事がある。でも、俺はそれがどんな物で今は何処にあるのかは知らないんだ」
「知らない……」
ナイはニエルの言葉を聞いてエルが旋斧の事を息子にさえ隠していた事を知る。旋斧はエルの兄のアルに渡った事、そして現在はナイの手元に存在する。
捕まったエルは魔剣の事を実の息子にも伝えず、そして盗賊団がニエルに魔剣の居場所を問い質した事から、エルがまだ盗賊団に情報を渡していないのは確かだった。
「親父から魔剣の在処を聞き出していたとしたら、俺なんかに尋ねるわけがねえ。きっと、あいつらは親父が魔剣の在処を吐かないから息子の俺に聞き出そうとしたんだ。だが、生憎と俺は知らなかった……そうなると奴等はきっと親父に聞き出すしかなくなる」
「という事は……急いで救助した方がいいでござるな」
「そうだな、拷問してでも情報を吐かせようとするかもしれない」
「そんな……すぐに助けないと!!」
「待てよ、助けるといっても親父が何処に捕まっているのかも分からないんだぞ!?」
今すぐにでも家を飛び出そうとしたナイをニエルは引き留め、肝心の彼の父親が何処に捕まっているのか分からない限りは手の出しようがない。しかし、クノのお陰で盗賊団が何処を拠点にしているのかは既に突き止めている。
ニエルを襲った盗賊の下っ端はこの街で一番の宿屋に宿泊しており、恐らくは宿屋の店主と従業員も捕まっているはずだった。盗賊団を捕まえればエルの居場所も分かるかもしれず、ナイは助けに向かう事を約束した。
「爺ちゃんの事を知ってるんですか?」
「えっ、爺ちゃん!?あれ、息子じゃなかったのか?あれ?」
「あ、いや……僕は養父の事を爺ちゃんと呼んでるんです」
ナイはアルの養子ではあるが、年齢差が離れ過ぎている事もあり、子供の頃からアルが他の人間から「爺さん」と呼ばれる事も多かったのでナイは「爺ちゃん」と呼んでいる。実際の所はアルとナイは義理の親子なので父親と息子という間柄だが、アルは自分の事は好きに呼ばせていた。
自分がアルの義理の息子でエルに会うためだとナイは伝えると、ニエルはまさか自分に従弟がいたなど初めて知った。
「はあっ……なるほど、そういう事だったのか。まさか、俺に従弟がいるとはな。お前、何才だ?」
「15です。もうすぐ16ですが……」
「という事は俺よりも半分も年下か……俺は31歳だ。よろしくな、ナイ」
「どうも……えっと、ニエルさんでいいですか?」
「ああ、好きに呼んでくれ。しかし、親父に会いに来たのか……そいつはまずい時にやってきたな」
「それはどういう意味だ?」
「なにがまずいのでござる?」
ニエルによるとナイ達が訪れたのは彼にとって非常に都合が悪く、ニエルは先ほど自分を殴りつけた相手の事を話す。
「……俺を襲ったのはここいらでも有名なガルスという名前の盗賊の手下だ。ガルスは盗賊団を率いている危険な男でな、俺は奴等に脅されて武器を作っていたんだ」
「武器だと……」
「俺を襲った奴は今日、俺が作った武器を回収しに来る予定だったんだ。俺だって盗賊の武器なんか作りたくはなかったが、親父を人質に取られて仕方なく……」
「親父!?という事はエルさんは……」
「奴等に捕まった……くそっ」
エルは盗賊団に捕まったという話を聞いてナイは驚き、息子のニエルは悔しそうな表情を浮かべて机に拳を叩きつける。彼は武器を引き渡せば父親を解放するという約束の元、今日まで武器を作り続けてきたという。
しかし、最後の武器を渡した途端にニエルは盗賊の手下に襲われ、もしもナイ達が訪れていなかったら今頃は命がなかったかもしれない。偶然にも襲われた直後にナイ達が訪れた事で盗賊は逃げ出したらしい。
「あいつら、やっぱり約束なんか守る気はなかったんだ!!くそったれがっ!!」
「エルさんが捕まっていたなんて……」
「もう既に殺されているかもしれんな」
「兄者、そんな言い方はないでござる!!」
シノビの言葉にクノは注意するが、ニエルは頭を抑えながらも彼はまだ父親が生きていると信じ、彼には父親が必ず生きているという根拠があった。
「いや、親父はまだ生きているはずだ……絶対にだ」
「何故、そう言い切れる?」
「俺が襲われる直前、ガルスの下っ端はこう言っていた。お前等の家に伝わる魔剣を寄越せとな……」
「えっ!?それって……」
ナイはニエルの言葉を聞いて背中の旋斧に視線を向け、盗賊団の狙いがこの旋斧だと知る。ニエルは襲われる直前に盗賊に言われた言葉を継げる。
「奴等は何処で情報を嗅ぎつけたのか、俺達の家に魔剣が伝わっていると知っていたんだ。だから武器を渡した後、俺に魔剣の在処を聞いたんだ……そんな事を俺に聞かれても知らないのによ」
「知らないのでござるか?」
「ああ、確かに親父からうちの家系に伝わる魔剣の話は聞いた事がある。でも、俺はそれがどんな物で今は何処にあるのかは知らないんだ」
「知らない……」
ナイはニエルの言葉を聞いてエルが旋斧の事を息子にさえ隠していた事を知る。旋斧はエルの兄のアルに渡った事、そして現在はナイの手元に存在する。
捕まったエルは魔剣の事を実の息子にも伝えず、そして盗賊団がニエルに魔剣の居場所を問い質した事から、エルがまだ盗賊団に情報を渡していないのは確かだった。
「親父から魔剣の在処を聞き出していたとしたら、俺なんかに尋ねるわけがねえ。きっと、あいつらは親父が魔剣の在処を吐かないから息子の俺に聞き出そうとしたんだ。だが、生憎と俺は知らなかった……そうなると奴等はきっと親父に聞き出すしかなくなる」
「という事は……急いで救助した方がいいでござるな」
「そうだな、拷問してでも情報を吐かせようとするかもしれない」
「そんな……すぐに助けないと!!」
「待てよ、助けるといっても親父が何処に捕まっているのかも分からないんだぞ!?」
今すぐにでも家を飛び出そうとしたナイをニエルは引き留め、肝心の彼の父親が何処に捕まっているのか分からない限りは手の出しようがない。しかし、クノのお陰で盗賊団が何処を拠点にしているのかは既に突き止めている。
ニエルを襲った盗賊の下っ端はこの街で一番の宿屋に宿泊しており、恐らくは宿屋の店主と従業員も捕まっているはずだった。盗賊団を捕まえればエルの居場所も分かるかもしれず、ナイは助けに向かう事を約束した。
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